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「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その2‐足利郊外ポテチーノ、下今市駅、鬼怒川ホテルニュー岡部、上三依塩原駅、会津若松駅、津川町、道の駅豊栄

公開日: : 最終更新日:2023/04/29 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月3日
15:12 293号国道‐足利郊外ポテチーノ 108㎞
繁華街を抜けると文化的な匂いが漂い、足利はやはり歴史の重みを有していることを確認できて少し見直す気持ちになった。

この喫茶店を選んだのは、この街にいい印象を持って離れたかったから。

仮に彼女がこの街に戻っているのだとしたら、この店の女性のようにひっそりと慎ましく暮らしていてほしい。

でもやっぱり、彼女はこの街にはいないのだろう。

17:26 下今市駅 174㎞
黒い雨雲の下、関東平野をひたすら走った。
稲妻の光るサンダー・ロードを走ってきた。

日光杉並木は水捌けの悪い道で油断できない。
対向車のトラックが容赦なく撥ねた水を浴びせてくる。

ハンドルをしっかり握り、ただ前だけを見てここにたどり着いた。

雨雲はとうとう雨を落とし、代わりに空は明るくなった。

道中特に考えることもなく、状態の悪い路面とずっと闘っていた。
闘いはおそらく今夜いっぱい続くだろう。
ルートはこれから山間へと至る。

日光でのんびりするのも悪くないと思ったけど、この雨だ。
暗くならないうちに鬼怒川に着きたい。
温泉がオレの到着を待ちわびている。

それにしても栃木県もなかなか大きい。

佐野、足利、今市。
それぞれ別の顔を持っている。

18:50 鬼怒川ホテルニュー岡部 188㎞
今日の最大の懸案をクリアーした。
つまり入浴のことだ。

温泉地はどこも変わらないが、この鬼怒川には心なしか少しのゆとりを感じる。
道幅も広いし、湯も温い。

荷物の心配さえしなければ、もっと浸かっていたかった。
料金は少し高かったけれど。

ところで天気の予想がつかない。
ここに着いた時は確か晴れていたはずなのが、戻ってみれば雨。
雨との付き合いは明日まで続きそうだ。

これから会津まで。
ここまでは計画通りといっていい。

19:47 上三依塩原駅 221㎞
予想通りの難所だった。
地元の連中に煽られながら喘ぐようにここにたどり着いた。

まるでオアシスのように静かな明かりを灯しながら、山間に浮かぶように列車を待っている。
暗闇の中で駅らしきものを発見した時は狂喜した。

音楽は貴重だった。
忌野清志郎は最高だった。
旅に出る前に手に入れておいてホントによかった。

真っ暗だったけど肩の力を抜いていられたよ。
2年というブランクの中で経験したものも役立っていたのかもしれない。

だけどもうちょっと違う道を走りたい。
夜を走るにはこのルートはタフでハードだ。

あたりは暗闇に閉ざされている。
でも心細さは感じていない。

いずれ明るい時間帯にまたここを通って再評価したい。
いつになるかはもちろん分からない。

21:23 会津若松駅 292㎞
駅へと歩いていく気分はなぜかいいものだ。
かつて来たことがあるような、見覚えがあるような駅で、ごく自然に街に溶け込んでいた。

なんかほっとしたよ。
夜の走り方を知ったようで、特に疲れは感じていない。
大体時速70㎞で走っていれば誰も文句は言わない。

東北はやっぱりいい。
他の地域と比較して圧倒的に親しみを感じる。

駅は優しい明かりを放ち、見ているだけで安心する。
集まっている人々に悪意は感じられず、電話ボックスで泣き崩れていた女性は大丈夫だろうか。

かわいそうに。
よほど悲しいことを告げられたのだろう。
悪い男がいたものだ。

ところで今夜のオレだ。
まだ眠くない。
そりゃそうだろう。

時計の針は21:30を指している。
このまま新潟まで走らせよう。

眠る場所にアテがある。

22:32 49号国道‐津川町 346㎞
広大な会津圏内を抜けると予想通り車通りは少なくなり、後続車とのほぼ二人旅の様相を呈していた。

山間に来ると雨は激しくなり、一瞬霧が襲い、雹に見える雨が降った。

気温は9度。
にわかに寒くなった。

新潟まではそう遠くない。
日付が変わる前に到着できるだろう。

ここに車を止めたのは疲れてというよりも、音楽を変えたかったから。

25:13 7号国道‐豊栄(道の駅) 436㎞
ここに到着してビール2本とカロリーメイト。
それが今夜の食事。
まるで大残業した夜のような粗末なメニュー。

気分はずいぶん落ち着いている。
最後は新潟県という巨大な存在にはめられたかのような苛立ちを覚えながらの走行だった。

激しい雨だった。
目をくらませるほどの降りだった。

馴染みの場所には居心地の良さを感じる。

寝る時間になるとそこかしこにタフな人を見かける。
孤独なライダーはベンチでシェラフにくるまっている。
その横ではひとりじゃ何もできなさそうな連中が騒いでいる。

そうした手合いもまたそこかしこに見かける。
今いるここの少し後方にも、バカしか聞かないような音楽をかけた同じような連中が大声で喋っている。
困ったものだな。

49号国道は阿賀野川を横切ったり、寄り添ったりしながら続く思い出のルート。
いくつもの橋を渡る。

あれは5年前のことになる。
その時が初めてのツアーだった。
あの日のことはよく覚えている。

だからオレには見えた。
暗闇の中の阿賀野川の雄大な流れが。

おやすみ。
今日はよく走った。

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