*

「鉄旅日記」2018年弥生【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】最終日(会津若松-新潟-吉田-三条-東京)その1-会津若松、広田、野沢、徳沢、津川、五十島(磐越西線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/13 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年3月4日・・・会津若松駅、広田駅、野沢駅、徳沢駅、津川駅、五十島駅(磐越西線)
2018・3・4 7:31 会津若松(あいづわかまつ)駅(磐越西線/只見線/会津鉄道 福島県)
晴天の若松。
心の支えともいえる女性から返信が届いたのは、寝静まってから1時間後のことだった。

オレと同じ悲しい選択をして、来月に自由になる。
それまでは気まずい空気の中で生きていかれる。

オレはそうじゃない。
ただ寂しさが残るだけだ。

会津のおばちゃんが訛りも隠さず大きな声で喋っている。

1分前に喜多方に向かう列車の後ろ姿を分岐点で見た。

今オレは郡山方面に向かっている。

7:50 広田(ひろた)駅(磐越西線 福島県)
義経と皆鶴姫の悲恋物語が伝わる町。

義経を慕う姫は後を追い、この地で病に倒れ、池に映るやつれた姿をはかなみ身を投げたという悲しい話。
伝え聞いた義経は駆けつけ、池のほとりに墓を建てて供養したとのこと。

武家屋敷のような駅に惹かれて降りる。


待合室はまるで古い学校の図書室。
若い女性がノートを広げて列車を待っている。

磐梯山に一歩近づき、冷気は心地よく、割烹が2軒に商店街がある駅前も居心地がよかった。

こうしているとさすがに手が凍える。

春3月、雪景色の会津盆地。
どこを眺めても素敵で、子どもの声に微笑み目を向ける。

聞きなれない声が空から聞こえる。
カモメか?
猪苗代にいたのか?

白い編隊飛行が西に向かっていた。

9:16 野沢(のざわ)駅(磐越西線 福島県)
広田から会津若松に戻る。

そして会津若松から新津行に乗って約50分。
12月にも撮った磐梯山の絶景、喜多方手前の山々。





山都からは阿賀野川にまつわる景色を楽しむ。


行楽シーズンを外れた磐越西線新津行はとても空いていて、
酒でも飲もうかとも思うが朝食で腹はくちている。

ここでは25分の停車。
ずいぶんと長い。

ディーゼル音を聞いていると旅の最中であることを実感できる。
こうした否応なくのんびりさせられる時間は消えつつある。

気長に待つ。
こんな言葉も最近じゃ聞かなくなった。

係員の女性が凍りついた通路に塩を撒いている。
「撒くのが遅くなっちゃって」と恐縮されていた。

利用者がいないのだろう。
3番線まであるホームに雪の壁ができている。

駅を降りると角の民宿が目に入る。
坂を上がっていくとさらに2軒古い民宿がある。
ビールでも売っていればと思い、先に目を凝らしたけど見つからない。

青空の下の雪原を眺め、別れ行く愛しき者たちを想った。

切なくて。

それはまた人生を想うことそのものだと理解した。

9:48 徳沢(とくさわ)駅(磐越西線 福島県)
列車交換待ち8分の停車。
加えて上り列車遅延で4分。

23年前の5月にこの駅に寄ったことがある。
今回ここに8分いられることに興奮したよ。
あの記憶がここまでオレを旅につなぎ止めてきた。

当時の記憶で定かなものはない。
阿賀野川に沿って車を走らせる中でたまたま駅を見つけたのだろう。
ベンチに腰かけて到着を待つ老婦人と言葉を交わしたことだけは確かだ。

駅前は川辺の風情。
古い通りに古い軒が連なっている。

日本人はこの景色を懐かしいと表現する。
異存はない。

それにしてもとてつもない積雪量だ。
男4人がかりで古い家屋の雪降ろしをしている場面に出くわした。

今さらながら、それはとても危険な作業に見えた。

今年はよく降った。

10:28 津川(つがわ)駅(磐越西線 福島県)
14分の停車。
駅長さんがいる駅だった。

狐の嫁入りの町。
そうだったな。
6年前にもこうして降りたよ。

かつてこの地で多く見られた「狐火」を、狐の嫁入りの提灯行列と言い慣わしたとのこと。

あの時は阿賀野川に架かるあの赤い鉄橋まで歩いた。

駅前に積まれた雪山に登った少年が、父親に「新潟県民の誇り」を説いている。
微笑ましい光景だ。

それにしても次々と絶景が現れる。
磐越西線に乗った過去2回。
確かオレはこれほど喜んではいない。


「オコジロウの家」がホームに置かれていた。
SLを走らせる時のキャラクターで、イタチ科に属するらしい。

暖炉が描かれた暖かい部屋だった。

10:51 五十島(いがしま)駅(磐越西線 福島県)
3分の停車。
この新津行で途中下車できるのはここが最後になる。

走り上がり走り下り、駅を写す。
他にスマホを向ける対象は見当たらない駅だった。

わずかだか乗客が増えていて、後ろの席では若い女性が化粧をしていた。

阿賀野川はだんだんと護岸化されてきて、川幅も増して都会的な顔になってきた。




五泉からはおそらく次々と乗客が乗ってくる。

関連記事

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その1‐釜石、遠野、宮守(釜石線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・釜石駅、遠野駅、宮守駅(釜石線) 2020・2・24 5:39

記事を読む

「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】3日目(秋田-北上ー遠野)-道の駅西目、道の駅東由利、ほっとゆだ駅、北上駅、遠野徳田屋旅館

車旅日記1998年8月14日 1998・8・14 7:17 7号国道‐西目(道の駅) 自由な日々

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】最終日(北上-東京)その1‐北上、横手、醍醐、十文字、下湯沢(北上線/奥羽本線)

鉄旅日記2019年11月4日・・・北上駅、横手駅、醍醐駅、十文字駅、下湯沢駅(北上線/奥羽本線) 2

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その3‐小牛田、一ノ関、北上、柳原、江釣子(東北本線/北上線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・小牛田駅、一ノ関駅、北上駅、柳原駅、江釣子駅(東北本線/北上線)

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】3日目(宮崎-志布志-枕崎-鹿児島)走行距離382㎞その2-隼人駅、枕崎駅、開聞駅、指宿、鹿児島東急イン

車旅日記2004年8月13日 2004・8・13 14:15 隼人駅(8月11日の佐賀空港より79

記事を読む

「車旅日記」1997年夏【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】3日目(田沢湖近辺-男鹿半島-鳴子)-和田駅、入道崎、八望台、男鹿駅、道川駅、矢島駅、鳴子サンハイツ

車旅日記1997年8月15日 1997・8・15 9:04 和田駅 855㎞ 友と19時間をとも

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 2020・4・4 5:29 松戸(

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.1【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】最終日(小千谷-桐生-下妻-東京)道の駅おぢや、塩沢らーめんショップ、月夜野情報サービスセンター、旅の駅桐生、道の駅しもつま、柏市あけぼの2丁目、葛飾金町

車旅日記2000年7月23日 2000・7・23 2:09 17号国道‐おぢや(道の駅) 都合3

記事を読む

「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)

鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】初日(東京-鬼怒川温泉)-下今市、新藤原、川治湯元、川治温泉、湯西川温泉、龍王峡、鬼怒川公園、新高徳、鬼怒川温泉(東武鬼怒川線/野岩鉄道)

鉄旅日記2014年12月6日・・・下今市駅、新藤原駅、川治湯元駅、川治温泉駅、湯西川温泉駅、龍王峡駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 20

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線

→もっと見る

    PAGE TOP ↑