*

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/12 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(中央本線/武蔵野線)
15:00 日出塩(ひでしお)駅(中央本線 長野県)
木曽の風は冷たい。
空の青はどこか悲しげ。

駅舎のない駅で降りる。

車寅次郎は、かつてこの駅でSLが牽引する貨物列車の通過で夢から覚めて、目の前に垂れ下がっていた柿をもいでひとくち。
「渋い」と吐き出す。

変わってしまったな。

変わったと言えば「男はつらいよ」で、寅次郎とおいちゃんや裏の印刷工場のタコ社長とのドタバタ劇を見ると、以前はたんに大笑いしていたけど、最近じゃ泣けるようになっちゃって。

ひと駅を歩く。
去年の夏にそうしたかったことに、いくぶん悲しい気持ちで踏み出している。

線路に沿って歩いている。
火の見櫓が迎える道を下り、日出塩公民館を左に曲がり、そして線路に沿って歩いている。

木曽谷は深く覗き込むことすら許さない。

16:02 贄川(にえかわ)駅(中央本線 長野県)
関所があった中山道の宿場町。
おどろおどろしい過去を持ちそうな知名だ。

木曽は江戸時代尾張藩領だったことを知った。
途中、明治天皇御座所跡の前を通る。

気温は3度。
冷たい向かい風が吹く中を情念とともに歩いた。

愛しいものと別れなければならなかった人生。
関連する人々。
仕事。

強い風を受けながら歩き、贄川駅に着くのは一体いつになるのかという不安が、やがて情念を押しつぶす。

こうして歩くことが心の修行であると知った木曽路徒歩行。

ようやくたどり着いた贄川駅の造作は旅情と郷愁にあふれて素晴らしく、目指した場所がここであったことに何かの意味を感じたくなるような場所だった。

文化財ともいえる待合室でただひとり。
たんに駅にいるだけだが、非日常かつ特別な経験をしている満足感にひたる。

上り列車がじきにやってくる。

16:49 村井(むらい)駅(篠ノ井線 長野県)
松本行に乗り、東京に帰るなら塩尻で降りて上りを待つが、2つ先の村井で降りる。

両脇に商店を従えて一直線に延びる駅前通り。
聖高原へと向かう様に美を感じる。

駅前風景の美しさと、初めてその駅に降りた際に感じる期待感はトップレベルといっていい。

普段なら歩くさ。
でも改札を出てすぐ右手に南松本でも見かけた「駅そば」があった。
迷わず入ったよ。

汁まで飲み干す美味さだった。

17:29 上諏訪(かみすわ)駅(中央本線 長野県)
特急列車の連絡待ちで12分の停車。
上諏訪駅も9年振りになる。

あれから何度かこうした待ち時間に降りる機会はあったけど、眠ってしまったり、ダイヤが狂ったりで今日まで待たなければならなかった。

駅前は工事中だった。
開発でもあるのだろうか。
足湯場にもホームにも人の流れは絶え間ない。

10分は矢のように過ぎてウイスキーハイボール片手に列車へ。
暮れゆく信濃路を眺める。

18:21 日野春(ひのはる)駅(中央本線 山梨県)
富士見信濃境間で見られる旧線跡。
立場川橋梁。
味わい深い姿をしている。


特急列車通過待ちで11分停車。


行きと同じく南アルプスと八ヶ岳がきれいに見える風光明媚な駅で、関心のある者は外へ繰り出しシャッターを切る。
JR東日本の粋な計らいと捉えよう。



じきに日が暮れる。

21:11 西国分寺(にしこくぶんじ)駅(中央本線/武蔵野線 東京都)
外に出るのは9年振りになる。

変わってないな。
谷間を往く鉄路に沿うように高い位置に家並みが続いている。

日曜日の夜。
この町に暮らす人々の流れは収束に向かい、駅のホームには列ができている。

少し前までは新秋津で降りて、西武線に乗り換えるのが家路だった。
でももうそんな日は来ない。

秋津は通過駅。
駅前通りには味があったけど、思い入れがあるわけじゃない。

22:16 新松戸(しんまつど)駅(常磐線/武蔵野線 千葉県)
8年前まで何度かここにいたことがある。
久しぶりだが、旧友との再会に似た感情が湧くことはなかった。
ただ懐かしさはある。

その町との再会。
明かりは大きく、武蔵野線高架をはさんで分かれた町はどちらも光に満ちていた。


常磐線にはしばらく世話になる。
金町にいる内は地元として愛していく。

でもまだ、かつて10年暮らした町とはいえ、今から帰る家は地元じゃない。
常磐線ホームには長い列ができている。

いろいろあるのが人生。
忘れていたよ。

起きてしまったことは戻らない。
だからもうそこには戻らない。

新しく始めてみる人生もあるさ。

関連記事

「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その1-市川塩浜、五井、上総牛久、馬立、上総鶴舞、里見(京葉線/外房線/小湊鉄道)

鉄旅日記2018年9月23日・・・市川塩浜駅、五井駅、上総牛久駅、馬立駅、上総鶴舞駅、里見駅(京葉線

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】最終日(直江津-六日町-大前-東京)その3-金島、中之条、川原湯温泉、大前、羽根尾、高崎問屋町(吾妻線)

鉄旅日記2018年2月11日・・・金島駅、中之条駅、川原湯温泉駅、大前駅、羽根尾駅、高崎問屋町駅(吾

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その3-三河田原、新豊橋、豊橋、東静岡、沼津(豊橋鉄道渥美線/東海道本線)

鉄旅日記2018年12月24日・・・三河田原駅、新豊橋駅、豊橋駅、東静岡駅、沼津駅(豊橋鉄道渥美線/

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】2日目-友人夫婦と過ごした一日

車旅日記1996年5月4日 1996年5月4日の記憶 一夜明けた。 友人夫婦はそこでしっか

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】最終日(北上-東京)その1‐北上、横手、醍醐、十文字、下湯沢(北上線/奥羽本線)

鉄旅日記2019年11月4日・・・北上駅、横手駅、醍醐駅、十文字駅、下湯沢駅(北上線/奥羽本線) 2

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】4日目(旭川-稚内)走行距離428㎞その3-稚内サンホテル

車旅日記2004年5月4日 21:39 稚内サンホテル325号 素敵な部屋に案内してもらった。

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道)

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】3日目(鳥取-米子)その2-電鉄出雲市、川跡、旧大社駅、出雲大社前、雲州平田、松江しんじ湖温泉、松江、乃木、東松江、玉造温泉、揖屋、荒島、米子(一畑電車北松江線/一畑電車大社線/山陰本線)

鉄旅日記2014年8月15日その2・・・電鉄出雲市駅、川跡駅、旧大社駅、出雲大社前駅、雲州平田駅、松

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】3日目(福山-宇部)尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA

車旅日記2000年8月14日・・・尾道西PA、奥屋PA、温品PA、玖珂PA 2000・8・14 9:

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】最終日(安中-東京)その3-海尻城址、海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)

鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その1‐速星、越中八尾、楡原(高山本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・速星駅、越中八尾駅、楡原駅(高山本線

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その5‐府中鵜坂、西富山、速星(高山本線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・府中鵜坂駅、西富山駅、速星駅(高山本

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その4‐富山大学前、丸ノ内、南富山駅前、南富山、電鉄富山駅前、富山(富山地方鉄道市内線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・富山大学前電停、丸ノ内電停、南富山駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑