*

「鉄旅日記」2018年春【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】最終日(飯田-安曇野-木曽-東京)その3-日出塩、贄川、村井、上諏訪、日野春、西国分寺、新松戸(中央本線/武蔵野線)

公開日: : 最終更新日:2024/04/26 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年4月8日・・・日出塩駅、贄川駅、村井駅、上諏訪駅、日野春駅、西国分寺駅、新松戸駅(中央本線/武蔵野線)
15:00 日出塩(ひでしお)駅(中央本線 長野県)
木曽の風は冷たい。
空の青はどこか悲しげ。

駅舎のない駅で降りる。

車寅次郎は、かつてこの駅でSLが牽引する貨物列車の通過で夢から覚めて、目の前に垂れ下がっていた柿をもいでひとくち。
「渋い」と吐き出す。

変わってしまったな。

変わったと言えば「男はつらいよ」で、寅次郎とおいちゃんや裏の印刷工場のタコ社長とのドタバタ劇を見ると、以前はたんに大笑いしていたけど、最近じゃ泣けるようになっちゃって。

ひと駅を歩く。
去年の夏にそうしたかったことに、いくぶん悲しい気持ちで踏み出している。

線路に沿って歩いている。
火の見櫓が迎える道を下り、日出塩公民館を左に曲がり、そして線路に沿って歩いている。

木曽谷は深く覗き込むことすら許さない。

16:02 贄川(にえかわ)駅(中央本線 長野県)
関所があった中山道の宿場町。
おどろおどろしい過去を持ちそうな知名だ。

木曽は江戸時代尾張藩領だったことを知った。
途中、明治天皇御座所跡の前を通る。

気温は3度。
冷たい向かい風が吹く中を情念とともに歩いた。

愛しいものと別れなければならなかった人生。
関連する人々。
仕事。

強い風を受けながら歩き、贄川駅に着くのは一体いつになるのかという不安が、やがて情念を押しつぶす。

こうして歩くことが心の修行であると知った木曽路徒歩行。

ようやくたどり着いた贄川駅の造作は旅情と郷愁にあふれて素晴らしく、目指した場所がここであったことに何かの意味を感じたくなるような場所だった。

文化財ともいえる待合室でただひとり。
たんに駅にいるだけだが、非日常かつ特別な経験をしている満足感にひたる。

上り列車がじきにやってくる。

16:49 村井(むらい)駅(篠ノ井線 長野県)
松本行に乗り、東京に帰るなら塩尻で降りて上りを待つが、2つ先の村井で降りる。

両脇に商店を従えて一直線に延びる駅前通り。
聖高原へと向かう様に美を感じる。

駅前風景の美しさと、初めてその駅に降りた際に感じる期待感はトップレベルといっていい。

普段なら歩くさ。
でも改札を出てすぐ右手に南松本でも見かけた「駅そば」があった。
迷わず入ったよ。

汁まで飲み干す美味さだった。

17:29 上諏訪(かみすわ)駅(中央本線 長野県)
特急列車の連絡待ちで12分の停車。
上諏訪駅も9年振りになる。

あれから何度かこうした待ち時間に降りる機会はあったけど、眠ってしまったり、ダイヤが狂ったりで今日まで待たなければならなかった。

駅前は工事中だった。
開発でもあるのだろうか。
足湯場にもホームにも人の流れは絶え間ない。

10分は矢のように過ぎてウイスキーハイボール片手に列車へ。
暮れゆく信濃路を眺める。

18:21 日野春(ひのはる)駅(中央本線 山梨県)
富士見信濃境間で見られる旧線跡。
立場川橋梁。
味わい深い姿をしている。


特急列車通過待ちで11分停車。


行きと同じく南アルプスと八ヶ岳がきれいに見える風光明媚な駅で、関心のある者は外へ繰り出しシャッターを切る。
JR東日本の粋な計らいと捉えよう。



じきに日が暮れる。

21:11 西国分寺(にしこくぶんじ)駅(中央本線/武蔵野線 東京都)
外に出るのは9年振りになる。

変わってないな。
谷間を往く鉄路に沿うように高い位置に家並みが続いている。

日曜日の夜。
この町に暮らす人々の流れは収束に向かい、駅のホームには列ができている。

少し前までは新秋津で降りて、西武線に乗り換えるのが家路だった。
でももうそんな日は来ない。

秋津は通過駅。
駅前通りには味があったけど、思い入れがあるわけじゃない。

22:16 新松戸(しんまつど)駅(常磐線/武蔵野線 千葉県)
8年前まで何度かここにいたことがある。
久しぶりだが、旧友との再会に似た感情が湧くことはなかった。
ただ懐かしさはある。

その町との再会。
明かりは大きく、武蔵野線高架をはさんで分かれた町はどちらも光に満ちていた。


常磐線にはしばらく世話になる。
金町にいる内は地元として愛していく。

でもまだ、かつて10年暮らした町とはいえ、今から帰る家は地元じゃない。
常磐線ホームには長い列ができている。

いろいろあるのが人生。
忘れていたよ。

起きてしまったことは戻らない。
だからもうそこには戻らない。

新しく始めてみる人生もあるさ。

関連記事

2018年七夕【SNSへの投稿より】宇都宮との縁ができた夏でございました。-大谷石採石場、大谷平和観音、うつのみやタワー、宇都宮城址、合戦場駅、新栃木駅、東武宇都宮駅

鉄旅日記2018年7月7日・・・合戦場駅、新栃木駅、東武宇都宮駅(東武日光線/東武宇都宮線) 201

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】3日目(大分-佐賀)その2-大牟田、銀水、西鉄銀水、瀬高、荒木、久留米、鳥栖、佐賀(鹿児島本線/長崎本線)

鉄旅日記2009年9月20日・・・大牟田駅、銀水駅、西鉄銀水駅、瀬高駅、荒木駅、久留米駅、鳥栖駅、佐

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】最終日(鷹ノ巣-東京)その1‐鷹ノ巣、二ツ井、鷹巣、阿仁合(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道)

鉄旅日記2023年1月13日・・・鷹ノ巣駅、二ツ井駅、鷹巣駅、阿仁合駅(奥羽本線/秋田内陸縦貫鉄道)

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】初日(東京-西舞鶴)その2-東雲、宮津、天橋立、豊岡、国府、和田山、梁瀬、福知山、西舞鶴(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線)

鉄旅日記2014年3月21日その2・・・東雲駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅、国府駅、和田山駅、梁瀬駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】2日目(盛岡-宮古)その2-釜石、津軽石、宮古、田野畑、堀内(三陸鉄道リアス線)

鉄旅日記2019年9月22日・・・釜石駅、津軽石駅、宮古駅、田野畑駅、堀内駅(三陸鉄道リアス線) 9

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】初日(東京-五所川原)その5‐撫牛子、川部、五所川原、津軽五所川原(五能線)

鉄旅日記2019年11月2日・・・撫牛子駅、川部駅、五所川原駅、津軽五所川原駅(五能線) 19:59

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】-館林、佐野、葛生、西小泉、赤城、太田、伊勢崎、新伊勢崎、足利、足利市(東武佐野線/東武小泉線/東武桐生線/東武伊勢崎線)

鉄旅日記2014年4月6日・・・館林駅、佐野駅、葛生駅、西小泉駅、赤城駅、太田駅、伊勢崎駅、新伊勢崎

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線) 15:35 押切(おしきり)駅

記事を読む

「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】最終日(近江八幡-長浜-揖斐-岐阜)-ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤坂駅、揖斐駅、木知原駅

車旅日記2006年7月17日・・・ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】最終日(和歌山-東京)その1-打田、妙寺、高野口、橋本、五条、吉野口、法隆寺、平城山、木津、京田辺、四條畷、住道(和歌山線、関西本線、学研都市線)

鉄旅日記2013年4月7日その1・・・打田駅、妙寺駅、高野口駅、橋本駅、五条駅、吉野口駅、法隆寺駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線)

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その3‐黒松、仁万、出雲市、荘原(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・黒松駅、仁万駅、出雲市駅、荘原駅(

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その2‐益田、三保三隅、浜田、波子(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・益田駅、三保三隅駅、浜田駅、波子駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑