「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】2日目(盛岡-宮古)その2-釜石、津軽石、宮古、田野畑、堀内(三陸鉄道リアス線)
鉄旅日記2019年9月22日・・・釜石駅、津軽石駅、宮古駅、田野畑駅、堀内駅(三陸鉄道リアス線)
9:12 釜石(かまいし)駅(釜石線/三陸鉄道リアス線 岩手県)
もちろん盛岡を引き合いに出すつもりはないが、ホームも駅も賑わい、NEWDAYSのおじさんはにわかに発生した列に焦りをにじませ、レジ業務に追われていた。
だから酒は諦めたよ。
乗り換え時間は11分。
駅前を写して時は過ぎた。
ラグビーワールドカップの開催で、世界が鉄の街にやってくる。
鵜住居駅前に復興スタジアムが建ち、脇には巨大な防波堤が海への視界を妨げる。
あのスタジアムの姿を見ることができて、釜石にもラグビーワールドカップにも無関心ではいられなくなった。
そういえば今日千秋楽を迎える大相撲秋場所はどうなった。
9:02発久慈行は満載の乗客を乗せている。
三陸鉄道リアス線として3月に復旧した旧JR山田線。
オレにもそれなりの思いがあるが、満員の乗客たちにもあるのだろうか。
あの大震災の記憶・・・。
三陸はしばらくそんな土地として生きる。
10:13 津軽石(つがるいし)駅(三陸鉄道リアス線 岩手県)
途中の陸中山田は復興途中。
車内アナウンスに穏やかな山田湾とあったが、悪魔が乗り移った津波は町も駅もさらった。
行き違い3分の停車。
津軽石は鮭の町。
あの津波が運んできた流木が鮭の姿に彫刻されてホームに置かれていた。
復興だのと口にすることなく、ごく自然に三陸と向き合える日々は何年後だろう。
ただ不幸にして、震災前のこの地域の姿をオレは知らない。
10:41 宮古(みやこ)駅(山田線/三陸鉄道リアス線 岩手県)
おそらく駅は無事だったのだろう。
かつて食した駅そばは健在で、スタンドは取り巻く客で立錐の余地もない。
駅前は以前より大きく賑わっているように感じたよ。
ここ宮古には、約9時間後に宿泊のために戻ってくる。
そういえば雨に濡れた。
今は上がっている。
三陸鉄道は混みあい、100%の乗車率を保ちながら久慈に向かっている。
釜石からずっと立ちっぱなしだが、こうして三陸に人がたくさんくるといい。
心からそう思うよ。
11:32 田野畑(たのはた)駅(三陸鉄道リアス線 岩手県)
行き違い3分の停車。
つまらなそうなツアー客の集団が席を立つ様子はなく、また席を立って降りていきそうな町もなく、たんたんと寒村に停車しては進んでいく。
あの人々を見ていれば、こうして鉄道が観光資源として活かせることが分かる。
偉大とも言える歴史も持つ。
でももはや続けるのは愚かだと感じた者が、次々と鉄路を剥がしていったのだろう。
まずいな。
これは立ちっぱなしからくる愚痴だな。
それにしてもつまらなそうな表情ばかりが並んでいる。
きっと自らの意思でこの線区に乗ることを選んだ者は少ないのだろう。
駅がある丘から海が覗く。
どこもかしこも復興途中。
あれは8年前。
果てしない気持ちになる。
11:59 堀内(ほりない)駅(三陸鉄道リアス線 岩手県)
手前の大沢橋梁でしばしの停車。
高い位置に架けられた橋の左手に国道の赤い橋が架かり、右手には閑散とした海がある。
高い場所からの景観という理由以外にたいして価値のあるものではないが、車内はざわめき、人々の表情に喜色が戻った。
堀内駅も高所にあり、景観見物のために5分の停車。
意志的な人々に対して、たいした興味も持たずにぞろぞろと降りてきた集団は滑稽でもあり、物悲しくも見える。
人間理解のためには役に立つ現象と言えるだろう。
平泉で実は死なずに、奥州藤原勢の中を脱出した源義経が、大陸に渡る前に祈願に立ち寄った神社があるという。
伝承や伝説をどう理解すべきか悩むが、案外真実が隠されているとオレは思っている。
大陸に渡った彼が、チンギスハーンなどではなく、何者にもならずに生涯を終えたとしたら、それはあり得る。
関連記事
-
「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】初日 (東京‐三国峠‐新潟)- 橋本、拝島、東松山、籠原駅、高崎、月夜野情報サービスセンター、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄
車旅日記1996年11月1日 1996・11・1 12:13 東京町田 昨夜の決意は固かったけど
-
「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その2‐新前橋、水上、長岡(上越線)
鉄旅日記2019年12月7日・・・新前橋駅、水上駅、長岡駅(上越線) 7:24 新前橋(しんまえばし
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線)
鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城戸南蔵院前駅、柚須駅(筑豊電気
-
「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】最終日(近江八幡-長浜-揖斐-岐阜)-ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤坂駅、揖斐駅、木知原駅
車旅日記2006年7月17日・・・ホテルはちまん、近江八幡駅、安土駅、彦根駅、長浜駅、垂井駅、美濃赤
-
「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】最終日(和田山-東京)その1-和田山、福知山、丹波竹田、石生、篠山口、三田、神鉄三田、宝塚、阪急宝塚、川西池田、川西能勢口、伊丹、阪急伊丹(山陰本線/福知山線)
鉄旅日記2009年11月23日・・・和田山駅、福知山駅、丹波竹田駅、石生駅、篠山口駅、三田駅、神鉄三
-
「鉄旅日記」2006年新春【雪の降った翌日。近くのローカル線に乗りに出かけました。】-馬橋、流山、幸谷、新松戸、佐貫、竜ケ崎(常磐線/総武流山電鉄/関東鉄道竜ヶ崎線)
鉄旅日記2006年1月22日・・・馬橋駅、流山駅、幸谷駅、新松戸駅、佐貫駅、竜ケ崎駅(常磐線/総武流
-
「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線)
鉄旅日記2008年9月14日・・・羽咋駅、七尾駅、穴水駅、和倉温泉駅、北鉄金沢駅、内灘駅、粟ヶ崎駅、
-
「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】最終日(博多-小倉-門司港-宇部)その2-門司港にて
鉄旅日記2003年2月16日 2003・2・16日の記憶 門司港行の鹿児島本線に乗る。 門司港レトロ
-
「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線)
鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千住駅(東海道本線/常磐線)
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その2-金田一温泉、斗米、二戸、好摩、いわて沼宮内、厨川、矢幅、日詰、小牛田、涌谷、石巻(IGRいわて銀河鉄道、東北本線、石巻線)
鉄旅日記2016年3月20日その2・・・金田一温泉駅、斗米駅、二戸駅、好摩駅、いわて沼宮内駅、厨川駅