*

「鉄旅日記」2014年冬【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/29 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年12月28日・・・小菅駅、五反野駅、梅島駅、田島駅、渡瀬駅、県駅、東武和泉駅、福居駅、野州山辺駅、韮川駅、東小泉駅、藪塚駅、阿左美駅、岩宿駅、新桐生駅、下新田駅(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線)

小菅(こすげ)駅(東武スカイツリーライン 東京都)にて

五反野(ごたんの)駅(東武スカイツリーライン 東京都)にて

2014・12・28 9:12 梅島(うめじま)駅(東武スカイツリーライン 東京都)
荒川を渡ると旅が始まった。

最初の駅小菅は東京拘置所がある町。
高層マンションのような東京拘置所の異様は5年前までの通勤ではお馴染みのもので、収監されているオウム真理教の面々が頭に浮かぶ。

ホームからの急な階段を下りて改札を出ると、駅前通りはとても狭く、駅の入口があるとは思えない小路で、寿司屋が一軒あるのみ。
あまりの何もなさはある意味では想像を絶し、感動すらもたらした。
これだからこそ駅には降りてみる価値がある。

小路を抜けると東京拘置所に向かう道で、運動公園のところで左折すると遊水の道が五反野まで通じている。

五反野駅周辺はかつて車で何度か通ったことがある。
それなりに賑やかだが印象には残りにくい街だった。

そこから梅島までは約15分。
ビートたけしさんが描く戦後の下町風情は一片として残るものはなく、昭和らしきものも見当たらない。
ただひとつ、ガード下の駅前風景になぜか大阪の鶴橋あたりを思い出し、あれが現代の下町的なるものなのだろう思う。

寒い朝に足立区は震えている。
霜柱を見かけた3駅を結ぶ道中だった。

昨日の納会の酒はあまり悪くなかったのだろう。
随分飲んだと思うけど、酔いはもうどこにも残っていない。

11:31 田島(たじま)駅(東武佐野線 栃木県)
館林から2駅。

紳士服のキングタイガーの看板に錆びが浮かんで見える。
猛スピードの車が佐野と館林の間を行き交う。
通りには色彩が欠けている。

葛生の先の山々が白い。
駅から秋山川までの間に広がる冬枯れの田園からその風景を眺めていた。
さらに堤に上がって眺めた。
見事な景色とは言えない。

利根川を越えると都心と比較して気温が2度下がると聞かされていて、その地域に該当するここは冬の日差しに満ちてあたたかく、風もない。

渡瀬(わたらせ)駅(東武佐野線 群馬県)にて
田島駅から1駅戻る。

12:45 県(あがた)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
館林から伊勢崎線に乗る。

関東平野の吹きっさらしの土地にぽつんとある駅。
駅舎はない。
降りた者には迎えの車が必要な村だ。

どこにも行けなくて茫々と冬枯れの田畑を眺めている。
富士山のような姿ではっきりと見えるのが日光男体山。
日光にはいくつかの峠を越えなきゃ行けないが、さして遠くはない。

渡瀬駅から館林までは徒歩約20分。
4月に来たばかりだから駅前はよく覚えている。
コンビニでビールと昼メシを調達。
幸せな時間が訪れる。

本当に今日はあたたかく、今も眠気を誘う陽溜まりの中で心地よさを味わっている。

13:18 東武和泉(とうぶいずみ)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
日の当たるベンチを見つける。
冬のあたたかさに気持ちを緩めて次の列車を待っている。

あたりは住宅街で、写真館の隣で建築物件を手がける大工さんを3名と、仕事納めはまだ早いとばかりに働く笠原工業さんの姿があった。

13:42 福居(ふくい)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
1駅戻る。

トチセンという煉瓦造りの工場が線路脇で歴史を誇り、駅舎もまた古い。

駅前通りのパン屋は営業を諦め、空地と団地の組み合わせに寂しさを感じて、この冬にサンタさんは現れただろうかとしみじみとした気持ちになる。

次の列車がやってくる。
僅かな滞在で離れる。

13:57 野州山辺(やしゅうやまべ)駅(東武伊勢崎線 栃木県)
渡良瀬川は足利の街中を過ぎると視界から消えてしまった。

空地の目立つ駅前にダイナムの巨大店舗が夥しい数の車を集結させている。
地方都市ではお馴染みの光景で、そこに町を特徴づけるものは見当たらない。
そして人気のない高架駅は、より人工的であることがかえって冷たさや寂しさを感じさせている。

乗り継いだ東武列車はどれも空き、冬の日差しにも翳りが見え始め、冷たい風にふと寒さを想う。

韮川(にらがわ)駅(東武伊勢崎線 群馬県)にて

15:18 東小泉(ひがしこいずみ)駅(東武桐生線/東武小泉線 群馬県)
韮川からは群馬県。

昔ながらの長椅子のある待合室が郷愁を誘い、傾きだした日に照らされた駅前は、栃木県内の何もなかった状態から若干の逸脱を見せた。

407号国道を太田へ向かってひたすら歩く。
富士重工群馬製作所の長い塀が尽きた先が太田駅。
だだっ広いロータリーを囲む商店街は小さく、幟は元気なく垂れ下がり、そんな周囲の様子と太田駅との間に美しい調和は見られなかった。

今は太田から少し戻る形で東小泉駅にいる。
駅前は何もない状態に戻り、寂しいターミナル駅にブラジル人の大きな話し声が響いている。

16:01 薮塚(やぶづか)駅(東武桐生線 群馬県)
新田義貞の隠し湯と云われる温泉と古墳が見られる一帯。
線路を渡った先のこんもりとした小山がおそらく古墳のひとつ。
駅前の案内板を見ると宿泊施設もいくつかあるし、スネークセンターなんていうのもある。

今日過ぎてきた駅と比較するとタクシーが待つこの駅は何かがあると思わせる。
特急列車もここには停車する。
でもさっき指した小山の先に観光名所のようなものがあるとはなかなか思えない。

さっきオレに列車の行き先を尋ね、治良門橋で降りた女性は韓国人だろうか。
今年の旅で上州に縁を持つ外国人女性に太田、小山、そして今日また太田で尋ねられた。
人としても男としても誇らしくはある。

言葉が分からないから、さっきの女性には笑顔で質問に答えた。
きちんと理解してくれたよ。

阿左美(あざみ)駅(東武桐生線 群馬県)にて

岩宿(いわじゅく)駅(両毛線 群馬県)にて

岩宿~新桐生間(徒歩)

新桐生(しんきりゅう)駅(東武桐生線 群馬県)にて

下新田(しもしんでん)駅(わたらせ渓谷鐵道 群馬県)にて



20:45 桐生パークホテル432号
阿左美駅には縄文式住居が展示されている。
そこでは詳細な由緒書きを確か見かけなかった筈だが、ふんふんふんと眺め、改札を出る。

大型集客店や病院が間隔を置いて並ぶ50号国道を歩き、上州の暮れゆく様を眺め、岩宿駅に到着。
そこまでが確か約30分。
車通りの多い国道だった。

夕暮れに浮かび上がる岩宿駅の灯はあたたかく、二名の駅員が談笑していた。

阿左美沼を通り、対岸で夜空に光を放つ桐生競艇場に目を向ける。
その後、あの光を街の至るところで発見することになる。

高い位置から市内を眺めると渡良瀬川の対岸に街明かりが見える。
あそこまで歩いていくんだよ。

新桐生駅は渡良瀬川を挟んでこっち側。
つまり街外れにある。
魔宮のような駅が夕暮れに隠れていく。
立派な待合室に売店まで備え、流石と思わせる特急停車駅だった。

大間々へと向かう国道の交通量は多く、店舗が立ち並びなかなかの賑わいを見せている。
やがてその国道の先を鉄道が何度か視界を横切る。
あるいは幻かとも思える。
やがて下新田駅に近ずいてきたことに気づき、角の大型集客店を過ぎる。
駅のあたりに明かりはない。
いや、あった。
線路が何本も敷かれた鉄道用地の中に見事なイルミネーションが光っている。
そこが駅のホームで、駅舎はない。

下新田駅は、国鉄だった足尾線が第三セクターに移行して、わたらせ渓谷鐵道と名称が変わってからできた駅だという。

いよいよ渡良瀬川を渡る。
静かな時が過ぎていく。
高台に見えた明かりを憶えている。

桐生の街中へと足を踏み入れ、アーケードが架かる坂道を上がっていく。
途中に雷電神社を見かける。
伝説の横綱は桐生生まれかと驚いたが、まったく関係はなく雷除けの神が祀られているらしい。

商店街には新年の調べが流れている。

両毛線の高架をくぐると駅前通りになる。
しめ飾り売のおじさんが歩道に店を出している。
かつてはそこここで見かけたものだけど、すっかり懐しい風景になった。

阿左美から約100分の徒歩旅。
駅前通りの人通りは絶えていた。
明日の東京には雪の予報が出ている。

関連記事

「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】その2-川原湯温泉、岩島、群馬藤岡、高麗川、拝島、昭島、中神、武蔵溝ノ口、武蔵中原、鹿島田、尻手(吾妻線、八高線、青梅線、南武線)

鉄旅日記2012年4月1日その2・・・川原湯温泉駅、岩島駅、群馬藤岡駅、高麗川駅、拝島駅、昭島駅、中

記事を読む

「鉄旅日記」2008年皐月【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】初日(東京-出雲)-静岡、豊橋、京都、亀岡、福知山、上夜久野、豊岡、浜坂、鳥取、青谷、倉吉、米子、出雲市(東海道本線/山陰本線)

鉄旅日記2008年5月2日・・・静岡駅、豊橋駅、京都駅、亀岡駅、福知山駅、上夜久野駅、豊岡駅、浜坂駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その5‐京福嵐山、阪急嵐山、嵐電嵯峨、トロッコ嵯峨、嵯峨嵐山、京都(京福電鉄嵐山本線/東海道新幹線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・京福嵐山駅、阪急嵐山駅、嵐電嵯峨駅、トロッコ嵯峨駅、嵯峨嵐山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美濃川合駅(高山本線/太多線)

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。ここから鉄旅が始まったのでございます。】最終日(小諸-軽井沢-高崎-水戸-東京)その1-小諸、軽井沢、横川(しなの鉄道)

鉄旅日記2005年11月7日・・・小諸駅、軽井沢駅、横川駅(しなの鉄道) 2005・11・7 東京

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線)

鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】初日(東京-秋田)-保谷、高崎、長岡、新津、新発田、村上、鼠ヶ関、酒田、上浜、秋田(西武池袋線/高崎線/上越線/信越本線/羽越本線)

鉄旅日記2011年8月13日・・・保谷駅、高崎駅、長岡駅、新津駅、新発田駅、村上駅、鼠ヶ関駅、酒田駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線)

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江(

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】初日(東京-高山)その5‐飛騨金山、下呂、禅昌寺、飛騨萩原、上呂(高山本線)

鉄旅日記2020年3月20日・・・飛騨金山駅、下呂駅、禅昌寺駅、飛騨萩原駅、上呂駅(高山本線) 16

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯(常磐線/東北本線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅(常磐線/東北本線) 2

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その2‐厚狭、美祢、長門湯本、長門市(美祢線)

鉄旅日記2020年8月14日・・・厚狭駅、美祢駅、長門湯本駅、長門市

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】2日目(防府-肥前鹿島)その1‐防府、新山口、宇部、小野田(山陽本線)/防府天満宮

鉄旅日記2020年8月14日・・・防府駅、新山口駅、宇部駅、小野田駅

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】初日(東京-防府)その5‐北河内、川西、西岩国、櫛ケ浜、防府(錦川鉄道/岩徳線/山陽本線)/錦帯橋

鉄旅日記2020年8月13日・・・北河内駅、川西駅、西岩国駅、櫛ケ浜

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】初日(東京-防府)その4‐大野浦、大竹、岩国、北河内、錦町(山陽本線/錦川鉄道)

鉄旅日記2020年8月13日・・・大野浦駅、大竹駅、岩国駅、北河内駅

「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】初日(東京-防府)その3‐三滝、横川、宮島口フェリー乗場、宮島フェリー乗場、広電宮島口、宮島口(可部線/山陽本線/JR西日本宮島フェリー)

鉄旅日記2020年8月13日・・・三滝駅、横川駅、宮島口フェリー乗場

→もっと見る

    PAGE TOP ↑