*

「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-西舞鶴)その2-東雲、宮津、天橋立、豊岡、国府、和田山、梁瀬、福知山、西舞鶴(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

公開日: : 最終更新日:2025/06/06 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年3月21日その2・・・東雲駅、宮津駅、天橋立駅、豊岡駅、国府駅、和田山駅、梁瀬駅、福知山駅、西舞鶴駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線/山陰本線)

16:51 東雲(しののめ)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)
舞鶴線に乗って西舞鶴で降りる。
乗り降り自由のフリー切符を購入して、北近畿タンゴ鉄道宮津線に乗り換える。
西舞鶴にはまた夜に戻る。

ここで数分の停車。

丹後に入ると春の嵐が吹き荒れている。
雨の中をひとり外に飛び出て駅を写して戻る。

右手前方に宮津湾が覗き、いま広大な由良川と並んだ。
素晴らしい眺めに観光列車の年寄りたちが腰を浮かす。

とても愛らしい女性車掌さんの表情が豊かでよけいに愛らしい。
名所案内も親切でいい。

車窓より覗いた宮津湾

17:26 宮津(みやつ)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線/北近畿タンゴ鉄道宮福線 京都府)
10数分の停車。
丹後の北の街との再会。

覚えているものは特になかったが、港までの往復の道すがら、宮津へと戻ってきた旅程に満足した。
前回は回転寿司屋に入ったが、当時と同じ道を辿れた自信はないが、今日は見かけなかった。

街を歩く者の姿も見かけなかったが、かつては北海道の江差のように、江戸にもないと謳われた繁華を誇った街。
当時の繁栄はもはやないが、静謐な空気はきっと当時からのものだろう。

雨上がりだ。
特に空気は澄んでいる。



17:36 天橋立(あまのはしだて)駅(北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)
数分の停車。
日本三大名勝の松林が宮津湾とともに遠ざかる。

あの橋も以前途中まで歩いたよ。
何年も前に一般国道のみを使って東京から大分、そして四国へと至ったあの壮大な旅の3日目の朝、オレはあそこにいた。

岩見重太郎仇討ちの石碑を見て、さらに丹後の奥へと車を走らせていったんだ。
最近メディアで見かける機会が多くなった伊根の舟屋群で感嘆の声を上げたのもその日のことだ。

夕暮れの駅前は暖色の灯を連ねて賑わい、駅ではホテルの迎えの人が二人競い立っていた。

列車に戻ると客が入れ替わっていて、あの美人車掌さんの姿も消えていた。

KTR宮津線。
風光明媚な路線だ。
また乗りにくるもあることだろう。

19:26 豊岡(とよおか)駅(山陰本線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 兵庫県)
駅が新しくなっていた。
一度食したことのある「駅そば」はなくなり、真新しい橋上駅へと姿を変えていた。
いつぞやの水害の影響もあるのだろうか。

駅前風景にはおそらく変化はない。
百貨店アイティがあって、その脇にアーケード街が続いている。

駅近くで「おでん」の看板を掲げる食堂に入って、おでんと熱燗を注文する。
北国の太平洋岸に季節外れの大雪をもたらした風が但馬の国府をも冷たくしている。

テレビを見れば、列島はどこも大荒れ。
春先の大風に苛まれたのは東京も例外じゃない。

山陰本線に乗り換えて、上りの福知山方面に向かっている。
お祝い帰りの一団が近くではしゃいでいる。

19:44 国府(こくふ)駅(山陰本線 兵庫県)
数分の停車。
但馬国府は闇の中だった。

駅舎のない駅で、線路を潜るトンネルの先で恋人を待つ男の姿がぼんやりと浮かぶ。
変質者かと一瞬疑いもしたが、たんに男が立ち小便をしているのかと思った。
あちらさんもオレに対しての警戒を緩めていなかったが、オレの後ろを歩く恋人の存在を認めると、「ふにゃ」っという音がするほど、にわかに彼の体から力が抜け、やがて二人すぐに歩き去った。

20:18 和田山(わだやま)駅(山陰本線/播但線 兵庫県)
数分の停車。
5年振りに和田山に降りた。
変わっていないことに安堵した駅前風景。
ここで乗っていたほとんどの乗客が降りた。
但馬人が一日のうちに国境を越えることはそうそうないのだろう。
その事情はどこの地域でも変わらない。

旅の高速化は多くの場合、新幹線に委ねられ、鉄路は分断され、日本国中をつなぐという当初の壮大な目的は形を変えて、過疎地域が広がっていきつつある。
この国は、人口面なども含めあらゆる意味で小さくなっていく過程にあるのだろう。

久々の和田山で、こんなことを考えなくてもいいものを。

20:25 梁瀬(やなせ)駅(山陰本線 兵庫県)
数分の停車。

駅は古い民家の正面に位置していた。
駅前に商店も何もなく、思わずケータイを向けようかと思った昔懐かしい形の2階屋の家屋は売りに出されていた。

深い闇を切り裂く龍の如く銀河鉄道が往く。

21:06 福知山(ふくちやま)駅(山陰本線/福知山線/舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮福線 京都府)
5年前に訪れた際の朝とは違う顔を持っていた福知山。
やはりこの街には一度泊まってみたいと思う。

去年この街から出た「プロレス界の鉄人」小橋建太が引退し、9月には水害に見舞われた。
水浸しになった京都、福知山は見るに忍びなかった。

「ドッコイセ」の掛け声があふれるであろう福知山踊りのブロンズ像の脇を通って駅へ戻る。
今日から始まったセンバツには、京都から2校が選ばれ、出場の度に応援する龍谷大平安とともに福知山成美も席を得ている。
駅には健闘を祈る横断幕が懸かっていた。京都勢が紫紺の大優勝旗を持ち帰ることをオレはもう10年以上待ち続けている。

北近畿タンゴ鉄道で宮津に戻り、西舞鶴へ向かうことを考えていたが、舞鶴線で高津から先は数時間前と同じ鉄路を辿るコースを選ぶことにした。

西舞鶴(にしまいづる)駅(舞鶴線/北近畿タンゴ鉄道宮津線 京都府)にて

22:49 西舞鶴グランドホテルヴィラ7002
ところどころ建て付けの悪い部屋に荷物を下ろした。
西舞鶴の夜は、サンモールあたりではおそらく朝まで続く。

人通りは絶えていたが、数ある飲食店に目を向けるとそれぞれ数人ずつがこじんまりと飲んでいる。
スナックの灯も多く、このホテルの本館にも進出している。

昭和に見かけた街と照明。
そういったものを探しにきたわけじゃないが、この街では落ち着いていられそうだ。
かつての軍港の風格は明日の車窓から見ることができるだろう。

忙しい3月。
でも昨日の仕事に目処がついて、自然とこの旅への道が開けた時はうれしかった。
こうして舞鶴の街で酒を飲んでいるたった今のオレから不安を抽出するのはいささか困難だが、「いろいろあるのが人生」と謳うオレにようやく訪れた男の甲斐性について考え続けている。

舞台はかつての想像の域から脱して、現実へと展開している。
頑張らなきゃな。
テレビの横に置かれた「ピーチチャンネル」番組表のカバーガールがさっきからずっとオレに笑いかけている。

かつてオレの人生に存在した京都の恋人。
「ゆうさん」と最後まで呼んでいた女性。
心の触れ合いは持てなかったけど、彼女の存在を頼りに暮らし、総括するにはまだ早いが、様々な社会の仕組みを理解できた貴重な歳月だった。
今、幸せであってほしいと心から思う。
京都との縁を取り持ってくれたことに感謝もしたい。
ツテもなく歩けるような街じゃないし、彼女と出会わなければ、京都がこうして特別な存在としてあり続けることはなかっただろう。

西舞鶴に降りたらまた雪。
でもダウンの前は閉めずに歩き、コンビニでビールを買って出てきたら、雪はやんでいて星が見えた。

関連記事

「鉄旅日記」2016年夏 4日目(富良野-大館)その2-南千歳、苫小牧、登別、東室蘭、北舟岡、伊達紋別、長万部、森、新函館北斗、大館(千歳線/室蘭本線/函館本線/北海道新幹線/奥羽本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・南千歳駅、苫小牧駅、登別駅、東室蘭駅、北舟岡駅、伊達紋別駅、長万部

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その4 ‐鎌倉、久里浜、京急久里浜、衣笠、東逗子(横須賀線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・鎌倉駅、久里浜駅、京急久里浜駅、衣笠駅、東逗子駅(横須賀線)

記事を読む

2020年如月【水上温泉につかりにいったある週末の記憶をSNSへの投稿より振り返ります。】-土合、水上、後閑、沼田(上越線)

鉄旅日記2020年2月8日~9日・・・土合駅、水上駅、後閑駅、沼田駅(上越線) 水上に投宿する前に

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.2 その2-湯本、内郷、水戸、偕楽園、下菅谷、中菅谷(常磐線/水郡線) 【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】

鉄旅日記2019年3月10日・・・湯本駅、内郷駅、水戸駅、偕楽園駅、下菅谷駅、中菅谷駅(常磐線/水郡

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その3-笠寺、熱田、熱田神宮、神宮前、大江、名古屋東港、金山(東海道本線/名鉄常滑線/名鉄築港線/名鉄名古屋本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月23日・・・ 笠寺駅、熱田駅、神宮前駅、大江駅、名古屋東港駅、金山駅(東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その1 ‐高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フェリー/直島宮浦→宇野フェリー) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月22日・・・高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フ

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、新地、岩沼(常磐線/東北本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、岩沼駅(常磐線/東北本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その5 ‐川崎新町、八丁畷、矢向、平間(浜川崎支線/南武線)/ガス橋 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、鶴見線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月6日・・・川崎新町駅、八丁畷駅、矢向駅、平間駅(浜川崎支線/南武線)/ガス橋

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-松本)その3 ‐小淵沢、甲斐大泉、中込、三岡、小諸(小海線) 【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月24日・・・小淵沢駅、甲斐大泉駅、中込駅、三岡駅、小諸駅(小海線) 1

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その1 ‐金町、石岡、友部、水戸(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・金町駅、石岡駅、友部駅、水戸駅(常

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。最終日(下部温泉-東京) ‐下部温泉、波高島、身延、甲斐大島、内船、西富士宮、富士宮、東田子の浦(身延線/東海道本線)/富士浅間神社【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月29日・・・下部温泉駅、波高島駅、身延駅、甲斐

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑