「鉄旅日記」2013年夏 最終日(岩国-東京)-岩国、海田市、岡山、西大寺、播州赤穂、山科、南草津、豊橋、愛野、菊川、熱海(山陽本線、赤穂線、東海道本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】
鉄旅日記2013年8月14日・・・岩国駅、海田市駅、岡山駅、西大寺駅、播州赤穂駅、山科駅、南草津駅、豊橋駅、愛野駅、菊川駅、熱海駅(山陽本線、赤穂線、東海道本線)
2013・8・14 4:50 岩国(いわくに)駅(山陽本線/岩徳線 山口県)
今旅一番早い朝を迎えている。
泊まったシティホテル安藤は、今旅で一番いいホテルだったよ。
昨夜酔客を多く見かけた岩国の街は、今静まり返っている。
オスプレイ問題で話題に上がるようになった街だが、瀬戸内工場群の明かりは美しく、沿線の灯も多い。
この夏の甲子園には山口県代業として岩国商業が出場を果たしている。
4年前は随分街を歩いた。
山口県内では下関に次ぐ賑やかさを持っているのではないか。
錦帯橋を模したアーケードが微笑ましい。
文化と誇りを持つ岩国。
もはや馴染みの街だ。

6:00 海田市(かいたいち)駅(山陽本線/呉線 広島県)
呉線との分岐駅で降りる。
西国街道と瀬野川による便で発展してきた町だという。
郊外の風情に山が重なる。
山陽本線は大野浦の手前から10分ほど瀬戸内海が見える。
明け方の海ほど神聖なものはない。
清められたかのように眠気は失せ、広島が遠ざかる。

8:53 岡山(おかやま)駅(山陽新幹線/山陽本線/赤穂線/津山線/吉備線/伯備線/瀬戸大橋線 岡山県)
ショートカットのステキな女性と向い合わせになった。
彼女は一級建築士の参考書を開いていた。
西条で列車切り離しのため6分の停車がある。
彼女の前にもうしばらく座っていたいが、西条駅での記憶も更新したい。
思いが揺れる中を列車は駅に進入する。
見ると駅は工事中だった。
降りる理由はそれで消えた。
彼女は欠伸をしてもかわいらしく、三原で降りていった。
糸崎から見える尾道水道はしっかりと目に焼き付けておきたかった。
やがて眠りに落ち、福山からはろくに覚えていない。
岡山駅も変わっていた。
あちこちに行く路線が集まる岡山は、東京駅に次ぐ大ターミナル駅と言ってもよく、凄まじい人波に揉まれた。
四国への乗換案内を聞いて、思わずそっちに行きたくなる。
発車時に奏でられる「瀬戸の花嫁」のメロディが聞こえてくる。
9:42 西大寺(さいだいじ)駅(赤穂線 岡山県)
「はだか祭」と吉井河畔の町。
お寺までは遠く、用意していた時間じゃ足りなくて、祭の日には大勢の「はだか」さんをもてなす参道までを往復できる目算はたたず、駅に引き返してビールとなった。
今日も暑い。
この分じゃ、このお盆時期に気温40度越えを果たした市町村にしばらく注目が集まるだろう。

10:40 播州赤穂(ばんしゅうあこう)駅(赤穂線 兵庫県)
4年振りでは懐かしさは湧かないものか。
でも、そうだな。
赤穂に限らず、日常まったく忘れて生きているわけじゃなくて、暇さえあれば旅で辿った道筋を数えたりしているわけだから、存在すら忘れていた友人と道でばったり出くわすのとは訳が違うってことか。
赤穂城へと続く道は暑さに焼かれ閑散としている。
日本の田舎の夏は確かにこんな感じだった。
乗り換えで僅か数分の滞在。

12:57 山科(やましな)駅(東海道本線/湖西線 京都府)
相生、姫路で乗り換え。
姫路では湖西線経由の新快速の敦賀行きに乗る。
米原に出るための乗り換えを、京都から山科に変更した。
遅れが発生したのと京都駅の混雑を考えてのことだ。
もともと満足な時間を用意していない。
10年前。
ザ・ローリング・ストーンズを見に大阪ドームに行った際のことだ。
京都に住む恋人に会う最後の機会だった筈だ。
祇園の「エルメ」で酔っ払い、湖西線の志賀に宿をとっていたオレは、始発が動くまで時間を潰さなきゃならなかった。
それで京都から山科まで、醍醐道を山越えするという暴挙に出て、翌日歩くのがつらいほど足を痛めた。
確かなことは言えないが、京阪山科駅はあの当時から変わっている筈だ。
ここでも10分程度の滞在。
駅前にいても、そんな思い出話しか出てこなかったよ。

京阪山科(けいはんやましな)駅(京阪京津線 京都府)にて

13:18 南草津(みなみくさつ)駅(東海道本線 滋賀県)
駅員に注意されてしまった。
車椅子に乗った障害を持つ方と有人改札で鉢合わせをして、身を横にして擦れ違った際のことだ。
オレとしては十分にマナーを守った行為と判断してのことだが、世間とは難しい。
昨日の川内駅でのことといい、間の悪い話だ。
申し訳ないという気持ちが起こらないこともないが、仕方のないこともあることも事実だ。
実際次の新快速に乗り遅れると大変なことになるから。
でもやっぱり障害のある方への配慮は足りなかったのか。
オレの中にまったくないとは言い切れない偏見を意識しつつ、さっきから答えを探している。
駅前のロータリーでは若者たちが輪になってダンスに興じ、周辺には高層マンションだけが目につき、商店は見かけない。
隣の草津には由緒ある商店街があるが、守山、野洲と似たような車窓風景を持つ駅が続いていく。

16:21 豊橋(とよはし)駅(東海道新幹線/東海道本線/飯田線/名鉄本線 愛知県)
米原、大垣で乗り換える。
大垣からは新快速の豊橋行きに乗る。
眠った。
とにかく眠った。
どこに行っても暑い。
三河の暑さもまた格別だ。
煙草を吸いに外に出たら路上生活者と思われる老人たちが大騒ぎをしていた。
三島由紀夫があの風景を見たら表情を曇らせるだろう。
彼の遺作となった「豊饒の海」4部作を読了して、自決という死を決断した彼には様々な事情があったのだろうが、老人になることを嫌悪していたのではないかと窺わせる内容だったことから、そうした一面もあったのではないかと勝手に解釈している。
40歳を過ぎたオレとしても、老いていくことに対して何かしらの意識を持つ必要を感じさせられた光景だった。
加えて、周囲から歌声が二つ三つ。
気怠い時間が流れていた。
ここでも10分ほどの滞在。
掛川行きに乗る。

17:28 愛野(あいの)駅(東海道本線 静岡県)
この町に世界がやってきたのは、つまりサッカーの日韓共催によるワールドカップがやってきたのは11年前。
駅のホームからその舞台「レコバ」が見える。
駅前にはポール上に据えられたサッカーボールと観客席のオブジェが据えられている。
改札口はやけに高い場所に設けられていた。
大塚製薬、ポーラ化粧品の巨大工場が並ぶ広々とした町だが、閑散として商店の類は見られない。

17:52 菊川(きくがわ)駅(東海道本線 静岡県)
今年も甲子園の静岡代表はニューヨーク・ヤンキース仕様のストライプのユニフォームを着る常葉菊川が射止めている。
今日が初戦。
結果は今夜の「熱闘甲子園」で明らかになる。
菊川にはビールを飲みに降りた。
白木屋の他に店はなく、散歩にも適当な街じゃなかった。
今夜は焼津の花火大会。
浴衣を着込んだ女性の姿もまた夏の風物詩だ。
東京でもそんな姿を見かけると、ごくささやかだけど心が躍る。
さて、この夏ここが最後の場所になるな。
蝉の声が聞こえるのは西国同様だが、しゅわしゅわ鳴く連中の声は聞こえない。
石神井公園にもいない。
西大寺では確か聞いた。
西日本限定の種族なのだろう。
また来年会おう。

19:56 熱海(あたみ)駅(東海道新幹線/東海道本線/伊東線 静岡県)
東京行きに乗り換える。
人様の顔のことを言えた義理じゃないが、決して器量良しとは言えない眼鏡顔の大柄な少女が表情に幸せを浮かべている。
手には「きゃりーぱみゅぱみゅ」の写真と「にんじゃりバンバン」と印刷された袋。
近くでイベントでもあったのだろう。
先に降りていった二人の友達とさっきまで一緒だった。
それを見て、人間という存在のかわいらしさを想った。
オレもいま幸せな気持ちでいる。
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