*

「鉄旅日記」2003年冬【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】初日(宇部-飯塚-博多)その2-博多の夜

公開日: : 最終更新日:2023/04/27 旅話, 旅話 2003年

鉄旅日記2003年2月15日
2003・2・15 サンシティ博多フレックス21 507号
とうとう九州まできたか。
ことあるごとにそんな感慨が浮かぶ。

それなりに面白いものだと思う。
こんなに遠くまできたが、ここに来ることが決まったのは僅か数日前に過ぎない。

年が変わる頃には、おおよそ今日をこの近辺で過ごすことになるとの予測はついていたが、3か月前には思いもよらなかった。
オレをここまで連れてきた縁は、1か月前の悲しい電話で消滅したが、予約通りにオレは再び山口宇部空港に降り立ち、鉄道を乗り継いでここまでやってきた。

宇部新川、宇部、下関、小倉、折尾、飯塚、そして博多。
国道からの眺めも悪くないが、列車の車窓も素晴らしい。
車中では一睡もせず、飽かずに外を眺めながら過ぎ去る時間と共にいた。

ここは地下鉄呉服町駅から徒歩約5分。
結構な部屋だ。

明日の博多の降水確率は80%。
コンビニで受け取ったレシートにそう記してある。
進歩的な街だ。

博多は元寇の頃からすでにアジアの先進的な街だった。
その熱気は雨降りのこんな冴えない土曜日にも伝わってくる。
まだ時間的に早かったこともあり、繁華街をうろついていた頃には人の姿を多くは見かけなかったが、中洲をはじめとした街は、人を呼び込む態度を明確にしている。

日本でも有数の都市に来たというよりも、アジアの大都市にやってきたという印象が強い。
日本はまだまだ広いな。
そしてオレには博多に降り立つ宿命があったということだ。
そうとしか思えない運びを辿ってオレは今ここにいる。

青空の東京を羽田から離れ、山口宇部空港へ。
特に意識はしていなかったが、あれはたかだか57日前のこと。
空港ビルに向かう通路に変化が生じているわけはなく、空はあの日と同じようにどんよりと曇っていて、おまけに通路を辿る時間もあの日とまったく同じだった。

ゲートをくぐりインフォメーションに視線を送ったのは、あの日の記憶がそうさせたのか、あるいは彼女の姿を発見したかったのか。
どちらとも言えるし、どちらとも言えない。
感傷的な気分でいることはまったく自覚せず、すぐに宇部新川行の高速バスに乗り込んでしまった。

感慨にふけるとすれば帰りの山口宇部空港。
空港ビルを見上げるその時になるだろう。

彼女には今さっきここにいることを伝え、返事がすぐに届いた。
彼女との出会いがあり、今オレはここにいる。
彼女にとってはおかしな話のように感じるだろうが、オレは感謝している。

だけど明日の山口宇部空港は、オレにとってそこにいる最後の記憶になるだろう。

それにしても博多の夜は寒い。

関連記事

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】2日目(三ノ宮-琴電琴平)-三ノ宮、元町、和田岬、兵庫、須磨、西明石、加古川、網干、上郡、和気、高松、志度、琴電屋島、瓦町、一宮、琴平(山陽本線、山陽本線和田岬支線、瀬戸大橋線、予讃本線、高徳本線、琴平電鉄志度線、琴平電鉄琴平線)

鉄旅日記2009年5月2日・・・三ノ宮駅、元町駅、和田岬駅、兵庫駅、須磨駅、西明石駅、加古川駅、網干

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和

車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】4日目(佐賀-松浦)その1-佐賀、肥前竜王、里信号場、喜々津、浦上、浦上駅前、長崎駅前、長崎、長与、諫早(長崎本線/長崎電気軌道/長崎本線長与支線)

鉄旅日記2009年9月21日・・・佐賀駅、肥前竜王駅、里信号場、喜々津駅、浦上駅、浦上駅前駅、長崎駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】初日(東京-一ノ関)その1-金町、上野、高崎、六日町、長岡、見附(常磐線/高崎線/上越線/信越本線)

鉄旅日記2019年1月5日・・・金町駅、上野駅、高崎駅、六日町駅、長岡駅、見附駅(常磐線/高崎線/上

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)

鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【東日本大震災被災地へ】初日(東京-水沢)その1-郡山、杉田、五百川、高城町、矢本、野蒜、陸前赤井、石巻、女川(東北本線/仙石線/石巻線)

鉄旅日記2016年3月5日その1・・・郡山駅、杉田駅、五百川駅、高城町駅、矢本駅、野蒜駅、陸前赤井駅

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】4日目(大曲-阿仁合-弘前-三厩-青森)その1-大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、碇ヶ関駅、大鰐温泉駅、黒石駅

車旅日記2006年5月5日 2006・5・5 7:00 大曲グランドホテル610号室 山々は見え

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】最終日(紀伊田辺-東京)その3-奈良、加茂、伊賀上野、亀山、静岡、沼津(関西本線/東海道本線)

鉄旅日記2019年3月3日・・・奈良駅、加茂駅、伊賀上野駅、亀山駅、静岡駅、沼津駅(関西本線/東海道

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】4日目(西鉄柳川-広島)その1-西鉄柳川、西鉄久留米、西鉄甘木、甘木、基山、けやき台、原田、桂川(西鉄本線、西鉄甘木線、甘木鉄道、鹿児島本線、筑豊本線)

鉄旅日記2015年8月15日その1・・・西鉄柳川駅、西鉄久留米駅、西鉄甘木駅、甘木駅、基山駅、けやき

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温泉駅(羽越本線) 8:59

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

2019年師走~2020年弥生【SNSへの投稿より】大晦日、正月、誕生日、菜の花の頃。

【Facebookへの投稿より2019年12月31日】 【今年も暮れ

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その4‐水上、高崎、籠原(上越線/高崎線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・水上駅、高崎駅、籠原駅(上越線/高崎

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その3‐押切、帯織、長岡(信越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・押切駅、帯織駅、長岡駅(信越本線)

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その2‐小波渡、五十川、府屋、あつみ温泉(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・小波渡駅、五十川駅、府屋駅、あつみ温

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線)

鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)

→もっと見る

    PAGE TOP ↑