「鉄旅日記」2003年冬 初日(宇部-博多)その2-博多の夜 【ご縁と別れがあり、34歳の誕生日を北九州で迎えた日の記憶でございます。】
鉄旅日記2003年2月15日
2003・2・15 サンシティ博多フレックス21 507号
とうとう九州まできたか。
ことあるごとにそんな感慨が浮かぶ。
それなりに面白いものだと思う。
こんなに遠くまできたが、ここに来ることが決まったのは僅か数日前に過ぎない。
年が変わる頃には、おおよそ今日をこの近辺で過ごすことになるとの予測はついていたが、3か月前には思いもよらなかった。
オレをここまで連れてきた縁は、1か月前の悲しい電話で消滅したが、予約通りにオレは再び山口宇部空港に降り立ち、鉄道を乗り継いでここまでやってきた。
宇部新川、宇部、下関、小倉、折尾、飯塚、そして博多。
国道からの眺めも悪くないが、列車の車窓も素晴らしい。
車中では一睡もせず、飽かずに外を眺めながら過ぎ去る時間と共にいた。
ここは地下鉄呉服町駅から徒歩約5分。
結構な部屋だ。
明日の博多の降水確率は80%。
コンビニで受け取ったレシートにそう記してある。
進歩的な街だ。
博多は元寇の頃からすでにアジアの先進的な街だった。
その熱気は雨降りのこんな冴えない土曜日にも伝わってくる。
まだ時間的に早かったこともあり、繁華街をうろついていた頃には人の姿を多くは見かけなかったが、中洲をはじめとした街は、人を呼び込む態度を明確にしている。
日本でも有数の都市に来たというよりも、アジアの大都市にやってきたという印象が強い。
日本はまだまだ広いな。
そしてオレには博多に降り立つ宿命があったということだ。
そうとしか思えない運びを辿ってオレは今ここにいる。
青空の東京を羽田から離れ、山口宇部空港へ。
特に意識はしていなかったが、あれはたかだか57日前のこと。
空港ビルに向かう通路に変化が生じているわけはなく、空はあの日と同じようにどんよりと曇っていて、おまけに通路を辿る時間もあの日とまったく同じだった。
ゲートをくぐりインフォメーションに視線を送ったのは、あの日の記憶がそうさせたのか、あるいは彼女の姿を発見したかったのか。
どちらとも言えるし、どちらとも言えない。
感傷的な気分でいることはまったく自覚せず、すぐに宇部新川行の高速バスに乗り込んでしまった。
感慨にふけるとすれば帰りの山口宇部空港。
空港ビルを見上げるその時になるだろう。
彼女には今さっきここにいることを伝え、返事がすぐに届いた。
彼女との出会いがあり、今オレはここにいる。
彼女にとってはおかしな話のように感じるだろうが、オレは感謝している。
だけど明日の山口宇部空港は、オレにとってそこにいる最後の記憶になるだろう。
それにしても博多の夜は寒い。
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