*

「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その2‐厚狭、美祢、長門湯本、長門市(美祢線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/04 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年8月14日・・・厚狭駅、美祢駅、長門湯本駅、長門市駅(美祢線)

7:34  厚狭(あさ)駅(東海道・山陽・九州新幹線/山陽本線/美祢線 山口県)
美祢線に乗り換え。滞在3分。

かつて厚狭から次の湯ノ峠駅へと歩いたものだ。その道を目で追っていた。

当時オレの帰る家は下町じゃなかった。そこでは家族もできたし、愛した人もいた。

宇部に着く頃に何の気なしにつらつらと思い返していた。よくあることだ。

確かに縁はあったが、続かなかった。最愛の存在を得たのに続かなかった。

仮に続いていたとすれば、今オレはここにはいない。

考えたところで悟りに近づくわけでもないが、人とはそうしたもの。

朝に金蓮院で祈る度に最近は菩薩様が現れる。必然と受け止めるとすべてが腑に落ちる。

湯ノ峠を過ぎて厚保まで人跡まれな峡谷を往く。しばらく集落の姿を見なかった。

やがて四郎ヶ原。この駅にも降りたことがある。これまでよくも呆れるほど旅をしてきたものだとつくづく思う。

本州最西端の野球小僧たちはマスクをしていない。それでいい。若者が恐れる対象はウイルスなどであってはいけない。

現在に至るまでオレは人生を恐れ、そして敬っている。

8:12  美祢(みね)駅(美祢線 山口県)
10分の停車。様々なものが出ていってしまった後のような駅前風景はそのままに、駅舎には新たな施設ができていた。

懐かしくもある美祢駅での時間。かつて美祢にいた日も夏。沿線を車窓から眺めながら、あの日よくも四郎ヶ原から南大嶺、美祢と歩いたものだと我がことながら驚く。

1916年開業当時の駅名は美祢ではなく、吉則(よしのり)。秋芳洞への最寄り駅にあたる。

秋吉台には高校の修学旅行で行って、強い印象を残している。宇部に恋をしに行ったかつての車の中で、秋吉台で行われる花火大会に行った話を聞いたよ。へ~っ、そんな花火大会があるんだ。

夏の風景は活力にあふれている。夏草の萌えたつ匂いをかいだのは確か岩国でのことだったか。

9:21  長門湯本(ながとゆもと)駅(美祢線 山口県)

音信川は恋の聖地。そんな温泉場での傷を癒す時間。図らずもそんな時間を得た。

子供たちは水と戯れ、大人たちは日影で談笑。オレは人の去った足湯場でビールを飲んでいたよ。温泉場には酒屋があるもので、酒を購入できることは疑っていなかった。

美祢線を完全乗車するのは今回が初めてで、さらに足跡を残しておこうと思い、計画ではひと駅先の板持駅からここまで歩くつもりでいたが、次の列車が着くまでに歩ききれるか危ぶむ気持ちからこうした時間が生まれた。

長門湯本には以前の夏に宿泊する予定を立てて、実際に予約までしたが、鉄道事情によりキャンセルしたことがある。最近は夏前に雨雲が各地を移動して線路を流す事態が続いている。そうした過去が今回下りるべき駅としてここを選ばせた。

時間は止まらないが、止まったような時間の中で温泉場を眺めていた。日常の焦燥はない。これも温泉効果か。つかったのは足だけだが。

日本が誇る美にひたる夏。夏空を歓迎して、アマテラスに感謝した。

9:55  長門市(ながとし)駅(山陰本線/仙崎支線/美祢線 山口県)
11年振りに降りた。

廃れているというか味わい深い駅前のステーションホテルは営業を続けていて、1階の土産物売場で買い物。

ご店主から「どこから?」と聞かれ、正直に「評判の悪い東京から」と答えると、彼は苦笑いしながらも「小池さん、脅かしすぎや。あれじゃ商売できん」とこぼす。

ホテルの脇からささやかな繁華街が続く。最初の角で立ち止まった。この街に似つかわしい建物がそこにあったから。

長門市駅は正明市(しょうみょういち)駅として当初開業している。1924年のこと。正明市は町の名であり、駅近くの交差点にもその名がある。

山陰本線に乗り換える。下関まで。

列車は動き、夏草が繁り風に揺れる様を眺めている。時に見える日本海の青は濃く、そして美しい。

関連記事

「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)

鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森

記事を読む

鉄旅日記」2012年初冬 最終日(長野-東京)その2-小諸、岩村田、佐久平、中込、臼田、小海、野辺山、清里、大月(小海線、中央本線) 【週末パスで、甲信越途中下車旅】

鉄旅日記2012年12月9日その2・・・小諸駅、岩村田駅、佐久平駅、中込駅、臼田駅、小海駅、野辺山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その2-宇美、西戸崎、香椎、福間、赤間、折尾、若松(鹿児島本線/香椎線/筑豊本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】

鉄旅日記2009年9月22日・・・宇美駅、西戸崎駅、香椎駅、福間駅、赤間駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本

記事を読む

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線) 【武田信玄公隠し湯にて】

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その4‐矢島、前郷、金浦、酒田(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月7日・・・矢島駅、前郷駅、金浦駅、酒田駅(由利高原鉄道鳥海山ろく線/羽越本線

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その2‐小山田、土沢、花巻、石鳥谷(釜石線/東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月24日・・・小山田駅、土沢駅、花巻駅、石鳥谷駅(釜石線/東北本線) 7:40

記事を読む

「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)

鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 3日目(高松)その2 ‐金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、八十場駅、白峰宮、天皇寺、磯禅師墓 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

車旅日記2020年9月21日・・・金刀比羅宮、善通寺駅、高松港公園、八十場駅、白峰宮、天皇寺、磯禅

記事を読む

「車旅日記」1997年梅雨明け【疲れきっていた若き日々。またしても向かうのは北でございました。】(東京-鳴子温泉-東京)2日目~最終日-いわき久ノ浜パーキング、亘理、名取、松山町、鳴子サンハイツ、町田

車旅日記1997年7月20日 7:03 6号国道‐いわき久ノ浜パーキング 太陽光線で目が覚める。

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)

鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年師走 初日(東京-会津宮下)その1 ‐金町、水戸、常陸大子(常磐線/水郡線)【11年ぶりに全線運転再開を果たした只見線に乗りにいきました。】

鉄旅日記2022年12月10日・・・金町駅、水戸駅、常陸大子駅(常磐

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。最終日(銚子犬吠埼-東京)その2 ‐津宮鳥居河岸から香取神宮へ。/香取駅/水郷駅【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月9日【香取神宮にて】・・・香取駅、水郷駅(成

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。最終日(銚子犬吠埼-東京)その1 ‐銚子で過ごした記録でございます。/犬吠埼灯台/銚子駅【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月9日【犬吠埼温泉にて】 水辺の写真ばか

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。初日(東京-銚子犬吠埼)その2 ‐銚子、笠上黒生、外川、犬吠(銚子電鉄)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月8日・・・銚子駅、笠上黒生駅、外川駅、犬吠駅

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。初日(東京-銚子犬吠埼)その1 ‐成田、佐原(成田線)/佐原の大祭【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月8日・・・成田駅、佐原駅(成田線)/佐原の大

→もっと見る

    PAGE TOP ↑