*

「車旅日記」2000年春 4日目(鳴子温泉‐米沢‐猪苗代‐郡山)鳴子サンハイツ、道の駅むらやま、金渓ワイン、日布峠、こたかもりドライブイン、郡山スターホテル 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 2000年

車旅日記2000年5月6日

2000・5・6 7:19 鳴子サンハイツ 1011㎞
低調な朝だ。
まるっきりひとりっていうのは少なからず忍耐がいる。

昨夜、鳴子駅からここに至るルートでは毎度のように心細さを感じていた。
何しろ辺鄙なところだ。

でも浴場は来るたびにグレードを上げている。
露天風呂ができたと思ったら、風呂場全体がきれいになっている。
ベースキャンプとして、より申し分ない。

夜は早く寝た。
その分朝は早い。

象潟でもそうだった。
ひとりでいるとはこういうことなんだろう。
これまでとは性格の異なる旅になっている。

今日は友人と楽しく過ごすつもりだ。

空は今日もどんよりしている。

9:31 13号国道‐むらやま(道の駅) 1070㎞
赤倉温泉から尾花沢に抜ける県道を開拓して、いつもよりペース的にはかなり早い。

知らない道を行くことで旅心は目覚め、日が昇るように調子も上がってきた。

鳴子は寒いところだった。
どうも気分が優れないと思っていたら気温9度。

たんに寒かったんだよ。
寒さに震えていることに気づいていなかっただけなんだろう。

今は13度まで上がり、友の暮らす街に着く頃にはもう少し上がっていることだろう。

さすがに4日間も海や山を見ながら走っていると、そうした環境の一部になっていることがとても自然になる。
おそらくそんなふうになりたかったんだろう。

快晴の黄金週間を望み、快晴下の東北の山河を望み走ってきたけど、あまり多くを望まない方がいいのかもしれない。

象潟の青空。
あれで十分だと思う。

そして今この自然の中にいること。
それで十分だ。

10:55 13号国道‐金渓ワイン 1128㎞
ここらあたりだと目星をつけていたあたりにあったんだ。
高畠ワインを売る店が。

これなら親父も喜ぶだろう。
約束を果たせてオレもうれしい。

気温はぐんぐん上がり18度にもなった。
道路状況も順調で楽しくやっている。

流しているドリカムには何度か込みあげるものがあった。

今は特に話すようなものは何もないけど、いろいろあったことを思い出している。

今日はいい日になる。

12:21 西吾妻スカイバレー日布峠 1172㎞
葡萄畑を抜け、信号の多い米沢市内を抜け、友の暮らす街へ通じているルートの中で、たったひとつだけ残されていた道を走っている。
コース変更した選択を喜ぼう。

周辺には雪が残り、雪玉をひとつ作って蹴り上げた。
とても気分がいい。

遠くにはこれから通る湖が見える。
素晴らしい景色に出会えたことに満足している。

今日は思ったより調子がいい。
朝の状態がウソのようだ。

風はなく、空はよく晴れている。

観光地に寄るのは今回の旅では初めてのことになる。

13:11 米沢猪苗代線-こたかもりドライブイン 1190㎞
旅として申し分ない。
またひとつクライマックスが訪れたことが素直にうれしい。

目の前には桧山湖。
これから先にはまだ水辺の風景が続く。
とても潤いのあるロードだ。

湖畔のワインディング・ロード。

友の暮らす街はもう遠くない。

15:43 郡山スターホテル510号室 1265㎞
友との再会はまだ。

彼が用意してくれたホテルに落ち着いてビールを飲んでいる。

いつもながら友の気配りには頭が下がる。
いい友人を持ったものだ。

彼との約束の場所に向かうにあたり、空いた時間を使って街中を走った。

最初にこの街に来たのはいつのことだっただろう。
その時にこのホテルの前も通ったことになる。
そう、友と二人で歩いて。

当時彼は開成山公園よりもずっと先で、ひとり暮らしていた。
あれから結婚して、この街に住み続け、オレは暮らす街を変えたが、今も独り者としてやっている。

でもそんなことはどうでもいい。

ここで友を待っている。

23:25 郡山スターホテル510号室
これほど名残惜しい夜が最近あっただろうか。

旅に出る前も旅の途中も、オレはずっとひとりだったんだ。

それがこの街に着いて、迎えてくれる友に再会して、ひとりの女性と出会った。

再会と出会いの席は焼鳥の美味い店からカラオケ屋に移り、約1時間前に散会した。

その女性は自転車で帰り、友と奥さんとはホテルの玄関で握手をして別れた。

なぜ彼等と別れなければならないのか。
その必然を知りながら、でもその別れに対して懐疑的でいた。

だけど別れは訪れ、多分もう2度と来ないここ510号室で、オレはまたひとりになった。

さっきから最後に歌ったメロディがリフレインしている。

「あれからボクたちは、何かを信じてこれたかな。夜空のムコウには。。」

出会った女性はこの楽曲を聴くと泣けると言っていた。

明日に対して肯定的でいるより、今夜は何だか切ないよ。

関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その1(北陸道→R8)有磯海SA、玉ノ木パーキング、親不知ピアパーク、能生

車旅日記1996年5月6日 3:40 北陸自動車道-有磯海SA 多少はスッキリしたんだ。 あれから

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)

記事を読む

「車旅日記」1998年夏 2日目(青森-竜飛崎-秋田)-あおもり健康ランド、青森駅、青い海公園、蟹田、高野崎、竜飛崎、十三湖、五所川原駅、深浦、不老不死温泉、能代駅、秋田駅、道の駅西目 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】

車旅日記1998年8月13日 1998・8・13 7:31 あおもり健康ランド 777㎞ 昨日のこ

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】最終日(新潟-五泉-弥彦-柏崎-長岡)走行距離246㎞ その1-新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅

車旅日記2005年7月18日・・・新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅 2005・7・18

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】2日目(大垣-姫路)その2-新今宮、天下茶屋、堺東、三国ヶ丘、上野芝、百舌鳥、百舌鳥八幡、金剛、千早口、高野山、極楽橋、新今宮、大阪、姫路(南海本線/南海高野線/阪和線/高野山ケーブル/大阪環状線/山陽本線)

鉄旅日記2017年8月12日・・・新今宮駅、天下茶屋駅、堺東駅、三国ヶ丘駅、上野芝駅、百舌鳥駅、百舌

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 2日目(盛岡-宮古)その2-釜石、津軽石、宮古、田野畑、堀内(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月22日・・・釜石駅、津軽石駅、宮古駅、田野畑駅、堀内駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その1-松戸、北松戸、馬橋、流山、小金城趾、幸谷、新松戸、北小金、南柏、北柏、我孫子(常磐線/流鉄流山線) /萬満寺/近藤勇陣屋跡【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月22日・・・松戸駅、北松戸駅、馬橋駅、流山駅、小金城趾駅、幸谷駅、新松戸駅、北

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】5日目(青森-八戸-気仙沼-女川-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その4‐中条、新発田、新津、長岡(羽越本線/信越本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月13日・・・中条駅、新発田駅、新津駅、長岡駅(羽越本線/信越本線) 17:3

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅、和倉温泉駅(七尾線)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑