*

「車旅日記」1998年夏 2日目(青森-竜飛崎-秋田)-あおもり健康ランド、青森駅、青い海公園、蟹田、高野崎、竜飛崎、十三湖、五所川原駅、深浦、不老不死温泉、能代駅、秋田駅、道の駅西目 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 1998年

車旅日記1998年8月13日

1998・8・13 7:31 あおもり健康ランド 777㎞
昨日のことが夢のようだ。
気づくと人間界に紛れ込んでいた。

風呂に入りたかったし、だいいち眠かったのだろう。
何か月かぶりに酒を抜いた一日にもなった。

妙な理由だが、これで自信がついた。
オレはひとりでも十分にやっていける。

しかしこれからが問題。
どこへ行こうか。

空はどんより曇っている。
かなり涼しい朝を迎えた。

8:07 青森駅 784㎞
ベイブリッジを背にして立つこの小さな駅舎を気に入っている。
弁当屋の青年は口は重そうだったけど、なかなか良さそうな人間だった。

これから龍飛へ行こうと思う。

地元の人間かどうか知らないが、車座になってしゃがんでやる気のなさそうな連中がいる。
どこへ行っても人間が表現する風景に変化がなくなった。
こいつは少しばかり面白くない。

5月の雨を思い出した。

あれはひどい降りだった。

8:54 青い海公園 786㎞
公園ではカラス、鳩、その他あまり見たことのない特徴的なくちばしを持つ鳥を見かけた。
北の海では生きている動物も少しばかり違う。

カラスの態度は相変わらずだ。
連中とはもしかしたら東京で会っているかもしれない。

隣の物産館はまだ開いていない。
主にライダー系の男たちが落ち着いて座れる場所を求めて集まっていた。

おそらくこの物産館の受付嬢だろう。
最初に見かけた青森の女性はとても美しかったよ。

10:32 280号国道(松前街道)-蟹田 818㎞
灰色の海が正面に見える。

今日の行動はこういうことになった。
龍飛を北端として秋田方面に南下して、しかるべき時間に到着した町で眠る。

ここには少しばかり眠ることを目的に立ち寄った。

車が通らないと何の音もしない。
そんな場所だ。

11:11 280号国道(松前街道)-高野崎 840㎞
海を見下ろす丘に、アウトドア軍団がテントを張って楽しんでいる。

イカの丸焼きに誘われたけど、なぜか購入をためらった。
腹が減っていなかったからな。

道々、最近電子メールで文通している女友達に、帰り着いてから書く文面を考えていた。

言いたいことは決まっている。
今のオレはとてつもなく自由ということ。
ワハハって笑っていたよ、オレは。

正確には9年前のことになるだろうか。
ひととき想いを寄せたのは青森出身の女性だった。

彼女との別れは唐突で、とてもつらくて、そして怒りを覚えた。

噂では彼女はこっちに帰ってきているとのこと。
もうお嫁にいっただろうか。

通りを眺めていると、ふと美人が多いことに気づいた。

道々、海に育てられたような顔をしたジイさんが、路傍に腰かけて渋い表情で煙草を吸っていた。

人間がいる風景とは本来あのようなものだろう。

12:27 竜飛崎 867㎞
「拝啓、岬には今日も元気な風が吹いています。」
通りで見つけた気に入ったフレーズ。

今その風の岬にいる。
ぼんやりと北海道が見えた。

そう、ぼんやりと。
まるで今回の旅の目的のように。

ここが気に入ったよ。

5月の大間崎、去年の入道崎。
絵葉書を購入したが、大切な人への土産はそこでは選ばなかった。

だけど今回はここで決めよう。
いい置物がある。

だけどまだ旅は3日間もある。
まだまだ他の土地でいいのに出会うかもしれない。

あぁ、本当にオレは自由だ。

海に下りる階段国道で2人のご婦人と挨拶を交わした。
やはり旅はいいものだ。

13:45 十三湖 901㎞
古代伝説の地に雨が降りてきている。

観光地然としていないところに、この湖が持ち合わせている風情を感じる。
とても静かで心安らぐ風景だ。

上古に十三湊として栄えた港にその面影はなく、公営駐車場にいくつかの出店が出ている。

しじみラーメンは予想以上に美味かった。
この土地の名物とのこと。

店を出していたのは陽気な津軽娘。
アイスクリームを食べているところを見られて、照れくさそうに笑った。
いい笑顔だった。

オレも車寅次郎みたいになりたいよ。

これから津軽平野を経由して日本海に出る。

それにしても青森ではよく雨に降られる。

15:00 五所川原駅 941㎞
人を多く見かけることのない小さな街に、少し大粒の雨が落ちてきた。

これで一層人の出足は鈍るだろう。
この時期だと、今の雨は米にはあまりよくないのだろう。

さっきまで美しく黄金色に育った無数の稲が直立する津軽平野を突っ切っていた。

そこを過ぎて岩木川沿い。
とてもタフで見晴らしのいいロードだった。

吉幾三さんが歌った「津軽平野」は、どういう詞だったのだろう。

それにしても女性が美しい。
もしくは可愛らしい。

16:38 101号国道‐深浦 990㎞
日本海に出ると雨が上がった。

通ってきた道では、みんな海を見ていた。

老漁師が。
通りがかりの旅人が。
そして渡り鳥が。

ここらあたりは以前地図を見ていて是非一度走ってみたいと思っていたところだ。
海岸線に沿うように線路が敷かれ、道からは海とその線路だけが見える。

北陸にそうした場所があって、そこで道理も何もなく感動したが、ここは少しイメージとは違った。

海は素晴らしい。
心からそう思う。

ここでしばらく海を眺めた。

サングラス越しには雲間から漏れる日差しがやけに赤く見える。

18:00 不老不死温泉 1011㎞
こだわりを持たないオレだけど、ここの風呂はよかった。
視界180度がすべて日本海。
それにあの土色の湯はやけにあたたまる。

これから幸せな気持ちで車を走らすことができそうだ。

時折雨を降らせていた空は、ここにきてようやく晴れだした。
全体的にはまだ曇っているけど、雲の隙間から漏れてくる日の光が、夏の夕暮れに合う。

子供の頃、こんな空の下で夕暮れを迎え、間もなくプロ野球のオールスター・ゲームが始まった。
そんな情景がふと浮かんだ。

適度にだるくて、そしてとても楽しいよ。

19:17 能代駅 1068㎞
日本海が茜色に染まり、次第に闇に包まれ、やがて視界から消える一部始終を見る。

時折ストーンズのドラッグ・ソングを歌いながら、このきれいな街に着いた。

そろそろ今夜の処置について考えなければならない。
少し疲れた。

これから秋田、本荘。
遠いな。

今日はそこかしこで祭の法被姿や浴衣姿の人々を見かける。
大好きな夏の風景だ。

20:56 秋田駅 1139㎞
駅弁を探して秋田市内に深く分け入ったけど、駅にはすでに目ぼしいものは置いていなかった。

市内に入ると激しい雨。
またしても5月の青森を思い出す。

これから今夜の食料の確保に動かなければならない。

秋田駅はとても立派だった。
周辺は他の地方都市とさして変わらない。

でもこうして真っ直ぐに延びる道の果てに、駅がどっしりと構える街の造りが好きだ。

そこへ行けば賑やかで、心が和むような気持になれる。

22:35 7号国道‐西目(道の駅) 1185㎞
今日が終わったよ。
ビール2本で酔った。

これが昨日と今日の疲れ。

11年前の今日、オレは人生で初めてデートをした。

関連記事

「鉄旅日記」2015年春 初日その1(東京-岩倉)-蒲郡、三河鳥羽、吉良吉田、西尾、桜町前、新安城、知立、猿投、赤池、豊田市、新豊田(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線/名鉄本線/名鉄三河線/名鉄豊田線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月7日その1・・・蒲郡駅、三河鳥羽駅、吉良吉田駅、西尾駅、桜町前駅、新安城駅、知

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その1-金町、熱海、城ヶ崎海岸、伊豆熱川、伊豆稲取、今井浜海岸、河津(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月9日・・・金町駅、熱海駅、城ヶ崎海岸駅、伊豆熱川駅、伊豆稲取駅、今井浜海岸駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その1‐五所川原、津軽五所川原、津軽中里、鯵ヶ沢、東能代(津軽鉄道/五能線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月3日・・・五所川原駅、津軽五所川原駅、津軽中里駅、鯵ヶ沢駅、東能代駅(津軽鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2020年神無月【ツレと筑波山を訪ねたのでございます。関東に暮らす身にとりまして、高所に上がりますと平野の果てに浮かぶ筑波山はいつか登るべき山でございました。】-北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波山神社、沼田バス停、つくば駅(つくばエクスプレス/筑波山シャトル/筑波山ロープウェイ/筑波山ケーブルカー)

鉄旅日記2020年10月4日・・・北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波

記事を読む

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青梅街道駅、北朝霞駅、朝霞台駅(

記事を読む

「車旅日記」2003年夏 2日目(札幌-北見)走行距離431㎞ -岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、網走駅、北見東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】

鉄旅日記2003年8月14日・・・岩見沢駅、砂川駅、旭川駅、白滝PA、遠軽駅、サロマ湖、網走刑務所、

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その2-弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホテルニュー青森館 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月5日・・・弘前駅、道の駅つるた、毘沙門駅、津軽中里駅、三厩駅、中小国駅、駅前ホ

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅、和田山駅(因美線

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 初日その3(東京-岩倉)-太田川、常滑、中部国際空港、上小田井、西春、岩倉(名鉄常滑線/名鉄空港線/名鉄犬山線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月7日その3・・・太田川駅、常滑駅、中部国際空港駅、上小田井駅、西春駅、岩倉駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初秋 初日(東京-羽咋)その2-新西金沢、野町、加賀一の宮、西金沢、羽咋(北陸本線/北陸鉄道石川線/七尾線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】

鉄旅日記2008年9月13日・・・新西金沢駅、野町駅、加賀一の宮駅、西金沢駅、羽咋駅(北陸本線/北陸

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その3 ‐龍岡城、小海、青柳、下諏訪(小海線/中央本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・龍岡城駅、小海駅、青柳駅、下諏訪駅

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その2 ‐横川、軽井沢、平原、乙女、馬流(信越本線/JRバス関東碓氷線/しなの鉄道/小海線)/秩父事件戦死者の墓【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・横川駅、軽井沢駅、平原駅、乙女駅、

「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その1 ‐金町、上野、籠原、高崎(常磐線/高崎線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月11日・・・金町駅、上野駅、籠原駅、高崎駅(常

「鉄旅日記」2022年文月 ツレと訪ねた佐久海ノ口温泉~諏訪湖旅でございます。初日(東京-佐久海ノ口) ‐甲府、小淵沢、清里、野辺山、佐久海ノ口(中央本線/小海線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年7月23日・・・甲府駅、小淵沢駅、清里駅、野辺山駅

「鉄旅日記」2022年水無月 最終日(中山平温泉-東京)その4 ‐土浦、ひたち野うしく、亀有(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】/葛西神社~江戸川堤葛飾情緒

鉄旅日記2022年6月12日・・・土浦駅、ひたち野うしく駅、亀有駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑