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「車旅日記」1997年1月【空しい日々を振り払い、28年目の人生もまた旅。そんな年頭の姿でございます。】-町田、愛甲石田駅、御殿場駅、岩波駅、熱海駅、西湘パーキング、奈良北

公開日: : 旅話, 旅話 1997年

車旅日記1997年1月4日
1997・1・4 1:01 東京町田
明かりをつけた部屋にストーンズの「Start Me Up」がかかった。

昨日は怠惰に過ごした。
去年のオレはまだ抜けきっていない。

昨日もそうだったが、これから海を目指す理由が見つからない。
強いてあげれば暇だからだ。
5日も続けてひとりで酒を飲むことにも飽きた。

明日になればまたここにいるだろうが、今夜くらいは別な場所にいてもいい。
少し体を休めすぎた。

タフにいきたいのであれば、やっぱり旅立たなければならない。
ひとりでいる限りは。

着替えよう。
音楽テープは4本もあれば足りるだろう。

2:00 愛甲石田駅
空を見上げることから始めてみた。
たくさんの星が出ていた。
気分はよかった。

今夜のペース展開はかなりいい。
早々に厚木市内を抜けて、246と129の分岐点を過ぎた。

これから車はまばらになっていく。
でも恐れることはない。

今夜はかなり調子がいい。
缶コーヒーは2本目に入った。

3:10 御殿場駅
今夜の月はC Moon。
さすがにこの時間だとトイレ付近にたむろしている便所臭い連中はいない。

わずかに酔っ払いがひとりだけ。
人影はそれだけだ。

ここには以前降り立ったことがある。
街並は変わっていないが、駅は変わった。
きれいになったじゃないか。

246号国道はタフだった。
速いのが多いよ。

いろんな事情があってそれぞれ走っているのだろうが、オレと同じ事情のヤツはいない。
だから出足の遅いトラックについていく。
オレはこれでいい。

それにしてもさっき買った缶コーヒー。
一番苦そうなやつを選んだつもりだったけど、かなり甘い。
甘すぎる。

ストーンズが調子いい。
どの曲の途中だったか忘れたけど、聞いていて不意に彼女の顔が浮かんだ。

3:33 岩波駅
さっき背筋を伸ばし忘れた。
ここに立ち寄ったのはそのためだ。

駅はシャットアウトされている。
御殿場で小用を済ませておいてよかった。

間もなく沼津。
日の出まで目的の場所で待っていられそうにない。
ルート変更の方向で腹はほぼ固まっている。

いいだろう。
それも旅だ。

4:30 熱海駅
南の街にやってきた。
ここに着くまでに心細い瞬間があった。

年が改まろうと、こんなオレに変化はない。
スピードを出せないオレを時折情けなく思うことがある。
2日前にオレを助手席に乗せた友人の走りは小気味よかった。

でもここまで来ればもう大丈夫。
例外を除けばたいていは穏やかに走っているだろう。

それにしてもストーンズは偉大だった。
心細さを消してくれたんだ。

まだ朝は来ない。
だから東へ向かう。
つまり東京の方角へ。

ただ突っ走る。
それだけの夜だった。
満足はしている。

「新年明けましておめでとうございます」という建設省からの挨拶表示が道に架かっていた。
思わず、「おめでとう」と声を返した。

今年もよろしく。

5:12 西湘バイパス‐西湘パーキング
制限速度を守っている人々と走ると気分がいくぶんいい。
スピードの乗った連中とだと気分が優れない。

オレは制限速度でいく。
そしてその速度でどこへでも行く。
今年もどこへでも行くさ。

缶コーヒーは3本目になる。
これが最後だ。
もう帰るんだよ。
今夜はこれでおしまい。

この感じじゃ地元で日の出が拝めるだろう。
つまらない執着にはこだわらない。
今のオレが望む場所へ向かう。

6:48 奈良北
今日もいい天気。
そしてじきに日が昇る。

地元にも素晴らしい場所がある。
かつて遊んだ丘や川がブルドーザーで崩され跡形もなくなった代わりに、朝日の昇る素敵な坂道が生まれた。

そこでこれから太陽が昇ってくる地点をずっと見ている。

ボブ・ディランのギターと歌声が切なくていい響きだ。

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