*

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その1-道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船引駅、磐城常葉駅、川前駅、小川郷駅、四ツ倉駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/22 旅話, 旅話 2006年

車旅日記2006年5月3日・・・道の駅明治の森黒磯、高久駅、黒田原駅、白河駅、安積永盛駅、三春駅、船引駅、磐城常葉駅、川前駅、小川郷駅、四ツ倉駅

2006・5・3 4:56 枝室街道‐道の駅明治の森黒磯
清々しい朝。
路上で明ける朝。
呉越同舟者との挨拶から始める朝。

この時間帯を生きることは滅多にない。

だから出発だよ。

5:25 高久駅(212㎞)
鶯の声。
あっちは雀か。
朝の音に包まれている。

ここは東北本線の無人駅。
あたりにはわずかな民家しか見えない。

牛の声かと思ったら、あれはバイクか。
いい朝だ。
もう少しすれば暖かくなるだろう。

道の駅を出て、黒磯の背後に聳える那須連山の最高峰、茶臼岳、三本槍岳には雪が残り、那須川渡河の際の旅情は見事だった。

夜が明けた黒磯駅は白を基調としたあまり目立たない色で、背後の新幹線高架に同化して見えた。
新幹線停車駅はひとつ手前の那須塩原。
歴史を持つ街はこうしたケースで往々にして後進に道を譲る。

黒磯駅は夜の方が姿がいい。
駅前通りから那須街道に戻る際、正面にテレビ塔が存在感を放っていた。
いい街だよ。

外はまだ寒い。
頭も体も完全には起きていない。
4号国道とは離れて山中に分け入った。
あたりに町はなく、東北自動車道のこの区間は険しい山道になる。

話をこの場所に戻す。
ここは黒磯の次の駅になるのか。
まだそれほどの距離しか走っていないのか。

乗客はここらで「みちのく」を思うだろう。
人気のない駅に電化された線路が延びている光景はどこか滑稽だ。

ホームに上がって体を伸ばしていたら遠くから踏切の警笛音が聞こえ、長大な貨物列車が通り過ぎていった。
いい日になる。

5:45 黒田原駅(217㎞)
那須から離れていない。
小さな町にまた車を止めた。

改札の営業は8:30から。
朝の早い高校生たちが黒磯行に乗っていく。

駅舎は何度かペンキが塗り替えられているのだろう。
白い壁が桜色に縁どられている。
古くて旅情を感じる駅だ。
ホームも跨線橋も古い。

駅前には足利銀行と喫茶店。
ちょっとした大通りがある。
朝の早い人々の姿はまだわずか。

ここを走る列車は黒磯郡山間を往復している。
そして油を満載にした貨物列車が通り過ぎる。

いよいよ白河の関を越える。

6:40 白河駅(234㎞)
那須の山中を迷走。
豊原駅の脇を通過して4号国道に戻る。
やがて「みちのく」の山河へ。

この街には何度も来ているが、明治20年開業のこの立派な駅を目にするのは初めてだ。
東北の玄関口として申し分のない堂々とした造りだ。
変遷はあるだろうが、開業当時の遺構が数多く残っているのだろう。
現代の建築家の作品にこうした荘厳さを見ることは少ない。

ガランとしたホールの中央にストーブが1台。
高校生たちが寒風に吹かれ、寒さを口にする。

街並は穏やかで、古くからの繁華街も残る。
黒磯で眺めた那須連山はここでも見える。
雪を乗せた山々が神々しい。

白河の関を越える。
そんなことだけを考えながら走っている時は楽しかった。

それにしても写真に残したい駅舎だ。
こうした駅舎とはそうは出会っていない。

2016年3月21日撮影

7:50 安積永盛駅(286㎞)
線路に寄り添っていたくて国道を離れ、それから随分と走った。
道路脇の水路や水を張った田に日が差し、輝く朝。
素晴らしい。

かつて何度も泊まった郡山が近い。
4号国道の日常はよく覚えている。

友よ、と口をついて出たのは白河あたりのことだったか。
胸に迫る思いがこみ上げたのは市内に入ってからだった。

郡山から2両編成の列車がやってきて子供たちが降りてきた。
運動をしている子供たち。
オレも昔はそうだった。

大鉄道駅郡山はこのひとつ先になる。
そしてここから水戸方面に向かう水郡線の線路が分かれていく。

いかにも田舎駅といった風情の古くて小さな駅舎で、4号国道の華やいだ雰囲気はここにはない。

途中、福島の民俗的な風景を見かけた。
朝だけに見られるそれは、もう明日まで見られない。

2020年2月24日撮影

8:33 三春駅(304㎞)
6年前の郡山は楽しくて、切なかった。
あの街を離れた朝のことをよく覚えている。

車通りは多くなく、まだ街は眠そうだった。
今朝もそうで、活動的なのは高校生くらい。
そして晴れていた空が不意に鈍色に変わった。

あの街ではいろいろなことがあった。
どれも楽しいものばかり。
友は今もあの街で仕事をしている。
郡山の脇を通りながら連絡もしないオレは冷たいのかもしれないが、彼は家族を持つ身だ。
チョンガーで気楽なオレとは違う。

樹齢1000年を超える滝桜を名所に持つ馬の産地、三春へ。
女性の名の響きを持つ優しい名を持つ町だ。
その響きはかつてひととき思いを寄せた女性をも思い起こさせる。

NHKの大河ドラマの主人公になった藤原経清がいた町でもある。
彼は北へと向かい、中央勢力の代理人とも言える源氏と戦い敗死した。

どこかに古い町並が残っているようだ。
駅で売られていたポストガードの絵柄にそんな風景があった。

この駅は町から外れていて、道の駅の温泉館みたいな駅舎が建っている。
昨夜からすでに12の街町を通過した。

9:18 船引駅(315㎞)
桜前線はすでに北へ移動したようだ。
花はまだついていたけど、盛は過ぎている。

塵のようになった花弁が微かに風に舞っている。
町に貼られていたポスターも用無しになって久しい。

阿武隈川を渡ったのはひと駅前のこと。
天下の名士との再会だった。

この後、磐越東線はいわきまで小さな川に沿って進んでいく。
オレの移動も国道ではなく、磐城街道になる。

ごく現代的な駅舎が目の前に建っている。
「駅そば」などない。
仕方がない。
朝食は牛乳とパン。

風情のある町だ。
駅前には旅館が2、3並び、町の名に船がつくとおり、牧野川と共に発展してきたことを想像させる造作だ。

いわゆる平成の大合併で、ここ船引も近隣とくっついて市制が敷かれたようだ。
田村市だったか。
田村はこのあたりの地名にはないが、どのような由来を持つのだろう。

車の中では夏を思わせるような陽気だが、外には冷たい空気が流れている。
だからオレのように半袖姿を東北の山河で見かけることはない。

10:35 磐城常葉駅(320㎞)
1時間ばかりの眠りだった。
かなりスッキリしたよ。
日差しが強烈で、足が悲鳴を上げたことにより目を覚ました。

気温5度で明けた5月3日は、とうとう半袖で何の問題のないところまで気温を押し上げた。

船引のひと駅先の小さな無人駅にいる。
歴史的な駅舎には錠がかかり入れない。
利用客の少ないことを見越してのことか、保存のためか。
古めかしくて立派な駅舎で、敷かれている線路は1本じゃなかった。

町なのか村なのか。
小さな町並が磐城街道に沿ってつながっている。
雄大な山並はここらには見えず、ハイキングによさそうな丘陵地帯に囲まれている。

2度目の眠りから覚めたので、旅の第3章が開けたような気分でいる。

11:38 川前駅(354㎞)
いわきが近い。
古い表示には平の文字もある。

早いものであれから3か月。
磐越東線沿線に鄙は見ない。

季節にもよるが、さっきは早まった。
このあたりの桜はまだ盛を過ぎてなどいなかった。
いくつもの桜の名所を記した看板を見ながら線路に沿って南下し、小野新町、夏井に及んで街道は最高地点を迎える。

夏井千本桜は見事だったよ。
堤に沿って延々と続いているんだ。
目当ての客も多く、桜の木の下は大層賑わっているようだった。

満開の連なりは過去のものとはいえ、壮観であり、何本かは満開を保っている。
文字通りの遅咲きでいる木々が目を楽しませてくれた。

やがて村が見えてきて、川を渡ると駅があった。
ここも無人駅で、あたりには民家とわずかな商店。
橋の下では釣り師が本格的に竿を振っている。

涼し気な風情もまた目を楽しませる。

12:17 小川郷駅(374㎞)
磐城街道は平で終わる。

夏井川がオレに見せてくれたものは、この旅の中でも印象的なものとして残るだろう。
似たような渓谷をこれまでにいくつも見てきたけど、まさに名勝といっていい。

磐越東線は夏井川渓谷を縫うように続いている。
古びた鉄橋に隧道。
見事な旅情を味わった。

随分遠回りをしたが、いよいよいわきに着く。

険しい山路を越えた先にあるこの郷はとても穏やかだ。
土地の老人クラブの手による駅の美化運動も素晴らしい。
オレの親父もこの郷で暮らしていれば、同じことをしているだろう。

駅は町の顔で、旅館や酒屋といった駅前商店はその女房みたいなもの。
なぜこうまで駅前風景に惹かれるのか、オレにもうまく説明がつかない。

13:02 四ツ倉駅(394㎞)
雪のない2月の平。
そして初夏の日差しがこぼれる5月の平。
懐かしい思いはなく、馴染みの街に寄ったような感覚でいた。

山里を過ぎて線路を越えたら、不意に街に入った。
いわき駅に2階の居酒屋。
東急インがある通り。
この街にもオレは帰ってきた。

取手以来の6号国道と再会。
2月の常磐線の旅の続きを、今度は車でやるんだよ。
終点の仙台まで。

いわきから2駅。
四ツ倉行の列車もあるほどだから、四ツ倉はいわき以北の中心駅でもあるのだろう。
横長の駅舎に乗る緑色の瓦屋根が目に鮮やかだ。

亀の町と謳っている。
もうじき太平洋が見えてくるはずだ。

仙台までは140㎞。
なかなかに長い一日を生きる。

関連記事

「車旅日記」1995年秋【恋に病んで・・・西へ。1号国道をひたすら、大阪の友に会いにいく。】その2-東寺、五条大橋、琵琶湖湖岸道路、米原、関ヶ原・・・・-

車旅日記1995年11月5日 1996・11・5 9:19 1号国道-東寺 京都乱入。 晴天。

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その1-徳山、長府、西小倉、城野、行橋、新田原、中津、中山香、高城、佐志生、熊崎、上臼杵、臼杵(山陽本線、日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月11日その1・・・徳山駅、長府駅、西小倉駅、城野駅、行橋駅、新田原駅、中津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬 最終日(鬼怒川温泉-東京)-小佐越、大桑、大谷向、下今市、西新井、大師前(東武鬼怒川線/東武大師線) 【まるごと日光・鬼怒川 東武フリーパスで、野州旅】

鉄旅日記2014年12月7日・・・小佐越駅、大桑駅、大谷向駅、下今市駅、西新井駅、大師前駅(東武鬼怒

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-津)その2-西藤原、あすなろう四日市、内部、日永、西日野、泊、南四日市(三岐鉄道三岐線/四日市あすなろう鉄道内部線/四日市あすなろう鉄道八王子線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月22日・・・西藤原駅、あすなろう四日市駅、内部駅、日永駅、西日野駅、泊駅、南

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 5日目(青森-安達)その2-宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅、道の駅あだち 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月6日・・・宮古駅、吉里吉里駅、盛駅、大船渡駅、気仙沼駅、女川駅、石巻駅、利府駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月 最終日(直江津-東京)その1-直江津、土底浜、犀潟、虫川大杉、六日町、塩沢(信越本線/北越急行ほくほく線/上越線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

鉄旅日記2018年2月11日・・・直江津駅、土底浜駅、犀潟駅、虫川大杉駅、六日町駅、塩沢駅(信越本線

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走 初日(東京-酒田)その1‐金町、北千住、上野、高崎(常磐線/高崎線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】

鉄旅日記2019年12月7日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、高崎駅(常磐線/高崎線) 2019・1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その4‐五所川原、川部、弘前、大館、鷹ノ巣(五能線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)

鉄旅日記2020年1月12日・・・五所川原駅、川部駅、弘前駅、大館駅、鷹ノ巣駅(五能線/奥羽本線)

記事を読む

「車旅日記」2004年春 3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月3日・・・釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2023年入梅の頃 ツレと訪ねた塩原温泉郷での記憶でございます。/西那須野駅【Facbookへの投稿より振り返ります。】

【塩原温泉郷でいくぶん熱めの湯につかってまいりました】 JR西

「鉄旅日記」2023年浅春 最終日(松本-東京)その3 ‐茅野、甲府、高尾、中野(中央本線)【友を訪ねての信濃旅でございます。篠ノ井線全駅下車を果たした旅でもございました。】

鉄旅日記2023年3月5日・・・茅野駅、甲府駅、高尾駅、中野駅(中央

「鉄旅日記」2023年浅春 最終日(松本-東京)その2 ‐稲荷山、姨捨、田沢、坂北、西条(篠ノ井線)【友を訪ねての信濃旅でございます。篠ノ井線全駅下車を果たした旅でもございました。】

鉄旅日記2023年3月5日・・・稲荷山駅、姨捨駅、田沢駅、坂北駅、西

「鉄旅日記」2023年浅春 最終日(松本-東京)その1 ‐松本、明科、姨捨(篠ノ井線)【友を訪ねての信濃旅でございます。篠ノ井線全駅下車を果たした旅でもございました。】

鉄旅日記2023年3月5日・・・松本駅、明科駅、姨捨駅(篠ノ井線)

「鉄旅日記」2023年浅春 初日(東京-松本)その3 ‐塩尻、島内、島高松、北松本、松本(篠ノ井線/大糸線)【友を訪ねての信濃旅でございます。篠ノ井線全駅下車を果たした旅でもございました。】

鉄旅日記2023年3月4日・・・塩尻駅、島内駅、島高松駅、北松本駅、

→もっと見る

    PAGE TOP ↑