*

「鉄旅日記」2014年秋 その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線) 【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/04 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川駅、新白岡駅、白岡駅、東大宮駅(両毛線/東北本線)

13:26 富田(とみた)駅(両毛線 栃木県)
朽ちそうな筑波山神社への石段を上がると、ブランコに乗った男が重たそうな女を膝に乗せて揺られていた。
そのブラジル人カップルはその後に寄ったセーブオンの前でも見かけることになる。

拝殿に詣るには蜘蛛の巣を掻き分けなきゃならない。
随分長いこと忘れられていそうな場所だった。

ところでセーブオンだが、なかなかやる。
コンビニではなかなか見かけない今川焼きも、自前の黒ビールもとても美味かった。

いろんな駅に降りるのは楽しいが、途方に暮れることもまた多い。
そうなんだ。
富田で降りて途方に暮れて、一体何をしていたのかという話だ。

ここを折り返し地点として、きた道を戻る。

佐野市(さのし)駅(東武佐野線 栃木県)にて

14:17 佐野(さの)駅(両毛線/東武佐野線 栃木県)
佐野市駅まで徒歩で往復30分。
街を歩けばさすがに「佐野ラーメン」と掲げたラーメン屋が目につく。

佐野市駅は昭和を体現した造りで、ガランとした待合室には哀愁がこもり駅前商店街もまた同じ色を見せている。
家並みは古く、亡き祖母が暮らしていた信州の田舎を想わせる。

佐野駅前では何かのイベントが開かれていて、屋台と警察と人々が出ている。
佐野を離れる頃には、司会者から「サウンド・マシン」と紹介を受けた、騎兵隊長のような格好をした白髪白髯のオッサンが、ギターでイカすフレーズを奏で始めていた。

新大平下(しんおおひらした)駅(東武日光線 栃木県)にて

15:04 大平下(おおひらした)駅(両毛線 栃木県)
大平山という桜の名所がある。
その麓の駅にいる。

大声で電話をしているあの男は、一体どこの国から来たのだろうか。
恥だとかそのあたりの感覚には文化的な差がある。

ここには何もないが、東武日光線新大平下駅周辺には商店街があった。
サラダ館はきれいに装っていたが人通りはなく、立派な仕出し料理屋も出店する場所を間違えたかのように悄然としているように感じる。
線路を渡った先の八百屋にはなぜか「どじょう」の文字がある。

JR駅に戻る途中でゴミ屋敷となりつつある一軒家があり、足元の覚束ない老婆が住人として認められた。
頭上にはカラスの姿。
そんな一帯に響く連中の声は某かの終わりを連想させ、また退廃的な気分にさせる。

新大平下駅周辺上空だけがなぜか薄曇りだった。

栃木の街並み

16:08 栃木(とちぎ)駅(両毛線/東武日光線 栃木県)
美しく平和な街に降りた。

念願だった「蔵の街」。
すべてを見たのかどうかは定かじゃないが、すべてを見たような気持ちで気でいる。

今日この時点で都合5時間ほど歩いた足はかなりの疲労を感じているが、鯉が泳ぎ鴨が遊弋する水辺に救われた。
飲み屋やスナックの類を見かけなかったが、どこかに集められているのだろうか。
市役所は東武百貨店と同居しているように見えた。
あまり商売気を感じさせない街で適度な人の行き来が好ましい。

「駅そば」があって気分的に誘われたが、またビールを選んでしまった。

思川駅周辺

16:36 思川(おもいがわ)駅(両毛線 栃木県)
ヤマザキのスーパーは品薄で店内は寂しい。
食堂、酒屋、精肉店が営業していて、食堂の屋上から下りてきた女将さんが挨拶をくれる。
「寒いね」と。
そうですねと応じるが、別に寒かない。

広い空がひたすらに美しい。
遠くに見えるのは筑波山。
関東平野は本当に広い。

背後に山の連なりが見えるが、まだ雪の気配はない。
そう、寒くなんかないんだ。
その山々に夕暮れが迫り全山群青色に染まっている。
黄昏れるのにいい場所だ。

思川を渡るのはこれからだ。
しっかり目を開いていよう。

17:57 新白岡(しんしらおか)駅(東北本線 埼玉県)
小山で東北本線(宇都宮線)に乗り換える。

日本海庄屋と魚民が駅の両側で町に光を提供している。
夜の訪れとともに一日が始まるような町もあれば、本来そうあるべきだと思うが夜の訪れはその日の終わりを意味する町もある。
いい悪いという話をしようとしているわけじゃない。
コンビニでビールと肉まんを買って、そこで見ていた風景について話をしている。

ここは東京に近いが、こんな時間帯にこんなにも暮れてしまった駅に降りると、空しいような気持ちになることがある。
なにしろ、ただでさえ秋だ。

18:16 白岡(しらおか)駅(東北本線 埼玉県)
上野からの列車が着くと、宝くじ売場にできた行列と見紛うほどの人々が降りた駅。
駅前通りに懐かしさを覚える。
最近でよく似たところを挙げると常磐線の神立駅前か。

駅前の空き店舗はほとんどすべてといっていいくらい駐輪場になっている。
そこでは少女たちがまたくる明日のために、明るい挨拶を交わして元気に家路につく。

暮らしていれば落ち着いていられる町なのだろう。
風は止んでいる。

18:39 東大宮(ひがしおおみや)駅(東北本線 埼玉県)
映画「キューポラのある町」の頃には存在しなかった駅にいる。
あの映画じゃ、大宮の次は蓮田だったよ。
高崎線の方は現在と同じく大宮の次は今朝徒歩で立ち寄った宮原だった。

この街の「一番街」はじきに役目を終える。
空き家が目立ち、何よりも店舗が収まっているアパートにはすでに入居者がいない。
そこは位置的にも脇に置き去られた通りだったが、駅周辺は明かりに満ちていた。

連休最終日ということもあり、人出はあまり多くはないが、大宮と宇都宮間を結ぶ区間で、その両駅を除けば一番の繁華街を持っていた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話

記事を読む

「車旅日記」2005年冬 最終日(人吉-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】

車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常磐線/東北新幹線) 20

記事を読む

「鉄旅日記」2013年如月【休日おでかけパスで、上総下総途中下車旅】その2-久留里、上総亀山、横田、木更津、巌根、袖ヶ浦、長浦、姉ヶ崎、八幡宿、浜野(久留里線、外房線)

鉄旅日記2013年2月17日その2・・・久留里駅、上総亀山駅、横田駅、木更津駅、巌根駅、袖ヶ浦駅、長

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その4‐中条、新発田、新津、長岡(羽越本線/信越本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月13日・・・中条駅、新発田駅、新津駅、長岡駅(羽越本線/信越本線) 17:3

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 2日目(津-松阪-伊勢奥津-鳥羽-神島)その2-多気、伊勢神宮外宮、伊勢市、鳥羽、鳥羽マリンターミナル(参宮線/鳥羽市営定期船) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月23日・・・多気駅、伊勢神宮外宮、伊勢市駅、鳥羽駅、鳥羽マリンターミナル(参

記事を読む

「鉄旅日記」2009年初夏 【上信越ひとり旅】最終日(長岡-東京)-長岡、東三条、吉田、新潟、新津、会津若松、郡山、磐城石川、磐城塙、玉川村、常陸大宮、金町(信越本線/弥彦線/越後線/磐越西線/水郡線/常磐線)

鉄旅日記2009年7月20日・・・長岡駅、東三条駅、吉田駅、新潟駅、新津駅、会津若松駅、郡山駅、磐城

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その2‐平田、釜石、陸中山田(三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月23日・・・平田駅、釜石駅、陸中山田駅(三陸鉄道リアス線) 8:52 平田(

記事を読む

「車旅日記」1996年秋 初日 (東京‐新潟) 橋本、拝島、東松山、籠原駅、高崎、月夜野情報サービスセンター、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄 【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】

車旅日記1996年11月1日 1996・11・1 12:13 東京町田 昨夜の決意は固かったけど、

記事を読む

「車旅日記」2000年春 初日(東京‐足利‐鬼怒川‐会津若松‐新潟豊栄)その1‐葛飾金町、幸手駅、古河駅、渡良瀬遊水地北エントランス、藤岡駅、佐野厄除け大師、足利駅 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月3日 2000・5・2 東京葛飾金町 前夜祭 旅に出る前夜。 これほどの胸の

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その4 ‐西国分寺、北府中、新小平、青梅街道、北朝霞、朝霞台(武蔵野線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・西国分寺駅、北府中駅、新小平駅、青

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その3 ‐尾盛、千頭、金谷、静岡(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/くれたけインプレミアム静岡駅前 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・尾盛駅、千頭駅、金谷駅、静岡駅(大井川鐡道

→もっと見る

    PAGE TOP ↑