*

「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/29 旅話, 旅話 2014年

鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川駅、新白岡駅、白岡駅、東大宮駅(両毛線/東北本線)

13:26 富田(とみた)駅(両毛線 栃木県)
朽ちそうな筑波山神社への石段を上がると、ブランコに乗った男が重たそうな女を膝に乗せて揺られていた。
そのブラジル人カップルはその後に寄ったセーブオンの前でも見かけることになる。

拝殿に詣るには蜘蛛の巣を掻き分けなきゃならない。
随分長いこと忘れられていそうな場所だった。

ところでセーブオンだが、なかなかやる。
コンビニではなかなか見かけない今川焼きも、自前の黒ビールもとても美味かった。

いろんな駅に降りるのは楽しいが、途方に暮れることもまた多い。
そうなんだ。
富田で降りて途方に暮れて、一体何をしていたのかという話だ。

ここを折り返し地点として、きた道を戻る。

佐野市(さのし)駅(東武佐野線 栃木県)にて

14:17 佐野(さの)駅(両毛線/東武佐野線 栃木県)
佐野市駅まで徒歩で往復30分。
街を歩けばさすがに「佐野ラーメン」と掲げたラーメン屋が目につく。

佐野市駅は昭和を体現した造りで、ガランとした待合室には哀愁がこもり駅前商店街もまた同じ色を見せている。
家並みは古く、亡き祖母が暮らしていた信州の田舎を想わせる。

佐野駅前では何かのイベントが開かれていて、屋台と警察と人々が出ている。
佐野を離れる頃には、司会者から「サウンド・マシン」と紹介を受けた、騎兵隊長のような格好をした白髪白髯のオッサンが、ギターでイカすフレーズを奏で始めていた。

新大平下(しんおおひらした)駅(東武日光線 栃木県)にて

15:04 大平下(おおひらした)駅(両毛線 栃木県)
大平山という桜の名所がある。
その麓の駅にいる。

大声で電話をしているあの男は、一体どこの国から来たのだろうか。
恥だとかそのあたりの感覚には文化的な差がある。

ここには何もないが、東武日光線新大平下駅周辺には商店街があった。
サラダ館はきれいに装っていたが人通りはなく、立派な仕出し料理屋も出店する場所を間違えたかのように悄然としているように感じる。
線路を渡った先の八百屋にはなぜか「どじょう」の文字がある。

JR駅に戻る途中でゴミ屋敷となりつつある一軒家があり、足元の覚束ない老婆が住人として認められた。
頭上にはカラスの姿。
そんな一帯に響く連中の声は某かの終わりを連想させ、また退廃的な気分にさせる。

新大平下駅周辺上空だけがなぜか薄曇りだった。

栃木の街並み

16:08 栃木(とちぎ)駅(両毛線/東武日光線 栃木県)
美しく平和な街に降りた。

念願だった「蔵の街」。
すべてを見たのかどうかは定かじゃないが、すべてを見たような気持ちで気でいる。

今日この時点で都合5時間ほど歩いた足はかなりの疲労を感じているが、鯉が泳ぎ鴨が遊弋する水辺に救われた。
飲み屋やスナックの類を見かけなかったが、どこかに集められているのだろうか。
市役所は東武百貨店と同居しているように見えた。
あまり商売気を感じさせない街で適度な人の行き来が好ましい。

「駅そば」があって気分的に誘われたが、またビールを選んでしまった。

思川駅周辺

16:36 思川(おもいがわ)駅(両毛線 栃木県)
ヤマザキのスーパーは品薄で店内は寂しい。
食堂、酒屋、精肉店が営業していて、食堂の屋上から下りてきた女将さんが挨拶をくれる。
「寒いね」と。
そうですねと応じるが、別に寒かない。

広い空がひたすらに美しい。
遠くに見えるのは筑波山。
関東平野は本当に広い。

背後に山の連なりが見えるが、まだ雪の気配はない。
そう、寒くなんかないんだ。
その山々に夕暮れが迫り全山群青色に染まっている。
黄昏れるのにいい場所だ。

思川を渡るのはこれからだ。
しっかり目を開いていよう。

17:57 新白岡(しんしらおか)駅(東北本線 埼玉県)
小山で東北本線(宇都宮線)に乗り換える。

日本海庄屋と魚民が駅の両側で町に光を提供している。
夜の訪れとともに一日が始まるような町もあれば、本来そうあるべきだと思うが夜の訪れはその日の終わりを意味する町もある。
いい悪いという話をしようとしているわけじゃない。
コンビニでビールと肉まんを買って、そこで見ていた風景について話をしている。

ここは東京に近いが、こんな時間帯にこんなにも暮れてしまった駅に降りると、空しいような気持ちになることがある。
なにしろ、ただでさえ秋だ。

18:16 白岡(しらおか)駅(東北本線 埼玉県)
上野からの列車が着くと、宝くじ売場にできた行列と見紛うほどの人々が降りた駅。
駅前通りに懐かしさを覚える。
最近でよく似たところを挙げると常磐線の神立駅前か。

駅前の空き店舗はほとんどすべてといっていいくらい駐輪場になっている。
そこでは少女たちがまたくる明日のために、明るい挨拶を交わして元気に家路につく。

暮らしていれば落ち着いていられる町なのだろう。
風は止んでいる。

18:39 東大宮(ひがしおおみや)駅(東北本線 埼玉県)
映画「キューポラのある町」の頃には存在しなかった駅にいる。
あの映画じゃ、大宮の次は蓮田だったよ。
高崎線の方は現在と同じく大宮の次は今朝徒歩で立ち寄った宮原だった。

この街の「一番街」はじきに役目を終える。
空き家が目立ち、何よりも店舗が収まっているアパートにはすでに入居者がいない。
そこは位置的にも脇に置き去られた通りだったが、駅周辺は明かりに満ちていた。

連休最終日ということもあり、人出はあまり多くはないが、大宮と宇都宮間を結ぶ区間で、その両駅を除けば一番の繁華街を持っていた。

関連記事

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その3-周参見、椿、白浜、紀伊田辺(紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月2日・・・周参見駅、椿駅、白浜駅、紀伊田辺駅(紀勢本線) 19:12 周参見

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その1‐萩、玉江、東萩(山陰本線)/萩散策 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月25日・・・萩駅、玉江駅、東萩駅(山陰本線)/萩散策 2020・7・2

記事を読む

「鉄旅日記」2006年晩秋【浜名湖へ。そして飯田線に乗って、友に会いにいったのでございます。】2日目・最終日-尾奈、新所原、豊橋、本長篠、鳥居、三河槇原、中部天竜、佐久間、大嵐、伊那小沢、天竜峡、松本(天竜浜名湖鉄道/東海道本線/飯田線/中央本線)

鉄旅日記2006年11月4日/11月5日・・・尾奈駅、新所原駅、豊橋駅、本長篠駅、鳥居駅、三河槇原駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 初日(東京-一ノ関)その2-新津、新発田、坂町、小国、今泉、西米沢~上杉家御廟~上杉神社~南米沢(信越本線/羽越本線/米坂線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月5日・・・新津駅、新発田駅、坂町駅、小国駅、今泉駅、西米沢駅、南米沢駅(信越本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その1‐越前武生、武生、三方、美浜(北陸本線/小浜線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月23日・・・越前武生駅、武生駅、三方駅、美浜駅(北陸本線/小浜線)

記事を読む

「鉄旅日記」2011夏【みちのくひとり旅】2日目(秋田-函館)-秋田、男鹿、追分、八郎潟、北金岡、大館、浪岡、新青森、青森、中沢、郷沢、蟹田、三厩、五稜郭、函館(男鹿線/奥羽本線/津軽線/津軽海峡線/江差線)

鉄旅日記2011年8月14日・・・秋田駅、男鹿駅、追分駅、八郎潟駅、北金岡駅、大館駅、浪岡駅、新青森

記事を読む

「鉄旅日記」2021年皐月 最終日-勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線/いすみ鉄道/小湊鉄道)/養老渓谷2階建てトンネル 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】

鉄旅日記2021年5月23日・・・勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 最終日(釜石-東京)その2‐小山田、土沢、花巻、石鳥谷(釜石線/東北本線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月24日・・・小山田駅、土沢駅、花巻駅、石鳥谷駅(釜石線/東北本線) 7:40

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 初日(東京-桑名-阿下喜-西藤原-四日市-内部-西日野-津)その1-金町、西桑名、楚原、阿下喜、麻生田、丹生川(常磐線/三岐鉄道北勢線/三岐鉄道三岐線) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月22日・・・金町駅、西桑名駅、楚原駅、阿下喜駅、麻生田駅、丹生川駅(常磐線/

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】初日(東京-新大宮)その1-近鉄富田、富田、近鉄四日市、湯の山温泉、伊勢若松、平田町、鈴鹿市、鳥羽、賢島(名古屋線/湯の山線/鈴鹿線/山田線/鳥羽線/志摩線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・近鉄富田駅、富田駅、近鉄四日市駅、湯の山温泉駅、伊勢若松駅、平田町

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑