*

「鉄旅日記」2020年如月 初日(東京-大船渡)その4‐前谷地、志津川、南気仙沼、気仙沼(気仙沼線)/南三陸さんさん商店街 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/05 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年2月22日・・・前谷地駅、志津川駅、南気仙沼駅、気仙沼駅(気仙沼線)/南三陸さんさん商店街

14:21 前谷地(まえやち)駅(石巻線/気仙沼線 宮城県)
前谷地はアイヌ語に由来する駅名で、穏やかな湿地を意味するという。

アイヌ民族を敵視して、彼等の穏やかな暮らしを奪う最前線基地が多賀城だった。
平安時代当時、多賀城から先、現在の岩手県あたりから先の奥地は化外の地だった。

乗り換え時間11分。
今回は柳津まで列車で往くのではなく、前谷地駅前にもBRTの停車場ができていて、そこからBRTで往く。

柳津までの駅には止まらず、専用軌道もない。

前谷地駅前通りを突き当たりまで歩く。
途中品のいい割烹があった。
あの小さな駅前の夜を見たいと思う。


旧北上川を渡る。
雄大な眺めだ。

家督争いに巻き込まれる形で、わずか13歳で実兄伊達政宗の手により命を落とした小次郎が眠る地。

柳津から先は永遠に鉄道敷設を放棄した土地になる。

15:48 志津川(しづがわ)駅(気仙沼線 宮城県)
南三陸町の喪失。
これから町に止まる度にそのように記していくだろう。

ほんのわずかでしかないが、町にお金を落としたくて降りた。

「南三陸さんさん商店街」には、安倍首相をはじめ元横綱稀勢の里の荒磯親方など著名人が訪れ、写真でその消失を目の当たりにしている。


津波による被害はすさまじかった。
あのかつての町並が戻ることのない中で、商売を再開された人々には敬意しかなく、港の近くでスナックを一軒見つけた時には目頭が熱くなり、その港ではポンポン舟に乗った漁師たちの笑い声が聞こえていた。

南三陸町はタコの町。
恋人に、そして自分に蒲鉾を購入する。

用意していた25分ではとても足りなかった。

17:19 南気仙沼(みなみけせんぬま)駅(気仙沼線 宮城県)
こことは違う場所に駅があると、今も国道の道路標識は謳っている。
気仙沼の繁華街はそのあたりにある。
そしてそこはあの日の津波に飲まれてしまった。

歩いてみた。
川が横たわっている。
どうやらその先。

でも繁華街の明かりは見えず、人の姿も乏しく、大川に架かる橋の途中で引き返した。

気仙沼を知るのに20分じゃ足りない。
やがてオレは戻ってくるだろう。

停車場近くは品のいい灯をつけた食堂がいくつかあった。

17:50 気仙沼(けせんぬま)駅(大船渡線/気仙沼線 宮城県)
気仙沼駅とはすっかり馴染みになった。

駅構内に線路と道路がある駅。
先週放送NHKの「ブラタモリ」で同じ構造の盛駅を扱っていて、出演者は驚いていたが、確かにこの国に二つしかない貴重な駅とも言える。

南気仙沼からは途中に不動の沢を挟んで約10分の距離。
駅は町外れにある。

パールホテルに土産物屋さん。
変わらぬ駅前風景は人を安心させる。
あの待合室では酒場にいる時のように和んだこともあった。

すっかり日が暮れている。
盛行のBRTは発車した。

町の明かりが届かない場所に濃い闇を見た。

関連記事

「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その4‐五所川原、川部、弘前、大館、鷹ノ巣(五能線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】2日目(湯沢-鷹ノ巣)

鉄旅日記2020年1月12日・・・五所川原駅、川部駅、弘前駅、大館駅、鷹ノ巣駅(五能線/奥羽本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その1 ‐上田、滋野、長野(しなの鉄道/信越本線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月11日・・・上田駅、滋野駅、長野駅(しなの鉄道/信越本線) 2021・

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その1‐門司港、小森江、折尾、若松(鹿児島本線/筑豊本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月16日・・・門司港駅、小森江駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本線/筑豊本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 初日(東京-新南陽)-はりま勝原、阿品、島田、新南陽(山陽本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月12日・・・はりま勝原駅、阿品駅、島田駅、新南陽駅(山陽本線) 2015・8

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その4‐米沢、福島、上野(奥羽本線/東北新幹線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月4日・・・米沢駅、福島駅、上野駅(奥羽本線/東北新幹線) 17:38 米沢

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 初日(東京-安中)その2-伊豆急下田、伊豆高原、橋本、八王子、東福生、福生、拝島(伊豆急行線/横浜線/八高線/青梅線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月9日・・・伊豆急下田駅、伊豆高原駅、橋本駅、八王子駅、東福生駅、福生駅、拝島駅

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 4日目(鹿児島-田原坂-長崎)走行距離384㎞その2-田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月14日・・・田原坂古戦場跡、大牟田駅、肥前山口駅、長崎ニューポート 2004

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】5日目(宇和島-観音寺)-宇和島、卯之町、八幡浜、千丈、伊予大洲、伊予市、松山、伊予北条、今治、伊予小松、伊予西条、新居浜、関川、伊予土居、箕浦、観音寺(予讃本線)

鉄旅日記2009年5月5日・・・宇和島駅、卯之町駅、八幡浜駅、千丈駅、伊予大洲駅、伊予市駅、松山駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その2-北条町、姫路、播州赤穂、日生、備前片上、西片上、倉敷(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月21日・・・北条町駅、姫路駅、播州赤穂駅、日生駅、備前片上駅、西片上駅、倉敷

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その5 ‐青森、三沢(青い森鉄道)/ホテル天水 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・青森駅、三沢駅(青い森鉄道)/ホテル

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その4 ‐板柳、川部、撫牛子、大釈迦、鶴ヶ坂(五能線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・板柳駅、川部駅、撫牛子駅、大釈迦駅、

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その3 ‐川部、五所川原、木造(五能線)/神武食堂 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・川部駅、五所川原駅、木造駅(五能線)

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

→もっと見る

    PAGE TOP ↑