*

「鉄旅日記」2018年弥生 最終日(会津若松-東京)その1-会津若松、広田、野沢、徳沢、津川、五十島(磐越西線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/13 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年3月4日・・・会津若松駅、広田駅、野沢駅、徳沢駅、津川駅、五十島駅(磐越西線)

2018・3・4 7:31 会津若松(あいづわかまつ)駅(磐越西線/只見線/会津鉄道 福島県)
晴天の若松。
心の支えともいえる女性から返信が届いたのは、寝静まってから1時間後のことだった。

オレと同じ悲しい選択をして、来月に自由になる。
それまでは気まずい空気の中で生きていかれる。

オレはそうじゃない。
ただ寂しさが残るだけだ。

会津のおばちゃんが訛りも隠さず大きな声で喋っている。

1分前に喜多方に向かう列車の後ろ姿を分岐点で見た。

今オレは郡山方面に向かっている。

7:50 広田(ひろた)駅(磐越西線 福島県)
義経と皆鶴姫の悲恋物語が伝わる町。

義経を慕う姫は後を追い、この地で病に倒れ、池に映るやつれた姿をはかなみ身を投げたという悲しい話。
伝え聞いた義経は駆けつけ、池のほとりに墓を建てて供養したとのこと。

武家屋敷のような駅に惹かれて降りる。


待合室はまるで古い学校の図書室。
若い女性がノートを広げて列車を待っている。

磐梯山に一歩近づき、冷気は心地よく、割烹が2軒に商店街がある駅前も居心地がよかった。

こうしているとさすがに手が凍える。

春3月、雪景色の会津盆地。
どこを眺めても素敵で、子どもの声に微笑み目を向ける。

聞きなれない声が空から聞こえる。
カモメか?
猪苗代にいたのか?

白い編隊飛行が西に向かっていた。

9:16 野沢(のざわ)駅(磐越西線 福島県)
広田から会津若松に戻る。

そして会津若松から新津行に乗って約50分。
12月にも撮った磐梯山の絶景、喜多方手前の山々。





山都からは阿賀野川にまつわる景色を楽しむ。


行楽シーズンを外れた磐越西線新津行はとても空いていて、
酒でも飲もうかとも思うが朝食で腹はくちている。

ここでは25分の停車。
ずいぶんと長い。

ディーゼル音を聞いていると旅の最中であることを実感できる。
こうした否応なくのんびりさせられる時間は消えつつある。

気長に待つ。
こんな言葉も最近じゃ聞かなくなった。

係員の女性が凍りついた通路に塩を撒いている。
「撒くのが遅くなっちゃって」と恐縮されていた。

利用者がいないのだろう。
3番線まであるホームに雪の壁ができている。

駅を降りると角の民宿が目に入る。
坂を上がっていくとさらに2軒古い民宿がある。
ビールでも売っていればと思い、先に目を凝らしたけど見つからない。

青空の下の雪原を眺め、別れ行く愛しき者たちを想った。

切なくて。

それはまた人生を想うことそのものだと理解した。

9:48 徳沢(とくさわ)駅(磐越西線 福島県)
列車交換待ち8分の停車。
加えて上り列車遅延で4分。

23年前の5月にこの駅に寄ったことがある。
今回ここに8分いられることに興奮したよ。
あの記憶がここまでオレを旅につなぎ止めてきた。

当時の記憶で定かなものはない。
阿賀野川に沿って車を走らせる中でたまたま駅を見つけたのだろう。
ベンチに腰かけて到着を待つ老婦人と言葉を交わしたことだけは確かだ。

駅前は川辺の風情。
古い通りに古い軒が連なっている。

日本人はこの景色を懐かしいと表現する。
異存はない。

それにしてもとてつもない積雪量だ。
男4人がかりで古い家屋の雪降ろしをしている場面に出くわした。

今さらながら、それはとても危険な作業に見えた。

今年はよく降った。

10:28 津川(つがわ)駅(磐越西線 福島県)
14分の停車。
駅長さんがいる駅だった。

狐の嫁入りの町。
そうだったな。
6年前にもこうして降りたよ。

かつてこの地で多く見られた「狐火」を、狐の嫁入りの提灯行列と言い慣わしたとのこと。

あの時は阿賀野川に架かるあの赤い鉄橋まで歩いた。

駅前に積まれた雪山に登った少年が、父親に「新潟県民の誇り」を説いている。
微笑ましい光景だ。

それにしても次々と絶景が現れる。
磐越西線に乗った過去2回。
確かオレはこれほど喜んではいない。


「オコジロウの家」がホームに置かれていた。
SLを走らせる時のキャラクターで、イタチ科に属するらしい。

暖炉が描かれた暖かい部屋だった。

10:51 五十島(いがしま)駅(磐越西線 福島県)
3分の停車。
この新津行で途中下車できるのはここが最後になる。

走り上がり走り下り、駅を写す。
他にスマホを向ける対象は見当たらない駅だった。

わずかだか乗客が増えていて、後ろの席では若い女性が化粧をしていた。

阿賀野川はだんだんと護岸化されてきて、川幅も増して都会的な顔になってきた。




五泉からはおそらく次々と乗客が乗ってくる。

関連記事

「鉄旅日記」2014年夏 初日(東京-津山)-尾張一宮、播磨高岡、太市、余部、播磨新宮、三日月、西栗栖、美作江見、林野、上月、津山口、津山(東海道本線、山陽本線、姫新線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】

鉄旅日記2014年8月13日・・・尾張一宮駅、播磨高岡駅、太市駅、余部駅、播磨新宮駅、三日月駅、西栗

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】3日目(琴平-高知)-琴平、讃岐財田、阿波池田、大歩危、土佐山田、後免、後免町、安芸、奈半利、高知、桟橋通五丁目(土讃本線、土佐くろしお鉄道阿佐線、土佐電気鉄道桟橋線)

鉄旅日記2009年5月3日・・・琴平駅、讃岐財田駅、阿波池田駅、大歩危駅、土佐山田駅、後免駅、後免町

記事を読む

鉄旅日記」2012年初冬 最終日(長野-東京)その2-小諸、岩村田、佐久平、中込、臼田、小海、野辺山、清里、大月(小海線、中央本線) 【週末パスで、甲信越途中下車旅】

鉄旅日記2012年12月9日その2・・・小諸駅、岩村田駅、佐久平駅、中込駅、臼田駅、小海駅、野辺山駅

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】

鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その1‐越前武生、武生、三方、美浜(北陸本線/小浜線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月23日・・・越前武生駅、武生駅、三方駅、美浜駅(北陸本線/小浜線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 2日目(高山-速星)その3‐岩峅寺、立山、電鉄富山、富山(富山地方鉄道立山線/富山地方鉄道不二越・上滝線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月21日・・・岩峅寺駅、立山駅、電鉄富山駅、富山駅(富山地方鉄道立山線/富山地方

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢駅、野々市駅(北陸本線/北陸鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その1-飯田、伊那大島、伊那松島、辰野、松本、柏矢町、豊科(飯田線/中央本線辰野支線/篠ノ井線/大糸線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・飯田駅、伊那大島駅、伊那松島駅、辰野駅、松本駅、柏矢町駅、豊科駅(飯

記事を読む

「鉄旅日記」2022年如月 初日(東京-常陸大子)その1 ‐金町、我孫子、新木、成田、佐原(常磐線/我孫子支線/成田線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月5日・・・金町駅、我孫子駅、新木駅、成田駅、佐原駅(常磐線/我孫子支線/成田

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その1-保谷、稲毛、都賀、四街道、久住、下総神崎、松岸、銚子(総武本線、成田線) 【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】

鉄旅日記2012年3月12日その1・・・保谷駅、稲毛駅、都賀駅、四街道駅、久住駅、下総神崎駅、松岸駅

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その2 ‐八景島、金沢八景、杉田、新杉田(金沢シーサイドライン/京浜急行本線) 【根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・八景島駅、金沢八景駅、杉田駅、新杉田

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その1 ‐金町、桜木町、関内、新杉田(常磐線/京浜東北・根岸線) 【金沢シーサイドライン、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・金町駅、桜木町駅、関内駅、新杉田駅(

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その3 ‐土浦、荒川沖、藤代、柏(常磐線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・土浦駅、荒川沖駅、藤代駅、柏駅(常磐

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その2 ‐水戸、羽黒、稲田、福原、友部(水戸線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・水戸駅、羽黒駅、稲田駅、福原駅、友部

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その1 ‐常陸大子、磐城棚倉、東館(水郡線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・常陸大子駅、磐城棚倉駅、東館駅(水郡

→もっと見る

    PAGE TOP ↑