*

「鉄旅日記」2018年如月 初日(東京-直江津)その1-保谷、代々木、都留市、富士山、河口湖(西武池袋線/山手線/中央本線/富士急行) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/13 旅話, 旅話 2018年

鉄旅日記2018年2月10日・・・保谷駅、代々木駅、都留市駅、富士山駅、河口湖駅(西武池袋線/山手線/中央本線/富士急行)

2018・2・10 4:28 保谷(ほうや)駅(西武池袋線 東京都)
今朝起きたら、起き上がったいつもの寝床に違和感を持った。

こんなものなのだろうか?
思い入れやら何やら、こんなにもあっさりと諦めがつくものなのだろうか?

思いは4月からの葛飾での暮らしに半分ほど向かい、寂しさを感じた時、今いる場所が苦味を教える。

じきに離れていく町、保谷。
駅前通りはやはりもう少し広げるべきだ。

狭いよ。
子どもたちが心配なんだ。

5:09 代々木(よよぎ)駅(中央本線/山手線/都営地下鉄大江戸線 東京都)
池袋で山手線に乗り換え。

行楽シーズンでもなく、最大級の寒波に見舞われている列島を渡り歩く者の姿はわずかで、酔客の姿もまれで、たいていがすっきりとした表情を浮かべている。

皆こんな朝早くからどこへ行くのか。

人の多い街にはそれだけの謎がある。

代々木駅はもっと駅らしい構えをしていたと思うが、こんなビルだったか。
大江戸線開通を期に建て変わったのだろうか。

新宿をひとつ通り越して、ここで中央線に乗り換える。

7:25 都留市(つるし)駅(富士急行 山梨県)
24時間眠らないと思っていた東京。
でも新宿から続く夜明け前の街並は眠っていた。

夜の街も営業を済ませば明かりを落とす。
大都会は早朝に眠る。

30年前にはオレもそんなメチャクチャな日を年に数回送っていた。
そんなことをしていればいつか疲れる。
それはきっと街にも当てはまる。

高尾で乗り継ぎ、大月で富士急に乗り換え。

中央道に渋滞表示が出ている。
峠越えにかかる139号国道が富士へと伸びる途中、谷間の町に降りた。

冷気は東京の比ではなく、今日一本目のビールを飲んだ体が震えている。

駅舎はハワイのドライブインで見たような独特な形状をしている。
日本の文化には見られない。

あるいは富士急の文化なのだろうか。
この先にはどんな駅があるのだろう。

この町で降りてこの駅を見るにつけ、オレが見たいと思っているものは確実に無限だと思う。

それにしてもこの体の震えをどうにかしてくれないか。
この待合室は寒すぎる。

日に当たりにいこう。

8:23 富士山(ふじさん)駅(富士急行 山梨県)
気づけば、路傍に積もった雪が深くなっている。
保谷でも消えていない先々週の雪。

夜には雨の予報が出ている甲州も、今は晴れて、列車に降り注ぐ日はあたたかく、希望に満ちた若者たちを明るく照らしていた。

車中、これほどまでにと思うほど接近した天下の名山は、その名を冠したこの駅では近いには近いが、車窓からの眺めよりは遠くに見える。

かつて憂鬱な気持ちでバスに揺られ向かった剣道の合宿の際に、当時は富士吉田駅だった駅前を通った記憶がある。

あれから40年。
当時を思い起こすことで語れるようなものは何もないが、そんな少年時代を送れたことはきっと財産なのだろう。
オレには懺悔すべき存在がいる。

列車はここで一旦行き止まりになり、方向を変えて河口湖に向かう。

現代的な駅舎はとてもきれいで、カフェのような待合室はあたたかく、売店でウイスキーハイボールと「たい焼き」を買ってきて楽しむ。

「おかずたい焼き」なるものがメニューにあって正体を尋ねると、ウインナーとオムレツが入っているという。
迷ったがスタンダードなあんこにした。

パリッとした衣の食感はよかったが、オレは縁日で売ってるようなベチャっとしたやつが好きだ。

たんに馴染みの問題で、味には何の問題もなく、美味い。

9:35 河口湖(かわぐちこ)駅(富士急行 山梨県)
船津浜に下りて、結氷した河口湖を眺める。


夏の姿しか知らないオレにとって、その姿は新鮮かつ神聖だった。
最後に河口湖を見てから30年の歳月が流れている。

たいしてありがたくもない記憶で、大切にしていたわけでもないが、この地に下りてみたら、そんな記憶でもないよりはマシだと思った。

人生は縁を求める。
4月から別の人生が待つオレもまた、そうしていく。

あらためて言うまでもないが、人生はそうしてシンクロしていく。
そこに深い洞察めいた言葉はいらない。

人生とはそういうものなのだろう。
その存在を知らずにいたロープウェイ乗場を眺めながら、そんなことを思う。

湖へと下りていく凍てついた道。
冬の湖畔。
これまでに、そんな場所にいたことはなかった。


富士山に傘雲がかかっていた。
天候はおそらく予報通りだろう。

ビールを買って待合室でくつろいでいたら、中国人の家族に囲まれた。
世界中であまりよくは言われることのない民族だが、声が大きくて感情表現が日本人より大袈裟なだけだ。

善良な隣人と笑顔を交わし、万国共通の愛らしい赤ん坊を愛した。
その先では小学生くらいの少年が父親に甘えている。
とても微笑ましく、身の不徳に涙ぐみそうになる。

ここじゃオレは旅人。
誇らしくもあり、悲しくもある。

この悲しみは、酒も少しは影響しているのかもしれない。
楽しい気持ちにもさせるが、感傷的にさせる役目も多くの場合負う。

富士山はまだ陰りを見せず、降り注ぐ日は真綿のようにあたたかい。

関連記事

「鉄旅日記」2018年春 初日(東京-飯田)その1-国立、高尾、宮田、伊那八幡、三河東郷、新城、三河一宮(中央本線/飯田線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月7日・・・国立駅、高尾駅、宮田駅、伊那八幡駅、三河東郷駅、新城駅、三河一宮駅(

記事を読む

「車旅日記」2004年春 3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月3日・・・釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)/慶 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線)/慶

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅、和田山駅(因美線

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その2-安曇沓掛、信濃常盤、細野、海ノ口、信濃大町、信濃松川、安曇追分、南松本(大糸線/篠ノ井線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・安曇沓掛駅、信濃常盤駅、細野駅、海ノ口駅、信濃大町駅、信濃松川駅、安

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その1-飯田、伊那大島、伊那松島、辰野、松本、柏矢町、豊科(飯田線/中央本線辰野支線/篠ノ井線/大糸線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・飯田駅、伊那大島駅、伊那松島駅、辰野駅、松本駅、柏矢町駅、豊科駅(飯

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 いよいよ金沢へ‐その2(R8→北陸道)敦賀、尼御前SA、金沢駅

車旅日記1996年5月5日 18:11 8号国道‐敦賀 琵琶湖ともお別れ。 8号国道を飛ばした。

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月 最終日(岡山-東京)-岡山、長船、明石、米原、大垣、沼津、平塚、北千住、東京葛飾(山陽本線/赤穂線/東海道本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

鉄旅日記2007年5月6日・・・岡山駅、長船駅、明石駅、米原駅、大垣駅、沼津駅、平塚駅、北千住駅(山

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生 初日(東京-会津若松)その2-土合、越後湯沢、大沢、上越国際スキー場前、越後堀之内、小出(上越線) 【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】

鉄旅日記2018年3月3日・・・土合駅、越後湯沢駅、大沢駅、上越国際スキー場前駅、越後堀之内駅、小出

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その1 ‐金町、東京、米原、坂田(常磐線/東海道新幹線/北陸本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・金町駅、東京駅、米原駅、坂田駅(常磐線/東海道新幹線/北陸本線)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

→もっと見る

    PAGE TOP ↑