「鉄旅日記」2008年初夏 2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢本線)
14:37 串本(くしもと)駅(紀勢本線 和歌山県)
本州最南端串本。
ここで数分の停車。
この町に着くのは3度目になる。
ここらで雨に降られたことはなく、南海は今日も美しい。
16:03 新宮(しんぐう)駅(紀勢本線 和歌山県)
田辺から3時間。
和歌山県もまた大きい。
串本からはずっと海沿いを往き、景色は素晴らしい。
新宮で土産でもと思っていたが、乗り継ぎ時間はなく、ここで待てば次の発車まで2時間待たなきゃならない。
ここからは閑散区間となるようだ。
座り疲れていたけど、このまま行くことにした。
紀伊勝浦ではずいぶん人が降りた。
ここも観光地か。
いつの間にか電化区間ではなくなっていた。
17:30 尾鷲(おわせ)駅(紀勢本線 三重県)
紀勢本線の旅は長く、多気に着くのは20:00前。
新宮からは4時間弱ということになる。
途中長い停車もなく、たんたんと先へ進んでいる。
景色は素晴らしい。
九鬼水軍の根拠地でもあった入江が続く。
そして広い海岸線。
山側に目を移せば、天に向かって延びる畑。
わずかに景観を損ねたのは採石場くらいのもの。
熊野も尾鷲も、街の規模は想像以上に小さいようだ。
尾鷲に工場群があることを、かつて通った際に見て知っていたから、もう少し大きな駅を描いていた。
このあたりは東京はおろか大阪、名古屋からも遠い。
特急の運行もごくわずか。
線路は海辺を離れた。
18:11 紀伊長島(きいながしま)駅(紀勢本線 三重県)
養殖網が見られる入江がまた近づき、かつて険しい道を走り、疲れ果て、たどり着いたこの駅で10分以上の停車。
便所と煙草。
夕暮れが近づいている。
あの時は暗くて分からなかったが、駅前に商店はなく、タクシーが列車の到着を待つ光景もあの時と変わらない。
停車時間を終えて列車は動く。
高所を走っている。
あたりは杉山で、相当な標高。
人家などはなく、トンネルが続く。
海辺を離れるとこんなにも険しい。
日本の多様さを思う。
そしてこの地域の発展を願う。
19:02 三瀬谷(みせだに)駅(紀勢本線 三重県)
名古屋行の特急がやってきて、一緒だった電車男がひとり去った。
車内は似たような者ばかりで、もちろんオレもそのひとり。
涼しくなった。
風景もまたそう感じさせる。
素敵な夕暮れだ。
こんな時間に、思いがけなくこんな駅にいられることがうれしい。
大きな街を基準にすべてを語るものじゃない。


この町も山は削られ、トンネルが掘られ、高速道路が開通した。

そんな夕暮れ風景を眺めていた。
20:01 多気(たき)駅(紀勢本線/参宮線 三重県)
寂しいターミナル駅。
駅前に商店はなく、町は静まりかえっている。
星がきれいに見えている。
だいぶ涼しくなった。
ホームに置かれた待合室で高校生たちが騒いでいる。
昨日の和歌山で接した高校生とはちょっと違うけど、人や器物を傷つけない限り寛大でいてやろう。
コンビニのオバチャンは人格者だった。
素敵な大人がいる町では安心していていい。
階段の下では、昨日の高校生たちと同じ分類の坊主頭が二人いる。
共感するのはもちろんこっち。
オレもそうだったから。
どうやら亀山行は遅れている。
松阪で牛肉は食えるだろうか。
23:23 スーパーホテル松阪501号
松阪牛を扱う専門店の店じまいは早い。
どこも開いていない。
入った寿司屋で松阪牛の刺身を。
話のネタにはなるが、浅草で食べた牛鍋の方が感激できる。
対応はよく、気持ちよく店を出た。
駅はターミナル駅としての格を持ち、表通りもいい。
街の灯もいい。

ただ残念なのは、オレが着いたのは祭が終わったあとだったことだ。
いい街だよ。
人情も。
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