「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】2日目(和歌山-松阪)その1-和歌山市、和歌山、海南、西御坊、御坊、紀伊田辺、白浜(紀勢本線/紀州鉄道)
鉄旅日記2008年7月20日・・・和歌山市駅、和歌山駅、海南駅、西御坊駅、御坊駅、紀伊田辺駅、白浜駅(紀勢本線/紀州鉄道)
2008・7・20 7:51 和歌山市(わかやまし)駅(紀勢本線/南海電鉄本線/南海電鉄和歌山港線 和歌山県)
去年2月のやり残しを済ませた気分でいる。
ようやく和歌山という街を理解できた。
お堀端では蝉の声がシャワーのように降ってくる。
夏も始まっている。
南海電鉄の総本山、和歌山市駅。
JRは間借りをしているような存在として映る。
地元のかわいらしい中学生たちと乗り込み和歌山へ。
紀勢本線の旅、開始。
8:02 和歌山(わかやま)駅(紀勢本線/阪和線/和歌山線/和歌山電鉄 和歌山県)
オッサンやオバチャンに話しかけられた女子中学生たちが、きちんと人の話を聞きながらコロコロと笑っている。
あれが人が作る世界。
このあたりじゃ日常なのだろう。
自然と顔がほころぶ。
どこらあたりで南海が見えてくるのだろう。
8:46 海南(かいなん)駅(紀勢本線 和歌山県)
蝉の声は昨日より大きい。
風は涼しい。
港が近い。
工場の煙突が見える。
南の爽やかな街に降りた。
一番街を海に向かって。
街はすぐに尽きた。
蝉の声が降る青空を写した。
電車を待つ紀州人は一様にぐったりしている。
東京の異常な暑さと日々闘っているオレの方が、紀州人より暑さに対する抵抗力があるのかもしれない。
やってきた電車は混んでいる。
あのトンネルを抜けると海が見えるのかもしれない。
マリンシティが見えた。
海だ。
10:11 西御坊(にしごぼう)駅(紀州鉄道 和歌山県)
紀州鉄道が往く。
街中を走り、線路は日高川で尽きる。
乗らないわけにはいかない。
オレにできることはこれだけ。
西国の日差しが照りつけている。
人通りのない閑散とした商店街に気怠い歌謡曲が流れている。
掘っ立て小屋のような、この終着駅を気に入っている。
きっと創業当時からのものだろう。
煙草も吸える。
御坊までは4駅。
冷房のない車内の窓は開け放たれ、夏の風が入ってくる。
暑いけど気持ちいいよ。
10:36 御坊(ごぼう)駅(紀勢本線/紀州鉄道 和歌山県)
熊野古道が続く海南から蜜柑畑を見て、巨大な製油工場を過ぎて、また有田蜜柑畑。
有田川に沿って上ったこともあった。
思い出の地と言っていい。
いい風だ。
こんな風は東京じゃ吹かない。
気持ちよくビールを飲んでいる。
田圃の穂が風に揺れている。
日高川に面して発展した御坊。
この駅は街の玄関で、「駅そば」もあれば駅弁も売っている。
紀州鉄道は頑張っているなぁ。
オレをここまで運んできた列車は、あれからまた西御坊に向けて発車して、今また戻ってきた。
あの健気な姿がオレを御坊で下した。
風に稲穂が揺れる様が美しく、見惚れている。
紀伊田辺行がやってきた。
冷房車がうれしい。
駅の待合室にも冷房機が置かれていた。
南国を実感する。
12:51 紀伊田辺(きいたなべ)駅(紀勢本線 和歌山県)
世界標準観光都市を謳う田辺市。
熊野古道に温泉。
近くにはあの美しい白浜もある。
駅を降りて、街は栄えている。
駅前商店街に敗色は見られない。
田辺は武蔵坊弁慶を生み、駅前に薙刀を構えた銅像が立つ。
扇浜まで一往復。
海水浴場は賑わっていたよ。
紀州娘の水着姿でも拝めたらうれしいと思いもしたが、そうした姿はなく、代わりに肌を露わにした娘たちが新宮行に乗り込んではしゃいでいる。
いいよ。
夏らしくていい。
開放的でいるべきだ。
きっと白浜あたりで降りていくのだろう。
奈良では欧米系の外人をよく見かけたが、このあたりじゃアジア系。
経緯はよく分からない。
恋人からメールが届いた。
13:19 白浜(しらはま)駅(紀勢本線 和歌山県)
特急通過待ちで8分停車。
アロハシャツを着た駅員が行き交い、夏の装いの若者たちが降りていった。
あたりは華やぎ、白浜が第一級の観光地であることが分かる。
まだ車内ではしゃいでいるのがいるが、彼等はどこまで行くのか。
夏、海水浴場に行っていた頃の雰囲気を思い出したよ。
オレにもそんな時代があって、もはや返らぬ頃だが、そんな時代を持ててよかったと思ってる。
関連記事
-
「鉄旅日記」2020年初秋【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】3日目(高松)その1 ‐片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮天満宮、滝宮駅、満濃池
車旅日記2020年9月21日・・・片原町駅、瓦町駅、高松築港駅、玉藻公園(高松城跡)、一宮寺、滝宮
-
「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】最終日(鳴子温泉-高畠ー郡山-東京)-鳴子サンハイツ、潟沼、瀬見駅、道の駅むらやま、羽前中山駅、高畠、道の駅七ヶ宿、道の駅安達、郡山文化センター前、須賀川駅、西那須野三島セブンイレブン、与板ラーメンとん太、築地電通前、東京町田
車旅日記1998年8月14日 1998・8・16 8:26 鳴子サンハイツ 5日目。 一番遅い
-
「鉄旅日記」2013年春【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】初日(東京-和歌山)その2-和泉府中、東岸和田、日根野、熊取、りんくうタウン、関西空港、紀三井寺、黒江、紀伊中ノ島、和歌山(阪和線、関西空港支線、紀勢本線)
鉄旅日記2013年4月7日その2・・・和泉府中駅、東岸和田駅、日根野駅、熊取駅、りんくうタウン駅、関
-
「鉄旅日記」2008年初秋【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】2日目(羽咋-福井)その2-松任、小松、あわら湯のまち、三国港、福大前西福井、田原町、福井(北陸本線/えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道福武線)
鉄旅日記2008年9月14日・・・松任駅、小松駅、あわら湯のまち駅、三国港駅、福大前西福井駅、田原町
-
「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】3日目(象潟‐秋田‐盛岡‐鳴子温泉)象潟海岸、秋田駅、角館花葉館、田沢湖駅、紫波SA、前沢SA、古川駅
車旅日記2000年5月5日 8:54 象潟海岸 636㎞ 朝、人気のない海もいい。 車を降
-
「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】2日目(下北-石巻)その1-大湊、野辺地、浅虫温泉、小湊、東青森、上北町、小川原湖、下田、八戸(大湊線、青い森鉄道)
鉄旅日記2016年3月20日その1・・・大湊駅、野辺地駅、浅虫温泉駅、小湊駅、東青森駅、上北町駅、小
-
「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】3日目(津軽SA-十和田湖-酒田駅-鳴子温泉)-津軽SA、温川、十和田湖休屋、長木渓谷、道の駅鷹巣、道の駅琴丘、道の駅西目、象潟駅、酒田駅、道の駅戸沢、鳴子サンハイツ
車旅日記1998年5月3日 1998・5・3 5:45 東北自動車道-津軽SA 1087km 聞
-
「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)
鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川
-
「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢
-
「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】4日目(高知-宇和島)-高知、朝倉、伊野、斗賀野、須崎、窪川、中村、宿毛、宇和島(土讃本線、土佐くろしお鉄道中村線/宿毛線、予土線)
鉄旅日記2009年5月4日・・・高知駅、朝倉駅、伊野駅、斗賀野駅、須崎駅、窪川駅、中村駅、宿毛駅、宇