*

「鉄旅日記」2007年如月 初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/20 旅話, 旅話 2007年

鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、京橋駅、天王寺駅(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

2007・2・10 23:54 スーパーホテル天王寺303号室
東京は混んでいた。
まだ朝早いのに。

始発ののぞみもそうだった。
東京駅を発車する時点で立ち客がいるような状態で、買っておいたビールは早々に飲み干した。

名古屋で降りるのも一苦労だった。
そうして始まった旅。

大垣行に乗る。
尾張一宮、金華山。
長良川を渡ると大垣。
去年の7月に跨線橋から眺めたホームに立った。

次は米原行。
天下の豪雪地帯関ヶ原に雪はなく、唯一伊吹山頂だけが雪化粧をしていた。

醒ヶ井を過ぎると、もう米原。
すぐに姫路行がやってきて、米原での感慨はなし。

そして草津宿。
外人のカップルが所在無げに駅前を塞ぎ、街へ下りる。
近鉄百貨店があり、商店街では懐かしい田舎の匂いを嗅いだ。

草津線沿線に見所を探せない。
近江の小さな田園風景が続く様は寂しい気持ちも連れてくる。
乗客はそこそこいたが、信楽鐡道、近江鉄道とのターミナル駅、貴生川で大半が降りた。

柘植駅へ。
車内アナウンスは聞いていたが、何のことやら分からずにホームに降りると、こうした事実が待っていた。
関西本線は毎月第2土曜日に保線作業のため、日中の運転を休止するという。

それなら駅周辺でも歩こうかと、駅員にどこか見所はあるかと尋ねると、困ったような顔になり、「一応、松尾芭蕉の生誕地ということになっとるんですが」と歯切れが悪い。

改札を出て、小さな忍者屋敷のような駅舎を眺める。
駅前には食堂はおろか、人家すらまばらだった。

仕方がない。
関西本線で木津へ出て、学研都市線に乗り継ぐ計画でいたけど、草津線で引き返す。

草津で再度姫路行に。
琵琶湖線も混んでいる。
瀬田、やがて琵琶湖、石山、膳所、大津。

いつかこの風景の中で素敵な夜を過ごしたいと思ったことがある。
もう10年以上前の初めての関西行でのこと。

乗換の京都ではかつての恋人を。
生きていれば様々を思い出すが、その対象がかつて愛した女性の場合は切なくていいものだ。
オレにとって京都は永遠にそうした存在としてあり続ける。

「駅そば」で大盛きざみうどんを食べる。
二玉入っていたよ。
「駅そば」に大盛があるとは、注文のうるさそうな関西ならではか。

跨線橋から眺めた東山の風景には目も心も奪われた。
今年のセンバツに京都代表が出場しないことが残念だ。

奈良線では眠ってしまった。
そして降りた木津駅周辺に、かつて感じた郷愁はなかった。

駅は工事中で、外では大きな道路を作っている。
降りた先もただ広いだけの味気ない風景だった。

缶コーヒーと煙草と太宰治。
気づくと吹く風は強く冷たく、学研都市線が来るまで凍えた。

学研都市線は単線だった。
そして脇では近鉄京都線が誇らしげに私鉄王国を謳う。

都会は遠く、四条畷あたりから大阪の始まりを感じた。
東京にはないが、大阪の景色には山がある。
小楠公、楠木正行の墓は駅から400メートルほどだという。
河内は山深く、駅からは見事な山塊が見える。

京橋駅は周辺に高層建築物を並べているが、都会の匂いはしない。
愛すべき大阪に着いた。

大阪城公園、森ノ宮、玉造、鶴橋、桃谷、寺田町そして天王寺。

大阪環状線の乗車マナーは素晴らしい。
7人掛けのシートにきちんと7人が収まっている。
東京を恥ずかしく思う。

天王寺は繁栄していた。
駅構内に並んだ公衆電話の数が印象に残っている。

大阪といえばキタとミナミ。
最近じゃそこにアベノが加わったという。

天王寺駅は天王寺区。
通りを挟んだところに立つ近鉄百貨店、大阪阿部野橋駅は阿倍野区。
大阪のややこしさは、同じ場所にありながらJRと私鉄で駅名が違うこと。
それは大阪駅と梅田駅だけの話じゃない。

アベノの繁栄はHOOPができたことから始まったらしい。
音楽会をやっていて、難波娘の関西弁が聞こえてくる。

天王寺動物園脇の坂を下り、阪神高速の高架をくぐると新世界。
演歌が聞こえる通天閣。

新世界に10年前のヤバさはなく、大阪名物ともいえるオッチャン達は駆逐され、通りはきれいになっていた。
そのことを後で入った天王寺商店街の寿司屋の板前に聞いたら、まったくその通りだという。
でもジャンジャン横丁だけは変わっていないという。

その狭いジャンジャン横丁は賑わい、串カツ屋には行列ができて、将棋センターでは自転車で乗りつけたオッチャンが窓越しに対局を眺めている。

南海電車に阪堺電軌。
天王寺周辺を路面電車が走る。

天王寺とはこういう街か。
交通の大要衝地なのだと知って、道理も何もなくうれしかった。

ビール、熱燗、串カツ、どて焼。
それが新世界。
その串カツ屋では大阪の人情を歌った曲が流れ、居合わせた天王寺青年は気持ちよく、死ぬ前の太宰を想った。

天王寺に戻って熱燗と湯豆腐。
ホテルに着くとすぐに眠ってしまった。
天王寺が心地よかった。

大坂夏の陣で決戦が行われた天王寺。
天王寺動物園内には徳川家康が本陣を構えた茶臼山がある。
その歴史的事実を知った12歳の頃から、天王寺はいつか行くべき街だった。

真田幸村が討たれた安居天神にはかつて寄ったことがある。
地図で確かめたらここからすぐのところにある。

関連記事

「鉄旅日記」2014年秋 その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線) 【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】

鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その2‐新白鳥、古市橋、梅林、可部、あき亀山(可部線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・新白島駅、古市橋駅、梅林駅、可部駅、あき亀山駅(可部線)

記事を読む

「車旅日記」2004年春 最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その1-稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河畔、パンケ沼、下沼駅、幌延駅、雄信内駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月5日・・・稚内サンホテル、稚内公園、ノシャップ岬、サロベツ原生花園、サロベツ河

記事を読む

「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】

鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 初日(東京-米内沢)その5‐比立内、阿仁合、阿仁前田温泉、合川、米内沢(秋田内陸縦貫鉄道) 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月17日・・・比立内駅、阿仁合駅、阿仁前田温泉駅、合川駅、米内沢駅(秋田内陸縦

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春 初日その1(東京-岩倉)-蒲郡、三河鳥羽、吉良吉田、西尾、桜町前、新安城、知立、猿投、赤池、豊田市、新豊田(名鉄蒲郡線/名鉄西尾線/名鉄本線/名鉄三河線/名鉄豊田線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】

鉄旅日記2015年3月7日その1・・・蒲郡駅、三河鳥羽駅、吉良吉田駅、西尾駅、桜町前駅、新安城駅、知

記事を読む

「空旅日記」1997年弥生【若き日に高知に出張に行った記録が残っておりました。】-羽田空港内カフェテリア、市電グランド通り駅前オリエントホテル

空旅日記1997年3月11日 1997・3・11 羽田空港内カフェテリア 17:00を待っている。

記事を読む

「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その4-柏原、道明寺、河内長野、古市、畝傍御陵前、田原本、西田原本、新王寺、近鉄王寺(道明寺線/長野線/南大阪線/橿原線/田原本線/生駒線)

鉄旅日記2017年3月18日・・・柏原駅、道明寺駅、河内長野駅、古市駅、畝傍御陵前駅、田原本駅、西田

記事を読む

「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その1 ‐三沢、八戸、滝沢、巣子、盛岡(青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道)/薬師神社/岩手山 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月10日・・・三沢駅、八戸駅、滝沢駅、巣子駅、盛岡駅(青い森鉄道/IGRいわて

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 2日目(黒磯-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 ツレと訪ねた下部温泉~富士宮~田子の浦旅でございます。初日(東京-下部温泉) ‐市川大門、下部温泉(身延線)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年5月28日・・・市川大門駅、下部温泉駅(身延線)

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

→もっと見る

    PAGE TOP ↑