*

「車旅日記」2006年初夏【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】2日目(岐阜-津-名張-近江八幡)その2-津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテルはちまん

公開日: : 最終更新日:2024/05/15 旅話, 旅話 2006年

車旅日記2006年7月16日・・・津駅、伊勢奥津駅、名張駅、伊賀上野駅、信楽駅、紫香楽宮跡駅、ホテルはちまん

14:51 津駅(岐阜駅より150㎞)
変わっていない。
すぐ脇に大きなホテルがあって。

JRと近鉄は、ここでは同じ駅舎を使用している。
Tシャツを汚してしまったが、「駅そば」の腰のない伊勢うどんはなかなか美味かった。

現在は最高潮に暑く、強い日差しに誘われて人々が街に出てきた。

かつての安濃津城を見に行こうか。
以前に津駅前を通ったのは4、5年前のことになるだろう。
あの時も繁華街を探したはずだ。

県庁を持つこの港町の実力は、ここからじゃ窺い知れない。

2014年3月8日撮影

16:26 伊勢奥津駅(岐阜駅より202㎞)
津の港に流れ込む川は清流だった。
市内の川辺で遊ぶ子供を見かけたよ。

城跡は見つけられず、テレビ塔だけが目立った。
繁華街らしきものはあったけど、街の中心をどこと見ればいいのか分からなかった。

今この駅に到着したワンマンカーは途中で何度か出会ったものか。
電化複線化された近鉄大阪線に比べて、1両のディーゼル車を走らせる名松線。

シンパシーを感じるのは名松線。
松阪を出ると、町を通っていくわけでもなく、延々と雲出川に沿う。

途中駅にも駅員の姿はないのだろう。
美杉の中心地では滑稽ともとれる風景を見た。
それまでほとんど人の姿を見ることなく進んできたところ、立派なプールに大勢の人々が繰り出していたんだ。

まるで村人すべてが動員されたかのような盛況ぶりだった。
アホらしいと思う元気な子供たちは川で裸になっている。

素朴な川辺のカントリーロードだった。

美杉の杉で建てられたと思われる新しい駅舎は集会所も兼ねているが、人の気配はない。

2018年12月23日撮影

名松線は材木列車なのだろう。
そして線名から推測すると、この先の名張と松阪をつなぐ計画だったのだろう。

涼しい風が吹いて、気づいていなかった蝉の声を聞いている。

また一雨くるかもしれない。

17:31 名張駅(岐阜駅より231㎞)
御杖峠では奈良の地を一瞬踏み、険しい山並を名張まで。

鈴鹿山脈を覆っていた雨雲が寄こした雨は、街はたいして濡らさないが、峠では難渋した。

そして雨が上がり峠に日が差した時、正式に夏を想い、彼女を想った。

遥かなる山並を背後に置き、ニュータウンのような街並に、ニュータウン駅のような近鉄駅がある。

2017年3月18日撮影

山並は暮色を帯び始めた。
名張は乗降客も多く、なかなか素敵な街だと感じている。

18:16 伊賀上野駅(岐阜駅より253㎞)
名張からバイパス快走路に乗って伊賀国へ。

近鉄線が走るごちゃごちゃとした街区を過ぎると忍者王国。

夕暮れ過ぎの伊賀国に人の気配はなく、この駅を通る関西本線の本数はとても少なく、駅を訪れる者もなく、ここじゃ近鉄線が乗り入れている表示もない。

2017年3月20日撮影

タクシー運転手はうつむいて、時に空を見上げる。

蒸し暑い日はもうじき終わり、蒸し暑い夜がやってくる。

鈴鹿山脈に雄大な雲がかかっている。

明日はまた雨か。

18:51 信楽駅(岐阜駅より271㎞)
伊賀越えの道にも、峠を越えると村が現れる。
様々な地に根づいた人々の偉大さを思う。
本来ならあの峠越えは難渋するのだろうが、広域農道が作られ、三重県と滋賀県は難なく握手した。

たぬきの置物の町、陶都信楽へ。
結構な山奥にあり、まさに山里。

ところどころに置物が見られる。
これがこの町の誇りで、ここは信楽高原鉄道の終着駅。
「関西の駅100選」に選ばれた駅では実直そうな駅長が机に向かっている。

駅前には巨大なたぬき。
ここのたぬきは皆同じ顔をしている。

観光小都市の日はじきに暮れ、空は厚い雲に覆われているが、まだ明るさを残している。

古代、この近くに都があったという。

19:07 紫香楽宮跡駅(277㎞)
古宮の跡にぽつんと無人の駅。

遥か昔の繁栄の跡。
その名を冠した駅に飾りは無用らしい。

こんな場所に都を置いた理由は何だったのか。
ある勢力から逃れるためだったのだろうか。
あるいは山岳でも信仰していたのだろうか。

毎年夏になるとこうした場所に出くわす。

去年は鹿児島開聞岳の麓でこうした駅に立ち寄った。

ここで油蝉とヒグラシの声を聞いている。

22:54 ホテルはちまん607号室(岐阜駅より317㎞)
水口、貴生川。
数年前に味わった1号国道の大渋滞を思い出し、水口という旧城下町を想った。

夜が迫っていて気が急いたわけじゃないが、あの時間帯は集中力が増す。
暗い近江路を飛ばし、途中で大がかりな夕立に遭い、名神自動車道を抜け、8号国道を抜け、やがて近江八幡。

もう道も乾く。
琵琶湖との再会は明日。
かつて対岸の志賀町をベースキャンプにしていた頃が懐かしい。

明日は琵琶湖で何を思うのか。
少しでも新しくなっているのなら、新しいことを思うだろう。

そうじゃなきゃ、古い友達を呼ぶさ。
呼ばれることを待っているヤツがいる。
オレの記憶の底に張りついている思い出たちよ。

かつて国際プロレスがやってきて、大木金太郎×上田馬之助の王座戦が組まれた街。
駅周辺は大型集合店に占められている。

ホテルに近い洒落た酒場に入った。
適当に気取っていられる店で、店員の関西弁が耳に心地よかった。

そして彼女にメールを送り、これから本格的にやてくる夏が素晴らしいものであるようにと祈った。

関連記事

「鉄旅日記」2018年エイプリルフール【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】その3-谷田川、磐城石川、磐城塙、常陸大子、玉川村、常陸大宮、上菅谷、水戸(水郡線)

鉄旅日記2018年4月1日・・・谷田川駅、磐城石川駅、磐城塙駅、常陸大子駅、玉川村駅、常陸大宮駅、上

記事を読む

「車旅日記」1998年夏【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】初日(東京-青森フェリー埠頭)-東京町田、加平PA、千代田PA、東海PA、差塩PA、福島松川PA、泉PA、金成PA、北上金ヶ崎PA、岩手山SA、湯瀬PA、津軽SA、青森フェリー埠頭

車旅日記1998年8月12日 1998・8・12 7:21 東京町田 夏の第1ラウンドのツアーか

記事を読む

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)

鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】初日(東京-倉敷)その1-東京、円町、園部、安栖里、山家、市島、柏原、谷川、西脇市、粟生(東海道新幹線/山陰本線/福知山線/加古川線)

鉄旅日記2009年11月21日・・・東京駅、円町駅、園部駅、安栖里駅、山家駅、市島駅、柏原駅、谷川駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年水無月【地元からひと駅先の松戸からは、新京成線が出ております。】-松戸、八柱、新八柱、くぬぎ山、新鎌ヶ谷、北習志野、京成津田沼、ユーカリが丘、勝田台、東葉勝田台(新京成線/京成本線/山万ユーカリが丘線)

鉄旅日記2018年6月3日・・・松戸駅、八柱駅、新八柱駅、くぬぎ山駅、新鎌ヶ谷駅、北習志野駅、京成津

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その2-伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅前ホテル

車旅日記2005年2月12日・・・伊集院駅、串木野駅、川内駅、薩摩高城駅、大隅横川駅、吉松駅、人吉駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年師走【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】初日(東京-酒田)その2‐新前橋、水上、長岡(上越線)

鉄旅日記2019年12月7日・・・新前橋駅、水上駅、長岡駅(上越線) 7:24 新前橋(しんまえばし

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【朝に宇治を出て、近江鉄道に乗る一日】最終日その2(宇治-東京)-水口、水口石橋、水口城南、八日市、近江八幡、高宮、多賀大社前、彦根(近江鉄道本線/八日市線/多賀線)

鉄旅日記2015年3月22日その2・・・水口駅、水口石橋駅、水口城南駅、八日市駅、近江八幡駅、高宮駅

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その4‐ゆだ錦秋湖、ほっとゆだ、横手、湯沢(北上線/奥羽本線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・ゆだ錦秋湖駅、ほっとゆだ駅、横手駅、湯沢駅(北上線/奥羽本線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その1 ‐金町、東京、黒部宇奈月温泉、新黒部(常磐線/北陸新幹線/富山地方鉄道本線)

鉄旅日記2020年11月21日・・・金町駅、東京駅、黒部宇奈月温泉駅、新黒部駅(常磐線/北陸新幹線

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その2‐倶利伽羅、森本、宇野気、高松(IRいしかわ鉄道/七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・倶利伽羅駅、森本駅、宇野気駅、高

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その1 ‐砺波、戸出、新高岡、金沢(城端線/北陸新幹線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・砺波駅、戸出駅、新高岡駅、金沢駅

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社

鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木

→もっと見る

    PAGE TOP ↑