「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)
鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下駅、原当麻駅、下溝駅、片倉駅、八王子駅、猿橋駅、西八王子駅、武蔵小金井駅、東小金井駅(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)
2012・11・17 12:41 保土ヶ谷(ほどがや)駅(横須賀線 神奈川県)
Hさん、いいお顔をされていたな。
生前のお人柄が偲ばれる本当にいいお顔だったよ。
ご親族の涙は胸を熱くさせ、厳粛な儀式に感動すら覚えた。
人の一生とは生きている時間を指すが、本当に死ぬのは故人の記憶を携えた者が死に絶える際だという。
それはとてもステキなことだ。
涙雨に濡れた保土ヶ谷を後にして西に向かっている。
Hさんにとっては、ことによっては迷惑かもしれないが、オレというごく局地において、あと数10年は生を刻んでいくことが約束されている。
13:06 大船(おおふな)駅(東海道本線/横須賀線/根岸線 神奈川県)
大船駅の賑わいはいつ見ても不思議だ。
なぜこれほどの人々が行き交っているのか。
そしてなぜオレはそれを不思議に思うのか。
主にその地域性に対してだが、なかなか認識を改められずにいる。
別に構わないが。
湘南モノレール乗り場が記憶と違っていた。
あれは3年前になるのか。
過去が急速な勢いでたんなる過去でしかなくなってきている。
ほんのちょっと前まですべてが愛おしかったのにな。


茅ヶ崎(ちがさき)駅にて(東海道本線/相模線 神奈川県)


13:47 香川(かがわ)駅(相模線 神奈川県)
激しい雨が降る。
単線の相模線を濡らす。
風は吹き、雨の音が激しくなる。
2、3の商店をもって駅前の商圏が尽き果てた、かつて義人がいたと伝えられる小さな駅に下りた。

13:58 北茅ヶ崎(きたちがさき)駅(相模線 神奈川県)
ひと駅戻り、ホームから見渡せる風景がその町のすべてといった趣の駅に下りる。
雨が濡らしているが、町としての潤いをあまり感じない一帯だ。
風と東邦チタニウムの工場の音とともに雨を眺めてる。

14:31 厚木(あつぎ)駅(相模線 神奈川県)
小田急電鉄の高架下。
ホーム横に車庫があり、ここには何かあると思わせたが、通りに埋め込まれるように駅は存在していた。
「こんな雨の日じゃ、何もしてあげられないよ。」
気弱なおじさんが、そんなふうに囁きかけてきそうな気配のする駅だった。

14:38 社家(しゃけ)駅(相模線 神奈川県)
また一駅戻り、袋小路の小さな駅で下りる。
迎えを待つ少女の目がオレに冷たい。
ケータイに収めるような駅じゃないってことか。
そんなことは決してないのだけれど、ごくささやかな日常だけがある駅だった。

14:58 相武台下(そうぶだいした)駅(相模線 神奈川県)
駅が近づくと人家が離れ風景が鄙びた。
まるで原っぱの中にいるようだ。
駅舎は瓦屋根の古いものだった。

15:09 原当麻(はらたいま)駅(相模線 神奈川県)
長くいられるような駅じゃない。
かつてサッカー場に向かう道で、相模線のガードを潜ると左手に駅があって、それがここ原当麻だと同乗のFさんに教えられてきた。
だが違った。
約20年振りに発覚した不都合な真実だった。

15:18 下溝(しもみぞ)駅(相模線 神奈川県)
ひと駅戻る。
相模川散策路から駅へと渡る地点には信号がない。
そう、角にそば屋があるところだ。
民家に編入されたようなローカル駅だが、この風情は嫌いじゃない。
ただビールも酒も売っていないところは神奈川県とも思えない。
そんなローカル線の旅はここで終わりにする。


15:56 片倉(かたくら)駅(横浜線 東京都)
橋本駅で横浜線に乗り換える。
八王子南郊の寂しい高架駅。
町が続いているが、寒々とした風景にコンビニのおでんの貼り紙が眩しい。
左手のこんもりとしたのが城跡なのだろう。

16:12 八王子(はちおうじ)駅(中央本線/横浜線/八高線 東京都)
人の多さに驚き、北へ伸びる通りの美しさを愛でた。
実は八王子駅に関わるのはこれで2度目で、街を知らない。
そしてあまり知ろうと思っていなかった。
あまりいい印象を持たない数少ない街のひとつだった。
原因は高校時代の同級生にある。
親しい間柄ではなく、ほとんど会話を交わしたこともないが、馬の合わない男だった。
もう30年近く前の話だけど、八王子が不良少年の多い危険な匂いのする街だと、彼から刷り込まれてここまで生きてきた。
この話は、人というのは実に様々な責任を持って生きているということの、ひとつの例として挙げられる。

17:10 猿橋(さるはし)駅(中央本線 山梨県)
今更だが生憎の雨だ。
日本三奇橋猿橋の姿は写真で見たよ。
小さな観光地の好ましげな駅前のたたずまいがあったが、新しい現代的な駅舎に特徴はなく、そして冷たく、駅の由来にそぐわない。
何よりもこの激しい雨と一日の終わりに訪れた闇に、たいていのものは隠されてしまっている。
休日おでかけパスの有効区間は次の大月まで。
帰る。

18:10 西八王子(にしはちおうじ)駅(中央本線 東京都)
踏切トラブルで中央線ダイヤは乱れている。
大垂水峠の手前、西八王子。
関東平野のへりには冬の寒気が張り付き、人々の装いもすっかり冬に変わっている。
いつの間にかだ。
あっという間にだ。
Hさんは62年の人生を長く感じていたのだろうか。
涙雨は激しくなっている。
西八王子の商店街を歩かなかったことを少しだけ後悔している。

18:48 武蔵小金井(むさしこがねい)駅(中央本線 東京都)
涙雨が嵐に変わった。
きれいな街に着いたが、どうやら駅も商業施設も最近新装なったようだ。
東口の西友には歴史が見える。
町田の西友もそうだった。
今もあるのだろうか。

19:01 東小金井(ひがしこがねい)駅(中央本線 東京都)
武蔵野の古い駅。
駅舎は新しいが、町並に過去が見える。
高校時代にこのあたりにきたことがあるが、その頃の駅周辺の姿も見えたよ。
残念だが今日はもう打ち切りだ。
中央線の遅れの原因は諸説あるし、この強風で東海道線も止まった。
そして冬がやってきた。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2014年春 最終日(魚津-東京)その1-魚津、生地、黒部、電鉄黒部、泊、親不知、越中宮崎、糸魚川、能生、梶屋敷、浦本(北陸本線) 【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】
鉄旅日記2014年3月23日その1・・・魚津駅、生地駅、黒部駅、電鉄黒部駅、泊駅、親不知駅、越中宮崎
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢
-
-
「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その5 ‐岡山、児島、高松(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月19日・・・岡山駅、児島駅、高松駅(本四備讃線/予讃本線)/児島の民話
-
-
「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田
車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気です
-
-
「鉄旅日記」2009年初夏【上信越ひとり旅】初日(東京-十日町)-上野、高崎、大前、渋川、沼田、水上、越後湯沢、六日町、越後川口、十日町(高崎線/吾妻線/上越線/飯山線)
2009・7・18 8:42 上野(うえの)駅(東北新幹線/秋田新幹線/山形新幹線/上越新幹線/長野
-
-
「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その3 ‐駒形、前橋大橋、高崎、本庄(両毛線/高崎線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】
鉄旅日記2022年5月8日・・・駒形駅、前橋大島駅、高崎駅、本庄駅(両毛線/高崎線) 14:
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 最終日(松阪-東京)-松阪、鳥羽、伊勢市、宇治山田、亀山、名古屋、豊橋、浜松、熱海(近鉄山田線/参宮線/紀勢本線/関西本線/東海道本線) 【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月21日・・・松阪駅、鳥羽駅、伊勢市駅、宇治山田駅、亀山駅、名古屋駅、豊橋駅、浜
-
-
「鉄旅日記」2022年盛夏 初日(東京-伊那市)その3 ‐龍岡城、小海、青柳、下諏訪(小海線/中央本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】
鉄旅日記2022年8月11日・・・龍岡城駅、小海駅、青柳駅、下諏訪駅(小海線/中央本線) 1
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの
-
-
「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)
鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所
