*

「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)

公開日: : 最終更新日:2023/07/01 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下駅、原当麻駅、下溝駅、片倉駅、八王子駅、猿橋駅、西八王子駅、武蔵小金井駅、東小金井駅(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)
2012・11・17 12:41 保土ヶ谷(ほどがや)駅(横須賀線 神奈川県)
Hさん、いいお顔をされていたな。
生前のお人柄が偲ばれる本当にいいお顔だったよ。

ご親族の涙は胸を熱くさせ、厳粛な儀式に感動すら覚えた。
人の一生とは生きている時間を指すが、本当に死ぬのは故人の記憶を携えた者が死に絶える際だという。
それはとてもステキなことだ。

涙雨に濡れた保土ヶ谷を後にして西に向かっている。

Hさんにとっては、ことによっては迷惑かもしれないが、オレというごく局地において、あと数10年は生を刻んでいくことが約束されている。

13:06 大船(おおふな)駅(東海道本線/横須賀線/根岸線 神奈川県)
大船駅の賑わいはいつ見ても不思議だ。
なぜこれほどの人々が行き交っているのか。
そしてなぜオレはそれを不思議に思うのか。

主にその地域性に対してだが、なかなか認識を改められずにいる。
別に構わないが。

湘南モノレール乗り場が記憶と違っていた。
あれは3年前になるのか。

過去が急速な勢いでたんなる過去でしかなくなってきている。
ほんのちょっと前まですべてが愛おしかったのにな。

茅ヶ崎(ちがさき)駅にて(東海道本線/相模線 神奈川県)

13:47 香川(かがわ)駅(相模線 神奈川県)
激しい雨が降る。

単線の相模線を濡らす。

風は吹き、雨の音が激しくなる。

2、3の商店をもって駅前の商圏が尽き果てた、かつて義人がいたと伝えられる小さな駅に下りた。

13:58 北茅ヶ崎(きたちがさき)駅(相模線 神奈川県)
ひと駅戻り、ホームから見渡せる風景がその町のすべてといった趣の駅に下りる。

雨が濡らしているが、町としての潤いをあまり感じない一帯だ。

風と東邦チタニウムの工場の音とともに雨を眺めてる。

14:31 厚木(あつぎ)駅(相模線 神奈川県)
小田急電鉄の高架下。

ホーム横に車庫があり、ここには何かあると思わせたが、通りに埋め込まれるように駅は存在していた。

「こんな雨の日じゃ、何もしてあげられないよ。」

気弱なおじさんが、そんなふうに囁きかけてきそうな気配のする駅だった。

14:38 社家(しゃけ)駅(相模線 神奈川県)
また一駅戻り、袋小路の小さな駅で下りる。

迎えを待つ少女の目がオレに冷たい。

ケータイに収めるような駅じゃないってことか。

そんなことは決してないのだけれど、ごくささやかな日常だけがある駅だった。

14:58 相武台下(そうぶだいした)駅(相模線 神奈川県)
駅が近づくと人家が離れ風景が鄙びた。

まるで原っぱの中にいるようだ。

駅舎は瓦屋根の古いものだった。

15:09 原当麻(はらたいま)駅(相模線 神奈川県)
長くいられるような駅じゃない。

かつてサッカー場に向かう道で、相模線のガードを潜ると左手に駅があって、それがここ原当麻だと同乗のFさんに教えられてきた。

だが違った。

約20年振りに発覚した不都合な真実だった。

15:18 下溝(しもみぞ)駅(相模線 神奈川県)
ひと駅戻る。

相模川散策路から駅へと渡る地点には信号がない。
そう、角にそば屋があるところだ。

民家に編入されたようなローカル駅だが、この風情は嫌いじゃない。

ただビールも酒も売っていないところは神奈川県とも思えない。

そんなローカル線の旅はここで終わりにする。

15:56 片倉(かたくら)駅(横浜線 東京都)
橋本駅で横浜線に乗り換える。

八王子南郊の寂しい高架駅。

町が続いているが、寒々とした風景にコンビニのおでんの貼り紙が眩しい。

左手のこんもりとしたのが城跡なのだろう。

16:12 八王子(はちおうじ)駅(中央本線/横浜線/八高線 東京都)
人の多さに驚き、北へ伸びる通りの美しさを愛でた。

実は八王子駅に関わるのはこれで2度目で、街を知らない。
そしてあまり知ろうと思っていなかった。

あまりいい印象を持たない数少ない街のひとつだった。
原因は高校時代の同級生にある。

親しい間柄ではなく、ほとんど会話を交わしたこともないが、馬の合わない男だった。
もう30年近く前の話だけど、八王子が不良少年の多い危険な匂いのする街だと、彼から刷り込まれてここまで生きてきた。

この話は、人というのは実に様々な責任を持って生きているということの、ひとつの例として挙げられる。

17:10 猿橋(さるはし)駅(中央本線 山梨県)
今更だが生憎の雨だ。

日本三奇橋猿橋の姿は写真で見たよ。
小さな観光地の好ましげな駅前のたたずまいがあったが、新しい現代的な駅舎に特徴はなく、そして冷たく、駅の由来にそぐわない。

何よりもこの激しい雨と一日の終わりに訪れた闇に、たいていのものは隠されてしまっている。

休日おでかけパスの有効区間は次の大月まで。

帰る。

18:10 西八王子(にしはちおうじ)駅(中央本線 東京都)
踏切トラブルで中央線ダイヤは乱れている。

大垂水峠の手前、西八王子。
関東平野のへりには冬の寒気が張り付き、人々の装いもすっかり冬に変わっている。

いつの間にかだ。
あっという間にだ。

Hさんは62年の人生を長く感じていたのだろうか。

涙雨は激しくなっている。

西八王子の商店街を歩かなかったことを少しだけ後悔している。

18:48 武蔵小金井(むさしこがねい)駅(中央本線 東京都)
涙雨が嵐に変わった。

きれいな街に着いたが、どうやら駅も商業施設も最近新装なったようだ。

東口の西友には歴史が見える。
町田の西友もそうだった。

今もあるのだろうか。

19:01 東小金井(ひがしこがねい)駅(中央本線 東京都)
武蔵野の古い駅。

駅舎は新しいが、町並に過去が見える。

高校時代にこのあたりにきたことがあるが、その頃の駅周辺の姿も見えたよ。

残念だが今日はもう打ち切りだ。
中央線の遅れの原因は諸説あるし、この強風で東海道線も止まった。

そして冬がやってきた。

関連記事

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その1-町田、御殿場、道の駅富士川、静岡駅、掛川

車旅日記1996年5月3日 1996・5・3 0:36 東京町田 旅が始まる。 今はそれ以外の

記事を読む

「車旅日記」1998年春【下北半島を目指した春。男の旅は北を目指すものと思っていた20代後半。高倉健さんの影響でございましょうか。】3日目(津軽SA-十和田湖-酒田駅-鳴子温泉)-津軽SA、温川、十和田湖休屋、長木渓谷、道の駅鷹巣、道の駅琴丘、道の駅西目、象潟駅、酒田駅、道の駅戸沢、鳴子サンハイツ

車旅日記1998年5月3日 1998・5・3 5:45 東北自動車道-津軽SA 1087km 聞

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】3日目 金沢を後にして‐その3(R8→北陸道)小矢部、富山駅、有磯海SA

車旅日記1996年5月5日 22:15 8号国道‐小矢部 恋する女よ。 あれからオレはまだ走っ

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】最終日(多治見-東京)その2-中津川、坂下、落合川、南木曽、十二兼、洗馬、塩尻(中央本線)

鉄旅日記2019年3月24日・・・中津川駅、坂下駅、落合川駅、南木曽駅、十二兼駅、洗馬駅、塩尻駅(中

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線)

鉄旅日記2014年12月28日・・・小菅駅、五反野駅、梅島駅、田島駅、渡瀬駅、県駅、東武和泉駅、福居

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】初日(東京-紀伊勝浦)その1-熱田、尾頭橋、八田、四日市、亀山、一身田、津、高茶屋、松阪(東海道本線、関西本線、紀勢本線)

鉄旅日記2014年3月8日その1・・・熱田駅、尾頭橋駅、八田駅、四日市駅、亀山駅、一身田駅、津駅、高

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】2日目(都城-鹿児島-川内-人吉)走行距離284㎞ その1-都城駅、西都城駅、財部駅、霧島神宮駅、国分駅、錦江駅、鹿児島駅

車旅日記2005年2月12日 2005・2・12 8:30 都城駅(2月11日の熊本空港より271

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その3‐小牛田、一ノ関、北上、柳原、江釣子(東北本線/北上線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・小牛田駅、一ノ関駅、北上駅、柳原駅、江釣子駅(東北本線/北上線)

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、丹後若狭から北陸、信州へ】最終日(魚津-東京)その2-有間川、谷浜、名立、直江津、犀潟、二本木、今井、川中島、姨捨、信濃境、すずらんの里、富士見(北陸本線/信越本線/篠ノ井線/中央本線)

鉄旅日記2014年3月23日その2・・・有間川駅、谷浜駅、名立駅、直江津駅、犀潟駅、二本木駅、今井駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.1【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】初日(東京-紀伊田辺)その1-金町、名古屋、多気、川添、三瀬谷(常磐線/東海道本線/関西本線/伊勢鉄道/紀勢本線)

鉄旅日記2019年3月2日・・・金町駅、名古屋駅、多気駅、川添駅、三瀬谷駅(常磐線/東海道本線/関西

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その1‐松戸、土浦、友部(常磐線)

鉄旅日記2020年4月4日・・・松戸駅、土浦駅、友部駅(常磐線) 20

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その4‐藤枝、静岡、熱海、上野、北千住(東海道本線/常磐線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・藤枝駅、静岡駅、熱海駅、上野駅、北千

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その3‐多治見、金山、豊橋、御厨(太多線/中央本線/東海道本線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・多治見駅、金山駅、豊橋駅、御厨駅(太

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】最終日(速星-東京)その2‐猪谷、高山、久々野、古井、美濃川合(高山本線/太多線)

鉄旅日記2020年3月22日・・・猪谷駅、高山駅、久々野駅、古井駅、美

→もっと見る

    PAGE TOP ↑