*

「車旅日記」2005年初夏 初日(長岡-山形)走行距離388㎞ その2-福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2005年

車旅日記2005年7月16日・・・福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通

17:00 福島駅(7月16日の長岡駅より255㎞)
あれから10年だったな。
信夫山のことは忘れていた。

礼儀正しい磐城人が通り過ぎていく。
郡山で暮らす友人夫婦のように、磐城国の人々は穏やかそうだ。

東北に足を踏み入れるのは5年ぶりになる。
たぶん変わっていないのだろう。
そう、何もかもが。

福島盆地は東京のような蒸し暑さに見舞われている。
夕立でもくれば、また歴史の雨ともなるが、そうはなりそうもなく、またそれでいい。

5月の富山以来、大きな街に着いた。
いい街だな。
今日はまったく歩いていないが、オレは東口の繁華街を知っている。

福島入りの前には土湯温泉を抜けてきた。
あそこだろ。
子供の頃の記憶に残っている温泉街は。
近くの川が錆び色をしていたよ。

2016年3月6日撮影

18:03 峠駅(7月16日の長岡駅より288㎞)
峠を上り山形県へ。
そして峠の駅へ。

峠で雨が降った。
少し大粒の雨が峠駅上空から落ちてきた。
でも駅は濡れない。

長いトンネルをくぐってきた奥羽本線。
山形新幹線はここで格納庫に収まるように停車する。

この木柵の向こうに何があるのか。
まさか駅があるとは誰も思わない。
駅名に魅かれて寄ってみたが、こんな想像を絶するような面白さを持つ駅であることに驚いた。

歴史の雨はこの峠で降った。
もっとも、よく降るのだろう。
峠とはそういうものだ。

こんな場所にわざわざやってくるのは、オレみたいなもの好きだけだろう。
暗いトンネルの中に照らされたホームはとても幻想的だった。

19:35 今泉駅(7月16日の長岡駅より337㎞)
峠で赤い真ん円の夕日を見た。

米沢を抜けて13号国道を迂回して、287号国道。
今泉駅はJR米坂線と山形鉄道が乗り入れる風情のある駅だった。

駅前で迎えの車を待つオッサンと少女。
空はまだ明るさを残している。
東北の空がこんなにも暮れないことを知らずにいた。

今はもう夏か。
蝉の声が小さくなり、蛙をはじめとした地下や地上の虫たちがさわさわと動き出す音が聞こえる。
田舎の夏の音だ。
気温はまだ20度以上を残している。

今になって東北の山河に包まれている喜びが湧いてきた。

昔ながらの駅舎に灯がついている。
京都では今夜が祇園祭の宵々々山にあたるはずだ。

2019年1月5日撮影

20:00 荒砥駅(7月16日の長岡駅より354㎞)
山形鉄道の終着駅は廃れちゃいない。
まるで結婚式場のようなきれいな駅舎が、闇夜に浮かぶように建っている。
今日の仕事はすべて終えているけど、きれいな灯をともして、「よかったら使ってくれ」と言ってくれている。

この先にも線路は延ばせるが、ここでおしまい。
今日のオレもそうだ。
これで思い残すことなく山形で眠れる。

煙草が吸える粋な駅だった。
夏の夜の風情は、人気のないこのあたりにも濃厚に漂っている。

2011年11月6日撮影

23:38 アパホテル山形駅前大通302号室(7月16日の長岡駅より388㎞)
サクランボ娘はいかしていた。
東北のラッパーのスタイルは東京と同じだが、敵対心はなさそうで、ギター弾きは地下道で夢を見ている。

山形牛に里芋鍋。
美味かったよ。
美味いものを食べたのは富山以来だな。

東京での暮らしに疲れて、今日はそんな心の疲労を引きずっていた。
山形の街が案外狭くてよかった。
今日のオレじゃあちこち歩いて回れないから。

10年前の記憶は今も鮮明で、人のいい山形人に救われたことを覚えている。
オレにできる借りの返し方は山形県で金を使うこと。
でも悪いな。。
せいぜいあの程度だ。
あとは明日ガソリンでも入れて、昼飯を鶴岡あたりでと思っている。

今日のオレは10年前のオレでもなく、旅人でもなく、何となく車を転がしていただけの男のようだった。
どことなく冴えなくて。
それでも400㎞近く車を転がしてここまできた。
やりたいことはしている。

彼女の顔は何度も浮かんだ。
でもとどめておこうとは思わなかった。
ひとり旅だ。
それでいい。

相変わらず明日のルートは明確じゃない。
早く路上に出たいけど、今夜はゆっくり眠りたい。

こんなに静かな夜。
山形がせっかく差しだしてくれている。

関連記事

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、甲斐駿河途中下車旅】その2-源道寺、入山瀬、下部温泉、塩之沢、甲斐常葉、市川大門、甲府、新府、穴山、東山梨、東所沢(身延線、中央本線、武蔵野線)

鉄旅日記2013年3月3日その2・・・源道寺駅、入山瀬駅、下部温泉駅、塩之沢駅、甲斐常葉駅、市川大門

記事を読む

「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、みちのくひとり旅】最終日(羽後本荘-東京)-羽後本荘、古口、袖崎、天童、漆山、かみのやま温泉、山形、左沢、寒河江、長町、太子堂、南仙台、名取、館腰、船岡(羽越本線、陸羽西線、奥羽本線、左沢線、東北本線)

鉄旅日記2012年8月15日・・・羽後本荘駅、古口駅、袖崎駅、天童駅、漆山駅、かみのやま温泉駅、山形

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 2日目(五所川原-北上)その1‐五所川原、津軽五所川原、津軽中里、鯵ヶ沢、東能代(津軽鉄道/五能線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月3日・・・五所川原駅、津軽五所川原駅、津軽中里駅、鯵ヶ沢駅、東能代駅(津軽鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 2日目(大垣-姫路)その1-大垣、能登川、栗東、草津、石部、三雲、甲南、油日、甲賀、柘植(東海道本線/草津線)【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月12日・・・大垣駅、能登川駅、栗東駅、草津駅、石部駅、三雲駅、甲南駅、油日駅、

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.2 2日目(琵琶湖志賀-福山)桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 【友を訪ねて備後福山へ。長門宇部へ。2000㎞に及ぶ長大な旅路でございました。】

車旅日記2000年8月13日・・・桂川PA、三木SA、白鳥PA、篠坂PA、芦田川畔 2000・8・

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 初日(東京-防府)その1‐金町、東京、広島(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月13日・・・金町駅、東京駅、広島駅(常磐線/京浜東北線/東海道・山陽新幹線)

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その1-掛川、掛川市役所前、西掛川、天竜二俣、西気賀、寸座、浜名湖佐久米、三ケ日、新所原(天竜浜名湖鉄道)

鉄旅日記2015年3月28日その1・・・掛川駅、掛川市役所前駅、西掛川駅、天竜二俣駅、西気賀駅、寸座

記事を読む

「車旅日記」2005年春 最終日(富山-松本)走行距離218㎞ その2-泊駅、越中宮崎駅、市振駅、糸魚川駅、頸城大野駅、小滝駅、平岩駅、白馬大池駅、安曇追分駅 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月30日・・・泊駅、越中宮崎駅、市振駅、糸魚川駅、頸城大野駅、小滝駅、平岩駅、白

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢駅、野々市駅(北陸本線/北陸鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その1‐宮古、岩手船越、浪板海岸、吉里吉里(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・宮古駅、岩手船越駅、浪板海岸駅、吉里吉里駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その2 ‐八景島、金沢八景、杉田、新杉田(金沢シーサイドライン/京浜急行本線) 【根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・八景島駅、金沢八景駅、杉田駅、新杉田

「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その1 ‐金町、桜木町、関内、新杉田(常磐線/京浜東北・根岸線) 【金沢シーサイドライン、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】

鉄旅日記2022年3月5日・・・金町駅、桜木町駅、関内駅、新杉田駅(

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その3 ‐土浦、荒川沖、藤代、柏(常磐線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・土浦駅、荒川沖駅、藤代駅、柏駅(常磐

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その2 ‐水戸、羽黒、稲田、福原、友部(水戸線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・水戸駅、羽黒駅、稲田駅、福原駅、友部

「鉄旅日記」2022年如月 最終日(常陸大子-東京)その1 ‐常陸大子、磐城棚倉、東館(水郡線) 【十二橋駅~潮来駅、鹿島神宮西の一之鳥居~鹿島神宮、棚倉を歩く旅。】

鉄旅日記2022年2月6日・・・常陸大子駅、磐城棚倉駅、東館駅(水郡

→もっと見る

    PAGE TOP ↑