「鉄旅日記」2012年夏【青春18きっぷで、富山・岐阜途中下車旅】最終日(富山-東京)その2-美濃太田、可児、姫、下切、南木曽、田立、勝沼ぶどう郷(太多線、中央本線)
鉄旅日記2012年8月26日その2・・・美濃太田駅、可児駅、姫駅、下切駅、南木曽駅、田立駅、勝沼ぶどう郷駅(太多線、中央本線)
13:18 美濃太田(みのおおた)駅(高山本線/太多線/長良川鉄道 岐阜県)
街に下りた。
飛騨川はここで木曽川と合流し、やがて日本ラインとなる。
5年前この駅で下りた時は雨だった。
あの時は木曽川を見に行ったんだ。
ここが美濃加茂だったんだな。
美濃太田市だとばかり思っていたよ。
いずれ越美南線に乗りに戻ってくる。
その際にどういう計画を立てるが知らないが、過ごしやすそうなホテルがここにはある。
新可児(しんかに)駅(名鉄広見線 岐阜県)にて
14:01 可児(かに)駅(太多(たいた)線 岐阜県)
戦国時代の豪傑、可児才蔵の生まれ故郷であることは間違いないだろう。
駅を下りて名鉄の終着駅があることに驚いた。
駅前には何もないが、可児川を越えた先に行政区があり、ホテルも2、3遠望できる。
歩くにつれて驚きが増す。
たいした街じゃないか。
駅前からは想像もできない。
営業中かどうか疑わしいホテルの1階に、まるでシロアリが不法占拠したかのようにスナック街が並ぶ光景も驚きに値する。
何だか壮観だったよ。
名鉄の売店でビールを買ったら290円と、ちょっと高い。
そしたら柿ピーがおつまみとしてついてきた。
高いのは許すよ。
太多線・・・初めての土地を旅している。
14:34 姫(ひめ)駅(太多線 岐阜県)
ここは姫町。
涼しい風を受けてたたずむ。
なんでこんな場所にいるのかと思ったけど、長い人生のたかだか30分だ。
悪くない。
会社の椅子に座っていることを思えば奇跡のような場所に今オレはいる。
鐘つき堂が見え、線路沿いに5分ほど歩くと、煙草が吸える場所を見つけた。
角にJA、並行する通りに幸寿司。
そして恵美子という小料理屋。
その名前には甘い記憶がある。
そして特別な思いがふいに訪れて切なくなる。
浴衣姿の女性が乗っている。
今夜は近くの涼しげな河原で花火が打ち上がるのだろう。
14:43 下切(しもぎり)駅(太多線 岐阜県)
姫で時間を潰せずに一駅戻る。
さっき通り過ぎた何もない駅だ。
それでも列車はやってきて止まり、また人を乗せて終着駅に向かう。
ある意味崇高な営みだ。
乗客はオレとあとひとり。
これは秋の風だ。
そして虫の声も秋の勢力が奏でるものに変わりつつある。
でも不思議だな。
蝉の声が聞こえだすと秋の勢力はなりを潜める。
16:48 南木曽(なぎそ)駅(中央本線 長野県)
多治見で中央本線に乗り換える。
木曽川の流れとともに。
観光ホテルの送迎バスが出迎える町で、下りた客はとても少なかった。
スーパーのオバチャンの愛想はかなり下位にランクされることだろう。
駅前一等地には廃墟が見られ、木曽川沿いの国道を走る車もライダーも先を急いでいる。
失望したわけじゃないんだ。
ただ時間が潰せないだけなんだ。
だからまた一駅戻るという作戦を実行する。
うまくいけばそこで煙草が吸えるだろう。
駅舎は木曽福島駅と同じモデルだろう。
特急列車が遅れて到着した。
南木曽岳を確認したい。
17:14 田立(ただち)駅(中央本線 長野県)
駅に着いて煙草に火をつけると爆薬が弾ける音が間近で響いた。
猟師だか猟友会だかが放った銃声か。
それとも見張り塔にいる者が放ったオレの喫煙行為に対しての威嚇か。
いずれにせよ撃たれるのはイヤだなと思った。
田立の滝というのがあるようだ。
看板は夏草に埋もれている。
夏の香りを嗅ぐのはあれが今年最後の機会だったのかもしれない。
オレらしい幕引きとも言える。
「夏草がー」というケミストリーが歌ったヒット曲が頭に浮かんでくる。
21:28 勝沼ぶどう郷(かつぬまぶどうきょう)駅(中央本線 山梨県)
見事な夜景が見られる筈だと思っていたよ。
明るい時間でさえ甲府盆地は美しい。
今夜は目を見張ったよ。
まるで函館山だ。
たいていの名所の情報は目にしたり耳にするのが東京での暮らしの筈だが、山梨エリアは何者かの手によって隠蔽されてきたのだろうか。
別に構わないが、何を考えるでもなく茫々と30分景色だけに見とれて過ごせる場所をここ以外には知らない。
海は別格だが、それでもそのあとにどれだけ暇な時間を持ち合わせていたとしても、おそらく10分もすれば腰を上げてきた。
ここは静かで、見上げれば秋田で見たような星の瞬きがある。
こんな時間にこの駅にいて、灰缶が置かれているベンチを占拠できた幸運に酔いしれていたよ。
出発時刻が近づくとにわかに送迎車が丘を上がってくる。
駅は中央本線の中では唯一と言って差し支えない、暮らしの世界とはかけ離れた辺鄙な高台に位置している。
到着した21:00はぶどうとワインを売るのに適した時間じゃなく、地中海に面した金持ちの別荘のような駅舎はまるで廃墟のように暗く静まりかえり、裏手に目をやれば蔦の育成に適した環境を与えている。
007が柱の影で隙を覗っているようなミステリアスな駅舎だ。
あの夜景をうまく携帯カメラに収めたかったけど、叶わなかった。
ひとつくらいうまくいかないことがあるのが人生だ。
ある程度の達観が必要なのも人生だ。
諦めじゃない。
達観だ。
最後にあの最高にステキなひとりぼっちの世界を堪能できて幸せだ。
こういう終わり方は正直頭になかったよ。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、銚子へ、房総へ。】その2-猿田、旭、八日市場、八街、成東、本納、茂原、千倉、佐貫町、姉ヶ崎、市川(総武本線、東金線、内房線、外房線)
鉄旅日記2012年3月12日その2・・・猿田駅、旭駅、八日市場駅、八街駅、成東駅、本納駅、茂原駅、千
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】最終日(門司港-東京)その4‐周防高森、徳山、下松、光(岩徳線/山陽本線)
鉄旅日記2020年8月16日・・・周防高森駅、徳山駅、下松駅、光駅(岩徳線/山陽本線) 12
-
-
「鉄旅日記」2009年秋【関東ぶらぶら旅その3-武蔵国で遊ぶ日。7つの交差点へ。】-越生、坂戸、小川町、寄居、羽生、久喜、新越谷、南越谷(東武越生線/東武東上線/秩父鉄道/東武伊勢崎線/武蔵野線)
鉄旅日記2009年11月3日・・・越生駅、坂戸駅、小川町駅、寄居駅、羽生駅、久喜駅、新越谷駅、南越谷
-
-
「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】初日(東京-三ノ宮)-金町、東京、静岡、浜松、弁天島、大垣、美濃赤坂、石山寺、膳所、尼崎、西宮、芦屋、三ノ宮(東海道本線、美濃赤坂支線、京阪石山坂本線)
鉄旅日記2009年5月1日・・・金町駅、東京駅、静岡駅、浜松駅、弁天島駅、大垣駅、美濃赤坂駅、石山寺
-
-
「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】初日(東京-盛岡)その3-盛岡、上米内、区界(東北本線/山田線)
鉄旅日記2019年9月21日・・・盛岡駅、上米内駅、区界駅(東北本線/山田線) 17:39 盛岡(も
-
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その4‐安積永盛、鏡石、須賀川、新白河、黒磯、宇都宮(東北本線)
鉄旅日記2020年2月24日・・・安積永盛駅、鏡石駅、須賀川駅、新白河駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】2日目(五所川原-北上)その1‐五所川原、津軽五所川原、津軽中里、鯵ヶ沢、東能代(津軽鉄道/五能線)
鉄旅日記2019年11月3日・・・五所川原駅、津軽五所川原駅、津軽中里駅、鯵ヶ沢駅、東能代駅(津軽鉄
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その5‐福井、新福井、勝山、福井口(えちぜん鉄道勝山永平寺線)
鉄旅日記2020年11月22日・・・福井駅、新福井駅、勝山駅、福井口駅(えちぜん鉄道勝山永平寺線)
-
-
「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】初日(東京-下今市-会津高原尾瀬口-会津若松)その1-大泉学園、北千住、東武動物公園、上三依塩原温泉口、中三依温泉、会津高原尾瀬口、七ヶ岳登山口、会津山村道場(西武池袋線/東武伊勢崎線/東武鬼怒川線/野岩鉄道/会津鉄道)
鉄旅日記2017年12月2日・・・大泉学園駅、北千住駅、東武動物公園駅、上三依塩原温泉口駅、中三依温
-
-
「鉄旅日記」2014年冬【フリー切符で行く、両毛ローカル旅】最終日(桐生-東京)-間藤、足尾、通洞、神戸、水沼、大間々、相老、桐生、西桐生、新里、膳、大胡、江木、中央前橋、治良門橋、三枚橋、太田(わたらせ渓谷鐵道/上毛電鉄/東武伊勢崎線)
鉄旅日記2014年12月29日・・・間藤駅、足尾駅、通洞駅、神戸駅、水沼駅、大間々駅、相老駅、桐生駅