「鉄旅日記」2009年秋 3日目(大分-佐賀)その2-大牟田、銀水、西鉄銀水、瀬高、荒木、久留米、鳥栖、佐賀(鹿児島本線/長崎本線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月20日・・・大牟田駅、銀水駅、西鉄銀水駅、瀬高駅、荒木駅、久留米駅、鳥栖駅、佐賀駅(鹿児島本線/長崎本線)
2009・9・20 17:52 大牟田(おおむた)駅(鹿児島本線/西鉄本線 福岡県)
5年前の雨がいったん上がった町。
当時はここから西鉄が出ていることは知らなかった。
ここ大牟田からJRと西鉄は博多まで寄り添うように進んでいく。
かつての炭鉱町、三池の繁栄は昔。
駅周辺に繁華街は見当たらない。
鹿児島本線はとても空いていた。
西鉄大牟田(にしてつおおむた)駅(西鉄本線 福岡県)にて
18:14 銀水(ぎんすい)駅(鹿児島本線 福岡県)
三池高校で蝉が鳴いた。
全国制覇の町をほんの少し歩く。
西鉄銀水駅までを往復。
途中、閉まっている焼鳥屋の他に商店はなく、大型スーパーに久留米ナンバーが殺到していた。
銀水という地名の由来を知りたいと思う。
そして夕暮れ。
久留米に着くのは19時前。
西鉄銀水(にしてつぎんすい)駅(西鉄本線 福岡県)にて
18:33 瀬高(せたか)駅(鹿児島本線 福岡県)
特急通過待ちで5分停車。
人の出入りはある。
酒場もありそうだ。
瀬高はかつてのターミナル駅。
ここから水郷柳川を通って佐賀駅に至る佐賀線が出ていた。
駅周辺にその痕跡を探す。
線路は剥がされているが、水郷に向かう廃線跡を見た。
今じゃオレも立派な鉄道オタクだ。
18:52 荒木(あらき)駅(鹿児島本線 福岡県)
この駅で快速列車に乗り換える。
完全に日は暮れた。
駅前に出てみる。
何もないとは言いたくないが、記憶できるほどのものは見られない。
新しい駅舎がまるでBARのような灯をかざしていた。
19:08 久留米(くるめ)駅(鹿児島本線/久大本線 福岡県)
新幹線化は久留米でも進んでいる。
熊本で呆然としたから、ここでも危ぶんだが、駅舎の外観は無事なようだ。
しっかりと目に収める。
次に降りることがあったら、変貌していることだろう。
できることなら、久留米駅を示す赤く輝く文字は残してほしい。
もう一度言うが、鹿児島本線はとても空いている。
大牟田と同じように駅前に街はなかった。
ここから西鉄駅は少し離れている。
おそらく街はそっちにあるのだろう。
かつてPWF王者として来日したビル・ロビンソンが前王者キラー・トーア・カマタを迎え撃った街、久留米。
豚骨ラーメンの本場でもあるようだ。
見事防衛を果たしたビル・ロビンソンは、その後宇都宮でアブドーラ・ザ・ブッチャーの前に屈して、王座を英国に持ち帰ることは叶わなかった。
19:32 鳥栖(とす)駅(鹿児島本線/長崎本線 佐賀県)
鳥栖駅は変わっていなかった。
鳥栖には九州新幹線は止まらないのだろうか。
駅舎も駅前の雑居ビルもそのままだった。
使い込まれた駅舎はいい味を出して、存在感は他を圧している。
鳥栖駅を示す文字もまた赤く輝いている。
構内も広い。
大鉄道駅だ。
列車は発車した。
乗り合わせているのは大半が佐賀人だろう。
5年前に肥前山口駅の階段でギターの練習をしていた青年は、まだ町に残っているだろうか。
23:25 佐賀シティホテル416号
駅前にはたいしたものがないことは知っていた。
ただ、5年前に初めて佐賀に下りた時は車だった。
よくよく歩けば飲み屋街くらい見つかるだろうと思っていたが、やはり途方に暮れる羽目になった。
駅前通りは官庁街の装いで、佐賀という街の格を持っていたが、しばらく歩いて駅前はダメだと悟り、先にチェックインしてホテルで繁華街の場所を聞いた。
愛敬町という酒場街があるが、歩くと20分ほどかかるという。
構わない。
それくらい歩くさ。
すれ違う者はなく、大通りを折れると都会らしい灯も消えて、疑心暗鬼にかられながら歩いた。
やがて細々とした灯が見えてきて、酒場街の入口にあたるところにキャバクラが現れ、客引き男とホステス。
女性の顔立ちはいい。
それにしても閑散としている。
すれ違うのはヤクザ者ばかり。
寿司屋に客の姿はなく、まるで町全体が場末で、新宿歌舞伎町を歩くよりよほど怖かった。
治安がよさそうにも見えない。
それでも勤め人たちが騒いでいる一角まで行き着いた。
そこは白山町というらしい。
角にきれいな女性が立っていた。
そうなんだ。
女性たちは誰もが美しかった。
選んだのは炉端焼きの大衆酒場。
元気なおかみさんと倅の大将が切り盛りしている店だった。
カウンターに座る。
少し離れたところには、滋賀からやってきたというお孫さんが所在無げに腰かけ、テレビじゃ「天地人」。
関ヶ原の場面で、小栗旬さん演じる石田三成が伊吹山中を彷徨っていた。
続いた番組は、王さん、長嶋さんの物語。
その話は途中で切られてしまった。
おでんにサバのごま和え。
酒が進む。
佐賀弁と標準語を織り交ぜて話すおかみさんは、いろいろな話を聞かせてくれた。
ここに店を出して32年になるという。
「いい加減きつかー」と笑いながら話す。
なぜ、ここに繁華街があるのかとの問いには満足できる回答はなかった。
「酒は好きか」と聞かれ、「そりゃそうだが、九州人に対して大きなことは言えない」と答えると、「以前は一升飲んでいた」と豪快に笑う。
そして今じゃ肝臓をやられて医者に止められているとのこと。
「よか?空いとう?」
常連客が入ってくる。
思えば、これまで方言丸出しで喋ってくれる街にいたことはなかったと、しばし思いにふけり店を出た。
愛敬町は通らなかった。
あの通りはヤバいよ。
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