*

「鉄旅日記」2017年夏【私鉄王国で過ごす夏】初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/25 旅話, 旅話 2017年

鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄道/高山本線)

16:53 郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅(長良川鉄道 岐阜県)
ドアが開いたら蜩の声が聞こえてくる。
夏の充分条件だ。
オレの暮らしの中では石神井公園しか思いつかない。

駅前は閑散としている。
町の中心まで約2キロ。

中央通りを進み、中心に近づくにつれて通りは観光色を身につけ、やがて観光客に呑まれた。

郡上八幡旧庁舎記念館を左に曲がり吉田川を渡る。

郡上八幡城を見上げ、小駄良川に架かる清水橋で水と戯れる人々を見る。

中国人女性にシャッターを押してくれるよう頼まれた。
彼女は写真に満足して謝謝。

駅に戻ると人声は疎らになる。

駅前でビールを買って、涼しいし、気持ちも穏やか。

こんな風景の中で暮らしたことはないが、オレの頭の中にはいつもこんな風景があって、思い出す度に懐かしい気持ちになる。

夕暮れ前に雲間から陽射しが。

空にも青が戻って、いつしか心も上天気。



郡上八幡の町並








18:16 北濃(ほくのう)駅(長良川鉄道 岐阜県)
在りし日。
オレは鉄路と並走する156号国道を車を走らせて、九頭竜湖に向かったのだろう。

国鉄はこの鉄路を九頭竜湖に繋げて、福井へと抜ける壮大なルートを計画して、ここで頓挫した。
旧国鉄越美南線、長良川鉄道の終着駅、北濃。

美濃太田から72キロ。
ここまでトンネルを潜った記憶はない。
ここから先は必要になる。
そして集落は稀だ。

きっと他の地域に様々な計画が持ち上がって先を越されるうちに、国鉄は民営化されたのだろう。

同じような事情で開通が待たれ、実現した三江線が、来年だかに廃線が決まった。
皮肉な現実だ。

過去の記録を手繰る必要があるが、ビールを買いに歩いていった「道の駅白鳥」にも寄ったような気がする。

高山本線の風景とよく似た旧越美南線。

今年は仕事が思うようにいかない中で、ブログを立ち上げ、新たな関係性の構築に動き、様々な現実の中で、こうして懐かしげな風景に包まれて蝉の声を聞いていると、なんだか遠くを眺めている気分になる。

それが過去であれ、未来であれ、今見ている空と同じ色になる。

黒雲を連れてるけど、悪くない夕焼け空だ。



北濃駅前風景

18:51 美濃白鳥(みのしらとり)駅(長良川鉄道 岐阜県)
列車の交換待ちで外に出たら、またぱらっと降ってきた。

台風5号の進路にあたった当地の被害を心配した記憶が甦った。

何で最近はそうなる。
自然界がもたらす暴力になすすべのない人間が下らない政争にかまけている。
優先事項は連中とオレとじゃ決定的な違いがある。

たった今、天界に架けられたかと思わせる橋の下を通った。

美濃白鳥は町だった。
駅前を出て、そのまま歩きだしたくなったよ。

19:26 郡上八幡(ぐじょうはちまん)駅(長良川鉄道 岐阜県)
交換待ちで4分の停車。
夜になった町に戻ってきた。

今は郡上おどりの最中。
祭囃子でも聞こえるかと表に出てみれば花火の音が聞こえた。

ここも川上健一さんの「祭囃子が聞こえる」に描かれた町。
刈和野、越中八尾、西大寺・・・。

あの物語に登場する橋はどれだったのだろう。

またあの小説を手にとりたくなった。

20:25 関(せき)駅(長良川鉄道 岐阜県)
刃物の街は夜の明かりが少なかった。

今オレの頭を悩ませている仕事のクライアントがここ関を発祥の地としている。
今はこの様だが、良縁にしてみせると誓う。

ふと見た灯りは、小さな剣道場だった。

北濃からこうして戻ってきて、長良川はすでに姿を消し、時に民家の庭かと思うようなせせこましいところを通る。

街が近づいている。

富加でドアが開いたら、醤油の匂いが香った。

弱い雨が落ちている。

20:52 美濃太田(みのおおた)駅(高山本線/太多線/長良川鉄道 岐阜県)
随分と街が明るく見える。
夜の高山本線は初めてになる。

外に出たかったが乗り換えは6分。
ホームから確かあんな街だったと思い出しながら、5年ぶりになる街の灯を眺めた。

どこの国の青年だか知らないが、日本人ではなかなか見かけないマナーの持ち主がいて、しゃかしゃかうるさい。

東京じゃ目立たないだけなのだろうが、地方で空いた列車に乗ると目につく。
東北や北海道では見かけない。
東南アジア産まれの彼等には、寒さへの耐性が具わっていないからか。

次は鵜沼。
2年前の春に並走する名鉄線に乗った。

高山本線沿線に大雨が降ったらしい。
その影響で列車に遅れが出ている。
昼間のもそうか。

大雨はいつ降ったんだ?

21:34 岐阜(ぎふ)駅(東海道本線/高山本線 岐阜県)
東海道本線の遅れは解消していない。

区間が長いため致し方ないのかもしれないが、ひとりの愚か者がどれほどの人々に迷惑をかけたのか。

憤りは余計な感情や不安を連れてくる。
それらを押し込めるか、追い出すかして、少しでも明日をいい状態で迎えるためにいつも苦心している。

それは、ひとりじゃなきゃ磨けない。
何も今である必要はないけれど。

ところで今アナウンスで聞いた。
現在の遅れは愚か者のためじゃなく大雨のせいだという。

オレが通りすぎた後に、東海道は更なる混乱に見舞われていたのか。

今日の宿、大垣にはじきに着く。

大垣(おおがき)駅(東海道本線/美濃赤坂支線/養老鉄道養老線/樽見鉄道 岐阜県)にて

関連記事

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】初日(東京-五所川原)その2‐郡山、福島、仙台、品井沼、松島(東北本線)

鉄旅日記2019年11月2日・・・郡山駅、福島駅、仙台駅、品井沼駅、松島駅(東北本線) 9:25 郡

記事を読む

「鉄旅日記」2012年晩秋【休日おでかけパスで、相模線途中下車旅】保土ヶ谷、大船、香川、北茅ヶ崎、厚木、社家、相武台下、原当麻、下溝、片倉、八王子、猿橋、西八王子、武蔵小金井、東小金井(横須賀線、東海道本線、相模線、横浜線、中央本線)

鉄旅日記2012年11月17日・・・保土ヶ谷駅、大船駅、香川駅、北茅ヶ崎駅、厚木駅、社家駅、相武台下

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】最終日(安中-東京)その3-海尻城址、海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)

鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2016年春【下北半島から東日本大震災被災地へ】最終日(石巻-東京)その1-石巻、西塩釜、下馬、塩釜、岩切、利府、伊達、郡山、白河(仙石線、東北本線、利府支線)

鉄旅日記2016年3月21日その1・・・石巻駅、西塩釜駅、下馬駅、塩釜駅、岩切駅、利府駅、伊達駅、郡

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その3‐一ノ関、小牛田、仙台、福島、郡山(東北本線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・一ノ関駅、小牛田駅、仙台駅、福島駅、郡山駅(東北本線) 11:48

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】初日 (東京‐三国峠‐新潟)- 橋本、拝島、東松山、籠原駅、高崎、月夜野情報サービスセンター、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄

車旅日記1996年11月1日 1996・11・1 12:13 東京町田 昨夜の決意は固かったけど

記事を読む

「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その2-外川、犬吠、本銚子、観音、仲ノ町、銚子、千葉(銚子電鉄/総武本線)

鉄旅日記2005年12月10日・・・外川駅、犬吠駅、本銚子駅、観音駅、仲ノ町駅、銚子駅、千葉駅(銚子

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】2日目(高山-速星)その3‐岩峅寺、立山、電鉄富山、富山(富山地方鉄道立山線/富山地方鉄道不二越・上滝線)

鉄旅日記2020年3月21日・・・岩峅寺駅、立山駅、電鉄富山駅、富山駅(富山地方鉄道立山線/富山地方

記事を読む

「車旅日記」2003年夏【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】最終日(札幌-苫小牧-室蘭-函館)走行距離366㎞ -札幌東急イン、支笏湖、苫小牧駅、室蘭駅、地球岬、豊浦駅、5号国道パーキング、函館駅、函館山、函館空港

車旅日記2003年8月17日・・・札幌東急イン、支笏湖、苫小牧駅、室蘭駅、地球岬、豊浦駅、5号国道パ

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】2日目(別府-阿蘇-宮崎)走行距離337㎞その2-高森駅、高千穂駅、延岡駅、日向市駅、佐土原駅、アーバンキット宮崎

車旅日記2004年8月12日・・・高森駅、高千穂駅、延岡駅、日向市駅、佐土原駅、アーバンキット宮崎

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏

鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社

鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その2 ‐電鉄魚津、西魚津、新魚津、魚津、高岡(富山地方鉄道本線/あいの風とやま鉄道)/魚津城跡

鉄旅日記2020年11月21日・・・電鉄魚津駅、西魚津駅、新魚津駅、

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その1 ‐金町、東京、黒部宇奈月温泉、新黒部(常磐線/北陸新幹線/富山地方鉄道本線)

鉄旅日記2020年11月21日・・・金町駅、東京駅、黒部宇奈月温泉駅

「鉄旅日記」2020年神無月【ツレと筑波山を訪ねたのでございます。関東に暮らす身にとりまして、高所に上がりますと平野の果てに浮かぶ筑波山はいつか登るべき山でございました。】-北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男体山、筑波山頂駅、宮脇駅、筑波山神社、沼田バス停、つくば駅(つくばエクスプレス/筑波山シャトル/筑波山ロープウェイ/筑波山ケーブルカー)

鉄旅日記2020年10月4日・・・北千住駅、つつじヶ丘駅、女体山、男

→もっと見る

    PAGE TOP ↑