*

「鉄旅日記」2015年夏 2日目(新南陽-鹿児島中央)その3-宇土、松橋、八代、出水、牛ノ浜、草道、鹿児島中央(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

公開日: : 最終更新日:2025/06/02 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年8月13日その3・・・宇土駅、松橋駅、八代駅、出水駅、牛ノ浜駅、草道駅、鹿児島中央駅(鹿児島本線/肥薩おれんじ鉄道)

17:40 宇土(うと)駅(鹿児島本線/三角線 熊本県)
キリシタン大名小西行長縁の城下町にはかつて味のある駅があった。
三角からの帰り道に寄って強い印象を抱いて去ったかつて。

やはり新幹線開通によって改装を余儀なくされ現代的な姿へと変貌した姿を、町の人々は歓迎したのだろうか。

町は西日に褪せていた。

18:02 松橋(まつばせ)駅(鹿児島本線 熊本県)
駅舎は改装中。
町角の店舗は空き家だった。

得意先から電話があり、通話しながら辿った駅前通り。
「一力」という旅館の住居部分からは、おそらく娘さんであろう人のピアノ演奏による「時の流れに身をまかせ」の調べが聞こえてくる。
西日に褪せた町にやけに調和していた。

18時の鐘を聞く頃に八代行がやってきた。
座席は塞がっていた。

18:30 八代(やつしろ)駅(鹿児島本線/肥薩線/肥薩おれんじ鉄道 熊本県)
妙見祭のぼんぼりが下がる駅頭。
背後には製紙会社の煙突が聳えていて、本日ももくもくと営業中。
かつて見たまんまの古い駅舎に安心する。

九州新幹線は八代の街中を避けてひとつ先の空地に新駅をこさえて、高速運転を繰り返している。

車窓からの風景



20:11 出水(いずみ)駅(九州新幹線/肥薩おれんじ鉄道 鹿児島県)
上田浦までの線区で果たした東シナ海との再会はとても素敵だった。

穏やかに凪ぐ波の果てに天草諸島が見える。
夕日が島々にかかり、沿線ではある家族がこちらに向けて手を振っている。

理由もなく切なくなったり、人生を愛おしく感じたりする情緒が南国には残っている。
うれしかった。
東京にはもはやそんな場所はない。

あそこに行きさえすれば何度でも立ち上がれる。
そんな場所だ。

ここ出水で立ち往生。
どこにも行けない。

ひとつ手前の米ノ津から出水まで。
あるいはここ出水からひとつ先の西出水まで歩くことも考えていたが、ホテルの他には何もなく、闇に閉ざされた駅前風景に接して、もういいと諦めた。

家で揃えてくれたタオルを紛失してしまったことも未だに引っかかっている。
とつてもなく申し訳ない気持ちでいる。

出水には武家屋敷が残っているとある。
鶴の飛来地としての確たる立場も得ている。

それにしても繁華街はどこにある。
こう暗くては探しにいく気にもならない。

鹿児島まではあと2時間の道中。
愚痴が多くなってきた。
少し疲労を感じている。

21:00 牛ノ浜(うしのはま)駅(肥薩おれんじ鉄道 鹿児島県)
国道に面したホームがあるだけの駅で、貨物列車の通過待ちで5分の停車。

飲食物を置くための木製トレイが各座席に設置された豪華列車の乗客は現在3名。

こんな時間に地の果てに向かう人数としては適当なのかもしれない。

水俣と阿久根の街の灯は暗かったが、降りてみたい駅だった。
そんな駅として今後もオレの中で存在し続けていくことだろう。

21:23 草道(くさみち)駅(肥薩おれんじ鉄道 鹿児島県)
数分の停車。
この駅にも駅舎はない。

鹿児島本線から切除された傷跡がおそらくこんな形で残っているのだろう。
何もないし、何も見えない。

肥薩おれんじ鉄道は鹿児島本線中に存在する閑散区間に生じた経営体だが、出水からこの先の川内はより閑散区間だと言える。

八代から川内とは、思えば遠い。

鹿児島中央(かごしまちゅうおう)駅(九州新幹線/鹿児島本線/日豊本線/指宿枕崎線 鹿児島県)にて

23:37 ビジネスホテルアサヒ502号
薩人の嬌声が聞こえる駅前の一郭に宿をとっている。
駅から1分。
まるで独房みたいな部屋だがそれで構わない。

嬌声の主たちが礼儀正しく挨拶を交わして散ると静寂が訪れた。

随分長いことかかって鹿児島中央駅はようやく完成を見たようだ。
初めて駅前を通ってから今回で4度目になる。

鹿児島の繁華街は奥が深い。
誰もが天文館へと繰り出すわけじゃないようだ。
駅前もなかなかの賑わいを誇っている。

関連記事

「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)

鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯

記事を読む

「車旅日記」2005年春 初日(松本-富山)走行距離317㎞ その2-妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前 【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】

車旅日記2005年4月29日・・・妙高高原駅、親不知駅、アパホテル富山駅前 16:44 妙高高原駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その1-安中、松井田、西松井田、横川、軽井沢、大屋(信越本線/しなの鉄道) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】

鉄旅日記2019年2月10日・・・安中駅、松井田駅、西松井田駅、横川駅、軽井沢駅、大屋駅(信越本線/

記事を読む

「車旅日記」2000年夏Part.1 最終日(小千谷-桐生-下妻-東京)道の駅おぢや、塩沢らーめんショップ、月夜野情報サービスセンター、旅の駅桐生、道の駅しもつま、柏市あけぼの2丁目、葛飾金町 【信濃、飛騨、そして能登島。帰りは北陸路。この国の美しさをあらためて感じました夏旅でございます。】

車旅日記2000年7月23日 2000・7・23 2:09 17号国道‐おぢや(道の駅) 都合3時

記事を読む

「鉄旅日記」2009年晩秋 2日目(倉敷-和田山)その2-郡家、若桜、智頭、京口、福崎、寺前、和田山(因美線/智頭急行/播但線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月22日・・・郡家駅、若桜駅、智頭駅、京口駅、福崎駅、寺前駅、和田山駅(因美線

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲坂根駅(木次線) 13:

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月 初日(東京-新津)その5‐小国、坂町、新津(米坂線/羽越本線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

鉄旅日記2020年4月4日・・・小国駅、坂町駅、新津駅(米坂線/羽越本線) 17:50 小国(おぐ

記事を読む

「鉄旅日記」2013年夏 2日目(徳山-南宮崎)その2-津久見、日代、浅海井、狩生、佐伯、直見、宗太郎、南延岡、南日向、東都農、佐土原、南宮崎(日豊本線) 【青春18きっぷで、鹿児島県志布志へ】

鉄旅日記2013年8月11日その2・・・津久見駅、日代駅、浅海井駅、狩生駅、佐伯駅、直見駅、宗太郎駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その3-高速神戸、湊川神社、神戸三宮、甲陽園、夙川、西宮北口、宝塚、箕面、石橋、北千里、十三(阪急電鉄神戸高速線/神戸本線/甲陽線/今津線/宝塚本線/箕面線/千里線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月12日・・・高速神戸駅、神戸三宮駅、甲陽園駅、夙川駅、西宮北口駅、宝塚駅、箕面

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 最終日(鷹ノ巣-東京)その2‐角館、大曲、峰吉川、新庄(田沢湖線/奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2023年1月13日・・・角館駅、大曲駅、峰吉川駅、新庄駅(田沢湖線/奥羽本線) 10:0

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その2 ‐国定(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・国定駅(両毛線)/国定忠治墓(養寿寺

「鉄旅日記」2022年皐月 最終日(磐梯熱海-東京)その1 ‐磐梯熱海、新白河、小山(磐越西線/東北本線)【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月8日・・・磐梯熱海駅、新白河駅、小山駅(磐越西

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その4 ‐関都、猪苗代湖畔、上戸、磐梯熱海(磐越西線)/志田浜~上戸浜/伊東園ホテル磐梯向滝【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・関都駅、猪苗代湖畔駅、上戸駅、磐梯熱

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その3 ‐黒磯、泉崎、白河、郡山(東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・黒磯駅、泉崎駅、白河駅、郡山駅(東北

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その2 ‐文挟、鹿沼、鶴田、宇都宮(日光線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・文挟駅、鹿沼駅、鶴田駅、宇都宮駅(日

→もっと見る

    PAGE TOP ↑