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「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その3(東京-宇治)-中書島、伏見桃山、桃山御陵前、桃山、JR藤森、木幡、黄檗、京阪黄檗、京阪宇治(京阪本線/奈良線/京阪宇治線)

公開日: : 最終更新日:2023/06/20 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年3月21日その2・・・中書島駅、伏見桃山駅、桃山御陵前駅、桃山駅、JR藤森駅、木幡駅、黄檗駅、京阪黄檗駅、京阪宇治駅(京阪本線/奈良線/京阪宇治線)
20:15 中書島(ちゅうしょじま)駅(京阪本線/京阪宇治線 京都府)
特急停車駅だが、あたりは明るいとは言えない。

バスターミナルにへつながる出口には文字通り何もない。
線路の下をくぐり北口に出ると女性の客引きが立つ先にささやかな商店街が見えた。

ここは伏見。
ふと見ると坂本龍馬と寺田屋を紹介するパネルが立っている。
その展示を見たら、あのささやかな商店街が淀川の船着場に出る道だと思い込んだ。
実際はそんなところには着かないが、あの商店街を彩っていた僅かな灯が幕末伏見の匂いを嗅がしてくれた。

伏見桃山(ふしみももやま)駅(京阪本線 京都府)にて

桃山御陵前(ももやまごりょうまえ)駅(近鉄京都線 京都府)にて

20:30 桃山(ももやま)駅(奈良線 京都府)
伏見桃山駅で降りる。

地上に上がるといきなり現れた雑踏に驚き、目を転じると踏切の先に眩しいアーケード街がある。
すぐ脇の近鉄桃山御陵前駅のガード下はシブい横丁になっていて、ラーメン屋には行列ができている。
さらに行くと御香宮の角。
かつて戦国の頃に福島正則屋敷での母里太兵衛の酒豪伝説があり、ここがまさにその地であると、すなわち黒田節発祥の地であると告げる案内板が立っている。
京都奈良の街角では不意に歴史遺産に出くわす。

桃山駅に近づくにつれて宵闇が濃くなり、花開いた桜が駅灯に照らされていた。
ここから京都方面へひと駅。

20:43 JR藤森(じぇいあーるふじもり)駅(奈良線 京都府)
坂の上に降りた。
あたりには何もなかった。
でも訳もなく名残惜しさを感じさせる坂で、しばらくそこにいた。

遥かな夜景は鳥羽伏見の明かり。
京都を彩った様々な歴史に思いを巡らす。
とても穏やかな記憶が残った。
これから宇治へ向かう。

21:08 木幡(こはた)駅(奈良線 京都府)
跨線橋でカブトムシの匂いを嗅いだ。
夏にはまだ遠いはずだが。

すっかり春めいて寒さに怯える必要のない夜だ。
駅は閑静な通りに面していて、正面に豪邸が建っている。
商店の灯は坂を下りて平行する県道に出ないと見えない。
坂の途中にあった結婚式場らしきものは松北園という宇治茶の老舗とのこと。

そこらに歴史的なものが転がっているが、このあたりじゃライトアップなどはしないものらしい。

黄檗(おうばく)駅(奈良線 京都府)にて

21:20 京阪黄檗(けいはんおうばく)駅(京阪宇治線 京都府)
黄檗駅からここまでの僅かな道程には中華料理屋が一軒のみ。
コンビニの明かりもなく、流行りとは縁を持たず闇が濃い。
ここから京都は近いが、距離とともに存在としての京都という都は確実に遠のき草深くなってきた。

黄檗山が駅を見下ろす位置にあり、そこに萬福寺という名刹がある。
黄檗とは何事かがありそうな地名で、そこが黄檗宗という禅宗の総本山になる。
中書島から枝分かれする京阪電車へと再び戻った。

京阪宇治(けいはんうじ)駅(京阪宇治線 京都府)にて

翌朝の撮影

22:43 鮎宗1階
宇治を見直している。

案内されたのは宇治川に面した1階レジ横の部屋。
様々な街で様々な部屋をあてがわれ寝てきたが、環境的にはここが一番素晴らしいと言える。
でも部屋に鍵はついていない。
ご主人によるとそれでいいらしい。
なぜないのかと尋ねたら困った顔をされた。
古都とはこういう佇まいを言うのかもしれない。

コンビニの明かりは遠慮がちで街並は美しい。
京都とは一線を画す意志を感じる。
宇治といえば茶だが、木幡の松北園といい深い歴史を体現している店構えを前に唸らずにはいられない。
この街を出ていく時はまたあの道を往こう。

義経義仲の合戦の折も急流を謳われた宇治川の流れはは今も轟々と激しい。
上流の天ヶ瀬ダムも影響しているのだろうか。
いずれにしても往時を偲ばせる歴史的な流れを見ることができる。

京阪宇治に降りた時は、ああそうだったよなと感じたけど、駅前ロータリーの記憶は失せていて、階段を上がったら川端に出ると思い込んでいた。
あの日、平等院鳳凰堂を見に行って宇治川の流れに胸打たれて、それから先どうしたんだっけな?忘れちゃったな。

美しくも切ない京都を焦がれた時代は約2年続いた。
彼女はどうしてるだろう。
当時24歳と若かった彼女も、4月には確か39歳になる筈だ。
そしてこのオレは46歳にして人生がどんどん面白くなっていく。
これほどの幸福はない。

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