「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)
鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川駅、新白岡駅、白岡駅、東大宮駅(両毛線/東北本線)
13:26 富田(とみた)駅(両毛線 栃木県)
朽ちそうな筑波山神社への石段を上がると、ブランコに乗った男が重たそうな女を膝に乗せて揺られていた。
そのブラジル人カップルはその後に寄ったセーブオンの前でも見かけることになる。
拝殿に詣るには蜘蛛の巣を掻き分けなきゃならない。
随分長いこと忘れられていそうな場所だった。
ところでセーブオンだが、なかなかやる。
コンビニではなかなか見かけない今川焼きも、自前の黒ビールもとても美味かった。
いろんな駅に降りるのは楽しいが、途方に暮れることもまた多い。
そうなんだ。
富田で降りて途方に暮れて、一体何をしていたのかという話だ。
ここを折り返し地点として、きた道を戻る。
佐野市(さのし)駅(東武佐野線 栃木県)にて
14:17 佐野(さの)駅(両毛線/東武佐野線 栃木県)
佐野市駅まで徒歩で往復30分。
街を歩けばさすがに「佐野ラーメン」と掲げたラーメン屋が目につく。
佐野市駅は昭和を体現した造りで、ガランとした待合室には哀愁がこもり駅前商店街もまた同じ色を見せている。
家並みは古く、亡き祖母が暮らしていた信州の田舎を想わせる。
佐野駅前では何かのイベントが開かれていて、屋台と警察と人々が出ている。
佐野を離れる頃には、司会者から「サウンド・マシン」と紹介を受けた、騎兵隊長のような格好をした白髪白髯のオッサンが、ギターでイカすフレーズを奏で始めていた。
新大平下(しんおおひらした)駅(東武日光線 栃木県)にて
15:04 大平下(おおひらした)駅(両毛線 栃木県)
大平山という桜の名所がある。
その麓の駅にいる。
大声で電話をしているあの男は、一体どこの国から来たのだろうか。
恥だとかそのあたりの感覚には文化的な差がある。
ここには何もないが、東武日光線新大平下駅周辺には商店街があった。
サラダ館はきれいに装っていたが人通りはなく、立派な仕出し料理屋も出店する場所を間違えたかのように悄然としているように感じる。
線路を渡った先の八百屋にはなぜか「どじょう」の文字がある。
JR駅に戻る途中でゴミ屋敷となりつつある一軒家があり、足元の覚束ない老婆が住人として認められた。
頭上にはカラスの姿。
そんな一帯に響く連中の声は某かの終わりを連想させ、また退廃的な気分にさせる。
新大平下駅周辺上空だけがなぜか薄曇りだった。
栃木の街並み
16:08 栃木(とちぎ)駅(両毛線/東武日光線 栃木県)
美しく平和な街に降りた。
念願だった「蔵の街」。
すべてを見たのかどうかは定かじゃないが、すべてを見たような気持ちで気でいる。
今日この時点で都合5時間ほど歩いた足はかなりの疲労を感じているが、鯉が泳ぎ鴨が遊弋する水辺に救われた。
飲み屋やスナックの類を見かけなかったが、どこかに集められているのだろうか。
市役所は東武百貨店と同居しているように見えた。
あまり商売気を感じさせない街で適度な人の行き来が好ましい。
「駅そば」があって気分的に誘われたが、またビールを選んでしまった。
思川駅周辺
16:36 思川(おもいがわ)駅(両毛線 栃木県)
ヤマザキのスーパーは品薄で店内は寂しい。
食堂、酒屋、精肉店が営業していて、食堂の屋上から下りてきた女将さんが挨拶をくれる。
「寒いね」と。
そうですねと応じるが、別に寒かない。
広い空がひたすらに美しい。
遠くに見えるのは筑波山。
関東平野は本当に広い。
背後に山の連なりが見えるが、まだ雪の気配はない。
そう、寒くなんかないんだ。
その山々に夕暮れが迫り全山群青色に染まっている。
黄昏れるのにいい場所だ。
思川を渡るのはこれからだ。
しっかり目を開いていよう。
17:57 新白岡(しんしらおか)駅(東北本線 埼玉県)
小山で東北本線(宇都宮線)に乗り換える。
日本海庄屋と魚民が駅の両側で町に光を提供している。
夜の訪れとともに一日が始まるような町もあれば、本来そうあるべきだと思うが夜の訪れはその日の終わりを意味する町もある。
いい悪いという話をしようとしているわけじゃない。
コンビニでビールと肉まんを買って、そこで見ていた風景について話をしている。
ここは東京に近いが、こんな時間帯にこんなにも暮れてしまった駅に降りると、空しいような気持ちになることがある。
なにしろ、ただでさえ秋だ。
18:16 白岡(しらおか)駅(東北本線 埼玉県)
上野からの列車が着くと、宝くじ売場にできた行列と見紛うほどの人々が降りた駅。
駅前通りに懐かしさを覚える。
最近でよく似たところを挙げると常磐線の神立駅前か。
駅前の空き店舗はほとんどすべてといっていいくらい駐輪場になっている。
そこでは少女たちがまたくる明日のために、明るい挨拶を交わして元気に家路につく。
暮らしていれば落ち着いていられる町なのだろう。
風は止んでいる。
18:39 東大宮(ひがしおおみや)駅(東北本線 埼玉県)
映画「キューポラのある町」の頃には存在しなかった駅にいる。
あの映画じゃ、大宮の次は蓮田だったよ。
高崎線の方は現在と同じく大宮の次は今朝徒歩で立ち寄った宮原だった。
この街の「一番街」はじきに役目を終える。
空き家が目立ち、何よりも店舗が収まっているアパートにはすでに入居者がいない。
そこは位置的にも脇に置き去られた通りだったが、駅周辺は明かりに満ちていた。
連休最終日ということもあり、人出はあまり多くはないが、大宮と宇都宮間を結ぶ区間で、その両駅を除けば一番の繁華街を持っていた。
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