「鉄旅日記」2013年春 初日(東京-和歌山)その2-和泉府中、東岸和田、日根野、熊取、りんくうタウン、関西空港、紀三井寺、黒江、紀伊中ノ島、和歌山(阪和線、関西空港支線、紀勢本線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】
鉄旅日記2013年4月7日その2・・・和泉府中駅、東岸和田駅、日根野駅、熊取駅、りんくうタウン駅、関西空港駅、紀三井寺駅、黒江駅、紀伊中ノ島駅、和歌山駅(阪和線、関西空港支線、紀勢本線)
17:42 和泉府中(いずみふちゅう)駅(阪和線 大阪府)
数分の停車。
人と車であふれる街があった。
思わず歩き出したくなるアーケード街があった。
この国一番の喧嘩どころを自負する和泉の中心に、優しい雨が降っていた。
低気圧はまだ爆弾の投下をためらっている。

17:55 東岸和田(ひがしきしわだ)駅(阪和線 大阪府)
数分の停車。
ごく短い間だが、線路に沿って古くからの飲み屋街がある。
小説「岸和田少年愚連隊」に出てくる岸和田を体現するものは駅周辺にはなく、ただひとり、この電車に居合わせたオッサンが、ただならぬ威圧感を漂わせながら、ツレの男性との会話に顔を綻ばせていた。
今回オレが見た唯一の岸和田だった。

18:14 日根野(ひねの)駅(阪和線/関西空港支線 大阪府)
何もないターミナル駅にて駅を写して離れる。
真っ黒なものが一緒に写っているが、シティホテルのなかなか素敵な看板の裏側だ。

18:24 熊取(くまとり)駅(阪和線 大阪府)
何かありそうな明かりを行きに見て、熊取で降りなかったことを後悔した。
だが日根野で時間を要しなかったことで、ひと駅戻り降りてみた。
泉州のきれいな山並が見えた。
駅周辺に特筆すべきものは他に見当たらない。

18:47 りんくうタウン駅(阪和線関西空港支線/南海空港線 大阪府)
国際空港を目前に控えた遊園地都市。
今じゃ港町の巨大観覧車は珍しくないが、あるのとないのとじゃ印象が異なるだろう。
そしてここの場合、あの観覧車がなければ単に車の音が聞こえるだけの、ホテルとレストランが林立する無味乾燥な人口都市だ。
ここに吹く風は生暖かい。


19:08 関西空港(かんさいくうこう)駅(阪和線関西空港支線/南海空港線 大阪府)
爆弾低気圧は近江地方に矛先を持っていっているらしい。
ここには以前にTさん夫婦と一緒に来たことがある。
開港当初でもあり、阪神淡路大震災があった頃でもある。
オウム真理教がテロに走り、それを笑うメディアと社会があって、好きになれない時代だった。
そうか20年前だ。
20年前に時計の針を戻せば一度は結婚を約束して両親に挨拶までした女性と別れ、オレの中のひとつの時代が終わった頃。
この空港駅へは海上を往く。
りんくうタウン、泉佐野の夜景が海上から見渡せた。
車から眺めたらさぞかし絶景だったことだろう。

20:47 紀三井寺(きみいでら)駅(紀勢本線 和歌山県)
日根野に戻り、和歌山行きに乗り換え。
さらにその先へ。
闇の中でオレンジの灯を灯す西国第二番札所。
トンボ帰りをする計画が列車の遅れで足止めを食ったが、あの灯を拝めてよかった。
そしていよいよ爆弾が「きのくに」に投下されつつあるようだ。
国道の明かりにコンビニを見つけてビールと煙草を楽しむ。
騒がしい連中がやってきた。
どうやら列車の到着が近い。
街の灯が霞んで見える。
暴風の中、紀三井寺の参道もオレンジに染まっていた。


21:04 黒江(くろえ)駅(紀勢本線 和歌山県)
高架駅を降りたら葉桜の階段。
街の灯は遠く、すぐに上り列車がやってくる。
警笛を聞いてすぐに改札に走って戻る。
駅舎は拝んだけど、真っ暗で写真を撮ってもおそらく意味をなさない。
やむなく戻る。
これからどうしよう。
旅の虫が疼いている。
21:43 紀伊中ノ島(きいなかのしま)駅(阪和線 和歌山県)
和歌山で阪和線に乗り換えてひと駅戻る。
古い改札口の残る駅前旅館がある駅に降りた。
賢い犬に吠えられた。
紀勢本線の紀和駅まで歩くつもりでいたが、方向を誤った。
歩いて、さらに歩いて真っ暗な紀ノ川を見に行ったという形になった。
これはこれでいい。
そして再びの和歌山。
さっきビールを買ったキヨスクはすでに閉まっていた。
「構内アナウンスがやかましいわぁ」と笑うおもろいオバチャンがいた。
あぁ、関西だな。


23:06 シティイン和歌山912号
前回の和歌山泊が5年前だと知って新たな感慨を持つ。
お城に続くアーケードにあるラーメン屋は閉まっていた。
残念だ。
うまいラーメンを食わせてくれる店なんだ。
街に降りて見渡す限りではチェーン店以外の灯は消え、こんな天候ということもあってか擦れ違う者もまれな土曜の夜。
ただの南風とは異なる南国の風が吹いていた。
阪和線は楽しかったよ。
写真を眺め、今まで辿ったどことも違うものが写っていることに驚いた。
東京以外の都会に接した素直な感想だろう。
オレの帰る場所の練馬を遠く感じている。
旅心は最高潮にある。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2009年晩秋 最終日(和田山-東京)その2-大阪、桜島、西九条、阪神西九条、久宝寺、放出、京橋、京阪京橋、近江舞子、近江今津、近江塩津(大阪環状線/桜島線/関西本線/おおさか東線/学研都市線/湖西線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】
鉄旅日記2009年11月23日・・・大阪駅、桜島駅、西九条駅、阪神西九条駅、久宝寺駅、放出駅、京橋駅
-
-
「車旅日記」2005年初夏 初日(長岡-山形)走行距離388㎞ その1-長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】
車旅日記2005年7月16日・・・長岡駅、小出駅、田子倉駅、只見駅、会津水沼駅、会津坂下駅、猪苗代駅
-
-
「鉄旅日記」2014年春 初日(東京-紀伊勝浦)その2-山田上口、宮川、川添、伊勢柏崎、尾鷲、新鹿、熊野市、紀伊勝浦(参宮線、紀勢本線) 【青春18きっぷで、紀伊半島へ】
鉄旅日記2014年3月8日その2・・・山田上口駅、宮川駅、川添駅、伊勢柏崎駅、尾鷲駅、新鹿駅、熊野市
-
-
「鉄旅日記」2015年春 最終日その2(岩倉-東京)-笠松、新羽島、岐阜羽島、羽島市役所前、西笠松、新木曽川、名鉄一宮、玉ノ井、萩原、日比野、弥富、近鉄弥富(名鉄本線/名鉄竹鼻線/名鉄羽島線/名鉄尾西線) 【名鉄電車2DAYフリーきっぷで行く、中京旅】
鉄旅日記2015年3月8日その2・・・笠松駅、新羽島駅、岐阜羽島駅、羽島市役所前駅、西笠松駅、新木曽
-
-
「鉄旅日記」2008年初秋 2日目(羽咋-福井)その1-羽咋、七尾、穴水、和倉温泉、北鉄金沢、内灘、粟ヶ崎、金沢(七尾線/のと鉄道/北陸鉄道浅野川線) 【秋になると北陸に行きたくなるものでございます。能登半島をはじめ、いくつもの終着駅へと行き着いたのでございます。】
鉄旅日記2008年9月14日・・・羽咋駅、七尾駅、穴水駅、和倉温泉駅、北鉄金沢駅、内灘駅、粟ヶ崎駅、
-
-
「鉄旅日記」2021年皐月 初日-浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の家 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】
鉄旅日記2021年5月22日・・・浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の
-
-
「鉄旅日記」2020年如月 初日(東京-大船渡)その5‐奇跡の一本松、陸前高田、大船渡(大船渡線)/居酒屋膳/やきとり香善 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】
鉄旅日記2020年2月22日・・・奇跡の一本松駅、陸前高田駅、大船渡駅(大船渡線)/居酒屋膳/やきと
-
-
「車旅日記」1998年夏 2日目(青森-竜飛崎-秋田)-あおもり健康ランド、青森駅、青い海公園、蟹田、高野崎、竜飛崎、十三湖、五所川原駅、深浦、不老不死温泉、能代駅、秋田駅、道の駅西目 【20代最後の旅でございます。青森港から北海道上陸を目指して北へ向かったのでございますが・・・。】
車旅日記1998年8月13日 1998・8・13 7:31 あおもり健康ランド 777㎞ 昨日のこ
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 初日(東京-熱海)その3 ‐洋光台、港南台、本郷台、大船、湘南江の島、片瀬江ノ島、江ノ島(根岸線/湘南モノレール) 【金沢シーサイドライン、横須賀線、御殿場線、大雄山線、鶴見線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月5日・・・洋光台駅、港南台駅、本郷台駅、大船駅、湘南江の島駅、片瀬江ノ島駅、
-
-
「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その3‐上諏訪、塩尻、洗馬、中津川(中央本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】
鉄旅日記2020年3月20日・・・上諏訪駅、塩尻駅、洗馬駅、中津川駅(中央本線) 10:27 上諏
