*

「鉄旅日記」2012年初冬【週末パスで、甲信越途中下車旅】最終日(長野-東京)その1-長野、信州中野、湯田中、安茂里、戸倉、上田、別所温泉、西上田、田中(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)

公開日: : 最終更新日:2024/06/04 旅話, 旅話 2012年

鉄旅日記2012年12月9日その1・・・長野駅、信州中野駅、湯田中駅、安茂里駅、戸倉駅、上田駅、別所温泉駅、西上田駅、田中駅(長野電鉄、信越本線、しなの鉄道、上田交通)

2012・12・9 6:10 長野(ながの)駅(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄 長野県)
雪がちらついている。
信濃の冬はかくも厳しい。

長野電鉄改札前のがらんとした待合所に何事かを感じ、これから志賀高原へ何事かを感じに往く。

長野じゃ街歩きはできなかったな。

7:15 信州中野(しんしゅうなかの)駅(長野電鉄 長野県)
雪の降る清潔な街に降りた。

道行く人はなく、まだ早い日曜日の朝。
凍えた駅のコンクリートは寂しい気持ちにもさせるが、なぜか懐かしい気持ちももたらす。
長野電鉄長野駅で感じたのもそれだった。

どこからやってきた感情なのかおおよその答えは出ているような気がするが、うまく言葉にできない。

7:44 湯田中(ゆだなか)駅(長野電鉄 長野県)
10年以上前に一度きたよ。
暑い夏の日だった。

雪景色の湯田中に下りると正月の気持ちを思い出した。
何か新しいことが始まる。
そしてそれはこんな朝から始まる。
そんな気分だ。

湯煙が湧き、狭い温泉街に人気はない。
あの風情。
大好きな風情だ。

終着駅を後にして、もう中野へと下りてきた。


三度、長野(ながの)駅にて(長野新幹線/信越本線/飯山線/篠ノ井線/長野電鉄) 長野県)

9:16 安茂里(あもり)駅(篠ノ井線 長野県)
長野を後にして新幹線高架脇の小駅に降りる。

長野電鉄内で聞こえてきた今日は大雪との情報。
実際その通りだ。

ここには駅舎はなく、吹きっさらしの中にいる。
スキー場での記録を除けばこんな雪降りの日に行動したことはない。

オレを生んだ信州信濃の冬はかくも厳しくまた美しい。

たまたまやってきた旧特急車両からの雪見と洒落込んでいる。

10:07 戸倉(とぐら)駅(しなの鉄道 長野県)
便所にこもっているうちに天気は持ち直してきたようだ。

薄日が差しながらも小雪ちらつく駅前通りを交差する県道まで歩く。
大きな藁葺き屋根の旧家が角にある。

かつて自然気胸による胸の痛みを抱え、飯山の日赤病院に自ら運転する車で向かい、そのまま入院という運びに陥ったことがある。
横には彼女が乗っていた。
そして退院の日に両親と兄貴が迎えにきて戸倉上山田温泉に泊まった。

そういう場所に必ず戻ってくることになる。
オレの旅は聖地巡礼のように、濃厚な記憶を残した場所に様々な月日をおいて必ず戻ってくる。
でもその時の記憶を今更持ち出すことになるとは思っていなかった。

この駅に降りることができてよかったよ。
静かな朝を歩いた記憶。
忘れたくはない。


10:31 上田(うえだ)駅(長野新幹線/しなの鉄道/上田交通 長野県)
気温3度の街に雪はなく、アニメ声のアナウンスが流れる上田交通に乗っている。
日差しが戻り体を暖めてくれる。

街は真田幸村一色だ。
最近はアニメやらで人気らしい。
ジャニーズみたいな顔をした赤備えの大将がいたよ。

上田では客が随分降りた。
そういう街だし、その上田駅前で民主党が演説準備をしていた。
そうか。
選挙まであと一週間だな。

上田には従兄弟の結婚式できたこともあった。
姪の二人もまだ小さくて、長い長い大宴会だった。


11:10 別所温泉(べっしょおんせん)駅(上田交通 長野県)
冬枯れの山里に終着駅がある。

行きには民謡クラブの面々が乗り込んできて、ハーモニカを吹く上田駅長の音に合わせて歌会が始まった。
とても稀なケースに居合わせたものだ。

華やかな時代とまでは言えないが、社員旅行でも訪れて、あの駅に言ってみれば不法侵入をした。
そんな場所にもまた戻ってきたんだな。
この旅はまだ続く。
もちろん楽しみだ。
でも早く家に帰りたい気持ちもある。

冬枯れの中にいる意味があるとするなら、人をそんな気にさせることかもしれない。

それに昨日のYちゃんのパーティーが素晴らしかった。

理由を特定できない寂しさや切なさに度々見舞われるのが人生で、漠然とした不安から自死を選んだ者の気持ちも理解できるようになるのもまた人生だが、やはり生きていくという行為は素晴らしいと思える日々を生きている。

12:06 西上田(にしうえだ)駅(しなの鉄道 長野県)
上田から長野方面にひと駅戻る。

繭の里。
駅からまっすぐの道を往くと追憶の18号国道。
そして断崖。
その中腹にお堂らしき構造物が見える。

この静けさは好きだ。
風が冷たく手が凍える。

小さな駅に、上田西高生が集まってくる。

12:58 田中(たなか)駅(しなの鉄道 長野県)
伝説の横綱雷電の故郷とは知らなかった。
そしてオレの血もこの土地から生まれた。

あの道を上田の方に上がっていけば見覚えのある風景に出くわす。

このあたりは子供の頃より垢抜けたようだ。
決して廃れてはいない。
東御市役所への道には飲み屋スナックが並び、駅横には温泉施設。
そして乗降客も少なくない。

かつて五輪が開かれ、世界が押し寄せたオレの田舎は発展したんだ。
新鮮な驚きでどっちかといえば嬉しい。

変わっていないのは駅舎だけだったのかもしれない。
降りてよかった。



関連記事

「鉄旅日記」2020年文月 2日目(香住-東萩)その3‐末恒、浦安、米子、揖屋(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月24日・・・末恒駅、浦安駅、米子駅、揖屋駅(山陰本線) 10:39&n

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その1‐宮古、岩手船越、浪板海岸、吉里吉里(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・宮古駅、岩手船越駅、浪板海岸駅、吉里吉里駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】初日(長岡-会津-福島-山形)走行距離388㎞ その2-福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通

車旅日記2005年7月16日・・・福島駅、峠駅、今泉駅、荒砥駅、アパホテル山形駅前大通 17:00

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その3‐白石、郡山、黒磯、宇都宮(東北本線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・白石駅、郡山駅、黒磯駅、宇都宮駅(東北本線) 15:49 白石(

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】初日(東京-天王寺)-東京、名古屋、大垣、米原、草津、柘植、京都、木津、京橋、天王寺(東海道新幹線/東海道本線/草津線/奈良線/学研都市線/大阪環状線)

鉄旅日記2007年2月10日・・・東京駅、名古屋駅、大垣駅、米原駅、草津駅、柘植駅、京都駅、木津駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯、新白河(常磐線/東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅、新白河駅(常磐線/東北

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】3日目(鳥取-米子)その1-鳥取、由良、下市、御来屋、名和、伯耆大山、東山公園、博労町、境港、木次、亀嵩、宍道(山陰本線/境線/木次線)

鉄旅日記2014年8月15日その1・・・鳥取駅、由良駅、下市駅、御来屋駅、名和駅、伯耆大山駅、東山公

記事を読む

「鉄旅日記」2018年卯月 その3-佐和、友部、下館、騰波ノ江、下妻、石下(常磐線/水戸線/関東鉄道常総線) 【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月25日・・・佐和駅、友部駅、下館駅、騰波ノ江駅、下妻駅、石下駅(常磐線/水戸線

記事を読む

「鉄旅日記」2015年春【ひらパーGo!Go!チケットで行く、京阪旅】初日その3(東京-宇治)-中書島、伏見桃山、桃山御陵前、桃山、JR藤森、木幡、黄檗、京阪黄檗、京阪宇治(京阪本線/奈良線/京阪宇治線)

鉄旅日記2015年3月21日その2・・・中書島駅、伏見桃山駅、桃山御陵前駅、桃山駅、JR藤森駅、木幡

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月 初日(東京-湯沢)その2‐新白河、郡山、福島、仙台、あおば通(東北本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】

鉄旅日記2020年1月11日・・・新白河駅、郡山駅、福島駅、仙台駅、あおば通駅(東北本線) 8:2

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑