「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、鶴見線・伊豆・駿河途中下車旅】その2-新清水、静岡、草薙、興津、裾野、御殿場、駿河小山、国府津、逗子、横須賀、田浦、新川崎(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線)
鉄旅日記2012年4月8日その2・・・新清水駅、静岡駅、草薙駅、興津駅、裾野駅、御殿場駅、駿河小山駅、国府津駅、逗子駅、横須賀駅、田浦駅、新川崎駅(東海道本線、静岡鉄道、御殿場線、横須賀線)
清水(しみず)駅(東海道本線 静岡県)にて
13:39 新清水(しんしみず)駅(静岡鉄道 静岡県)
清水を誤解していた。
駅はそれこそ何度も通っている。
そのたびに海側のだだっ広いロータリーを見ていて、それがすべてだと思い込んでいたんだ。
つまり街を舐めていた。
でも降りてみて驚いた。
繁華街は海とは反対の江尻口にあり、富士が見える透き通った街を見て慌てたよ。
駅前銀座を歩いてJR線路を横切り157号国道沿いの静鉄新清水駅へ。
かつて清水港線が走り、1980年の全日本プロレス世界最強タッグ決定リーグ戦開催日には6,000人の大観衆を集め、ちびまる子ちゃんは今も毎週この街でお茶の間を楽しませ、清水商業がおそらく永遠にサッカーの名門校であり続ける街。
午後のけだるい時間に降りたけど、夜は賑やかになるのだろう。
清水という街に感服し、そしてこれが旅の醍醐味だと思い知る。
街は降りてみなきゃ分からない。
新静岡(しんしずおか)駅(静岡鉄道 静岡県)にて
14:33 静岡(しずおか)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)
新静岡から静岡駅へと歩く。
駿府公園に行けなかったのが残念だ。
今日は静岡まつり開催日で、街角には大道芸人も出ていた。
今も世界から大道芸人が集まる催しは開かれているのだろうか。
政令指定都市静岡。
大都会に違いはないが、街中の人口はそれほどでもなさそうだ。
丸井や東急ハンズの出店が見られ、まだヤンキー姉ちゃんが闊歩する街。
かつて駅に寄ったことはあるけど、オレは静岡を知らなかった。
これで胸のつかえは一応とれた。
それにしても暑いよ。
14:48 草薙(くさなぎ)駅(東海道本線 静岡県)
新幹線の地均し音が行き過ぎる。
県営草薙球場は地図にはなかった。
確か沢村栄治が大リーガー相手に快投を演じた場所であり、子供の頃には年に一回ジャイアンツ戦が開催されていた。
静鉄駅まで2分の距離。
その間にありふれた町があった。
清水あたりでは富士がよく見える。
草薙の地名はヤマトタケル東征の故事にちなんでいることを黒岩重吾さんの「東征伝」で知った。
同じく焼津も同じ戦で火攻めにあった故事からつけられたとあった。
静鉄草薙(しずてつくさなぎ)駅(静岡鉄道 静岡県)にて
15:06 興津(おきつ)駅(東海道本線 静岡県)
東海道興津宿。
鯛めしをはじめ、鯛料理を売っている町。
あの東名高速のムコウは太平洋。
ここらあたりでは富士とどっちに目をやるかいつも悩む。
和菓子屋と不二家の店が出迎える駅前。
現代の街道に出たら当時の宿場町の様子が見えた気がしたよ。
それで結局オレは海の方を見ている。
16:47 裾野(すその)駅(御殿場線 静岡県)
沼津駅で御殿場線に乗り換え。
裾野があるのは富士だけじゃないが、この街には裾野市を名乗る資格がある。
駅前通りを県道まで歩いたけど、適当に商店もあるいい街だった。
小川が、それが激流だったりすると富士からの水かと思う。
そしてカメラじゃうまく捉えられない霞んだ富士を眺めている。
Yちゃんはこの街に嫁いで何年になるのか。
彼女の笑顔には何度か救われた。
17:14 御殿場(ごてんば)駅(御殿場線 静岡県)
20年以上振りになる。
あの時はOBとして高校剣道部の合宿に参加するために、防具を担いで町田から新松田、松田と乗り継いだのだった。
駅前は変わってないな。
寂れてもいない。
駅に着いたらたくさんの乗客がいる。
変わらない地位を富士の懐に保証された街だ。
その街の空気を吸いたかった。
そして富士が遠ざかる。。
同じく遠くに黄色いスーパーホテルの看板が二つ見えた。
あれは三島か。
17:49 駿河小山(するがおやま)駅(御殿場線 静岡県)
夕暮れにまたステキな場所にいる。
老人団がなかなかうるさいが、あの富士の前にはちっぽけなもんだ。
富士を仰いで拝んでいる者もいる。
名を知りたいと思うが、駅に沿って古い街道が走っている。
今じゃあまり使われなくなったまま残っている日本の街道の家並みがそこにある。
ここで日が暮れるのを待つ。
富士の懐の清楚な風景の中にいる。
冷たい富士おろしにさらされながら、富士山にできるだけ接近して、写真の限界を知った。
その巨大な姿までは写真は記録できない。
脳裏に焼き付けるしかないんだ。
小山は金太郎発祥地とある。
近くには遊女の滝などあって、伝説に彩られている。
東京を離れるとどこも桜の里だったよ。
日本の春はかくも美しい。
春夏秋冬、一度は東京を離れるべきだ。
そう感じた春5日の旅だったよ。
18:41 国府津(こうづ)駅(東海道本線/御殿場線 神奈川県)
スノボー帰りの相模娘2人組の会話は興味深かった。
あれならまだオレもついていけるな。
ともあれ彼女たちにどうかいい人生を。
群青色に染まった富士と湘南海岸。
駅前を照らす仙次郎という飲み屋の赤い灯には引っ張られた。
思い止まったけどさ。
同じ建物にラーメン屋も仲良く収まっている。
19:38 逗子(ずし)駅(横須賀線 神奈川県)
大船駅で乗り換え。
夜の逗子は初めてだ。
列車の旅に目覚めた頃に久里浜から乗って途中下車した。
その前の記憶はその日に記している筈だ。
たくさんの人々が行き違う明るい街だった。
そしてまた風が冷たくなってきた。
19:56 横須賀(よこすか)駅(横須賀線 神奈川県)
終着駅のような駅を出るとヴェルニー公園。
肩を寄せ合っているのはどうやら男女だけではない。
オレンジ色の灯に照らされた軍艦と対岸の工場群。
駅前の前野食堂の灯は落ち、他には何もなかった港横須賀。
港の灯を除けば場末のたたずまい。
ブルースが聞こえてきそうな駅前だったよ。
20:11 田浦(たうら)駅(横須賀線 神奈川県)
横須賀、面白いね。
改札に上がると、用は知らないが海上自衛官がかしこまっている。
人気のない駅前ロータリーは寂しくすべての灯は落ち、隅に近寄りがたい闇ができている。
僅かな灯の中をバットを振る少年がいた。
トンネルに挟まれた愛すべき都会の秘境駅だったけど、脇には高いマンションが建っていたっけな。
乗り込んだ列車に小生意気なガキ共が同乗してる。
どの街まであの姿が通じるのか興味深い。
21:10 新川崎(しんかわさき)駅(横須賀線 神奈川県)
巨大な鉄道基地の周囲に高層マンションの灯が見える。
大勢の人間が暮らしているが、街と呼べるのか。
地上から細長く点々と続く灯の他に見えたのは、ふと足元に視線を転じた先にあった「養老の滝」だけだった。
先週下りた鹿島田駅まで600メートルの位置だという。
関連記事
-
「鉄旅日記」2006年晩夏【ふと誘われるように、上州へ向かう列車に乗ったのでございます。】-伊勢崎、桐生、西桐生、下仁田、上州富岡、高崎(高崎線/両毛線/上信電鉄)
鉄旅日記2006年9月2日・・・伊勢崎駅、桐生駅、西桐生駅、下仁田駅、上州富岡駅、高崎駅(高崎線/両
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後
車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってき
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、房総途中下車旅】その1-検見川浜、大貫、保田、那古船形、富浦、安房勝山、館山、太海、江見、勝浦、行川アイランド、東浪見、御宿(京葉線、内房線、外房線)
鉄旅日記2013年3月9日その1・・・検見川浜駅、大貫駅、保田駅、那古船形駅、富浦駅、安房勝山駅、館
-
「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】3日目(鹿児島中央-西鉄柳川)その2-隼人、日当山、鶴丸、吉松、真幸、矢岳、大畑、人吉、坂本、玉名、西鉄柳川(肥薩線、鹿児島本線、西鉄本線)
鉄旅日記2015年8月14日その2・・・西鉄柳川駅、西鉄久留米駅、西鉄甘木駅、甘木駅、基山駅、けやき
-
「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】初日(東京-大船渡)その5‐奇跡の一本松、陸前高田、大船渡(大船渡線)
鉄旅日記2020年2月22日・・・奇跡の一本松駅、陸前高田駅、大船渡駅(大船渡線) 18:20 奇跡
-
「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その1-日進、宮原、加茂宮、北大宮、大宮公園、土呂、東鷲宮、鷲宮、栗橋、古河、新古河、野木、間々田、岩舟(川越線/東北本線/両毛線)
鉄旅日記2014年11月3日その1・・・日進駅、宮原駅、加茂宮駅、北大宮駅、大宮公園駅、土呂駅、東鷲
-
「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】2日目(山形-左沢-新庄-鶴岡-新潟)走行距離313㎞ その1-アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童駅、村山駅、新庄駅、羽前前波駅
車旅日記2005年7月17日・・・アパホテル山形駅前大通、羽前山辺駅、寒河江駅、左沢駅、柴橋駅、天童
-
「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線)
鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線) 16:34 浪江(
-
「鉄旅日記」2014年秋【休日おでかけパスで、関東ローカル旅】その2-富田、佐野、佐野市、大平下、新大平下、栃木、思川、新白岡、白岡、東大宮(両毛線/東北本線)
鉄旅日記2014年11月3日その2・・・富田駅、佐野駅、佐野市駅、大平下駅、新大平下駅、栃木駅、思川
-
「鉄旅日記」2012年春【青春18きっぷで、ダム湖に水没する鉄路へ】その1-上尾、桶川、鴻巣、行田、岡部、神保原、新町、群馬総社、中之条、郷原、長野原草津口、万座・鹿沢口(高崎線、吾妻線)
鉄旅日記2012年4月1日その1・・・上尾駅、桶川駅、鴻巣駅、行田駅、岡部駅、神保原駅、新町駅、群馬