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「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

公開日: : 最終更新日:2025/06/12 旅話, 旅話 2021年

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語

8:12 力餅商店

「人生の峠を力餅で乗りきる」。なるほど。

列車の到着に合わせて姿を見せる力餅売り。峠駅の名物風景で、停車時間は1分やそこらなのに手早く売りさばいていく光景をかつて眺め、オレも購入したことがある。

だけどこの列車に乗ったわずかな客は関心を示さず、空しく引き上げていく餅売りの後をつけていくと茶屋に出た。朝から営業中。先客がひとり。

力餅は一人前2個を購入して、ビールとおでん。ラジオの音と生活の音が聞こえる。小さな子供の声も聞こえたような。

窓の外の景色もなかなかのもの。素敵なお庭だ。

おかみさんに伺うと、茶屋を構えたご先祖様は鉄道敷設工事の作業者のひとりで、未開の地に土着。当時の駅長さんの勧めで弁当売り、すなわち餅売りを始められたそうな。

山形新幹線が通る30年ほど前まではスイッチバック駅で、今日歩いたあの道をかつては列車が行きつ戻りつしていたとのこと。

その様子がご先代によって描かれ、店内を飾っていた。許可をいただいて写す。

話は尽きないが列車の時間がある。8:34発米沢行を逃すと午後まで列車はこない。

申し訳ないが、まだ話し足りなそうなおかみさんのお話を遮って、事情を告げる。記念にタオルを購入したよ。

峠の宿場の今昔物語。

8:34 峠(とうげ)駅(奥羽本線 山形県)

庭坂を出ると福島盆地が見渡せる。絶景と言える。

板谷駅の間に廃駅がひとつ。路線図にも手直しの後がある。旧赤岩駅で、惜しくも今年3月のダイヤ改正に合わせて使命を終えた。

峠駅に降りて外に出れば、舗装がされていない道に大きな水たまり。まるで一年中そうなのだと思わせるような退廃的な水たまり。

駅の便所は汚れ、その機能をとうに失っており、筒先は自然界へと向かった。

列車の到着時間が迫り、力餅売りが孤高にたたずむ。彼に近寄り、「さっきまでお店にお邪魔しておりました」と告げると言葉少なに頭を下げられる。

そして列車が着くと「峠の力餅~」と朗々たる名調子をシェルター内に響かせる。名優を眺めるかのような思いに浸る。

列車は大沢駅を過ぎた。大沢駅もまた雪避けに覆われている。

一帯を抜けると日差しが戻り、紺碧の空。

【Facebookへの投稿より・・・奥羽本線 峠駅】

山形新幹線も走る福島~米沢間にこの駅はあります。

雪よけのシェルターに囲われて、周囲に民家はほぼございません。

ですが列車が着くたびに、「峠の力餅~」という名調子とともに、かつての駅弁売りのように餅売りが現れます。

後をつけてみますと茶屋がございました。

そして、おでんをつまみに朝酒となった次第でございます。笑

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