「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その1 ‐上田、滋野、長野(しなの鉄道/信越本線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】
鉄旅日記2021年7月11日・・・上田駅、滋野駅、長野駅(しなの鉄道/信越本線)
2021・7・11 6:03 上田(うえだ)駅(北陸新幹線/しなの鉄道/上田電鉄別所線 長野県)
目覚めたのは4:00。カーテンを開けて別所の方角を眺める。上田電鉄の高架線路がくねっている。
ホテルを出たのは5:20過ぎ。駅前には飲食店も多く、昨夜に後悔はないが、この街の味を知りたいと思う。

松尾町、海野町と上がり、歓楽街に歩を進める。
タバコの臭いと品のない会話。夜がまだ続いているような一帯で、大都会とは比べようもないが、その規模に上田という街を見直した。





城址公園に向かう途中には市役所があり、そのあたりから見える山をうまく写せる場所をしばらく探した。

かつての堀底は遊歩道になっている。面白い。


街にも駅にも真田の六連銭が満ちている。そういう街になったことが上田の発展につながることを願う。

天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道。生き物は永遠にこの六道での転生を繰り返すもの。そして死後に三途の川を渡る際には、そうした世界への通行料が必要だと考えられていた。
六連銭はその通行料を表現したものであり、徳川家康が戦陣に掲げた「厭離穢土欣求浄土」と同じように、決死の覚悟を示す旗印だった。

軍陣に家康公の姿はなかったものの、徳川の大軍を2度まで押し返した上田は武勇の街。オレの一族が暮らす町も近く、従兄弟の結婚式ではこの駅に降りている。
母方のご先祖は真田幸村の家臣で、大坂の陣で戦死。郎党が持ち帰ったと伝わる首塚が現在も残り、その事実はオレの誇りの一部になっている。
第二次世界大戦当時、上田には民間の飛行場があり、米軍からの小規模な爆撃を受けたと父から聞いた。都会からの疎開先でもあった信州のそんな場所でさえ標的にされていたという事実に驚く。
明らかにその戦争は負けなのだが、その事実に覆いをしたままさらに多くの犠牲をもたらした当時の為政者の責任は重い。他国からの非難を受ける前に、自国民として肝に銘じる。
さらにどこからともなく広島にひどい爆弾が落ちたことが伝わり、次の標的は上田とのデマが広がったという。
戦争の知られざる一面にして、人間の本質を知る話ではある。
6:34 滋野(しげの)駅(しなの鉄道 長野県)
ルーツを探しにこの駅に降りた。上田からは小諸方面に4駅。
まだ幼かった頃に限定されるが、オレはここにいたことはあるのだろうか。親族の住まいの最寄り駅として何度かその名を耳にしてはいたが。
通るたびに古い駅舎を眺めては懐かしい思いにひたったものだが、何も覚えていない。


長いホームに信越本線時代のかつてを偲び、働き者の嘱託駅長さんと会話を交わす。駅舎はタクシー会社の事務所としても使われている。

駅から続く道に残るレトロな建屋を写す。たまらない美を感じるのだが、こうした姿でしか残っていないのは現代人にとってもはや受け入れがたいデザインだからなのだろうか。

駅前の小振りな滝が間断なく水音を聞かせてくれる。
8:25 長野(ながの)駅(北陸新幹線/信越本線/篠ノ井線/飯山線/しなの鉄道/北しなの線 長野県)
梅雨明けを思わせる空。そして今日は暑くなる。
ホームの「駅そば」で4月以来のカレーそば大盛り。おばちゃんの元気がいい。
まだ人通りの少ない駅構内。床に座り込んだ少女にご婦人が道を尋ねている。
昨日は雨に阻まれて駅を眺めることはできなかったが、長野駅の装いが変わっていることに何となく気づいていた。
見上げると木製の庇がある。提灯のようなものもぶらさがっている。
外に出て全容を確かめると目を見張った。善光寺をイメージしたのであろう和の造り。これはいい。寺社風だったかつての姿を思い出す。

再び飯山線へ。
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