「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その4 ‐越ノ潟、末広町、高岡、城端(万葉線/城端線)/高岡大仏 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月21日・・・越ノ潟駅、末広町電停、高岡駅、城端駅(万葉線/城端線)/高岡大仏
15:18 越ノ潟(こしのかた)駅(万葉線)
県営渡船は行ってしまって、行く手はロープに遮られてしまった。

54年前まではこの先に鉄路が伸びていて、富山市内までつながっていた。
富山市内から越ノ潟~新湊駅、現在の六渡寺駅までをつないでいた富山地方鉄道射水線。
1966年に富山新港の建設により堀岡~越ノ潟間が分断され、越ノ潟~新湊間は万葉線の前身にあたる加越能鉄道に譲渡されて現在に至り、堀岡~新富山間は1980年に廃止された。
この駅とは再会になる。当時は先に述べた事実など知らずにいた。そしてあたりはだいぶ記憶と違っていた。

前回来た時にはなかった新湊大橋を見に行く。次の駅名にもなっている海王丸が停泊している。新湊大橋には展望台があり、エレベーターが通じている。
三密だな。下から眺めるのにとどめた。



富山新港に新湊漁港。海と生きてきた街から何度か新湊高校が甲子園に現れ旋風を起こしている。
その新湊高校は庄川口の手前左側に見える。越ノ潟~高岡間の所要時間は約49分。
16:06 末広町(すえひろちょう)電停(万葉線 富山県)にて


16:12 高岡大仏にて

16:43 高岡(たかおか)駅(氷見線/城端線/あいの風とやま鉄道/万葉線 富山県)
変貌した高岡駅はオレには好ましい。


かつて駅前に停留所を構え、高岡駅前と称していた万葉線乗場は高岡駅舎に組み込まれ、名称も高岡に変更されていた。この変化を喜びたい。


万葉線を末広町で降りる。末広町は幼い頃の立川志の輔さんが行くのを楽しみにしていた繁華街とのこと。車内を流れる彼の軽妙な沿線案内に教えられた
御旅屋通りにも繁華街にも人影はなく、なすこともなく夜の訪れを待つように見えた。現在はただでさえコロナ禍。
高岡大仏はそこから遠くない。日本三大仏と聞いた。あとは奈良と鎌倉か。
大仏様は新しく見えた。ありがたいお顔だ。参拝に入場料はいらない。先客の若い男は2円しかないと賽銭箱の前でぼやいていた。
高岡駅までの道を歩く。繁華街を歩く。


駅前風景には見覚えがある。荒天だったあの日、オレは街歩きを諦めていた。その割に高岡への未練が薄かったのは、万葉線の車窓から街並を眺めたからなのだろう。

ビールを飲み干し城端線に乗る。
新高岡駅も前回の旅では存在しない。その駅で新幹線を降りた人々がひと駅を移動してきて列をなしている。

北陸本線の断絶は今も許容しがたいが、高岡の変化には暖かみを感じている。おそらく街は未来を知った。
17:45 城端(じょうはな)駅(城端線 富山県)
高岡を出ると線路はすぐに左にそれた。
冬枯れの田野を見下ろす空が朱色を増して、水溜まりは神聖な鏡を思わす。
日暮れは早く、車窓からはわずかな明かりがぽつぽつと。
今夜の宿泊先の砺波で8割方の乗客が降りた。沿線は砺波で成り立っている。
城端駅も懐かしい。駅舎はおそらく変わっていないのだろう。五箇山観光の入口と自負している。

五箇山は神秘的な一帯。流刑地であり、火薬の原料になる塩哨の生産地だった。
その技術は貴重ゆえに門外不出となり、固い掟によって共同体は守られていた。
新田次郎さんの小説「武田勝頼」にかの地での悲話が登場する。武田方の間者が忍び込み、村の娘の手引きで秘術を盗み出し、発覚の危険が迫り娘は男を逃がす。数年後、間者の身分を捨てて村を訪ねた男は娘が処刑されたことを知り深く胸を痛めた。観光案内には「血染めの~」などの文言がある。
滞在時間11分。前回はよく歩いたが、駅前に立ってもどちらに向けて歩いたのか記憶が定かじゃない。

砺波へと7駅戻る。

関連記事
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 最終日(門司港-東京)その1‐門司港、小森江、折尾、若松(鹿児島本線/筑豊本線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月16日・・・門司港駅、小森江駅、折尾駅、若松駅(鹿児島本線/筑豊本線)
-
-
「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その3(R20)諏訪湖、韮崎、道の駅甲斐大和
車旅日記1996年5月6日 16:28 諏訪湖 松本市内を通過して塩尻峠を下りていく。 塩尻峠は
-
-
「鉄旅日記」2014年春-館林、佐野、葛生、西小泉、赤城、太田、伊勢崎、新伊勢崎、足利、足利市(東武佐野線/東武小泉線/東武桐生線/東武伊勢崎線)【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】
鉄旅日記2014年4月6日・・・館林駅、佐野駅、葛生駅、西小泉駅、赤城駅、太田駅、伊勢崎駅、新伊勢崎
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.2 その1-天王台、植田、泉、いわき、富岡(常磐線) 【青春18きっぷ常磐旅。この当時、常磐線は富岡止まりでございます。そしてこの季節、臨時駅の偕楽園駅に列車が止まります。】
鉄旅日記2019年3月10日・・・天王台駅、植田駅、泉駅、いわき駅、富岡駅(常磐線) 2019・3
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 最終日(三沢-東京)その1 ‐三沢、八戸、滝沢、巣子、盛岡(青い森鉄道/IGRいわて銀河鉄道)/薬師神社/岩手山 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月10日・・・三沢駅、八戸駅、滝沢駅、巣子駅、盛岡駅(青い森鉄道/IGRいわて
-
-
「鉄旅日記」2020年晩秋 最終日(武生-東京)その2‐敦賀、北鉄金沢、内灘、金沢、野々市(北陸本線/北陸鉄道浅野川線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
鉄旅日記2020年11月23日・・・敦賀駅、北鉄金沢駅、内灘駅、金沢駅、野々市駅(北陸本線/北陸鉄
-
-
「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】
車旅日記2004年5月2日・・・紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生
-
-
「鉄旅日記」2018年エイプリルフール その1-金町、上野、鹿沼、日光、東武日光、宇都宮、野崎(常磐線/東北本線/日光線) 【8年振りに金町に帰ってまいりました。青春18きっぷはまだ3日分残っております。呼んでくれたのは会津でございました。】
鉄旅日記2018年4月1日・・・金町駅、上野駅、鹿沼駅、日光駅、東武日光駅、宇都宮駅、野崎駅(常磐線
-
-
「鉄旅日記」2019年霜月 最終日(北上-東京)その1‐北上、横手、醍醐、十文字、下湯沢(北上線/奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】
鉄旅日記2019年11月4日・・・北上駅、横手駅、醍醐駅、十文字駅、下湯沢駅(北上線/奥羽本線)
-
-
「鉄旅日記」2017年夏 初日(東京-大垣)その2-郡上八幡、北濃、美濃白鳥、郡上八幡、関、美濃太田、岐阜(長良川鉄道/高山本線)【私鉄王国で過ごす夏】
鉄旅日記2017年8月11日・・・郡上八幡駅、北濃駅、美濃白鳥駅、関駅、美濃太田駅、岐阜駅(長良川鉄
- PREV
- 「鉄旅日記」2020年晩秋 初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
- NEXT
- 「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その1 ‐砺波、戸出、新高岡、金沢(城端線/北陸新幹線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】
