*

「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その4‐浪江、いわき、常陸多賀、石岡(常磐線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/05 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記20220年4月5日・・・浪江駅、いわき駅、常陸多賀駅、石岡駅(常磐線)

16:34 浪江(なみえ)駅(常磐線 福島県)
四ツ倉から久ノ浜、そして末続と車窓に海がちらつく。

末続駅にもかつて立ち寄った。
古い駅舎は健在で、ホームからは海が見える。

高台にあるゆえ津波が到達することはないが、無事だったのかとの感慨は持つ。

広野にはホテルが進出し、またテナントを募る雑居ビルが建ち、過ぎてきた駅とは趣が異なる。
発展を願いたい。

16:19着。
原発事故による帰還困難区域の象徴とも言える浪江に降りた。

人の気配がない町の静けさとはこのようなものかと商圏をひと回りする。

オレのような物珍しげにうろつく男の姿が数人。
駅前に置かれた記念碑から「高原列車よさようなら」が鳴り響く。

町内地図を見ると多くの飲食店が日曜日を休みにしているようだ。
それで人の姿がないのか。

日差しが戻ったが、花冷えの冷気を溶かすには至らず、ここで考えたかったこと、感じるべきことをしっかり体に入れたかと反問しながら上り列車に乗る。

16:46発、いわき行。

17:55 いわき駅(常磐線/磐越東線 福島県)
浪江~富岡間が開通したことによって常磐線は品川~仙台が全通。
途中の双葉、大野、夜ノ森が駅として再開。

だが立入禁止区域を未だに含み、気ままな旅行者以外に歩く者はなく、双葉を過ぎると福島原発の姿が覗く。

海はいいな。
やっぱり海はいい。

沖を往く白い船。
それを遠くの車窓から眺める男がある。

偶々だが、奇跡とも言えそうだ。

17:55発、水戸行。

夕焼けを眺めている。
月には早くから気づいていた。

コロナ騒動の最中、そう言えば月に気づかなかった。

旅を楽しみ、孤独を感じ、オレを愛してくれる人を想い、そしてまた月を見上げた。

山の稜線が群青色に浮かび上がる。

勿来に着いた。

19:07 常陸多賀(ひたちたが)駅(常磐線 茨城県)
特急ひたち号との待ち合わせ6分の停車。

水戸に近づくにつれて乗客が増えて、マスク着用率も増えた。
またあの半狂乱の巷に戻ることにいくぶん気持ちが重たくなる。

この駅に降りるのも2年ぶりだ。

今後東北に向かうメインルートとなる常磐線。

そんなに昔のことなど思い出さずに済むようになる。

20:17 石岡(いしおか)駅(常磐線 茨城県)
特急ときわ号待ち合わせ7分の停車。

この駅の前世を知っている。

鉾田から霞ヶ浦に沿って進む鹿島鉄道に乗った日。
クリスマス・イブだった。
今も懐かしく思う。

鹿島鉄道は今やなく、10年以上の歳月が流れている。

石岡駅にとってもそれは大きな出来事だったのだろう。
多くの茨城県民も無念に思ったことだろう。

駅の改装により当時鹿島鉄道が到着していたホームも定かじゃなくなり、コーヒーを飲んだ待合室もない。

ここに着けば、そんな時代を思い出す。

そんなオレの歴史が数多の駅に存在する。
それを今オレは幸せにも感じ、誇りにも感じている。

関連記事

「鉄旅日記」2021年春 最終日(米内沢-東京)その2 ‐小砂川、女鹿、象潟、秋田(羽越本線/秋田新幹線)/三崎峠 【大人の休日倶楽部パスで東北へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。続くコロナ禍ではございますが、約半年の辛抱の時を過ぎて、天候にも苛まれながら秋田内陸縦貫鉄道に乗りに行きました。】

鉄旅日記2021年4月18日・・・小砂川駅、女鹿駅、象潟駅、秋田駅(羽越本線/秋田新幹線)/三崎峠

記事を読む

「鉄旅日記」2011年夏【みちのくひとり旅】最終日(花巻-東京)-花巻、平泉、一ノ関、仙台、白石、福島、郡山、矢吹、黒磯、宝積寺、古河、蓮田、西川口(東北本線)

鉄旅日記2011年8月17日・・・花巻駅、平泉駅、一ノ関駅、仙台駅、白石駅、福島駅、郡山駅、矢吹駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年年始 最終日(一ノ関-東京)その2-本吉、柳津、前谷地、石巻、宮城野原、仙台空港(気仙沼線/石巻線/仙石線/仙台空港鉄道仙台空港線) 【雪が見たくて北へ向かいました。そして初めて仙台空港線に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2019年1月6日・・・本吉駅、柳津駅、前谷地駅、石巻駅、宮城野原駅、仙台空港駅(気仙沼線/

記事を読む

「鉄旅日記」2021年春 最終日(松本-東京)その2 ‐神城、千国、南小谷、小滝(大糸線)【週末パスで信濃へ。妙高高原駅で引き返し、松本の友人を訪ね、大糸線を旅して思い出の白馬へ。先の旅から一週間後のことでございました。】

鉄旅日記2021年4月25日・・・神城駅、千国駅、南小谷駅、小滝駅(大糸線) 7:53 神城

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 最終日(多治見-東京)その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極楽駅、恵那駅(中央本線/明知鉄

記事を読む

「鉄旅日記」2014年冬 初日(東京-桐生)-小菅、五反野、梅島、田島、渡瀬、県、東武和泉、福居、野州山辺、韮川、東小泉、藪塚、阿左美、岩宿、新桐生、下新田(東武スカイツリーライン/東武佐野線/東武伊勢崎線/東武桐生線) 【ふらっと両毛 東武フリーパスで、両毛ローカル旅】

鉄旅日記2014年12月28日・・・小菅駅、五反野駅、梅島駅、田島駅、渡瀬駅、県駅、東武和泉駅、福居

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その2‐倶利伽羅、森本、宇野気、高松(IRいしかわ鉄道/七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・倶利伽羅駅、森本駅、宇野気駅、高松駅(IRいしかわ鉄道/七尾線

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 最終日(大館-東京)-大館、十和田南、荒屋新町、前沢、一ノ関、愛宕、国府多賀城、陸前山王、北白川、東白石、蒲須坂、片岡(花輪線/東北本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月13日・・・大館駅、十和田南駅、荒屋新町駅、前沢駅、一ノ関駅、愛宕駅、国府多賀

記事を読む

「鉄旅日記」2006年如月 その2-勿来、いわき(常磐線) 【房総半島から1週間。常磐線に乗って、下っていったのでございます。】

鉄旅日記2006年2月11日・・・勿来駅、いわき駅(常磐線) 2006・2・11 いわき東急イン6

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その3 ‐南甲府、金手、甲府、八王子、京王八王子(身延線/中央本線)/甲府城跡 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・南甲府駅、金手駅、甲府駅、八王子駅

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その2 ‐十島、鰍沢口、甲斐住吉、国母、常永(身延線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・十島駅、鰍沢口駅、甲斐住吉駅、国母

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 最終日(静岡-東京)その1 ‐新静岡、静岡、由比、富士、芝川(東海道本線/身延線)/駿府城址 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

鉄旅日記2022年3月21日・・・新静岡駅、静岡駅、由比駅、富士駅、

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その3 ‐尾盛、千頭、金谷、静岡(大井川鐡道井川線/大井川鐡道本線/東海道本線)/くれたけインプレミアム静岡駅前 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・尾盛駅、千頭駅、金谷駅、静岡駅(大井川鐡道

「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 2日目(焼津-静岡)その2 ‐奥大井湖上、接岨峡温泉(大井川鐡道井川線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】

2022年3月20日・・・奥大井湖上駅、接岨峡温泉駅(大井川鐡道井川

→もっと見る

    PAGE TOP ↑