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「鉄旅日記」2001年初桜【京都の女性に恋をしていた頃がございました。そんなある3月の記憶でございます。】

公開日: : 旅話, 旅話 2001年

鉄旅日記2001年3月31日

2001・3・31の記憶(京都編)

金曜日の夜は感動的だった。

築地で仕事を終えると彼女にメールを送った。翌日の京都入りは伝えていたが、彼女からはそれに対する言及がないまま、とうとう前日を迎えていたんだ。珍しく彼女からすぐに返信があり、歓迎の意思を伝えてきた。

雲やら霧やら、あとは何だろう。とにかくあらゆるものが晴れたような気持ちになったよ。

その夜、山口宇部から出張で上京した友人を部屋に泊めることになっていた。彼とはここからほど近い居酒屋で再会を祝した。ついていたテレビじゃ、巨人×阪神の開幕戦。すごい試合をやっていたよ。17-3だったか。関西全域や全国の虎党の間に悲壮感のない絶望が覆ったことだろう。昔大阪で暮らしていた友人がそうした事情を解説してくれた。

彼女のことを話したのは、彼で3人目になるはずだ。翌朝彼は早くにここを出て山口に帰る。それから数時間後に、オレも一泊分の荷物を鞄につめて京都に向かうことを教えた。

彼との友情は10年を超えている。当時彼が暮らしていた祖師ヶ谷大蔵のボロアパートによく泊めてもらったものだ。そうしたどこか懐かしい雰囲気が漂う夜。オレも彼も疲れていた。早くに布団に入り、東京と山口に別れた二人のこれからの人生に再会の機会はどれほど訪れるだろうと思う。

同時に京都に暮らす彼女との関係はどうなっていくのだろう。どうありたいのだろう。酒の酔いにまかせて思いにふける。翌日、京都タワーホテル529号室で愛し合うことになるとは思っていなかった。想像しなかったわけじゃないが。

朝が来れば外は雨。雹もまじっている。朝食を済ませて朝刊に目を通し、友人は荒天の中ここを出た。睡眠不足が続いていたオレはそれからまたしばらく眠った。再び起き上がった時に目にした風景も雹まじりの雨模様。部屋を出たのは当初の予定より遅れて13時過ぎ。雪に変わっていたよ。

桜が満開を迎えたのが数日前。こんなこともあるのかと東京駅へ向かう気分は悪くない。この雪はきっと記憶に残るだろう。

彼女に連絡を入れたのは新大阪行ひかり231号の中。愛する女性に会いに京都へ向かう。不意ともいえる人生の好転に浮かれたよ。

あの夜のことを思い出せば、まだ興奮は消えない。でもなぜか彼女の表情をよくは思い出せないでいる。去年の11月に恋をしたけれど、やはりよくは思い出せなかったように。だから、そんなこともあろうかと、会っている時は努めて彼女の顔を脳裏に焼きつけるようにしていた。

ベッドに横たわる彼女の首筋は女性的な魅力にあふれていた。彼女の裸身はとてもふくよかで、溺れていいのなら溺れていようと思った。キスは情熱的で、まるで今も続いているかのように果てしなく続いた。暗闇の中で。やがて訪れた朝の光の中で。光の下では「恥ずかしい」と言うが、構わずに続けた。そうせずにはいられなかった。求めあっていたから。

メイクラヴの後、体を絡ませ触れ合い、抱きしめ、手を握り、空がうっすらと明け始めた頃に眠りに落ち、まどろみから覚めればまたメイクラヴ。彼女の豊かな乳房はオレの小さな手じゃ覆い隠せない。

ベッドに座り眠そうに彼女を見つめていると、彼女はオレに近寄り瞼にそっと口づけて洗面所へ。それからしばらくして荷物を手にして部屋を出る際、ソファに座っていた彼女の唇にオレもそっと。

あれから人生を悲しく感じた理由。やがて東京へと帰らなければならない事情はあまりにも無情だった。

二人はそんな事情を抱えて京都で出会った。

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