*

「鉄旅日記」2017年冬 初日(東京-会津若松)その3-七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城 【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/15 旅話, 旅話 2017年

鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線)/鶴ヶ城

16:59 七日町(なぬかまち)駅(只見線/会津鉄道 福島県)
お洒落な駅カフェが街にあたたかな灯をともしている。

踏み切り脇の駅は、始終通行する車の音や揺れを受けているけど、まるで俗世間とは一線を置いた夢の国のように超然としている。

まるで童話に出てくる暖炉の家のように。
そこに行けば、あたたかいシチューを出してくれそうな。

鶴ヶ城は平和に開放されていた。
訪れる誰もが悲惨な戊辰の戦いに思いを馳せることなどない。



もちろんオレもその中のひとりだったが、町地図で発見した旧西郷頼母邸に寄って案内板を見た時に会津戦争を実感した。

西郷頼母は当時の会津藩家老。
58歳の母から2歳の娘まで21人もの美しい命が、武家の掟に従い見苦しからざる最期を遂げたという。

泣きそうになったよ。
2歳なんて、、、刺せるかよ。

生き延びた西郷頼母は会津落城後も戦い続け、函館五稜郭へと向かった。

繁華街ではアーケードが取り払われていた。
何を意味するのか。

冬を迎える北国を訪れる観光客は稀だが、若い女性の姿を見る。
そんな彼女たちをあたたかく迎えるように、街は暖色系の灯に満ちている。

明治大正を思わせる建造物が市役所をはじめ街に散らばり、歩いていて飽きない。


抵抗して徹底的に打ちのめされた街の崇高なる現在の姿。
叶うなら、もう少し賑わうといい。

17:36 塩川(しおかわ)駅(磐越西線 福島県)
除雪された雪が残るホーム。
薄着の女子高生の甲高い声が響く。

闇に閉ざされ、7分前に閉鎖された駅舎。
確かにこの場所だが、ここがオレに旅心を植えつけた場所なのか。

26歳。
郡山の友人宅を出て日本海に向かう途中、偶然この駅に寄り、たまらない旅情を感じて、目を覚まされたような気持になった。

あれからこうして現在に至るまで、旅に夢中。

今宵は満月か。
そう思わせる月が煌々と夜空を照らしている。

18:29 姥堂(うばどう)駅(磐越西線 福島県)
米沢街道を北へ。

塩川にはレトロな拵えの店が散見された。
菓子屋だったか。
刃物屋もあった。
由緒のある町なのだろう。

月は、餅つきをする兎の姿をくっきりと浮き出し、地上の山々を従えている。

その神々しい姿をどうにか捉えようと何度も立ち止まる。

たどり着いたこの駅に駅舎はなく、線路は会津と新潟を繋いでいる。

こうした駅ではいつも奇跡のように思う。
こんな何もない場所から列車に乗って、いくつか乗り換えは必要だが、何することなく揺られていれば東京にも、どこにでも行けることを。

今日にも明日にもそうする若者がいるかもしれない。
未来はそうして輝かしいようにできている。

オレだってこれからどこへでも行けるさ。

さて、そろそろそんな列車がくる。
ここでその列車を待つのはオレひとり。

会津若松駅(あいづわかまつ)駅(磐越西線/只見線/会津鉄道 福島県)にて

21:39 フジグランドホテル619号
若松駅前は変わっていない。
隣の喜多方ラーメン食堂で念願の大盛チャーシュー麺を平らげる。

かつて仲間たちと喜多方駅前で食べたやつはチャーシューが山盛りだったけど、ここは駅前。
上品だ。

投宿後、ホテルが提携する日帰り温泉へ。
4500円にしては朝食もつき、温泉にも入れて、部屋は広く、窓辺からは駅が一望できる。

最高のサービスを提供してもらった。
会津には必ず再訪する。
そしてまたここに泊まろう。

磐梯山はきれいに見えていた。
あれは確かに宝の山。

ただ絶好のシャッターポイントを見つけられず気持ちを空しくした。
明日もあるさ。

駅を眺めている。
入線してきて行き止まりになるのもあれば、先へ行くのもある。

3度目の若松。
そんな光景を眺めながら、ただ酒に酔っている。

今年を振り返ってもよかったが、まだその段階じゃないらしい。
まだ一月残っている。

それより、オレの体はこんなに細かったかと驚いている。
頭が重くなってきた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年文月 3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲坂根駅(木次線) 13:

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋 2日目(砺波-武生)その4‐七尾、金丸、宝達、宇野気、本津幡(七尾線) 【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】

鉄旅日記2020年11月22日・・・七尾駅、金丸駅、宝達駅、宇野気駅、本津幡駅(七尾線) 1

記事を読む

「鉄旅日記」2020年初秋 初日(東京-高松)その4 ‐姫路、相生、有年、三石(山陽本線) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年9月19日・・・姫路駅、相生駅、有年駅、三石駅(山陽本線) 14:31&n

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】初日(東京-大阪茨木 R246→R1→名神高速)その3-関駅、その後

車旅日記1996年5月3日 16:36 関駅 あれから2時間経ってようやくここに戻ってきた。

記事を読む

「鉄旅日記」2014年春【青春18きっぷで、紀伊半島へ】最終日(紀伊勝浦-東京)その1-紀伊勝浦、太地、湯川、那智、三輪崎、新宮、丹鶴城公園、鵜殿(紀勢本線)

鉄旅日記2014年3月9日その1・・・紀伊勝浦駅、太地駅、湯川駅、那智駅、三輪崎駅、新宮駅、鵜殿駅(

記事を読む

「鉄旅日記」2021年夏 最終日(上田-東京)その2 ‐北飯山、飯山、蓮、森宮野原(飯山線) 【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】

鉄旅日記2021年7月11日・・・北飯山駅、飯山駅、蓮駅、森宮野原駅(飯山線) 9:16

記事を読む

「鉄旅日記」2018年如月 初日(東京-直江津)その2-三つ峠、塩山、酒折、塩尻、新島々、西松本、松本(富士急行/中央本線/アルピコ交通上高地線) 【冬の町を見たくて、週末パスを買いました。】

鉄旅日記2018年2月10日・・・三つ峠駅、塩山駅、酒折駅、塩尻駅、新島々駅、西松本駅、松本駅(富士

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線)

鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2005年初冬【鉄旅に目覚め、銚子へと向かったのでございます。】その2-外川、犬吠、本銚子、観音、仲ノ町、銚子、千葉(銚子電鉄/総武本線)

鉄旅日記2005年12月10日・・・外川駅、犬吠駅、本銚子駅、観音駅、仲ノ町駅、銚子駅、千葉駅(銚子

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その3-笹川、外川、犬吠、犬吠埼、銚子、椎柴、松岸(成田線/銚子電鉄)【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月22日・・・笹川駅、外川駅、犬吠駅、銚子駅、椎柴駅、松岸駅(成田線/銚子電鉄)

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年師走 初日(東京-古川)その1 ‐金町、東京、くりこま高原(常磐線/東北新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月4日・・・金町駅、東京駅、くりこま高原駅(常

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その4 ‐山寺(仙山線)/立石寺山門売店/高砂屋本舗 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・山寺駅(仙山線)/立石寺山門売店

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その3 ‐米沢、赤湯、中川、山形、北山形(奥羽本線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・米沢駅、赤湯駅、中川駅、山形駅、

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その2 ‐峠(奥羽本線)/力餅商店/峠の力餅売り/峠駅今昔物語 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・峠駅(奥羽本線)/力餅商店/峠の

→もっと見る

    PAGE TOP ↑