*

「鉄旅日記」2017年冬【会津へ。会津へ行きたかったのでございます。】初日(東京-下今市-会津高原尾瀬口-会津若松)その3-鶴ヶ城、七日市、塩川、姥堂、会津若松(只見線/磐越西線)

公開日: : 最終更新日:2024/05/08 旅話, 旅話 2017年

鉄旅日記2017年12月2日・・・七日市駅、塩川駅、姥堂駅、会津若松駅(只見線/磐越西線)
16:59 七日町(なぬかまち)駅(只見線/会津鉄道 福島県)
お洒落な駅カフェが街にあたたかな灯をともしている。

踏み切り脇の駅は、始終通行する車の音や揺れを受けているけど、まるで俗世間とは一線を置いた夢の国のように超然としている。

まるで童話に出てくる暖炉の家のように。
そこに行けば、あたたかいシチューを出してくれそうな。

鶴ヶ城は平和に開放されていた。
訪れる誰もが悲惨な戊辰の戦いに思いを馳せることなどない。



もちろんオレもその中のひとりだったが、町地図で発見した旧西郷頼母邸に寄って案内板を見た時に会津戦争を実感した。

西郷頼母は当時の会津藩家老。
58歳の母から2歳の娘まで21人もの美しい命が、武家の掟に従い見苦しからざる最期を遂げたという。

泣きそうになったよ。
2歳なんて、、、刺せるかよ。

生き延びた西郷頼母は会津落城後も戦い続け、函館五稜郭へと向かった。

繁華街ではアーケードが取り払われていた。
何を意味するのか。

冬を迎える北国を訪れる観光客は稀だが、若い女性の姿を見る。
そんな彼女たちをあたたかく迎えるように、街は暖色系の灯に満ちている。

明治大正を思わせる建造物が市役所をはじめ街に散らばり、歩いていて飽きない。


抵抗して徹底的に打ちのめされた街の崇高なる現在の姿。
叶うなら、もう少し賑わうといい。

17:36 塩川(しおかわ)駅(磐越西線 福島県)
除雪された雪が残るホーム。
薄着の女子高生の甲高い声が響く。

闇に閉ざされ、7分前に閉鎖された駅舎。
確かにこの場所だが、ここがオレに旅心を植えつけた場所なのか。

26歳。
郡山の友人宅を出て日本海に向かう途中、偶然この駅に寄り、たまらない旅情を感じて、目を覚まされたような気持になった。

あれからこうして現在に至るまで、旅に夢中。

今宵は満月か。
そう思わせる月が煌々と夜空を照らしている。

18:29 姥堂(うばどう)駅(磐越西線 福島県)
米沢街道を北へ。

塩川にはレトロな拵えの店が散見された。
菓子屋だったか。
刃物屋もあった。
由緒のある町なのだろう。

月は、餅つきをする兎の姿をくっきりと浮き出し、地上の山々を従えている。

その神々しい姿をどうにか捉えようと何度も立ち止まる。

たどり着いたこの駅に駅舎はなく、線路は会津と新潟を繋いでいる。

こうした駅ではいつも奇跡のように思う。
こんな何もない場所から列車に乗って、いくつか乗り換えは必要だが、何することなく揺られていれば東京にも、どこにでも行けることを。

今日にも明日にもそうする若者がいるかもしれない。
未来はそうして輝かしいようにできている。

オレだってこれからどこへでも行けるさ。

さて、そろそろそんな列車がくる。
ここでその列車を待つのはオレひとり。

会津若松駅(あいづわかまつ)駅(磐越西線/只見線/会津鉄道 福島県)にて

21:39 フジグランドホテル619号
若松駅前は変わっていない。
隣の喜多方ラーメン食堂で念願の大盛チャーシュー麺を平らげる。

かつて仲間たちと喜多方駅前で食べたやつはチャーシューが山盛りだったけど、ここは駅前。
上品だ。

投宿後、ホテルが提携する日帰り温泉へ。
4500円にしては朝食もつき、温泉にも入れて、部屋は広く、窓辺からは駅が一望できる。

最高のサービスを提供してもらった。
会津には必ず再訪する。
そしてまたここに泊まろう。

磐梯山はきれいに見えていた。
あれは確かに宝の山。

ただ絶好のシャッターポイントを見つけられず気持ちを空しくした。
明日もあるさ。

駅を眺めている。
入線してきて行き止まりになるのもあれば、先へ行くのもある。

3度目の若松。
そんな光景を眺めながら、ただ酒に酔っている。

今年を振り返ってもよかったが、まだその段階じゃないらしい。
まだ一月残っている。

それより、オレの体はこんなに細かったかと驚いている。
頭が重くなってきた。

関連記事

「鉄旅日記」2018年師走【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その2-中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢湾フェリー)

鉄旅日記2018年12月24日・・・中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢

記事を読む

「車旅日記」2004年夏【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】最終日(長崎-島原-唐津-福岡空港)走行距離291㎞その2-厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町

車旅日記2004年8月15日・・・厳木駅、西唐津駅、唐津駅、筑前前原駅、葛飾金町 2004・8・1

記事を読む

「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】4日目(米子-呉)その1-米子、安来、来待、西出雲、弘南、温泉津、波子、浜田、石見川本(山陰本線/三江線)

鉄旅日記2014年8月16日その1・・・米子駅、安来駅、来待駅、西出雲駅、弘南駅、温泉津駅、波子駅、

記事を読む

「車旅日記」1996年黄金週間【友を訪ねて大阪へ。そして約束の地、金沢へ。夢を見ながら国道を走った日々でございます。】最終日 北陸より東京へ‐その1(北陸道→R8)有磯海SA、玉ノ木パーキング、親不知ピアパーク、能生

車旅日記1996年5月6日 3:40 北陸自動車道-有磯海SA 多少はスッキリしたんだ。 あれ

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】2日目(黒磯-郡山-いわき-仙台)その2-末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイーストワン仙台

車旅日記2006年5月3日・・・末続駅、双葉駅、原ノ町駅、相馬駅、亘理駅、岩沼駅、名取駅、ホテルイー

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】3日目(釧路-旭川)走行距離533㎞-釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清水駅、樹海ロード日高、夕張駅、熊追橋付近、藤田観光ワシントンホテル旭川

車旅日記2004年5月3日・・・釧路パシフィックホテル、阿寒丹頂の里、阿寒湖、足寄駅、池田駅、十勝清

記事を読む

「鉄旅日記」2020年睦月【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】初日(東京-湯沢)その1‐金町、北千住、上野、宇都宮、黒磯(常磐線/東北本線)

鉄旅日記2020年1月11日・・・金町駅、北千住駅、上野駅、宇都宮駅、黒磯駅(常磐線/東北本線) 2

記事を読む

「鉄旅日記」2019年如月【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】初日(東京-安中)その1-金町、熱海、城ヶ崎海岸、伊豆熱川、伊豆稲取、今井浜海岸、河津(常磐線/東海道本線/伊東線/伊豆急行線)

鉄旅日記2019年2月9日・・・金町駅、熱海駅、城ヶ崎海岸駅、伊豆熱川駅、伊豆稲取駅、今井浜海岸駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線)

鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(おの

記事を読む

「鉄旅日記」2019年弥生Part.3【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】最終日(多治見-東京)その1-多治見、瑞浪、明智、岩村、極楽、恵那(中央本線/明知鉄道)

鉄旅日記2019年3月24日・・・多治見駅、瑞浪駅、明智駅、岩村駅、極楽駅、恵那駅(中央本線/明知鉄

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】最終日(三次-東京)その1‐三次、上下、府中(福塩線)

鉄旅日記2020年7月26日・・・三次駅、上下駅、府中駅(福塩線)

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その5‐備後落合、備後庄原、三次(芸備線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・備後落合駅、備後庄原駅、三次駅(芸

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その4‐宍道、加茂中、出雲横田、出雲坂根(木次線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・宍道駅、加茂中駅、出雲横田駅、出雲

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その3‐黒松、仁万、出雲市、荘原(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・黒松駅、仁万駅、出雲市駅、荘原駅(

「鉄旅日記」2020年文月【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】3日目(萩-三次)その2‐益田、三保三隅、浜田、波子(山陰本線)

鉄旅日記2020年7月25日・・・益田駅、三保三隅駅、浜田駅、波子駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑