*

「鉄旅日記」2020年卯月【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】初日(東京-新津)その2‐水戸、いわき、原ノ町、鹿島(常磐線)

公開日: : 旅話, 旅話 2020年

鉄旅日記2020年4月4日・・・水戸駅、いわき駅、原ノ町駅、鹿島駅(常磐線)
7:40 水戸(みと)駅(常磐線/水戸線/水郡線/鹿島臨海鉄道線 茨城県)
水戸の春は美しかった。

車窓から見る偕楽園は雅で、右手に千波湖が現れるに及び列車は庭園に踏み入れる。

桜咲く春。
この国の美しさをあらためて想う。

そしてコロナ報道に毒されて今朝を案じていた身を恥じる。
自然に接する度に、あるいは草木にも及ばない身上ではないかと思う。

もっとも天の下で暮らす身に上も下もない。

7分の停車。

常磐線が全通したこの春。
東北に向かうメインルートもまた日光街道から水戸街道へと変わった。

9:30 いわき駅(常磐線/磐越東線 福島県)
日立に着く頃に太平洋が見えた。
日差しを浴びて美しかった。

不意に昔よく聴いた尾崎豊さんの「ドーナッツ・ショップ」の歌詞が浮かんでくる。

「本当は何もかもが違うんだ」

日立の城下町を沿線に見た。
ふと車窓に目をやると桜木や海が見える。

高萩を過ぎるといつしか眠り、目覚めると勿来を過ぎていた。

いわきに着く手前に桜の公園があった。

鉄道旅に不慣れだったかつての一日に、その日の終着駅と定めたいわき。
そんな街を朝早くに過ぎていく。
当時にも予兆はあったのかもしれないが、当時からは想像を絶する今を生きている。

久々に通る道を前にそんなことを思う。
おそらくこの街でしか思い得ないことを思っている。


いわきとオレの縁が紡いだ5行もあれば足りるような思いだが、時にこうしてオレは人生を愛でる。

10:51 原ノ町(はらのまち)駅(常磐線 福島県)
原ノ町行はなかなかに混んでいる。
地方に下っていく列車にしてはという話だ。

末続あたりから再び三度太平洋が顔を出す。
かつて眺めたであろう海辺には、かつてはなかったであろう防潮堤を見て、やがて鉄路は海辺を離れていく。

常磐線が全通するのは、あの9年前の震災以来。
あの日を境に人生が変わった者もいれば、すべてが変わってしまった因果の果てにあの日を思い起こす者もある。

今年の桜前線の遡上は早く、浜通りの盛りは過ぎている。

富岡を過ぎると浪江までは未だに帰還困難区域。
鉄路はその区域をまたぎ、その区域に位置する夜ノ森駅で降りる者の姿がある。

目の前に座っていたオタク3人組はその次の大野駅で降りた。
帰還困難区域はさらにひとつ先の双葉駅まで続く。

原ノ町での乗り継ぎ時間は4分。

駅前は少し変わっていたようだ。
その記憶は、もう10年以上前のものになる。

10:59 鹿島(かしま)駅(常磐線 福島県)
行き違い4分の停車。

うららかな春の日差しを浴びて、鉄道オタクがホームに出る。
漏れ聞こえる会話には「国鉄」という文言がある。

ある種の異空間がここに生まれ、仙台へと向かう。

金町に住まうオレの、東北への新たなメインルートが生まれた。

南相馬もまたうららかな日差しの下。

関連記事

「車旅日記」1998年夏【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】最終日(志賀高原湯田中-中込-東京)-湯田中、菅平湖、中込ローソン、竜王駅、道の駅甲斐大和、藤野駅、東京町田

車旅日記1998年7月20日 1998・7・20 7:25 湯田中‐某クラブ志賀高原 486㎞

記事を読む

「鉄旅日記」2008年初夏【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】初日(東京-和歌山)その1-浜松、豊橋、大垣、京都、六地蔵、城陽、京終、帯解、天理、桜井(東海道本線/奈良線/桜井線)

鉄旅日記2008年7月19日・・・浜松駅、豊橋駅、大垣駅、京都駅、六地蔵駅、城陽駅、京終駅、帯解駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】初日(東京-五所川原)その4‐青森、新青森、津軽新城、鶴ヶ坂、浪岡(奥羽本線)

鉄旅日記2019年11月2日・・・青森駅、新青森駅、津軽新城駅、鶴ヶ坂駅、浪岡駅(奥羽本線) 19:

記事を読む

「鉄旅日記」2018年卯月【ときわ路パスでめぐる常陸旅でございます。】その1-取手、竜ケ崎、佐貫、岩間、赤塚、大洗、鹿島神宮(常磐線/関東鉄道竜ヶ崎線/鹿島臨海鉄道)

鉄旅日記2018年4月25日・・・取手駅、竜ケ崎駅、佐貫駅、岩間駅、赤塚駅、大洗駅、鹿島神宮駅(常磐

記事を読む

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】初日(東京-砺波)その3 ‐氷見、雨晴、越中国分、伏木、中伏木(氷見線/万葉線)/義経岩/伏木神社

鉄旅日記2020年11月21日・・・氷見駅、雨晴駅、越中国分駅、伏木駅、中伏木駅(氷見線/万葉線)

記事を読む

「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】初日 (東京‐三国峠‐新潟)- 橋本、拝島、東松山、籠原駅、高崎、月夜野情報サービスセンター、猿ヶ京湖城閣、越後湯沢駅、堀之内パーキング、道の駅豊栄

車旅日記1996年11月1日 1996・11・1 12:13 東京町田 昨夜の決意は固かったけど

記事を読む

「車旅日記」2004年春【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】最終日(稚内-旭川空港)走行距離353㎞その2-天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居古潭、旭川空港

車旅日記2004年5月5日・・・天塩中川駅、音威子府駅、美深駅、名寄駅、風連駅、和寒駅、比布駅、神居

記事を読む

「車旅日記」2005年初夏【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】最終日(新潟-五泉-弥彦-柏崎-長岡)走行距離246㎞ その1-新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅

車旅日記2005年7月18日・・・新津駅、五泉駅、巻駅、弥彦駅、柏崎駅、笠島駅 2005・7・18

記事を読む

「鉄旅日記」2009年秋【女川を目指した旅。ここには震災前の女川の姿が残されております。】初日(東京-新庄)松戸、取手、友部、上菅谷、常陸太田、高萩、いわき、郡山、福島、米沢、山形、新庄(常磐線/水郡線/水郡線常陸太田支線/磐越東線/東北本線/奥羽本線)

鉄旅日記2009年10月10日・・・松戸駅、取手駅、友部駅、上菅谷駅、常陸太田駅、高萩駅、いわき駅、

記事を読む

「鉄旅日記」2009年皐月【四国へ、途中下車の旅】4日目(高知-宇和島)-高知、朝倉、伊野、斗賀野、須崎、窪川、中村、宿毛、宇和島(土讃本線、土佐くろしお鉄道中村線/宿毛線、予土線)

鉄旅日記2009年5月4日・・・高知駅、朝倉駅、伊野駅、斗賀野駅、須崎駅、窪川駅、中村駅、宿毛駅、宇

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】最終日(武生-東京)その1‐越前武生、武生、三方、美浜(北陸本線/小浜線)

鉄旅日記2020年11月23日・・・越前武生駅、武生駅、三方駅、美浜

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その6‐三国港、田原町、福井駅(えちぜん鉄道三国芦原線/福井鉄道)

鉄旅日記2020年11月22日・・・三国港駅、田原町駅、福井駅電停(

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その5‐福井、新福井、勝山、福井口(えちぜん鉄道勝山永平寺線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・福井駅、新福井駅、勝山駅、福井口

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その4‐七尾、金丸、宝達、宇野気、本津幡(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・七尾駅、金丸駅、宝達駅、宇野気駅

「鉄旅日記」2020年晩秋【大人の休日倶楽部パスで北陸へ。新幹線、在来線特急乗り放題でございます。魚津、雨晴をめぐり、氷見線、万葉線、城端線、七尾線、えちぜん鉄道、福武線、北陸鉄道との再会でございます。】2日目(砺波-武生)その3‐羽咋、能登部、徳田、七尾、和倉温泉(七尾線)

鉄旅日記2020年11月22日・・・羽咋駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅

→もっと見る

    PAGE TOP ↑