「鉄旅日記」2019年師走 最終日(酒田-東京)その1‐酒田、象潟、砂越(羽越本線) 【由利高原鉄道鳥海山ろく線に乗りにいきました。初冬の日本海は荒々しく、美しゅうございました。】
鉄旅日記2019年12月8日・・・酒田駅、象潟駅、砂越駅(羽越本線)
2019・12・8 5:34 酒田(さかた)駅(羽越本線 山形県)
24年前の話になる。
この街がオレにとって一番遠い街だった頃のことだ。
阪神・淡路大震災が起こり、春にオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした1995年。
駅前に車を止めて夜を明かすつもりでいたんだ。
警察官の職務質問を受けたり、結果眠れない夜となり、真夜中に街を離れた。
当時の酒田はもっと賑やかだった。
今や駅前に駐車スペースはなく、従って当時を思う気持ちが湧いてこなかったのは自然なことだった。
強く乾いた北風が吹いていた。
でもその風は師走の日本海を思わせるほど冷たくはなかった。

5:35発の秋田行に乗っている。
6:49 象潟(きさかた)駅(羽越本線 秋田県)
大切に思う場所なんだ。
その地を粉雪が舞う。
駅を降りて海岸に向かった。
かつて泊まった旅館がどこにあったか思い出すことはできず、角の廃墟前には砂が溜まり、寂れ乾いたリゾートを見つめる胸にやるせなさが募る。
「もういい」と背を向けて九十九島へ。
暁に見る田野に浮かぶ島々は深遠な気持ちを呼び起こし、蚶満寺では鐘が鳴る。
手を合わせ祈りを捧げる。



1804年に起きた象潟大地震によって入江が約2m以上隆起して陸地となり、国指定天然記念物の姿となった九十九島。
入江に浮かんでいた頃は松島のような景観だったのだろう。
駅前の民芸喫茶は健在だった。
美人のおかみさんもご健在だろうか。
あの店で飲んだコーヒーの味は忘れがたい。
奥の細道最北の地、象潟。
最後に鳥海山を望み、離れた。






上浜から女鹿にかけて荒々しい日本海を右手に見て、吹浦を過ぎて鳥海山を正面に見る。
遊佐を過ぎて、左手には鳥海山、右手に雲間から覗く太陽。
地には冬枯れた田園。
夢中でスマホを向ける。









まるで神の庭を見るようだ。
7:42 酒田(さかた)駅(羽越本線 山形県)
かつてオレがいた場所。
やはりその感慨が湧くことはなく、明るい時間帯の酒田駅を写す。

恋人にお土産のポッキーを購入。
余目から陸羽西線に乗り入れる列車に乗る。
行き先はこのまま真っ直ぐ羽越本線だが、その列車には砂越駅で乗る。
そして発車。
東酒田駅前の冬枯れた田に白鳥が群れている。
神の庭は続いている。
8:03 砂越(さごし)駅(羽越本線 山形県)
冷たい北風に吹かれている。
日本海に吹く風を浴びている。
海は荒れていた。
そんな風。
ここ平田は彫刻の町らしい。
柿の木や米の貯蔵倉を写す静かなひととき。
覚悟はしていたが、やはり寒い。
酒田でも雪が舞っていた。
強くありたい。
ふと浮かんだそのひとこと。







列車は北余目に着き、相変わらず冬枯れた景色を眺めている。
関連記事
-
-
「車旅日記」2005年初夏 最終日(新潟-長岡)走行距離246㎞ その2-青海川駅、安田駅、北条駅、長鳥駅、来迎寺駅、長岡駅、東京葛飾金町 【長岡、会津、庄内。戊辰戦争ゆかりの地を巡りたかったのだと記憶しております。】
車旅日記2005年7月18日・・・青海川駅、安田駅、北条駅、長鳥駅、来迎寺駅、長岡駅、東京葛飾金町
-
-
「鉄旅日記」2014年夏 最終日(呉-東京)-呉、広、竹原、安芸幸崎、松永、東尾道、相生、西相生、比叡山坂本、用宗、富士、沼津(呉線/山陽本線/赤穂線/湖西線/東海道本線) 【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】
鉄旅日記2014年8月17日・・・呉駅、広駅、竹原駅、安芸幸崎駅、松永駅、東尾道駅、相生駅、西相生駅
-
-
「鉄旅日記」2020年睦月 2日目(湯沢-鷹ノ巣)その1‐湯沢、四ツ小屋、秋田、森岳(奥羽本線) 【秋田内陸縦貫鉄道に乗りにいきました。五能線の名所も歩いた旅初めでございます。】
駅旅日記2020年1月12日・・・湯沢駅、四ツ小屋駅、秋田駅、森岳駅(奥羽本線) 2020・1・1
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その2-屋代、坂城、小諸、三岡、中込、羽黒下、松原湖(しなの鉄道/小海線) 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
車旅日記2019年2月10日・・・屋代駅、坂城駅、小諸駅、三岡駅、中込駅、羽黒下駅、松原湖駅(しなの
-
-
2018年初秋 最終日(桑名-東京)その1-桑名、養老、大垣、揖斐、垂井、美江寺、本巣、樽見(養老鉄道/東海道本線/樽見鉄道) 【JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】
鉄旅日記2018年9月16日・・・桑名駅、養老駅、大垣駅、揖斐駅、垂井駅、美江寺駅、本巣駅、樽見駅(
-
-
「鉄旅日記」2020年卯月 最終日(新津-東京)その3‐小野新町、要田、いわき(磐越東線) 【緊急事態宣言発令直前のことでございます。常磐線全線運転再開を祝して人知れず旅に出たのでございます。】
鉄旅日記2020年4月5日・・・小野新町駅、要田駅、いわき駅(磐越東線) 12:33 小野新町(お
-
-
「車旅日記」1997年夏 3日目(田沢湖近辺-男鹿半島-鳴子)-和田駅、入道崎、八望台、男鹿駅、道川駅、矢島駅、鳴子サンハイツ【男鹿半島を目指した夏。友と過ごし、旧友と再会したみちのく旅でございます。】
車旅日記1997年8月15日 1997・8・15 9:04 和田駅 855㎞ 友と19時間をともに
-
-
「鉄旅日記」2020年文月 最終日(三次-東京)その5‐京福嵐山、阪急嵐山、嵐電嵯峨、トロッコ嵯峨、嵯峨嵐山、京都(京福電鉄嵐山本線/東海道新幹線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】
鉄旅日記2020年7月26日・・・京福嵐山駅、阪急嵐山駅、嵐電嵯峨駅、トロッコ嵯峨駅、嵯峨嵐山駅、
-
-
「車旅日記」1996年秋【夏をあきらめきれず、秋。再び夏のルートへと向かったのでございます。】最終日(鳴子温泉‐米沢‐東京) 鳴子サンハイツ、鳴子温泉駅、芦沢駅、赤湯駅、米沢郊外、磐梯、猪苗代湖、新白河駅、氏家、春日部、三軒茶屋、東京町田
車旅日記1996年11月3日 1996・11・3 9:09 鳴子サンハイツ 拝啓 その後、元気です
-
-
「鉄旅日記」2009年晩秋 最終日(和田山-東京)その1-和田山、福知山、丹波竹田、石生、篠山口、三田、神鉄三田、宝塚、阪急宝塚、川西池田、川西能勢口、伊丹、阪急伊丹(山陰本線/福知山線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】
鉄旅日記2009年11月23日・・・和田山駅、福知山駅、丹波竹田駅、石生駅、篠山口駅、三田駅、神鉄三
