「鉄旅日記」2020年初秋 最終日(高松-東京)その1 ‐高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フェリー/直島宮浦→宇野フェリー) 【時空の友を訪ねて讃州高松へ。金比羅さん、瀬戸大橋、大歩危、小歩危などを友とめぐり、義仲寺に寄り、直島に渡り、水島臨海鉄道にも乗った4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年9月22日・・・高松港3番乗場、直島宮浦海の駅、宇野港、宇野駅(高松→直島宮浦フェリー/直島宮浦→宇野フェリー)
2020・9・22 7:17 高松港3番乗場
定宿の正面にある東浜港で、今日までの3日間朝を迎えた街を振り返っていた。



老友が車で迎えに来てくれた。彼は直島まで一緒に来るつもりでいたという。「そうしないと後悔が残る」とおっしゃる。
ただその手筈だと今日の内に東京には帰れないだろう。そのことを丁寧に告げて、彼の提案を断った。
別れの朝は美しく、ちょっぴり切ない。波止場に車を止めて二人しばらく黙っていた。
不思議なご縁ですね。
その言葉に老友は感極まり目元を潤ませる。寂しいのう。その言葉を2度聞いて車を出た。
オレの口からはすぐの再会を約する言葉が生まれ、彼が去っていく高松の街をしばらく眺めていた。

屋島を正面に見る乗船口へと下りていく時には旅人の心に入れ替わっていた。




8:26 直島宮浦海の駅
高松港から宮浦までは高速艇で30分。シンボルタワーに照準を定め眺めていた高松が遠ざかっていく。やがて今回の旅で老友に教えられた五色台が連なり、瀬戸大橋が見えてくる。



さてそろそろと、そちら側の船窓に見切りをつけて、島々に目を向ける。つくづく思う。オレは人の暮らしがある風景が好きなのだと。


直島は大きな島だった。島の先端には何もなく、しばらくすると海辺のコテージと小さな集落が現れ、やがて目を見張るような集落が出現する。そこが宮浦だった。

住吉神社にお詣りして島の道を歩いた。奇抜な外観の銭湯に先鋭的な酒場、ゲストハウスを過ぎてから折り返す。直島は本村というもうひとつの港を持ち、宮浦へは徒歩30分ほどとある。





コンビニで酒と朝食を購入して、海の駅と呼ばれる波止場で涼しい風に体を休めている。波止場の先に瀬戸大橋が見える。


宇野行きの四国汽船は大きな客船だった。おそらく宇野港はすでに見えているのだろう。
鱗雲が別れの挨拶。直島62分の滞在が過去になる。
9:08 宇野港にて




9:28 宇野(うの)駅(宇野線 岡山県)
島をつなぐように電線が張られている。その技術と叡知には畏敬の念を持つ。その無人島が船窓の端に移動するにつれて宇野の町が見えてくる。TSUTAYA、宇野駅、玉野競輪の看板。







鱗雲は宇野でも迎えてくれて、かつて朝を迎えた町の記憶を探す。

宇高連絡船が廃止された後も民間が運営した宇高航路は宇野~高松の直通便は廃止され、現在は直島を経由している。
3度目の宇野。高松に彼がいる限り、4度目5度目があるだろう。振り返らなかったのは、魂がそのことを分かっていたから。
船から下りる時、瀬戸内航路の旅を終えた深い感動が胸に湧くのを感じていた。そして宇野にいる時はいつも晴れている。
宇高連絡船が運航されていた頃の宇野駅を写真で見たが、いかにも国鉄駅といった箱型の駅舎で、現在のような特徴はない。今朝見送ってくれた高松の老友はこの駅の姿を知らない。
ただ、当時は人であふれていたのだろう。


この終着駅から始める旅路を思えば心は沸き立ち、手にはビールが握られている。

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