*

「車旅日記」1998年夏 初日(東京-伊那-木曽)-東京町田、相模湖駅、鳥沢駅、道の駅甲斐大和、勝沼、長坂、伊那市駅、道の駅日義 木曽駒高原 【伊那、木曽から志賀高原へ。気乗りのしない旅で選んだ行き先は、初夏の信濃路でございました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/10 旅話, 旅話 1998年

車旅日記1998年7月18日

1998・7・18 12:48 東京町田
久しぶりに空がよく晴れている。
この空の下を旅立てるとは素晴らしい。

今回ほど旅の趣旨が明確じゃないことも珍しい。
どこへ行くつもりなのか。
今もオレにはよく分からない。

今日に行き着くまでの日常もまたそんな迷走状態だった。

昨日も気の抜けたまま仕事をして、酒を飲んで帰っただけ。
そんな日々が続いていた。

いくつかオレの中の約束事もあったが、そのどれもが果たされていない。

そして見えるもの、考える対象物がすべて悲しげな色をしていた。

徐々にではあるが、堕ちていっているような錯覚も起こった。

遅く目覚めてからかなりの時間が経ったが、まだ後ろ髪を引かれるように狭い部屋を行ったり来たりしている。

出かけるんだろう?
太陽もまた、6時間後には落ちていくから。

15:20 相模湖駅 44㎞
旅の最初はこんなもの。
体調は悪くないが、決してよくもない。

だらだらした日常にも疲労感は残る。
さらに満足感がない分タチが悪い。

そんなものと今闘っている。

川や湖といった水辺に人々が集まっている。
きっと今日から夏が始まったのだろう。

ここに来るまで学生時代によく聞いていたカセットをかけていた。
こんな楽曲を聴きながら、オレは様々なことに思いを馳せていたんだったな。
そんな感傷が生まれた。

稲垣潤一の声は思い出と一緒にある。
これでまた、しばらく聴くことはないだろう。

16:10 鳥沢駅 67㎞
20号国道を行っている。

いい風情だ。
山間では何となく人々が落ち着いて生活しているような印象を受ける。

この駅構内は終日禁煙。
きっとこのあたりの住民が駅をどう扱いたいかという気持ちが現れた結果なのだろう。
いい試みだとは思う。

このまま山間を縫って木曽まで行く。
そうに決めた。
日が暮れるのはどこらあたりだろう。

いくぶん涼しくはなったけど、今日は暑い。
体から噴き出す汗の臭いもまた強烈だ。

ここにきて、ようやく98年の夏が始まった。

17:14 20号国道‐甲斐大和(道の駅) 92㎞
ここに立ち寄ったのは2年前のことになる。

つい最近だと思っていたが、それでも2年の月日が流れている。
それなりに感無量だ。

今オレは今年最初の夏の夕暮れに車を走らせながら沿道を眺め、楽しんでいる。

オレが思うところの正しい高校生を見かけた。
よく鍛えられていそうな少年だった。

甲斐の道は、若者よりもむしろオッチャン、オバチャン、じいちゃん、ばあちゃんがよく似合い、そのとおりの風景が作られている。

オレの記憶の中の夏の風景とも一緒。
小さな頃、田舎で過ごした時の風景だ。
ひどく懐かしく感じて、自然に笑みを浮かべていた。

今回は初めて海を見ない旅になるだろう。
カナカナと鳴くヒグラシの声がとても愛しい。

5月に出した友への手紙に、「もう独りの旅はごめんだ」と書いたけど、今回は少しばかり違った心境でいる。

17:38 20号国道‐勝沼 99㎞
親父への土産の赤ワインを購入するために立ち寄ったら、桃をもらったよ。

だからこうした場所はいい。
勝沼のことは、東京に帰ったらみんなに触れ回るよ。

素晴らしい人情の町だと。

19:14 20号国道‐長坂 148㎞
町が見当たらないから仕方なくコンビニに寄って用を済ませた。

夏の暑さは引いて、このあたりじゃ今夜はそれなりに涼しくなるだろう。
今日もまた日が暮れた。

寝場所として想定しているあたりはかなり寂しいところのようだ。

20:53 伊那市駅 209㎞
近くで花火の音が聞こえる。

川沿いの小さな街にたどり着いている。

ここにきてルートの再考を促されている。

地図上では権兵衛峠を行くのがいいが、そこへ至る表示は見当たらず躊躇する。
一度塩尻に出てから南下する方がよさそうだ。

今家族に電話を入れ、涼しい場所でちゃんと生きていることを伝えた。

少年たちが明るい場所に集まってくる事情は都会も地方も変わらない。

22:45 19号国道‐日義 木曽駒高原(道の駅) 286㎞
ここに落ち着いてから10分ほど経つ。

すでに一杯やりだしている。
つまりここが今日の終着点。

信濃路はよく整備されている。
道も明るい。

東北の山中を走っている時の妙な焦燥感を持たずに済んだことはとてもありがたかった。
バカな走り方をするヤツに出くわさなかったことも幸運だった。
きっと明日も快適な旅になるだろう。

町田では今回のツアーに特に理由は見当たらないと書いた。
でもこうしていると理由などどうでもよくなる。

こうしているのが好きなんだよ。
過剰な付加価値など必要ない。

だから今回は考えたことを記すのではなく、単に思ったことを記していこうと思う。

考えなければ、彼女のことも仕事も浮かんでこない。

うまく表現できないけど、空を見て、通り過ぎる町並を眺め、特にストーンズをかけて走る時に、オレは一番自由を感じる。
そんな時は日常を忘れる。

本当は旅先で日常を客観的に眺めてみたいと思っていたけど、自由を感じると、そんなことはどうでもよくなる。
特に問題も見当たらない。

だからこうしてできるだけ自由でいたいと思う。

明日はこのあたりで遊ぶつもりでいる。
夜だからあたりのことはよく分からないが、何となくここを気に入ったよ。

関連記事

「鉄旅日記」2021年秋 初日(東京-飯坂温泉)その1 ‐金町、高浜、友部、水戸、いわき(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月9日・・・金町駅、高浜駅、友部駅、水戸駅、いわき駅(常磐線) 202

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 最終日(十三-東京)その2-野洲、米原、神領、定光寺、中津川、塩尻、岡谷、日野(東海道本線/中央本線)【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月14日・・・野洲駅、米原駅、神領駅、定光寺駅、中津川駅、塩尻駅、岡谷駅、日野駅

記事を読む

「鉄旅日記」2021年皐月 初日-浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の家 【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】

鉄旅日記2021年5月22日・・・浜金谷駅、金谷港、勝浦駅(内房線/外房線)/遠見岬神社/旅館松の

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その5‐飛騨金山、下呂、禅昌寺、飛騨萩原、上呂(高山本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・飛騨金山駅、下呂駅、禅昌寺駅、飛騨萩原駅、上呂駅(高山本線) 1

記事を読む

「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その1-紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生花園、網走市鉄道記念館、網走監獄、網走駅、北浜駅、浜小清水駅 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月2日・・・紋別港、サロマ湖三里浜オートキャンプ場、芭露駅跡、サロマ湖ワッカ原生

記事を読む

「鉄旅日記」2007年皐月 初日(東京-米子)-静岡、豊橋、本竜野、播磨新宮、佐用、東津山、米子(東海道本線/姫新線/因美線/山陰本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

鉄旅日記2007年5月3日・・・静岡駅、豊橋駅、本竜野駅、播磨新宮駅、佐用駅、東津山駅、米子駅(東海

記事を読む

「車旅日記」2005年冬 最終日(人吉-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町 【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】

車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港

記事を読む

「鉄旅日記」2018年師走 最終日(神島-鳥羽港-伊良湖岬-三河田原-豊橋-東京)その2-中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢湾フェリー) 【伊勢のいくつもの終着駅に降りまして、神島で2018年最後の満月を眺めたのでございます。】

鉄旅日記2018年12月24日・・・中之郷駅、伊勢湾フェリー乗場、道の駅伊良湖クリスタルボルト(伊勢

記事を読む

「車旅日記」2006年初夏 2日目(岐阜-近江八幡) その1-東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅、四日市駅、鈴鹿サーキット稲生駅 【これが最後の車旅でございます。鈴鹿山脈を回るように、終着駅を探して走ったのでございます。】

車旅日記2006年7月16日・・・東横イン名鉄岐阜、大垣駅、養老駅、阿下喜駅、西藤原駅、湯の山温泉駅

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その1-大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、碇ヶ関駅、大鰐温泉駅、黒石駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月5日・・・大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。初日(東京-銚子犬吠埼)その2 ‐銚子、笠上黒生、外川、犬吠(銚子電鉄)【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月8日・・・銚子駅、笠上黒生駅、外川駅、犬吠駅

「鉄旅日記」2022年神無月 ツレと訪ねた佐原~銚子~香取旅でございます。初日(東京-銚子犬吠埼)その1 ‐成田、佐原(成田線)/佐原の大祭【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年10月8日・・・成田駅、佐原駅(成田線)/佐原の大

2022年秋【SNSへの投稿より】秋の江戸川堤の景色をご堪能くださいませ。

【再び路上へ 2022年10月2日】 葛飾に戻りましてから4年

2022年初秋【SNSへの投稿より】両国散歩-両国駅、吉良邸跡、回向院、鼠小僧供養墓、国技館、旧国技館(日大講堂)跡、隅田川、両国物語

【2022年9月8日 両国散歩】 お得意先を訪ね、お昼時に町に

「鉄旅日記」2022年晩夏 「ツレとの房総日帰り旅」鋸山に登り、木更津で夏の名残を惜しんだのでございます。 ‐浜金谷、君津、木更津(内房線)/鋸山ロープウェー【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年8月27日・・・浜金谷駅、君津駅、木更津駅(内房線

→もっと見る

    PAGE TOP ↑