「鉄旅日記」2000年晩秋【京都の女性に恋をしていた頃がございました。その京都時代のはじまりでございます。】-京都タワーホテル
鉄旅日記2000年11月23日~24日
2000・11・23 0:03 京都タワーホテル924号室
昨日まで。
いや今日ここ京都に来るまでにあった不安は解消し、今は穏やかな気持ちというより、喜びの中で在阪ラジオ局が流す楽曲を聴きながら、この時間にしては酒じゃなく、お茶を飲んでいる。
初めてに等しい京都は、限りなくオレに対して好意的だった。
詳しくは明日金町に帰ってから落ち着いて記すだろう。
たぶん明日になっても今日のことは輝きを失わず、ましてや夢であったなどということもなく、より価値あるものになっているだろう。
頑張っていたオレにとって最高のご褒美。
そう思うようにしている。
最近は拾ってくれる神様によく出会っていた。
彼女もその仲間であってくれるならうれしい。
でも今夜の彼女は紛れもなく女神だったし、天使だった。
時刻不明 東京葛飾金町
不安だった大阪から京都への出張がこのような形をとるとは。
帰りの新幹線の中。
豊橋から東京までの景色一部始終を眺めながら、できることなら定期的にこの景色を眺めることになれればいいと思っていた。
今日は京都の一部分に深く分け入った。
オレをあれだけ疲労させる街も珍しい。
いくつもの名所を渡り歩き、やがて足は棒になった。
鴨川に戻ると、昨夜の記憶が生まれた場所との距離を想った。
八坂の石段下に近づく時は胸が高鳴った。
すれ違う京女たちもオレに好意的な視線を向けてくれているように感じていた。
疲労やら喜びやら舌鼓をうったりしながら、高瀬川を千鳥足で歩く白鳥を見たりしながら、地下鉄で多くの京都人と交わりながら、京都という街がオレの中で特別な居場所を見つけていくのを感じていた。
同時にこの人波じゃ、少なくとも彼女を見つけることはできないことを理解した。
やがて訪れる日を期待しながら土産を買い込み、京都駅新幹線ホームの待合室で帰りの便を待った。
得意先のお連れはうたた寝をしている。
ムリもない。
オレがあれほど参ったわけだから。
初老と言ってもいい彼の歩速の遅さには苛立ちもあったが、感謝の気持ちを忘れてはいけないと意志的でいることを課した。
彼の思い付きがなければ今回の出張はなく、彼が以前接待されたという店にオレを連れていかなければ、今こんな気分でいない。
祇園にあるその店で、オレは運命的な出会いをした。
すべてが偶然とは思えない中で、何が必然だったのかを考えた。
そして彼女を正確に思い出そうとしていた。
髪を短くまとめて、きれいな顔立ちで、きれいな京都弁を話す23歳の女性。
声を聞くことができたらすべてを思い出せるだろう。
仕事はこのままいけばいい。
でも愛はやり直し。
不要に思うものがあるなら、この際捨ててしまおう。
彼女に電話するまで。
思い出したくてもすぐには思い出せない大切な思いは、そのまま大切に封印しておこう。
彼女に電話するまで。
昨夜彼女が話してくれたことは忘れたくても忘れられない。
少なくとも彼女に電話するまでは。
さっきまでこの部屋を這い回っていた虫が、気づくと虫の息になっていた。
彼を手に乗せ、本来彼が住む世界に放ってあげた。
手は洗っていない。
同じ世界に生きた彼に対する敬意がそうさせた。
彼女がオレに示してくれた優しさが作用したのかもしれない。
もしかしたら、明日になればオレはもっと優しくなれるのかもしれないと思ったりもした。
さっきからここに座り続けているが、一向に昨日の細部を記そうとしないのは、今夜で記し尽くしてしまいたくないからなのだろう。
今夜はこれでいい。
でも本当はそうじゃない。
さっき言った。
愛はやり直し。
これまでの人生で最高のクリスマスがやってくるかもしれない。
例えば、すべてがうまくいくのなら。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2022年晩夏 「ツレとの房総日帰り旅」鋸山に登り、木更津で夏の名残を惜しんだのでございます。 ‐浜金谷、君津、木更津(内房線)/鋸山ロープウェー【Facbookへの投稿より振り返ります。】
鉄旅日記2022年8月27日・・・浜金谷駅、君津駅、木更津駅(内房線)/鋸山ロープウェー 【
-
-
「鉄旅日記」2007年如月 2日目(天王寺-奈良)その2-なんば、上本町、鶴橋、桃谷、寺田町、天王寺、恵美須町、新今宮、奈良(南海電鉄南海線/関西本線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】
鉄旅日記2007年2月11日・・・なんば駅、上本町駅、鶴橋駅、桃谷駅、寺田町駅、天王寺駅、恵美須町駅
-
-
「鉄旅日記」2009年晩夏【近くまでぶらっと】金町、新松戸、西国分寺、立川、青梅、奥多摩、御岳、武蔵五日市、拝島、高麗川、川越、武蔵浦和、南浦和(常磐線、武蔵野線、青梅線、五日市線、八高線、川越線、埼京線)
鉄旅日記2009年9月5日・・・金町駅、新松戸駅、西国分寺駅、立川駅、青梅駅、奥多摩駅、御岳駅、武蔵
-
-
「鉄旅日記」2020年盛夏 2日目(防府-肥前鹿島)その5‐筑豊直方、直方、筑前大分、城戸南蔵院前、柚須(筑豊電気鉄道/筑豊本線/篠栗線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】
鉄旅日記2020年8月14日・・・筑豊直方駅、直方駅、筑前大分駅、城戸南蔵院前駅、柚須駅(筑豊電気
-
-
「鉄旅日記」2018年秋 初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その1-松戸、北松戸、馬橋、流山、小金城趾、幸谷、新松戸、北小金、南柏、北柏、我孫子(常磐線/流鉄流山線) /萬満寺/近藤勇陣屋跡【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】
鉄旅日記2018年9月22日・・・松戸駅、北松戸駅、馬橋駅、流山駅、小金城趾駅、幸谷駅、新松戸駅、北
-
-
「鉄旅日記」2017年春【近鉄に乗る日々】2日目(新大宮-大阪難波)その3-橿原神宮前、六田、吉野、近鉄御所、御所、尺土、二上山(吉野線/御所線/南大阪線)
鉄旅日記2017年3月18日・・・橿原神宮前駅、六田駅、吉野駅、近鉄御所駅、御所駅、尺土駅、二上山駅
-
-
「鉄旅日記」2019年如月 最終日(安中-東京)その3-海尻、八千穂、信濃川上、佐久海ノ口、甲斐小泉、小淵沢(小海線)/海尻城址 【週末パスで東京から伊豆。そして上州、信州へ。友人は言ったものでございます。何気に大層な移動距離だと。】
鉄旅日記2019年2月10日・・・海尻駅、八千穂駅、信濃川上駅、佐久海ノ口駅、甲斐小泉駅、小淵沢駅(
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.1 最終日(熱海-東京)その4 ‐鶴見小野、弁天橋、国道、浜川崎(鶴見線) 【金沢シーサイドライン、根岸線、湘南モノレール、横須賀線、大雄山線、相模線、南武線etc.駅旅人本領発揮の旅でございます。】
鉄旅日記2022年3月6日・・・鶴見小野駅、弁天橋駅、国道駅、浜川崎駅(鶴見線) 14:45
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.1 初日(東京-紀伊田辺)その1-金町、名古屋、多気、川添、三瀬谷(常磐線/東海道本線/関西本線/伊勢鉄道/紀勢本線) 【和歌山電鐵に乗るために、青春18きっぷで紀伊半島一周を思い立ったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月2日・・・金町駅、名古屋駅、多気駅、川添駅、三瀬谷駅(常磐線/東海道本線/関西
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その1-松浦、有田、伊万里、唐津、筑前前原、姪浜、天神、西鉄福岡、博多(松浦鉄道/筑肥線/福岡市地下鉄空港線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月22日・・・松浦駅、有田駅、伊万里駅、唐津駅、筑前前原駅、姪浜駅、天神駅、西鉄
