*

「車旅日記」1996年1月【旅を友として生きていくと決めた27歳。年頭の誓いでございます。】-町田、伊勢原駅、山北駅、沼津駅、富士駅、道の駅富士川、吉原駅、田子の浦

公開日: : 最終更新日:2025/05/15 旅話, 旅話 1996年

車旅日記1996年1月1日

1996・1・1 20:43 東京町田
始動だ。
久し振りに動かした筋肉に張りはなく、関節も痛みを訴えている。
それでも動き出さなければならない。
とりあえず眠気はクリアーできそうなんだ。

目的はあるようでない。
日の出に手を合わせたい。
それだけだ。

感傷的になる要素も今は持ち合わせていない。
つまり、この先何を考えようとまったくのフリーということ。

頭の片隅に置いておきたい女性はいる。
道々、彼女のことを思い出しもするだろう。

ただしオレはフリーなんだ。
そんなオレが何を思っていくのか楽しみではある。

オレがこれから出かける理由は、つまりそういうことなんだ。
1時間後には車の中にいる。

1996・1・2 0:37 伊勢原駅
ルートを246にとって、最初の休憩場所。

新年も明けて2日目に入っている。
電車はまだ動いていて、数メートル先にはタクシーが列を作っている。
一応祭も盛りを過ぎて、日常に戻っていく準備がこれから町々で着々と進んでいくことだろう。

夜の街には若者がいる。
彼等も暇なのだろう。
このオレのように。

ここは縁のなかった地方都市だが、こんな街にもライトアップされたメインストリートがあることに新鮮な驚きを覚えたよ。
そのストリートを抜けて国道に戻る。

だけど聞いてくれ。
オレはいまだに目的を定められずにいる。
それでもこうして駅での休憩を済ませたことにより、体もそして心も国道の生活に戻った。

ツアーはこれから。
ブルース・スプリングスティーンをかけている。

1:17 山北駅
山の中に入り込んでいる。
今この場で、月に照らされているのはオレだけだ。

夜の田舎町はとても穏やかだ。
冷静でいなければ恐怖が先立つ。
これからさらに山を登りつめなければならない。

道を少し外している。
これまで通ってきたのは旧道だろうか。
土地勘が試される。

さて、テープが1本終わった。
まだしっくりこないけど、家を出てから60㎞。
もう抜き差しならないところまできた。
これから戻ろうたって戻れないよ。
完全に国道の生活に復帰したんだ。

こんな中、父親が置いておいてくれたチューインガムがありがたい。
これによって眠気はクリアーになり、冷静さを取り戻したよ。

2:31 沼津駅
やかましい所だな。
オレの周りを怪しげな連中が走っている。

いるんだな。
やっぱ。
こんな街にも。

そんな夜だ。
だからって怯えたりしないよ。
目的地が決まったんだ。

それにしても、連中の目的ってのは一体何なんだろうな。

3:12 富士駅
恐怖を感じながら走っている。
しばらく自分を見失ったかのように走っていた。

たどり着いたこの駅に人はいない。
寒風が吹いているだけだ。

これは本当のことを言っているんだが、オレがひとりで走る時はいつも月がきれいだ。
今夜もそうなんだ。
ずっと月を見て走ってきた。

そして今夜のオレの行動に今さらながら戸惑いを覚えている。
行き先に友はいない。
隣には恋人もいない。
誰もいないんだ。
ただ車を走らせている。

当り前のことだが、走り始めてからはわずかな街明かりを除けば、ずっと闇の中なんだ。
ひとりでいると寂しいよ。
こんな感慨に捕らわれるのは3度目のツアーにして初めてだ。

本来こんな闇の中では、普段のように家族のいる暖かい家で布団にもぐっているべきなんだろうな。
今夜アウトローでいるオレが悲しい。

この時間、車を走らせているのは大半がさっき出会ったようなクレイジーな連中みたいだ。
でも、ここまできたら仕方がない。
連中と一緒に朝を迎えるまでだよ。

3:34 1号国道‐富士川(道の駅)
ここで寝るべきだな。
夜が白々と明けてくるまで。
そして、もうしばらく走れば目的地だ。

それにしても、こんな場所があったとは。
初めて道路行政に感謝する気になったよ。

おやすみ。

4:08 1号国道‐富士川(道の駅)
オレは路上生活者にはなれないな。
落ち着いて眠れないよ。

その代わり体は休まった。
視線もしっかりとしている。

走ろう。
もともと行き当たりばったりのツアー。
現地に着けばもっとリラックスできるかもしれない。

それはそうと誰かに聞きたいんだが、神社ってのはこの時間でも入れるのかね?

5:28 1号国道‐富士川(道の駅)
あれからボーっとしていたわけじゃないんだ。

去年別れた恋人と一緒に石段を上がった久能山東照宮を目的地に定めて、お詣りに行ったんだけど、閉まっていたんだ。

やっぱりね。
バカだと思うだろうけど、言わないでくれ。
オレもそう思うんだ。
そして今は帰り道にあたるわけだ。

オレにはもっと先の目標が必要だったんだって思っているよ。
ただ、これから向かう場所で日の出を拝むわけだが、そこが今日のオレには最適な場所だっていう気がするよ。
そこに行くのは何回目になるのかよくは覚えていないけど、所縁の場所なんだ。

問題は海からの日の出になるのかどうかだけど、まあ大丈夫だろう。
これから地図を見て方角を確認したら、後は現地に行って東の空を見上げていればいいんだよ。
それだけの話だ。

6:01 吉原駅
まだ夜は明けない。
したがってこの町にはまだ朝は来ていない。

日常ならぼちぼち人の手によって無理やり夜は開け放たれるんだろうが、今日は正月2日だよ。
そう言えばね。
そして、そんな朝になんでこのオレがこんなところにいるのか一瞬考えたよ。
おかしな話だ。

ところで空の一角が明るくなってきたよ。
ってことは東の空ってのはあのあたりなんだな。

これで分かった。
さあ、行くか。

6:40 田子の浦
ひとりで来るのは初めてだけれど、やっぱいいなここは。
海があって、富士山がある。

素晴らしい朝だ。
ここがオレの海なんだ。

オレの家から西へ150㎞。
長い夜だったけど、来てよかったって心底思っているよ。

今年もまたここで遊ばせてほしい。
それが今フッと思ったオレの願いだよ。

(赤富士に)今年はいい年でありますように。

関連記事

「車旅日記」2000年春 2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館 【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】

車旅日記2000年5月4日 2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅) 路上で夜を明かす

記事を読む

「鉄旅日記」2022年水無月 初日(東京-中山平温泉)その2 ‐いわき、竜田、原ノ町、鹿島、新地、仙台(常磐線)【鳴子温泉郷の湯を求めての旅でございます。】

鉄旅日記2022年6月11日・・・いわき駅、竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、新地駅、仙台駅(常磐線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年盛夏 3日目(肥前鹿島-門司港)その3‐諫早、松原、千綿(大村線) 【コロナ禍の内緒旅VOl.2。宮島へ。錦帯橋へ。筑豊へ。島原へ。千綿駅へ。そして若松~戸畑の渡船。日本晴れの4日間の記録でございます。】

鉄旅日記2020年8月15日・・・諫早駅、松原駅、千綿駅(大村線) 11:37 

記事を読む

「鉄旅日記」2007年如月 2日目(天王寺-奈良)その2-なんば、上本町、鶴橋、桃谷、寺田町、天王寺、恵美須町、新今宮、奈良(南海電鉄南海線/関西本線) 【初日天王寺、2日目奈良。宿泊地だけを決めて、心のままに移動した記録でございます。】

鉄旅日記2007年2月11日・・・なんば駅、上本町駅、鶴橋駅、桃谷駅、寺田町駅、天王寺駅、恵美須町駅

記事を読む

「鉄旅日記」2018年弥生 初日 最終日(会津若松-東京)その3-燕三条、北三条、三条、長岡、水上、高崎(弥彦線/信越本線/上越線)【青春18きっぷを握り、目指したのはまたしても会津。練馬から旅立つ最後の旅でございます。】

鉄旅日記2018年3月4日・・・燕三条駅、北三条駅、三条駅、長岡駅、水上駅、高崎駅(弥彦線/信越本線

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-富士宮、身延、鰍沢口、市川大門、南甲府、石和温泉、山梨市、塩山、甲斐大和、四方津、梁川、上野原、国分寺、武蔵境(身延線、中央本線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】

鉄旅日記2012年3月20日その2・・・富士宮駅、身延駅、鰍沢口駅、市川大門駅、南甲府駅、石和温泉駅

記事を読む

「鉄旅日記」2017年夏 3日目(姫路-十三)その2-新開地、湊川、鈴蘭台、三木上の丸、三木城址、三木、粟生、神鉄三田、ウッディタウン中央、横山、有馬口、有馬温泉、鵯越(神戸電鉄有馬線/粟生線/三田線/公園都市線) 【私鉄王国で過ごす夏】

鉄旅日記2017年8月13日・・・新開地駅、湊川駅、鈴蘭台駅、三木上の丸駅、三木駅、粟生駅、神鉄三田

記事を読む

「鉄旅日記」2021年師走 最終日(古川-東京)その4 ‐立小路、赤倉温泉、村山、さくらんぼ東根(陸羽東線/奥羽本線/山形新幹線) 【特急乗り放題の大人の休日倶楽部パスで冬の国へ。山田線完全乗車と鳴子温泉郷を始めとした陸羽東線沿線を歩くことが目的でございました。】

鉄旅日記2021年12月5日・・・立小路駅、赤倉温泉駅、村山駅、さくらんぼ東根駅(陸羽東線/奥羽本

記事を読む

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その4‐太秦、撮影所前、帷子ノ辻、保津峡、千代川(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・太秦駅、撮影所前駅、帷子ノ辻駅、保津峡駅、千代川駅(山陰本線)

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その4‐青森、新青森、津軽新城、鶴ヶ坂、浪岡(奥羽本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・青森駅、新青森駅、津軽新城駅、鶴ヶ坂駅、浪岡駅(奥羽本線) 19

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2023年新春 2日目(泉佐野-彦根)その1 ‐泉佐野、貝塚、水間観音(南海本線/水間鉄道)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月8日・・・泉佐野駅、貝塚駅、水間観音駅(南海本

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その4 ‐加太、和歌山市、泉佐野(南海加太線/南海本線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・加太駅、和歌山市駅、泉佐野駅(南海加

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その3 ‐みさき公園、多奈川、紀ノ川(南海本線/南海多奈川線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・みさき公園駅、多奈川駅、紀ノ川駅(南

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その2 ‐豊橋、大垣、大阪、新今宮(東海道本線/大阪環状線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・豊橋駅、大垣駅、大阪駅、新今宮駅(東

「鉄旅日記」2023年新春 初日(東京-泉佐野)その1 ‐金町、東京、三島、沼津(常磐線/東海道本線)【南海各支線、水間鉄道、阪堺電気軌道、泉北高速鉄道、信楽高原鉄道、、、関西乗り鉄旅でございます。】

鉄旅日記2023年1月7日・・・金町駅、東京駅、三島駅、沼津駅(常磐

→もっと見る

    PAGE TOP ↑