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「鉄旅日記」2007年皐月 最終日(岡山-東京)-岡山、長船、明石、米原、大垣、沼津、平塚、北千住、東京葛飾(山陽本線/赤穂線/東海道本線)【夜汽車で東京を離れ、山陰山陽へ。鉄旅最初の長旅でございました。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/19 旅話, 旅話 2007年

鉄旅日記2007年5月6日・・・岡山駅、長船駅、明石駅、米原駅、大垣駅、沼津駅、平塚駅、北千住駅(山陽本線/赤穂線/東海道本線)

2007・5・6 8:51 岡山駅(山陽新幹線/山陽本線/伯備線/津山線/吉備線/呉線/宇野線/本四備讃線 岡山県)
予報通りの雨。

路面電車は桃太郎通りから出る。

郵便局前で降りて、後楽園へ。

烏城の黒々とした姿が美しい。

城下電停まで下りてきて、たまたま一緒になった紳士の所作に男を見る。

「瀬戸の花嫁」や「桃太郎」の発車メロディが聞こえてくる。
8:54発長船行に乗る。

9:32 長船駅(赤穂線 岡山県)
備前長船。
刀剣の町。

あたりは住宅街。

かつて車で沿線を走ったことがある。
その際に降りてみたいと思わせた駅があった。

海沿いの港町だった。
どうやら日生駅らしい。

10:05 西片上駅を過ぎて
海が見えてくる前に山が迫り、急激に旅情を帯びてきた。

やがて備前片上。

日生からは小豆島フェリーが出るようだ。

12:22 明石駅を過ぎて
平和な時代に建ったお城と明石焼きの街。
そして須磨の浦。

明石海峡大橋は幻想的に消えて、もちろん淡路島は見えない。

じきに神戸。
六甲の山々にも靄がかかる。

13:32 京都駅を過ぎて
駅をじっと見ていたら、無意識のうちに、かつての恋人を思い出すというよりもむしろ、すぐ目の前にいるかのように彼女の顔が浮かんだ。

雨は止まない。

14:03 近江八幡駅を過ぎて
それにしてもあの日も雨だった。

14:41 米原駅(東海道新幹線/東海道本線/北陸本線/近江鉄道本線 滋賀県)
かつてのままだ。
大鉄道駅なのに、いつ来ても寂しい駅だ。

長い跨線橋を渡って駅舎を見に行く。
自慢にもならないが、このまま在来線を乗り継いで東京に帰る者など、オレ以外にないだろう。
従って東京は遠い。

宮脇俊三さんの著作にも登場する「駅そば」を食べる。

15:22 大垣駅(東海道本線/美濃赤坂支線/樽見鉄道/近鉄養老線 岐阜県)
豊橋行の特別快速は混んでいる。
米原からの列車もそうだった。
そういえば3日前の朝もそうだった。

何がそうさせるのか。
別に構わないが。

16:53 豊橋駅を過ぎて
着々と東京への道をたどっている。

一昨日や昨日のように、商店もない集落で2時間近くも待つこともない。

東海道本線の接続はいい。
浜松行に乗っているが、次は沼津行だとありがたい。

17:15 新居町駅を過ぎて
浜名湖競艇帰りの男たちが乗り込んできた。
誰もがうらぶれて見えて、誰もが似たような姿をしていて、誰もが俗物のギャンブラーに見える。

弁天島からは地域の特定はできないが、東南アジアの民が。
顔は日本人に似ているが言葉はさっぱりだ。

そして彼等の言葉はあまり耳に心地いいとは言えない。

17:30 浜松駅を過ぎて
富士行とは中途半端だ。
乗車率はいい。

長い静岡県。
乗客の動向を見守る。

18:09 金谷駅を過ぎて
浜松からの乗客は掛川までに半分は降りた。
そしてまた新たな面々。

茶畑の緑が鮮やかだ。

大井川渡河。

18:38 安倍川渡河
夜景になっていてもおかしくない時間だが、静岡は完全な夜景に染まっていない。

19:15 富士川渡河
そして富士駅着。
次の行動を考えている。

19:34 富士駅を過ぎて
見合いの日取りが決まったとの親父からの報せに返信する。

それにしても今日は少し寒い。

20:10 沼津駅(東海道本線/御殿場線 静岡県)
今夜の酒とメシの第一候補が2月にも寄ったホームのおでん屋だった。

さすがに酒を出す店。
「駅そば」は富士駅でも閉まっていたが、最高の締めになった。

オバチャンは相変わらず元気だったし、馴染み客からはお裾分けもいただいた。

長いホームの一番端まで煙草を吸いに歩いていく連中。
オレも含めて今じゃ日陰者になりつつある境遇の皮肉を笑う。

20:41 熱海駅を過ぎて
この街の夜景がこの旅に感じる最後の旅情になるだろう。
それなりにまともな時間に東京に着きそうだ。

酒を片手に、「無限カノン3部作」は最終章を迎える。

外見はそうじゃないが、向かいに座る男はなかなかの紳士だ。

21:27 平塚駅(東海道本線 神奈川県)
東海道本線として東京に帰り着くためには15両が必要らしい。
増結が行われる。

事情を知らずに席を求めてきた者が、熱海から乗ってきた者たちが占める車両を前にして力を落とし、去っていく。

22:03 横浜駅を過ぎて
この旅の友だった「無限カノン3部作」が今しがたすべての物語を終えた。

作者の談話にあった三島由紀夫の「豊饒の海4部作」を読む必要が生じた。

向かいの紳士と東京まで一緒になるとは思っていなかった。
すでに多摩川を渡る地点まで来ようとしている。

22:37 秋葉原駅を過ぎて
東海道の旅はすでに終わっている。
しかし旅が続いている以上、終わってはいない。

終わり終わりとうるさいが、東京タワーが見えて、「よかった」と心から思っている。

23:02 北千住駅(常磐線/東京メトロ千代田線/東武伊勢崎線/つくばエキスプレス 東京都)
半袖姿の者がいる。
オレの他にもいたか。

ホームを歩いていくと、ほぼ一定間隔でしゃがみこんでいる者がいる。
まるで電柱脇のゴミだ。

この街で彼女が暮らす。
もう家には帰っているだろう。

彼女におやすみを。
オレも無事に帰る。

24:46 東京葛飾金町
23:15金町駅着。
最終日はずっと電車の中。
岡山、神戸、大阪、京都、名古屋、浜松、静岡、横浜。
大都市をたどる旅は楽しかった。

三河湾に蒲郡競艇場。
そして静岡の物静かなギャンブラーたち。
初老の男ばかりで、オレが心配する筋じゃないが、競艇、競輪といった競技に賭ける血は、オレの同世代に受け継がれているのだろうか。

出会いの多い旅だった。
中国地方の人情を忘れない。
司馬遼太郎の著作に見た「中国者の律儀」は、まだ生きている。

備後落合や塩町で感じたことだが、町を出た者の行方は追わないが、残った者たちが末代まで残していくものに興味がある。

彼女への想いをつづってきた旅でもあった。
彼女への想いは、愛であり、確実性を持たない賭けでもある。

「無限カノン3部作」のカヲルは頻繁に愛をささやいていた。
そして信用は離れた。

でも美しい物語だった。

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