*

「車旅日記」2003年夏 初日(函館-札幌)走行距離471㎞ -知内駅、道の駅上ノ国もんじゅ、瀬棚町、道の駅いわない、小樽駅、札幌東急イン 【北海道初上陸。2,300㎞を移動した5日間の記録でございます。】

公開日: : 最終更新日:2025/05/24 旅話, 旅話 2003年

車旅日記2003年8月13日・・・知内駅、道の駅上ノ国もんじゅ、瀬棚町、道の駅いわない、小樽駅、札幌東急イン

2003・8・13 10:30 知内駅(228号国道-道の駅しりうち)(函館空港より65㎞)
早朝の東京は雨のち曇り。
金町をまだ暗いうちに出たのは初めてのことになる。
常磐線は空いていたが、京浜東北線は上野からは座れず、確か秋葉原あたりで空は明るくなり、雨も止んだ。

まだ6時というのに羽田空港の出発ロビーは混雑している。
気持ちが壊れていく前兆を感じたが、どうにか持ちこたえた。

機内に入り、用意されたスーパーシートにいくと、そこが素晴らしい。
ゆったりとした席で、これまでに座ってきた席とはまるで違う。

さらに窓側でもあり、東京上空の曇り空を抜けると青空の中に入り、真下には遥かな雲海が見渡せる。

アナウンスで十和田湖の姿を確認して、しばらくすると大地の果てが見えた。
これが津軽海峡かと満ち足りた気持ちでいると、また同じような地形が見えてきて訳が分からなくなっていると、函館上空にさしかかったとのアナウンス。
とうとう津軽海峡を越えた。

函館空港は貧相ともいえる造りで若干がっかりした。
北の空の玄関口は新千歳としても、日本有数の港町の空港として期待していた。
地方空港にしてはきれいな山口宇部空港の印象がどうやら強すぎたようだ。

北の大地に上陸してから早くも2時間が経過。
箱館を後にして木古内、そして知内へ。
今夜はこの町でサマー・カーニバルが行われる。

ラジオじゃ、甲子園の秋田×天理のゲームセットの実況。
天理が3×2で勝ち、サイレンが鳴った。

この町は北島三郎さんの出身地ということで、さっきから絶え間なく彼の歌声が流れている。
海からの風は涼しく、窓を閉めることを考えたほどだが、気温は29度。
入道雲を連れた空はよく晴れている。

こんなにも濃厚な潮の香りが漂う国道を走ったことはない。
廃屋をよく見かけるが、函館を出て以来、国道上に人の暮らしは途切れることなく続いていた。

ここは津軽海峡線の停車駅。
工事中ということもあるのだろうが、侘しさを感じさせる駅だ。
駅員の姿はない。
オレの最初の停車地としては相応しい。

箱館を出て海峡へ向かう線路は、この町を出ると海底の下を往く。

12:51 228号国道(追分ソーランライン)‐道の駅上ノ国もんじゅ(函館空港より159㎞)
よく晴れて、涼しい風が通る。
こんなに気持ちのいい夏の日は最近じゃ記憶にない。

横綱千代の富士を生んだ福島町、そして城下町松前。
国道の両側に整然と並ぶ家々。

富山あたりの風景を思い出させる。
道南は本州に近いこともあるのだろう。
北海道にいるという実感は湧かず、懐かしさを感じていた。

松前では、川の途中まで渡された廃線跡の橋を見かけた。
この大地の歴史に登場する一番古い町には広大な海峡だけが広がり、竜飛崎は遠い。

やがて国道からは町が消えて、低い山並が濃い緑をまとい延々と延びる。
左側には果てしなく日本海。
その真ん中を往く車通りの少ない国道は、函館に向かう上空から見下ろした際に見えた川のように、白く蛇行している。

松前を過ぎて、ようやくオレはこの北の大地のスケールの大きさを感じた。
こんなに広々とした海辺の風景は、おそらく本州には見当たらない。

行先を眺めると、半島のように突き出した先端に白く密集した町がある。
あそこが江差線の終点、江差だろう。
地図上に四島と記された島も見えて、振り返ると白く巨大な風力発電塔が7本見える。

15:13 229号国道-瀬棚町パーキング(函館空港より277㎞)
ずっと青かった空はトンネルの手前で雲まで取り払い、まさに真っ青になった。
海は輝き、ビーチハウスのない海岸で、道南人はそれぞれにパラソルやテントを持ち寄り海水浴を楽しんでいる。

小樽まで299㎞という表示に仰天してペースを上げ、多少冷静さを失ってしまったが、素晴らしい場所を走っているという感覚はきちんと残っている。

久し振りに少し大きな町を過ぎた。
北桧山町。

小樽まで、こうして市制の敷かれていない町をいくつも過ぎていく。

17:17 229号国道-道の駅いわない(函館空港より371㎞)
ここでひと眠り。
今朝は早かったから。
我ながらムリもないと思う。

それにしても今日の走行距離はこんなはずじゃなかった。
あらためて北の大地の大きさに驚き、さっきまではその巨大さに恨みに近い感情まで沸き起こったが、海辺の道は素晴らしかった。

箱館からずっとその素晴らしさと付き合ってきたんだ。
飽きるほどに海を眺め、やがてその風景がオレの左側に展開され続けること自体が自然と思えるほどに付き合いは深まった。
道も広くていい。

トンネルが多いけど、そのトンネルを抜けるとまた海岸線に出る。
地形上の都合だろうが、道内のドライバーの気持ちを和ませる配慮かとも思えてくる。

ここはなかなかきれいな町だ。
空は今も青く澄んでいる。

19:15 小樽駅(函館空港より431㎞)
今日の目的地、北の文化都市にやってきた。
昭和9年の建造物という駅舎はランプの灯に彩られ、旅行者を暖かく迎え、あるいは見送る。

街には威厳を誇る建物がいくつも残り、運河へ向かう道を廃線跡がレトロな遮断機とともに横切り、運河周辺の旧倉庫は外観を残したまま食堂や土産物屋として再生して、駅と同じように橙色の灯を一帯に灯している。

観光地らしく、なかなかの賑わいだ。
運河を渡す橋や、運河に沿った小道では誰もが約束の時間を待っている。
騒々しさはなく、街は清潔感に包まれている。

門司港が懐かしい。
去年の今日。
朝を迎えた下関で海峡のムコウの街を見て、1年後にまた来ると誓った。

そしてその1年が経過して、その間にオレは門司港にも現れ、こうして似たような北の街にやってきた。
その1年の間には、あの夏の日には考えられもしなかったことがいくつか起こった。

運河のあたりを除けば街を歩く人の数は多いとは言えないが、これくらいがちょうどいい。
とても静かで、北の男たちの口は一様に固そうだ。

小樽は街全体がまるでランプのようだ。

2016年8月11日撮影

22:27 札幌東急イン737号室(函館空港より471㎞)
北の都がこんなにも巨大な街だとは想像できなかった。
駅、テレビ塔、ススキノの繁華街、呼び込みの数。
どれもが想像を絶していた。
大袈裟ではなく、まさに度肝を抜かれた。

新ラーメン横丁に行って、このホテルに宿泊したからといって札幌を分かったような顔はできない。
ほとんど動かずにこの部屋に落ち着いている現状を反省するが、このホテルには3日後にも宿泊する。
すべてが巨大な大地だ。
この街で十分な時間をとれるように、帯広からのルートを再検討しておく必要がある。

小樽駅を出ると運河まで戻り、東へ続く街並を眺めた。
奥行きのある街で、角にある印象的な塔がライトアップされていた。

小樽を離れる際には天狗山の頂に光る「天」の文字が見送ってくれた。
「天」に見えたが、あるいはやはり「大」だったのだろうか。

やがて小樽築港という新しい街に出る。
そこには巨大な観覧車やアミューズメント・エリアが並んでいる。
小樽にも新たな開発地区が付与され、観光客はこれからもっと増えていくだろう。

さすがは5号国道。
札幌までの道は2車線で車通りも多い。
渋滞の発生が見られなかったのは今日だけの現象だろうか。

札幌に近づくにつれて大きな街が前方に構えている空気は伝わってきたが、札幌はいきなりその巨大な姿を現した。
街への入り方はいくつかあるが、あの驚愕は忘れがたい。

こうして始まった旅。
想像以上の距離を走ることになることは今日を生きてよく分かった。
函館の記憶は最終日に作る。

関連記事

「鉄旅日記」2009年晩秋 初日(東京-倉敷)その2-北条町、姫路、播州赤穂、日生、備前片上、西片上、倉敷(北条鉄道/加古川線/山陽本線/赤穂線) 【陰陽を行き来した3日間。この国の秋は美しゅうございました。】

鉄旅日記2009年11月21日・・・北条町駅、姫路駅、播州赤穂駅、日生駅、備前片上駅、西片上駅、倉敷

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月 最終日(宮古-東京)その1‐宮古、岩手船越、浪板海岸、吉里吉里(三陸鉄道リアス線) 【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】

鉄旅日記2019年9月23日・・・宮古駅、岩手船越駅、浪板海岸駅、吉里吉里駅(三陸鉄道リアス線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年弥生 初日(東京-高山)その3‐上諏訪、塩尻、洗馬、中津川(中央本線) 【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】

鉄旅日記2020年3月20日・・・上諏訪駅、塩尻駅、洗馬駅、中津川駅(中央本線) 10:27 上諏

記事を読む

「車旅日記」2004年夏 3日目(宮崎-鹿児島)走行距離382㎞その2-隼人駅、枕崎駅、開聞駅、指宿駅、鹿児島東急イン 【九州を一周してみよう。そう思いたった、真夏の日々でございます。】

車旅日記2004年8月13日・・・隼人駅、枕崎駅、開聞駅、指宿駅、鹿児島東急イン 2004・8・1

記事を読む

「鉄旅日記」2017年秋 その1-東長崎、本鵠沼、鵠沼海岸、藤沢、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、鎌倉(西武池袋線/小田急電鉄江ノ島線/江ノ島電鉄) 【湘南へ向かう休日。江ノ電に乗りに行ったのでございます。】

鉄旅日記2017年11月12日・・・東長崎駅、本鵠沼駅、鵠沼海岸駅、藤沢駅、石上駅、柳小路駅、鵠沼駅

記事を読む

「鉄旅日記」2006年晩夏-伊勢崎、桐生、西桐生、下仁田、上州富岡、高崎(高崎線/両毛線/上信電鉄) 【ふと誘われるように、上州へ向かう列車に乗ったのでございます。】

鉄旅日記2006年9月2日・・・伊勢崎駅、桐生駅、西桐生駅、下仁田駅、上州富岡駅、高崎駅(高崎線/両

記事を読む

「鉄旅日記」2013年春 初日(東京-和歌山)その1-米原、弁天町、大正、芦原橋、今宮、杉本町、堺市、東羽衣、鳳(東海道本線、大阪環状線、阪和線、東羽衣支線) 【爆弾低気圧襲来日、青春18きっぷで西へ】

鉄旅日記2013年4月7日その1・・・米原駅、弁天町駅、大正駅、芦原橋駅、今宮駅、杉本町駅、堺市駅、

記事を読む

「車旅日記」2004年春 2日目(紋別-釧路)走行距離367㎞その2-止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフィックホテル 【旭川に下りて、思う存分に北の大地を走った旅の記録でございます】

車旅日記2004年5月2日・・・止別駅、緑駅、裏摩周、摩周駅、塘路駅、釧路湿原駅、細岡駅、釧路パシフ

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏 最終日(広島-東京)-広島、向洋、東岡山、高島、守山(山陽本線、東海道本線) 【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・広島駅、向洋駅、東岡山駅、高島駅、守山駅(山陽本線、東海道本

記事を読む

「鉄旅日記」2022年皐月 初日(東京-磐梯熱海)その1 ‐金町、上野、宇都宮(常磐線/東北本線) 【日光線全駅乗降を果たし、猪苗代湖畔に遊び、磐梯熱海の湯につかり、国定忠治を訪ねた旅でございます。】

鉄旅日記2022年5月7日・・・金町駅、上野駅、宇都宮駅(常磐線/東北本線) 2022・5・

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

2022年初秋【SNSへの投稿より】両国散歩-両国駅、吉良邸跡、回向院、鼠小僧供養墓、国技館、旧国技館(日大講堂)跡、隅田川、両国物語

【2022年9月8日 両国散歩】 お得意先を訪ね、お昼時に町に

「鉄旅日記」2022年晩夏 「ツレとの房総日帰り旅」鋸山に登り、木更津で夏の名残を惜しんだのでございます。 ‐浜金谷、君津、木更津(内房線)/鋸山ロープウェー【Facbookへの投稿より振り返ります。】

鉄旅日記2022年8月27日・・・浜金谷駅、君津駅、木更津駅(内房線

2022年晩夏【SNSへの投稿より】写真をお楽しみいただけますと幸いでございます。ー金町夕景~金蓮院、葛西神社、江戸川堤

【2022年8月21日】 拙宅の裏には弘法大師ゆかりの金蓮院と

「鉄旅日記」2022年盛夏 最終日(大津-東京)その4 ‐舞阪、高塚、静岡(東海道本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

鉄旅日記2022年8月15日・・・舞阪駅、高塚駅、静岡駅(東海道本線

「鉄旅日記」2022年盛夏 最終日(大津-東京)その3 ‐稲沢、名古屋、豊橋、二川(東海道本線)【讃州高松に時空の友を訪ねて。小海線、津山線、播但線、山陰本線の駅旅も印象深い旅でございます。】

2022年8月15日・・・稲沢駅、名古屋駅、豊橋駅、二川駅(東海道本

→もっと見る

    PAGE TOP ↑