*

「車旅日記」2005年春【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】最終日(富山-岩瀬浜-糸魚川-松本)走行距離218㎞ その2-泊駅、越中宮崎駅、市振駅、糸魚川駅、頸城大野駅、小滝駅、平岩駅、白馬大池駅、安曇追分駅

公開日: : 最終更新日:2024/05/25 旅話, 旅話 2005年

車旅日記2005年4月30日・・・泊駅、越中宮崎駅、市振駅、糸魚川駅、頸城大野駅、小滝駅、平岩駅、白馬大池駅、安曇追分駅

13:43 泊駅(4月29日の松本駅より392㎞)
いよいよ県境の町に入った。

立山連山はもう幻のような見え方ではなく、泊の町からはしっかりと見える。
裾のあたりはすっかり新緑に染まっている。

味のある駅名を持つ駅に着いた。
北陸を辿る途中に寄った駅と同じく堅固な造りだ。
駅員もいるし、売店も開いていて立派な待合所がある。

北陸本線からはそうそう日本海は見えないが、日本海とともに生きてきた情念あふれる地域。

駅を目指す人々の数は少なくない。

2014年3月23日撮影

14:05 越中宮崎駅(4月29日の松本駅より397㎞)
ようやく人のいない駅に着いて、ホームに上がった。
人気のない北陸本線の停車駅。

駅を出るとすぐそこに宮崎海岸が広がる。
はっきりと水平線が見える眺めのいい海岸で、多くの人々がビーチに出て様々に楽しんでいる。

本当に素敵な眺めだ。
子供がはしゃぐ風景は平和でいい。
波打ち際を歩く磯とりの老婆の姿もある。
水平線は丸みを帯びて、地球の形を思い出す。

ここ朝日町には格別な思い出がある。
そこはここからすぐのところにある。

オレが眺めた日本海と北陸本線の線路。
あの時の思いを忘れることなく9年の歳月が流れた。
面白い人生だと思うよ。

今日は夏を思わせるような暑さ。
そしてここにいるのはいつも5月。

2014年3月23日撮影

14:24 市振駅(4月29日の松本駅より402㎞)
栄食堂の駐車場。
そこがオレの思い出の場所になる。
そこに戻ることもできたが、戻らなかった。
そして未練が残った。

9年前の未練もまだ残っているのだろう。
あの女性は元気でいるのだろうか。

雪をかぶった朝日岳がトンネルの手前で鮮やかな姿をさらし、県境の表示。
ここから親不知の難所。

その難所にさしかかる前に日本海を見渡せる駅があった。
障害物が多いけど、眺めはワルくない。

線路はこれから長いトンネルをくぐる。
その闇からさっき列車がやってきて、数人の客が降りた。

この場所の伝説は源平盛衰記にまで遡る。
振り返れば大山塊の切れ端が迫っている。
この山塊は遠く木曽へとつながる。

北陸本線各駅停車の旅は糸魚川で終える。
大正元年開業という味な木札が駅舎に架かっている。

松尾芭蕉も旅の終盤にここを通過した。

15:04 糸魚川駅(4月29日の松本駅より424㎞)
天下の険、親不知を越え、凪いだ日本海とはしばらくお別れ。
北陸本線ともお別れ。

北のターミナル駅、糸魚川は穏やかな風情で、待ち人も多く、歩く人の姿も少なくない。
町中を行き交う車の音は絶えず、駅前は一大商業地域の感がある。

大きな町に着いた。
駅前の雑居ビルは埋まっていないようだが、観光センターが入るビルは明るい。

「駅そば」でもと思ったが、それはなく、汽笛一声の石碑が隅にそっとある。
2階建ての駅舎は町のシンボルと表現しても差し支えないだろう。

翡翠と断層の町、糸魚川。
オレの目的がひとつひとつ埋まっていくのを感じている。

いよいよ最終局面に入る。
天下の険を目前に控えた糸魚川は、太古から栄えてきたのだろう。

2014年3月23日撮影

15:28 頸城大野駅(4月29日の松本駅より430㎞)
旅に出ると、一度はこんな駅に寄れるものだ。

狭い場所に水田が左右一杯に広がっている。
美味い米が獲れる土地だ。

村の子供によって植えられたチューリップが咲くホーム。
1本の線路が健気に日本中とつながっている。

この村に着く列車に乗れば、日本中に行けることが奇跡ともとれるが、子供たちにはそうは思ってほしくない。
だから旅立つ時は、ここから始めてほしい。
直通じゃ糸魚川南小谷間しか行けないが、待っていればその先の街に向かう列車がやってくるから。

北アルプスの大パノラマが国道上に広がっている。
8号国道では姫川渡河の際に180度の空を見た。
右の端にはやはり大山塊の切れ端がある。

それにしてもこの駅はいい。
剥げたペンキの跡が歩んだ時代を教えてくれる。

15:48 小滝駅(4月29日の松本駅より439㎞)
148号国道は快走路。
北アルプスと戸隠連山に挟まれた峡谷ロードの春は美しい。

まだ半分雲をかぶった山々が常に目の前にあった。
鋸岳、薬師岳。
見事な姿が見える。

この駅は激流の姫川を前にしている。
奈良ナンバーの軽トラックの男が先客としていて、軽く挨拶。
眺望的には他の数多の駅に劣らないものを持っている。

村には僅かな民家。
土建屋が何かを壊す音が聞こえる。

川辺に沿って。
旅はまだ終わらない。

激流の轟音は絶えない。
流れ下っていった連中は日本海に出て、打ち寄せてくる波と揉み合う運命しか与えられていない。

姫川の岸に山塊が迫っている。
ここを生活の場として残してきたのは川なんだ。

16:10 平岩駅(4月29日の松本駅より447㎞)
長い洞門をくぐり、次の村へ。

駅前には酒屋があるものだ。
田舎の風景としてしっくりくる。

この駅は白馬岳の登山口にあたるらしい。
線路は一度トンネルをくぐり、いくつかの鉄橋を渡ってこの駅に到着する。

川の姿は見えないが、流れの音は凄まじい。
ホームからは観音様が見える。
親不知じゃ見えなかったけど、神はどこにでもいる。

峡谷の村に懐かしい日本の香りがする。
この旅情はどこらあたりまで続いてくれるのだろう。

この分じゃなかなか松本には着かない。

鉄橋の村にて。

16:44 白馬大池駅(4月29日の松本駅より468㎞)
小谷から信濃。
長い長いトンネルを抜ける。

姫川の流れは相変わらず激しい。
今は雪解け水の頃。
方々の山肌から名を持たない豪快な滝が、姿など構わずに水を流し込んでいた。

地図の上じゃ姫川との付き合いはもうじき終わる。
鉄道も難所を越えて、白馬から先は特急列車も走る。

ここは栂池高原の入口。
15年近く前に来たことがある。
そうか。
右手に見えているあの坂か。
上り上げた所にスキー場がある。

それにしても激しい流れだ。

もうすぐカーブを曲がって白馬行の列車がやってくる。
運転士はこれで安心できたかもしれない。

カーブを曲がって列車はやってくる。
離れがたいよ。

17:55 安曇追分駅(4月29日の松本駅より514㎞)
最後に旅情あふれる駅に辿り着いた。

いい駅だな。
寄り添うように古木が2本。
枝が赤い屋根にかかっている。
随分長いこと使っていそうな駅舎だけど、きれいに掃き清められて、煙草も吸える。

安曇野の日は暮れて、太陽はさっき山の頂に姿を隠した。

青木湖、木崎湖あたりを走る時の気分は素敵だ。
時間があれば、また寄り添っていこう。

大町を過ぎればありふれた信濃路になったが、ここに寄れてよかった。
こんな村で日暮れを待つのは素敵だよ。

駅前には小ぎれいな料理屋と古くからの料理屋。
街道の車の流れは増しているけど、ここは別世界。
素晴らしい旅情だ。
これで心置きなく松本に行ける。

今夜はそこで旧友たちとのパーティーがあるんだ。

2018年4月8日撮影

松本駅着535㎞。

関連記事

「鉄旅日記」2020年弥生【富山地方鉄道に乗りにまいりました。太多線、高山本線に乗るのも楽しみにしていたのでございます。】初日(東京-高山)その4‐多治見、坂祝、美濃太田(太多線/高山本線)

鉄旅日記2020年3月20日・・・多治見駅、坂祝駅、美濃太田駅(太多線/高山本線) 14:19 多治

記事を読む

「車旅日記」2000年春【一年のブランクを経て、旅再開。出発場所は東京町田から、下町葛飾へと変わっております。】2日目(新潟豊栄‐象潟)道の駅豊栄、道の駅神林、瀬波温泉龍泉、道の駅温海、立岩海底温泉、酒田南郊、象潟駅、象潟松籟館

車旅日記2000年5月4日 2000・5・4 8:09 7号国道-豊栄(道の駅) 路上で夜を明か

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その1-市川塩浜、五井、上総牛久、馬立、上総鶴舞、里見(京葉線/外房線/小湊鉄道)

鉄旅日記2018年9月23日・・・市川塩浜駅、五井駅、上総牛久駅、馬立駅、上総鶴舞駅、里見駅(京葉線

記事を読む

「車旅日記」2005年冬【どこへ行こうか。まっさきに浮かんだのが、昨夏に旅した南九州でございました。】最終日(人吉-天草-熊本空港)走行距離240㎞ その2-上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港駅、東京葛飾金町

車旅日記2005年2月13日・・・上天草、三角駅、肥後長浜駅、宇土駅、上熊本駅、肥後大津駅、熊本空港

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】初日(松戸-流山-潮来-銚子-東金-松戸)その2-湖北、下総松崎、成田、香取、延方、北浦、佐原、大戸(我孫子支線/成田線/鹿島線)

鉄旅日記2018年9月22日・・・湖北駅、下総松崎駅、成田駅、香取駅、延方駅、佐原駅、大戸駅(我孫子

記事を読む

「鉄旅日記」2015年夏【日本最南端の終着駅、枕崎までの往復旅】4日目(西鉄柳川-広島)その2-田川後藤寺、糸田、糒、金田、門司港、厚狭、湯ノ峠、四郎ヶ原、南大嶺、美祢(平成筑豊鉄道糸田線、平成筑豊鉄道伊田線、鹿児島本線、美祢線)

鉄旅日記2015年8月15日その2・・・田川後藤寺駅、糸田駅、糒駅、金田駅、門司港駅、厚狭駅、湯ノ峠

記事を読む

「車旅日記」2005年春【松本から富山へ。今にして思えば、なぜこの旅を思い立ったのか思い出せないのでございます。】初日(松本-飯山-富山)走行距離317㎞ その1-新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島駅、飯山駅

車旅日記2005年4月29日・・・新宿駅、松本駅、明科駅、聖高原駅、冠着駅、姨捨駅、篠ノ井駅、川中島

記事を読む

「JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ」でめぐる東海旅】最終日(桑名-揖斐-樽見-金城ふ頭-東京)その2-大垣、名古屋、金城ふ頭、豊橋、磐田、焼津(東海道本線/名古屋臨海高速鉄道あおなみ線)

鉄旅日記2018年9月16日・・・大垣駅、名古屋駅、金城ふ頭駅、豊橋駅、磐田駅、焼津駅(東海道本線/

記事を読む

「鉄旅日記」2019年長月【三陸鉄道、八戸線に乗りにいきました。区界、吉里吉里など、駅旅の者として見過ごせない駅にも寄りましてございます。】2日目(盛岡-宮古)その1-盛岡、仙北町、花巻、遠野、足ヶ瀬(東北本線/釜石線)

鉄旅日記2019年9月22日・・・盛岡駅、仙北町駅、花巻駅、遠野駅、足ヶ瀬駅(東北本線/釜石線)

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】最終日(釜石-東京)その3‐一ノ関、小牛田、仙台、福島、郡山(東北本線)

鉄旅日記2020年2月24日・・・一ノ関駅、小牛田駅、仙台駅、福島駅、郡山駅(東北本線) 11:48

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その4 ‐長野、御代田、小諸、上田(信越本線/しなの鉄道)

鉄旅日記2021年7月10日・・・長野駅、御代田駅、小諸駅、上田駅(

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その3 ‐しんざ、十日町、越後鹿渡、津南、戸狩野沢温泉(北越急行ほくほく線/飯山線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・しんざ駅、十日町駅、越後鹿渡駅、津

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その2 ‐湯檜曽、水上、越後湯沢、六日町(上越線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・湯檜曽駅、水上駅、越後湯沢駅、六日

「鉄旅日記」2021年夏【4度目の緊急事態宣言前。飯山線に乗りたくて旅を思い立ちました。湯檜曽駅で夏の第一声を聞き、信越路を歩いた記録でございます。】初日(東京-上田)その1 ‐金町、上野、高崎、水上(常磐線/高崎線/上越線)

鉄旅日記2021年7月10日・・・金町駅、上野駅、高崎駅、水上駅(常

「鉄旅日記」2021年皐月【ツレと房総に出かけました。宿泊地は勝浦でございます。房総横断鉄道に乗り、養老渓谷でも思い出深い時を過ごしたのでございます。】最終日-勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野駅、養老渓谷駅、五井駅(外房線/いすみ鉄道/小湊鉄道)/養老渓谷2階建てトンネル

鉄旅日記2021年5月23日・・・勝浦駅、大原駅、大多喜駅、上総中野

→もっと見る

    PAGE TOP ↑