*

「鉄旅日記」2015年春【浜名湖周辺で遊ぶ一日】その2-鷲津、新居町、浜松、新浜松、第一通り、西鹿島、遠州森、円田、遠江一宮、原谷、掛川、安倍川(東海道本線/遠州鉄道/天竜浜名湖鉄道)

公開日: : 最終更新日:2025/06/02 旅話, 旅話 2015年

鉄旅日記2015年3月28日その2・・・鷲津駅、新居町駅、浜松駅、新浜松駅、第一通り駅、西鹿島駅、遠州森駅、円田駅、遠江一宮駅、原谷駅、掛川駅、安倍川駅(東海道本線/遠州鉄道/天竜浜名湖鉄道)

13:32 鷲津(わしづ)駅(東海道本線 静岡県)

湖畔の町にビジネスホテルの存在を2軒確認する。
何度も車窓から眺めてきて、この駅に降りたらあの場所へ向かうだろうと思っていた場所にやはり足は向かう。
湖畔の狭い場所だけど、美しい浜名湖をしみじみと眺められる。

脇の酒屋が今月で店を閉めるとのことでセールを行っていた。
3割引のビールを購入する。

今月で閉めると言えば鷲津駅のキオスクもそうで、時折吹きつける風の中でほんの少し寂しい気持ちになった。


13:56 新居町(あらいまち)駅(東海道本線 静岡県)

東海道31番目の宿場に関所がある。
何度も通ってきたけど湖に目を向けていたから気付かなかった。

そこに行こうかと思ったが時間はなく、車窓からその存在をしっかりと眺めたことで一応の満足感を得る。

駅前を通る1号国道に出て、在りし日の旅の朝を想った。
オレの記憶が正確なら19年前のことだ。
湖畔の駅で、華やかな装いの女性たちが爽やかな笑顔を浮かべていた様を強烈に覚えていて、あれからあれはどこの駅だったのだろうと気にかけていた。
そして、あの駅は間違いなくここだったと確信した。

悩み多い人生が続いている。
昨日は部下を残して家路についたことを申し訳なく思い、今日も休日出勤をしている彼への思いが不安な気持ちへと誘う。
間違ったわけではなく、理不尽な事態に呆然となり、思考回路をおかしくした。

風が邪魔だ。
突き抜けられない。

灰色の男たちが背中を丸めて競艇場出口に向かっている。

浜松(はままつ)駅(東海道新幹線/東海道本線 静岡県)にて


第一通り(だいいちどおり)駅(遠州鉄道 静岡県)にて

14:42 新浜松(しんはままつ)駅(遠州鉄道 静岡県)

路上歌手の歌声が響いている。
「ハレルヤ」と歌っている。
ここに着いてからしばらく経つが「ハレルヤ」パートはまだ続いている。

旅は思い通りに実現し続けている。
車窓から眺め続けたこの場所にもついに立つことができた。
もっと人生に望みをかけよう。
そうしたら叶うかもしれない。

遠州鉄道第一通り駅までの繁華街を往復する。
今風からレトロからヤクザまで。
何でもありの大きな街だった。

浜松は遠州の都。
駿河国ではないことに気付き、町としての静岡との差について考える。

徳川家康出世の街を謳う浜松と、彼が晩年を過ごした静岡。
両都は今や政令指定都市として並び立つという軍配でいいのだろう。

ここ浜松は20年前、旅を知る前のオレには一番遠い街だった。
中田島砂丘が懐かしい。
当時の恋人が好きだった「太陽と風のビール」が懐かしい。

何の因果か、彼女はオレと所縁のある人と一緒になって今じゃ母親だ。
他人のも含めて人生とはつくづく面白く、時に不思議な決着を見ることになる。

高架を走っているが見渡す限り真っ平らだ。
ここらはあたたかくて実なりのいい土地なのだろう。

15:27 西鹿島(にしかじま)駅(遠州鉄道/天竜浜名湖鉄道 静岡県)

眠気を催す遠州鉄道沿線風景。
浜北だけが唯一の町だった。

終点到着。
風の強い北のターミナル駅で稲荷ずし売りのおばさんが声を張り上げている。
便所にいっている間に人気は絶え、広いロータリーに侵入してくる車もなく洋館駅は西日に照らされていた。

再び天浜線に乗る。
掛川へと戻る道中に入る。

二俣城址と思しき緑を背景にした天竜川の撮影には見事に失敗したが、宮脇俊三さんもその著書に書いていたけど、山間を散々縫った挙句に大河が野に放たれる光景には息を呑む。
凄まじい水量と迫力だ。

かつて乗った太多線で、可児の手前で現れた木曽川もそうだったが、まるで虎が暴れてるところにふいに出くわしたような唐突感と非日常感を持つ。

16:06 遠州森(えんしゅうもり)駅(天竜浜名湖鉄道 静岡県)

風は止まない。
侠客「森の石松」の生地には駅員の姿があり駅前にはコンビニもある。

西日に照らされた古い駅には、かつて「男はつらいよ」の車寅次郎がいたことがある。
彼のことだ。
この駅から乗客となったこともあるだろう。

そしてこのオレも3分の間だけだが、ここにいたことが記録される。

森の石松は強烈な個性を持ち、強烈な生き方をして、その人生に沿うような死に方をしたらしい。

ここからまた西鹿島方面に戻る。
オレの旅はややこしい。

円田(えんでん)駅(天竜浜名湖鉄道 静岡県)にて


16:40 遠江一宮(とおとうみいちのみや)駅(天竜浜名湖鉄道 静岡県)

この時間を必要としていた。
邪魔だった風もここで吹かれている分じゃワルくない。
朽ち果てそうなベンチに座って次の列車が来るのを待っている。

ひとつ手前の円田駅で降りて近くのコンビニでビールを買う。
周辺は寺社と緑に囲まれて田舎の風情を見せてくれるが、円田駅は天浜線移行後にできた駅だという。
この3月には「遠州森」と「円田」の間に「森町病院前」駅が誕生し、ひとつの駅が名前を変えている。

ここ一宮のあたりは遠州の小京都を謳っている。
そこへ向けて歩いていく。

シャボン玉で遊ぶ若い親子の姿を見て近い将来を想う。
素朴な風景に似合いの営みだった。
農作業のお婆さんはオレが会釈をしたことで警戒を解いたようだった。

この駅には「和」の飲食店が入っている。
薄暗い店内に亭主の仕込みの姿が確認できた。

不安と寂しさに満ちた旅だったが真理も見つけた。
何はともあれ輝かしい未来を想像しよう。
旅を終えた後に続けていかなきゃならないのはそれだけだ。

再び掛川へと戻る。




17:06 原谷(はらのや)駅(天竜浜名湖鉄道 静岡県)

数分の停車。
二人のオッサンの後にくっついて今日何度目かの文化財駅で降りる。
ドラマの撮影に使われる機会を幾たびか得たという駅だった。

行きの沿線案内で聞いた田園に敷かれた直線道が駅裏で通行人を待っている。

掛川(かけがわ)駅(東海道新幹線/東海道本線/天竜浜名湖鉄道 静岡県)にて

18:26 安倍川(あべかわ)駅(東海道本線 静岡県)

駅を隠すような大きな駐輪場があり、駅は改装中。
ビリヤードダーツ場だけが明かりをつけて、呑み屋にぶら下がっている提灯には火が入れられていなかった。

駿河の山並みに注目したことはなかったが、ここで降りたら他に目を向ける先が見当たらない。
徳川家康を有名にした石合戦が行われた川原の気配はここにはない。

まったく根拠はないが彼らはブラジル人だろうか。
上州大田ほどではないが、巡ってきた静岡県内で居住者と思われる外国人を多く見かけた。

関連記事

「鉄旅日記」2020年文月 初日(東京-香住)その5‐並河、園部、胡麻、下山、福知山(山陰本線) 【コロナ禍でございます。内緒の旅でございました。余部鉄橋へ。萩へ。霧の街へ。東京五輪延期で浮いた4連休の記録でございます。】

鉄旅日記2020年7月23日・・・並河駅、園部駅、胡麻駅、下山駅、福知山駅(山陰本線) 16

記事を読む

「鉄旅日記」2020年如月 2日目(大船渡-釜石)その1‐大船渡、盛、綾里、唐丹(大船渡線/三陸鉄道リアス線) 【東日本大震災で被害を受けた大船渡に泊まりにまいりました。山田線完全乗車も目指しておりましたが・・。】

鉄旅日記2020年2月23日・・・大船渡駅、盛駅、綾里駅、唐丹駅(大船渡線/三陸鉄道リアス線) 2

記事を読む

「鉄旅日記」2018年春 最終日(飯田-東京)その2-安曇沓掛、信濃常盤、細野、海ノ口、信濃大町、信濃松川、安曇追分、南松本(大糸線/篠ノ井線)【伊那谷へ。長篠へ。安曇野へ。木曽へ。青春18きっぷを握ったそんな旅でございます。】

鉄旅日記2018年4月8日・・・安曇沓掛駅、信濃常盤駅、細野駅、海ノ口駅、信濃大町駅、信濃松川駅、安

記事を読む

「鉄旅日記」2021年秋 最終日(飯坂温泉-東京)その5 ‐仙台、鹿島、原ノ町、浪江、常陸多賀(常磐線) 【4度目の緊急事態宣言明け。これ以降そのようなものが発令されることはございませんでした。阿武隈急行、峠駅、立石寺。お宿は飯坂温泉。秋の東北を満喫すべく常磐線に乗りました。】

鉄旅日記2021年10月10日・・・仙台駅、鹿島駅、原ノ町駅、浪江駅、常陸多賀駅(常磐線)

記事を読む

「鉄旅日記」2012年春 その2-富士宮、身延、鰍沢口、市川大門、南甲府、石和温泉、山梨市、塩山、甲斐大和、四方津、梁川、上野原、国分寺、武蔵境(身延線、中央本線) 【青春18きっぷで、相模・駿河・甲斐途中下車旅】

鉄旅日記2012年3月20日その2・・・富士宮駅、身延駅、鰍沢口駅、市川大門駅、南甲府駅、石和温泉駅

記事を読む

「鉄旅日記」2019年霜月 初日(東京-五所川原)その2‐郡山、福島、仙台、品井沼、松島(東北本線) 【津軽鉄道、弘南鉄道に乗りにいきました。羽州街道を歩いた晩秋の旅でございます。】

鉄旅日記2019年11月2日・・・郡山駅、福島駅、仙台駅、品井沼駅、松島駅(東北本線) 9:25

記事を読む

「車旅日記」2006年皐月 4日目(大曲-青森)その1-大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、碇ヶ関駅、大鰐温泉駅、黒石駅 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】

車旅日記2006年5月5日・・・大曲グランドホテル、角館駅、羽後中里駅、阿仁合駅、鷹ノ巣駅、大館駅、

記事を読む

「車旅日記」2003年晩秋 3日目(伊勢志摩-京都)走行距離239㎞ -大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮駅、吉野口駅、京都ホーユウコンフォルト二条城 【紀伊半島に焦がれる日々。南海道を往くのは2度目でございます。】

車旅日記2003年11月24日・・・大王崎、御座港、鵜方駅、飯高駅、天誅組終焉之地、吉野駅、吉野神宮

記事を読む

「鉄旅日記」2016年夏 2日目(弘前-小樽)その1-弘前、蟹田、津軽二股、奥津軽いまべつ、木古内、札苅、桔梗、新函館北斗、大中山(奥羽本線/津軽線/北海道新幹線/道南いさりび鉄道/函館本線) 【じきに廃線を迎える留萌~増毛に用がありました】

鉄旅日記2016年8月11日・・・弘前駅、蟹田駅、津軽二股駅、奥津軽いまべつ駅、木古内駅、札苅駅、桔

記事を読む

「鉄旅日記」2018年秋 最終日(松戸-五井-大原-安房鴨川-松戸)その1-市川塩浜、五井、上総牛久、馬立、上総鶴舞、里見(京葉線/外房線/小湊鉄道)【サンキューちばフリーパスでめぐる上総下総安房旅】

鉄旅日記2018年9月23日・・・市川塩浜駅、五井駅、上総牛久駅、馬立駅、上総鶴舞駅、里見駅(京葉線

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その2 ‐東大館、大館、弘前(花輪線/奥羽本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・東大館駅、大館駅、弘前駅(花輪線/奥

「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その3 ‐盛岡、渋民、八幡平、湯瀬温泉(IGRいわて銀河鉄道/花輪線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日 盛岡駅、渋民駅、八幡平駅、湯瀬温泉駅(I

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その2 ‐竜田、原ノ町、鹿島、仙台、小牛田、一ノ関(常磐線/東北本線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・竜田駅、原ノ町駅、鹿島駅、仙台駅、小

「鉄旅日記」2022年新春 初日(東京-湯瀬温泉)その1 ‐松戸、神立、友部、水戸、いわき(常磐線) 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】

鉄旅日記2022年1月8日・・・松戸駅、神立駅、友部駅、水戸駅、いわ

→もっと見る

    PAGE TOP ↑