「鉄旅日記」2014年夏 3日目(鳥取-米子)その2-電鉄出雲市、川跡、旧大社駅、出雲大社前、雲州平田、松江しんじ湖温泉、松江、乃木、東松江、玉造温泉、揖屋、荒島、米子(一畑電車北松江線/一畑電車大社線/山陰本線)【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】
鉄旅日記2014年8月15日その2・・・電鉄出雲市駅、川跡駅、旧大社駅、出雲大社前駅、雲州平田駅、松江しんじ湖温泉駅、松江駅、乃木駅、東松江駅、玉造温泉駅、揖屋駅、荒島駅、米子駅(一畑電車北松江線/一畑電車大社線/山陰本線)
15:09 電鉄出雲市(でんてついずもし)駅(一畑電車北松江線 島根県)
宍道から山陰本線で出雲市駅へ。
一畑電車に乗る。
木次に着くまでは考えてもいなかった。
これこそ旅だ。
出雲市駅前は賑わっていた。
以前に比べていろんなものが駅前に出現したように感じたのは、人出が多くなる午後の時間帯だったからだろうか。
電鉄駅の装いは新しく、一畑電車の一日フリー切符はうちわだった。
粋な図らいだ。それに金もかかっている。


15:21 川跡(かわと)駅(一畑電車北松江線/一畑電車大社線 島根県)
大社線への乗り換え時間はごく僅か。
一畑電車の小さなターミナル駅を写真に収めて駅を離れる。
すでに出雲大社前行は発射準備を終えている。
車内案内を務めるYさんはとても親切だ。
たくさんの鳥居が連なるあそこがカメラスポットだと案内を聞きながら、出雲ドームを眺める。
出雲ドームは山陰本線からも見ることができる。
言ってみれば田舎の変哲のない風景をぼんやりと眺めている。

旧大社(たいしゃ)駅(旧大社線 島根県)にて


15:58 出雲大社前(いずもたいしゃまえ)駅(一畑電車大社線 島根県)
出雲大社には参詣せず、旧大社駅への往復で時間切れ。
旧大社駅も立派な文化財だ。
その価値は計り知れない。
神社の風貌の内に宮殿風の内装を施している。
何よりおそろしく大きい。
あの駅から始めて、あの駅に帰ってくる一日を想像すると、ただそれだけの行為が荘厳なものに感じられる。
ただし出雲大社へはかなりの距離を歩かなければならない。
バスでは7分とあった。
ここ一畑電車駅も素晴らしい。
カフェが併設され、ステンドグラスがはめ込まれたドーム型の駅舎はイスラムの宗教施設を連想させ、こんな曇り空の下だが、駅はあたたかな光に満ちていた。


17:01 雲州平田(うんしゅうひらた)駅(一畑電車北松江線 島根県)
待合室のテレビで長崎代表の海星高校の試合を映している。
同じ「かいせい」高校で、オレはまた島根代表の開星高校かと思い、観戦していた駅員に「惜しかったですね」と言葉を投げた。
彼は曖昧に笑う。
相手は東京代表の二松学舎付属で、2点差で負けていてチャンスを迎えていたところだった。
「かいせい」違いだった。
激しい雨はどうにか収まった。
ビールを欲しない涼しさで、雨を見ながらコンビニおにぎりをゆっくり食べた。
かつて駅前を車で通ったことがある平田は、一畑電車に乗ることを決めてから真っ先に思い浮かんだ場所だった。
今そこにいる。
少し歩いた。
宍道湖から流れ出る運河を挟んでこじんまりとした街があった。


松江しんじ湖温泉(まつえしんじこおんせん)駅(一畑電車北松江線 島根県)にて

松江しんじ湖温泉駅~松江駅(徒歩)


松江(まつえ)駅(山陰本線 島根県)にて

18:26 乃木(のぎ)駅(山陰本線 島根県)
一畑電車の終着駅、松江しんじ湖温泉駅に着いたのは今から約45分前。
前回の松江行でもJR駅から歩くことを試みたが、辿り着けなかった駅だった。
宍道湖畔に出ると、そこは覚えていた道だった。
松江は4度目になるが、夕暮れ時は初めてだったのでとても新鮮な気持ちで歩いた。
暮れゆく松江の灯はとても上品だった。
前回たまたまこの街にいる時に父からの電話を受け、発生した見合い話は結局うまくいかなかった。
あの時は残念だったよ。
でもあれからそれ以上の縁を得て現在を生きている。
結局はこれでよかったんだ。
浅からぬ縁を持った松江を離れた。
松江から下り列車でひと駅。
乃木希典大将の祖先はこの土地から出ている。
地図を見れば宍道湖に接している。
ここに降り立つことは今回の旅の中で重要な要素だった。
駅前にはJAと集合住宅があるばかりで、生活道路が線路に平行して走っている平凡な光景を目にしただけだった。
上り列車がやってきた。
今日を終わらせるにはまだ早い。
列車に乗って松江をぶらついてみる。

18:54 東松江(ひがしまつえ)駅(山陰本線 島根県)
乃木から上り列車で松江、さらにその先の東松江で降りる。
宍道湖は視界から消え、松江の灯もここまでは届かず、工場の明かりも消え、夜が訪れる。
何も記すことのない駅前を離れ、再び下り列車に飛び乗る。
どうやら雨は峠を越したようで、時折覗く松江水道の夕景が美しい。

19:36 玉造温泉(たまつくりおんせん)駅(山陰本線 島根県)
下り列車で乃木のひとつ先の駅に降りる。
ログハウス風の新しさを思わせる駅舎は温泉街に対する想像を掻き立てさせた。
足元には灯籠のようなものに灯が入り、料亭的な品をあたりに配っている。
坂を下って湖畔に出れば、列車から見えたホテル群に出る。
そこが温泉街かと思いきやどうやら別な場所にある。
玉造温泉は、坂の途中の薄暗い小路から約1.5キロと記す表示があった。
再び上り列車に乗って、今夜の宿泊先の米子に向かう。

20:24 揖屋(いや)駅(山陰本線 島根県)
車窓から眺めた松江は夜景も上品だった。
一畑ホテルをはじめとした温泉街の明かりが際立っていた。
今回の旅で山陰本線から見える宍道湖が鮮明な姿として記憶された。
送り火が香った。
駅前商店街にはローソンと「いやタクシー」。
そして生徒たちと、彼等を引率してきたと思われる教師または保護者がくぐった焼肉屋。
別にどちらの立場でも構わないが、迫力のある男だった。
線路の反対側には煌々と光を放つ大型スーパーがあり、二人の男がそちらに渡るべく跨線橋に向かった。
ここは明るい時間帯には食堂も営業している駅のようだ。
いよいよ米子へ。
ホームで大勢に見送られた男が乗ってきた。
懐かしい鉄道風景だ。

20:33 荒島(あらじま)駅(山陰本線 島根県)
特急通過待ちで数分の停車。
揖屋で購入したビールはまだ手の中にある。
列車と酒には切り離せない絆がある。
荒島駅には気の毒だが、不意の停車で駅を写真に収めたという事実しか残っていない。
ただひとつ言えば、東松江のように何も記録する物のない駅前だったと思うが、明日また通る。
朝の明かりの中で注意を凝らして見てみたい。

米子(山陰本線/伯備線/境線 鳥取県)駅にて

22:30 ビジネスインよなご211号
2度目の米子の夜。
京都を除けば、オレの歴史に2度登場する街はごく限られている。
札幌、函館、青森、鳴子温泉、郡山、草津温泉、富山、和歌山、梅田、松山、高知、宇部、下関・・・。
数え上げたらそこそこあったな。
そのリストに初めて日本海に面した街が加わったことになる。
コンビニが美味いものを提供していることを知ったのは4月の上州路。
米子に着いてセブンイレブンを探して歩いた。
前回は街歩きをしなかったからちょうどいい。
9号国道まで歩いて役場らしきものを確認して駅に引き返す。
それまでに目にしたものが、オレが知りたかった米子と断定してほぼ間違いはないだろう。
ちょうど今いるここが歓楽街に当たる。
「鉄道の街」として登録されている街の中心はやはり駅だ。
各地の国鉄遺産的駅が変貌を遂げていく中で、米子駅はかつてオレが見たままの巨大な姿を保持していた。
尾張一宮駅も似た立場でいたけど、今の姿は二日前のとおりだ。
寂しさと共に未来も感じた。
ただ、米子駅はこのままであってほしい。
別に未来が来ないことを願っているわけじゃない。
この姿ならどの時代にも必ず受け入れられて、敬意を払われることになると思うからそう言っている。
こんなことを考えていたら、我ながらオレという人間がどんな男なのかがよく分かってきた。
関連記事
-
-
「鉄旅日記」2022年弥生vol.2 初日(東京-焼津)その2 ‐静岡、金谷、新金谷、代官町、日切、合格、門出(東海道本線/大井川鐡道本線) 【念願の大井川鐡道に乗る旅。帰りは身延線経由、武蔵野線全駅下車達成でございます。】
鉄旅日記2022年3月19日・・・静岡駅、金谷駅、新金谷駅、代官町駅、日切駅、合格駅、門出駅(東海
-
-
「鉄旅日記」2019年弥生Part.3 初日(東京-多治見)その2-西小坂井、三河三谷、愛知御津、三河安城、共和(東海道本線) 【明知鉄道、名鉄築港線。その2線に乗るために、東海道を下っていったのでございます。】
鉄旅日記2019年3月23日・・・西小坂井駅、三河三谷駅、愛知御津駅、三河安城駅、共和駅(東海道本線
-
-
「鉄旅日記」2009年秋 5日目(松浦-若松)その1-松浦、有田、伊万里、唐津、筑前前原、姪浜、天神、西鉄福岡、博多(松浦鉄道/筑肥線/福岡市地下鉄空港線) 【遅い夏休みをとり、長崎までの切符を買いました。】
鉄旅日記2009年9月22日・・・松浦駅、有田駅、伊万里駅、唐津駅、筑前前原駅、姪浜駅、天神駅、西鉄
-
-
「鉄旅日記」2008年皐月 初日(東京-出雲)-静岡、豊橋、京都、亀岡、福知山、上夜久野、豊岡、浜坂、鳥取、青谷、倉吉、米子、出雲市(東海道本線/山陰本線) 【旅は京都から始まり、山陰から下関へ。そして四国へと渡ったのでございます。】
鉄旅日記2008年5月2日・・・静岡駅、豊橋駅、京都駅、亀岡駅、福知山駅、上夜久野駅、豊岡駅、浜坂駅
-
-
「鉄旅日記」2005年秋 2日目(名古屋-中軽井沢)-名古屋、高蔵寺、多治見、中津川、木曽平沢、塩尻、小淵沢、中込、小諸、中軽井沢(中央本線/小海線/しなの鉄道)【軽井沢で挙式する身内を祝うために、初めて鉄道で旅をいたしました。】
鉄旅日記2005年11月6日・・・名古屋駅、高蔵寺駅、多治見駅、中津川駅、木曽平沢駅、塩尻駅、小淵沢
-
-
「鉄旅日記」2022年新春 2日目(湯瀬温泉-三沢)その1 ‐湯瀬温泉、鹿角花輪、十和田南(花輪線)/和心の宿姫の湯 【巨大な土偶が貼りつく木造駅を見たくて冬の東北を旅しました。】
鉄旅日記2022年1月9日・・・湯瀬温泉駅、鹿角花輪駅、十和田南駅(花輪線)/和心の宿姫の湯
-
-
「鉄旅日記」2000年晩秋【京都の女性に恋をしていた頃がございました。その京都時代のはじまりでございます。】-京都タワーホテル
鉄旅日記2000年11月23日~24日 2000・11・23 0:03 京都タワーホテル924号室
-
-
「鉄旅日記」2013年春【青春18きっぷで、関東途中下車旅】その2-結城、下館、川島、岩瀬、笠間、十王、小木津、磯原、湯本、内原、羽鳥、土浦、ひたち野うしく(水戸線、常磐線)
鉄旅日記2013年3月31日その2・・・結城駅、下館駅、川島駅、岩瀬駅、笠間駅、十王駅、小木津駅、磯
-
-
「鉄旅日記」2008年初夏 2日目(和歌山-松阪)その2-串本、新宮、尾鷲、紀伊長島、三瀬谷、多気、松阪(紀勢本線)【まほろばの路から紀州へ。紀伊半島で過ごした短い夏の記憶でございます。】
鉄旅日記2008年7月20日・・・串本駅、新宮駅、尾鷲駅、紀伊長島駅、三瀬谷駅、多気駅、松阪駅(紀勢
-
-
「車旅日記」2006年皐月 3日目(仙台-大曲)その2-羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲グランドホテル 【東京から出かける最後の車旅。関東、東北を2,265㎞走った記録でございます。】
車旅日記2006年5月4日・・・羽前豊里駅、真室川駅、及位駅、院内駅、湯沢駅、横手駅、後三年駅、大曲
