「鉄旅日記」2014年夏【青春18きっぷで、中国ぶらぶら旅】2日目(津山-鳥取)その1-津山、坪井、久世、中国勝山、刑部、新見、総社、備中高松、高松城址、吉備津(姫新線、伯備線、吉備線)
鉄旅日記8月14日その1・・・津山駅、坪井駅、久世駅、中国勝山駅、刑部駅、新見駅、総社駅、備中高松駅、吉備津駅(姫新線、伯備線、吉備線)
2014・8・14 6:05 津山(つやま)駅(姫新線/津山線/因美線 岡山県)
吉井川に架かる橋から巨大な天満屋を眺めて足を止める。
いくつもの小路が入り組んだ一帯と津山城に思いを残してこの街を去ることになる。
今回もたいした時間はとれなかったことは大いなる心残りだ。
駅にもまた多くの鉄道遺産が残っているという。
寂れていた駅前はさらに寂れ、映画館があったと記憶していたが、あるいは別の街のことだったかと思い悩んだ。
いやいや間違いない。
確かにそう遠くない過去にあの場所に映画館があったよ。
気分は清々しい。
そして中国山地の暑さがじわじわと皮膚にまとわりついてくる。
津山の街並
6:28 坪井(つぼい)駅(姫新線 岡山県)
数分の停車。
姫新線最終章が始まっている。
街を離れ、大河を離れ、杉の集散地を思わせる一帯を中国自動車道と並走している。
民家は疎らで小さな待合室しかない駅周辺は緑に包まれている。
6:56 久世(くせ)駅(姫新線 岡山県)
数分の停車。
美作落合手前で霧が立ち込める。
中国山地の変化のない風景に飽いた頃、町に着いた。
駅前に大正ロマンを思わせる建物が並び、文化遺産に認定された小学校へと導く道標がある。
駅へと急ぐ若い女性の楽しげな声が通り過ぎ、薄曇りの上空が青くなった。
7:10 中国勝山(ちゅうごくかつやま)駅(姫新線 岡山県)
数分の停車。
町並保存地区を有する観光地に到着した。
かつて東京でもこの町への観光を促すポスターが貼られ、「男はつらいよ」第48作では車寅次郎も因美線美作滝尾駅で、この町への切符を買った姿が目撃されている。
蒜山高原というのが観光地図の中で頂点を極めている。
たいして時間がない中を駅前の観光地区の入口まで走って写真に収め、すぐに戻った。
列車は走り出し旭川という大河を渡る。
次は月田。
杉の丸太が積まれた月田駅前を車窓から眺めて、そこに寄った当時のことを思い出していた。
7:41 刑部(おさかべ)駅(姫新線 岡山県)
数分の停車。
列車が速度を落として運行する区間を抜けて、姫新線内最後の途中下車。
中国山地の町並の典型を刑部に見ているような気がする。
山に囲まれた狭い平地が田となり、民家は山裾にへばりつくように密集している。
この夏もまた大雨による山崩れの被害が各地に出た日本列島。
余計なお世話だが、このあたりは大丈夫だろうかと車窓を眺め思い巡らす。
ある一族が豪邸を数棟並べ、蔵を置いている風景もある。
以前で言えば、庄屋さんか何かのご子孫だろうか。
そんな山間の景色を見てきた感慨のみが頭を占めている。
8:35 新見(にいみ)駅(姫新線/伯備線/芸備線 岡山県)
美しい街だ。
高梁川に沿って歩いている時に単純にそう思った。
津山と同じく陰陽連絡道の要衝で、広島、米子、倉敷、姫路の中継地にあたる新見。
人の気配が希薄なのは中国山地という土地柄で、川と山に抱かれたこの国の「ふるさと」のような街だ。
「赤とんぼ」の碑を見たのは確か播磨新宮でのことだったか。
姫路から新見までをつなぐ姫新線。
過去から現在に至るまで、注目を集めた実績もまた希薄な地域と言えるだろうが、古来人々が歩き続けてきた重要な道のりだった。
仕事でその存在を知った「新見おかみさん会」の本拠地があるであろう繁華街を探しにまずは市役所を目指して歩き、姫新線の鉄橋まで行ってみたが見つからない。
今度は考えを別に移し、かつて車で寄った際にオレが買い求めたパン屋はどこだっただろうかと記憶を辿る。
きれいなパン屋が川向うにあったけど、あそこがそうだったと断定するには至らず、あの時の新見は完全なる過去へと場所を移していることを自身の中で知った。
伯備線に乗り換える。
9:50 総社(そうじゃ)駅(伯備線/吉備線/井原鉄道 岡山県)
一雨降った備中路に西国の日が差した。
見るべきものが見当たらない総社駅前。
観光地図にも興味を引くものは見い出せず、役場は遠く、従って街に着いたら歩きたいといつも思う繁華街がどこにあるのかも分からない。
乗り換え時間も少ない。
だから美しい備中娘を眺めているより他になかったよ。
吉備線に乗り換える。
10:38 備中高松(びっちゅうたかまつ)駅(吉備線 岡山県)
ここを訪ねてみたかった。
今年はちょうど大河ドラマ「軍師官兵衛」にも登場している。
駅から徒歩10分ほどの高松城跡に行って案内板を眺めたら、羽柴秀吉による水攻めが途方もなく広大な規模にわたるものであることを知った。
現代人に彼等のような想像力はあるだろうか。
少なくともオレには皆無だ。
日本史上最も物騒な頃の話だが、英雄もまた群がり起こった時代で、城主だった「男」清水宗治の死舞台がここにある。
海音寺潮五郎さんが小説「加藤清正」で描いた彼の最期の様を想い、首塚に手を合わせて駅に戻る。
駅前は耐え難いほどに暑く、かつての沼地は田園へと変貌していた。
高松城址と清水宗治公首塚
11:18 吉備津(きびつ)駅(吉備線 岡山県)
神の地の入口にしては粗末な駅で、無論駅前には何もなく、徒歩5分ほどの吉備津神社へ向かう。
桃太郎のモデルとなった神話の舞台がこの地で、大和朝廷に雇われていた吉備津彦命(きびつひこのみこと)も鬼役の温羅(うら)も、鵜をはじめ他の生命体に化身することができたという。
西洋はじめ他の国々の昔話にもこういった事例は確認されているのだろうか。
観光客も多く、岡山が近づくにつれて人が増えてきた。
吉備津神社
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